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{{テンプレート:20180815sk}}
{{Infobox WS
 
|name=日本語の表記体系
 
|languages=[[日本語]]
 
|type =[[表語文字]]([[漢字]])と[[音節文字]]([[平仮名]]と[[片仮名]])の併用
 
|time = [[4世紀]]-現在
 
|fam1 = [[漢字]] - [[万葉仮名]]
 
|unicode=[[漢字]]の範囲(漢字)<br />[http://www.unicode.org/charts/PDF/U3040.pdf U+3040&ndash;U+309F](平仮名)<br />[http://www.unicode.org/charts/PDF/U30A0.pdf U+30A0&ndash;U+30FF](片仮名)
 
| sample = Heibon-pp.10-11.jpg
 
| caption = 漢字仮名交じり文で書かれた[[小説]]。[[漢字]]には[[ルビ|振り仮名]]が振られている。[[1908年]]。
 
|iso15924=Jpan
 
}}
 
'''日本語の表記体系'''(にほんごのひょうきたいけい)では、[[日本語]]の[[文章]]等を[[文字]]によって表記するための系統的な方法について解説する。本項目では[[現代日本語]]の[[文字#文字体系と表記体系|表記体系]]とその[[歴史]]を扱っている。日本語の概略に関しては[[日本語]]を参照。<!-- modern は、「近代」の意味であるが、「現代」の意味もある。-->
 
 
 
== 概要 ==
 
現代の日本語では、主に以下の3種類の[[文字体系]]が用いられる。
 
 
 
{| class="wikitable"
 
|-
 
![[漢字]]
 
|[[中国]]を[[起源]]とする[[表語文字]]である。[[国字]]と呼ばれる[[日本]]で造られた漢字も追加されている。
 
|-
 
![[平仮名]](ひらがな)
 
|漢字の[[草書体]]より日本で作られた[[表音文字]]([[音節文字]])である。
 
|-
 
![[片仮名]](カタカナ)
 
|漢字の一部を省略表記して日本で作られた表音文字(音節文字)である。
 
|}
 
 
 
これらの[[文字]]を併用して表記された文章が'''[[仮名交]]'''(かなまじり)または'''[[仮名交文]]'''(かなまじりぶん)と呼ばれる、現在の日本での標準的な文章である。これは、「それまで公式とされた'''[[漢文]]'''に、'''[[仮名 (文字)|仮名]]'''が'''交'''じっている」という意味だが、漢字とかなの併用が標準となった現代ではかえって読みにくく、また意味が掴みにくい。そのため、送り仮名をつけた「[[仮名交じり文]]」や更に漢字との併用であることを明記した「'''漢字仮名交じり文'''」といった表現で示される場合がある。
 
 
 
[[ローマ]]由来の[[アルファベット]]([[ラテン文字]])を用いて日本語を表記することもでき、日本では'''[[ローマ字]]'''と呼ばれる。個々の[[ラテン文字]]を、[[イニシャル]]や略号として、漢字・かなと併用して記すことは普通に行われているが、[[母語]]話者が文章全体をローマ字で記すことは稀である。
 
 
 
一例として[[朝日新聞]]のニュース記事([[2004年]][[4月19日]])の見出しを次に示す。ここでは上記4種類の文字システムがすべて用いられている。{{Color|#ff8000|漢字{{Color|black|は}}'''太字オレンジ'''}}、{{Color|blue|ひらがな{{Color|black|は}}青}}、{{Color|#00aa60|カタカナ{{Color|black|は}}緑}}、{{Color|#777777|ローマ字{{Color|black|と}}アラビア数字{{Color|black|は}}<ins>下線灰色</ins>}}で示す:
 
 
 
:{{Color|#00aa60|ラドクリフ{{Color|black|、}}マラソン}}{{Color|#ff8000|'''五輪代表'''}}{{Color|blue|に}}{{Color|#777777|<ins>1</ins>}}{{Color|#ff8000|'''万'''}}{{Color|#777777|<ins>m</ins>}}{{Color|#ff8000|'''出場'''}}{{Color|blue|にも}}{{Color|#ff8000|'''含'''}}{{Color|blue|み}}
 
 
 
日本語で書かれた単語の例を以下にいくつか示す:
 
 
 
{| class="wikitable"
 
|-
 
! rowspan=2 colspan=2 |
 
! colspan=3 | 文字
 
! rowspan=2 | ローマ字転写<br /><small>ヘボン式</small>
 
|-
 
!漢字
 
!ひらがな
 
!カタカナ
 
|-
 
! rowspan=3 |語種
 
![[大和言葉]]
 
|私
 
|わたし
 
|ワタシ
 
|watashi
 
|-
 
![[漢語]]
 
|金魚
 
|きんぎょ
 
|キンギョ
 
|kingyo
 
|-
 
![[外来語]]
 
|煙草
 
|たばこ
 
|タバコ
 
|tabako
 
|}
 
 
 
日本語辞典(いわゆる[[国語辞典]])での単語の配列法は第一に漢字ではなく、[[表音文字]]である仮名を基盤とする。ローマ字で書かれる単語も例外ではなく、その場合見出しは[[片仮名]]による。仮名の配列には「[[五十音順]]」と「[[いろは順]]」の2種類がある。後者は古式でありこれに従う辞典は[[節用集|かつて存在した]]が、現在ではもはや存在しない。ここで[[同音異義語]]である[[漢語]]の配列が問題になる。この点、[[漢字]]は総画数、[[部首]]によって配列されている。
 
 
 
他方、[[漢和辞典]]では漢字は[[部首]]、[[画数]]の順に配列されており、漢字ごとにその字で始まる漢語が、漢字を見出しとして、その読み方の五十音順に配列されている。詳しくは該当項目を参照。
 
 
 
== 文字種の使い分け ==
 
[[Image:Table hiragana.svg|thumb|right|ひらがな表]]
 
[[Image:Table katakana.svg|thumb|right|カタカナ表]]
 
大部分の日本語文は漢字とひらがなで書かれ、一部にカタカナが混在して使用される。
 
 
 
=== 漢字が使われる事例 ===
 
{{main|漢字|和製漢字|日本における漢字}}
 
*[[名詞]]
 
*[[形容詞]]と[[動詞]]の語幹
 
*[[日本]]の[[人名]]
 
等である。
 
 
 
=== ひらがなが使われる事例 ===
 
{{main|平仮名}}
 
*[[形容詞]]と[[動詞]]の[[活用]]語尾(送り仮名)
 
*[[助詞]]
 
*漢字を持たない、あるいは漢字では読みづらい日本語の単語
 
*漢字の読み方の指示(振り仮名)
 
等である。
 
 
 
=== カタカナが使われる事例 ===
 
{{main|片仮名}}
 
*外国の単語、名前
 
*[[擬音語]]
 
*強調。英語ではイタリック体で書くような場面
 
*技術、科学用語(生物の名前。「ヒト」、「ネコ」等)
 
等である。生物名のカタカナ表記の起源については[[和名]]を参照。
 
 
 
=== ローマ字が使われる事例 ===
 
{{main|ローマ字|アルファベット|外来語}}
 
[[画像:SeimiKaisouChemistry.jpg|サムネイル|[[宇田川榕菴]]が著した「舎密開宗」の化学実験図。日本語の文章に、「[[S]]字様管」と[[アルファベット]]が混ざっている。]]
 
*[[アクロニム]]、[[イニシャル]]。例えばNATO(「[[北大西洋条約機構]] North Atlantic Treaty Organisation」のアクロニム)など。
 
*日本国外で通用するように意図した場合。例えば名刺やパスポートの名前など。
 
*会社名、ブランド名、製品名等。日本国内外問わず用いられる。
 
*日本語の文脈中にいきなり外国の単語やフレーズを挿入する場合。日本人向け民生品の宣伝など。
 
等である。ローマ字で日本語の単語を表記する例はない。あるように見えるのは[[転写 (言語学)|転写]]にすぎない。
 
 
 
=== 例外 ===
 
上記の規則には多くの例外がある。例えば[[日本人]]の名前には漢字、ひらがな、カタカナの全てが用いられることがある。姓についても、[[大和民族]]の姓は漢字がほとんどであるが、「一ノ瀬」などのように一部カタカナが含まれる姓もある。[[帰化]]した外国人などは、姓の全てがカタカナ表記ということもある。
 
 
 
加えて、横書きの文書では[[アラビア数字]]が普通は用いられる。ラテン文字はアクロニムや国際単位系の単位等に用いられる。
 
 
 
=== 文字種の意図的な選択 ===
 
ひらがな、カタカナのいずれでも、全ての日本語の単語を表記することができる。ローマ字でも"書く"ことは客観的に可能であるが、あくまでも音写でしかない。また、ほとんどの単語には漢字表記がある。どの文字種を用いるかは文体・文脈・個人の好みなど多くの要因によって決まる。つまり音声的に同一の語句・文に対して多くの表記があるので、日本語には欧米の言語のような厳密な[[正書法]]は存在しない。
 
 
 
漢字表記によって異なる意味を表す場合もある(「熱い」「厚い」、「好み」「木の実」等)。場合によっては漢字の書き分けが難しく、「誤記するよりまし」という事でひらがなで表記する人もいる。
 
 
 
== 表記する方向 ==
 
{{Main|縦書きと横書き}}
 
伝統的には日本語は「縦書き」で書かれた。文書は縦行に分かれ、各縦行は上から下に、縦行の間では右から左に書かれる。ある縦行の最下部まで読み進んだら、次は左隣の縦行の最上部に移動することになる。これは[[中国]]の文と同じ順序である。<!-- 伝統的には日本語は「縦書き」で書かれた。文書はカラム(柱)に分かれ、各カラムは上から下に、カラム間では右から左に書かれる。あるカラムの最下部まで読み進んだら、次は左隣のカラムの最上部に移動することになる。これは[[中国]]の文と同じ順序である。-->
 
 
 
現代の日本語は他の方法も採用している。「横書き」といわれるもので、[[英語]]などのヨーロッパ諸語と同一の方法である。左から右に書かれた横向きの行が上から下に並んでいる。
 
 
 
== 初期の日本語表記系 ==
 
[[ファイル:Nihonshoki tanaka version.jpg|thumb|right|『[[日本書紀]]』 [[平安時代]]の写本。その構文や表記のありかたは、中国の古典文である「漢文」に則っている。]]
 
[[ファイル:Hell Scroll Nara Measures.jpg|thumb|[[地獄草紙]] [[平安時代]]末に成立したと見られる[[絵巻物]]。現代と余り変わらない字体の、漢字と仮名で書かれている。]]
 
[[画像:KarakuriZuiHosokawaHanzo1796.jpg|thumb|『機巧図彙』 [[寛政]]9年([[1796年]])に刊行された[[和時計]]や[[からくり]]についての図入り解説書。その文章は行書体の漢字にかなを交じえて記されている。]]
 
現在の日本語表記の源流は、[[中国]]の古典文語である[[漢文]]の書き方が伝えられた[[4世紀]]あたりにまで遡る。ただし漢字が伝わる以前に、[[神代文字]]と称する更に古い表記法があったともいわれている。それらは絵文字の様だったり、[[ルーン文字]]に似ていたり、[[ハングル]]に酷似していたりする。これらの内で真正なものと結論づけられたものは一つもなく、漢字の伝来以前に日本に文字があった証拠は存在しない。たとえそのようなものがあったとしても、書記のための文字として体系づけられる前に、漢字の導入により霧散したものと見られる。
 
 
 
中国から伝わった漢字を前にして、日本人はとりあえず、個々の漢字の意味を日本語に当てはめた。たとえば「山」、「川」、「村」、「人」、「森」、「酒」などを意味する日本語として「やま」、「かは」、「むら」、「ひと」、「もり」、「さけ」という言葉を当てはめていった。[[和語]]に相当する意味を持つ漢字がない場合には、独自に漢字を創造している。峠(とうげ)、辻(つじ)、柊(ひいらぎ)、鰯(いわし)などで、これを[[国字]]という。その国独自の漢字は、中国文化の影響を受けた[[朝鮮半島]]や[[ベトナム]]でも作られた。[[文化 (元号)|文化]]15年([[1818年]])以前に成立していた『国字考』(伴直方著)には、日本で作られた国字125字が収録されている。
 
 
 
=== 借字と漢字文 ===
 
しかし日本語の[[固有名詞]]を発音通りに書き記す場合には、漢字をそのまま使っても書き表すことが出来ない。そのために使われたのが[[借字]](しゃくじ)である。これは漢字を表意文字ではなく表音文字として(中国音から音を得て)用いる。この借字は4500首あまりの[[和歌]]を収めた『[[万葉集]]』にも使われる表記なので「万葉仮名」とも呼ばれるが、べつに『万葉集』に限った表記法というわけではない。この借字の字体を[[草書]]よりも崩したものから平仮名が、また漢籍や経典の読み下しを助けるために横に付した符号のうち、発音記号として使った借字から片仮名が誕生した。
 
 
 
やがて文章の構文も中国語に沿った「漢文」のものではなく、日本語の構文に沿って語を並べた文章が綴られるようになった。『[[古事記]]』の本文は漢字だけで記されているが「漢文」ではない「漢字文」である。借字による和語の文を交え、日本語の語順に従って記されている部分があるからである。またその本文冒頭には、
 
 
 
{{quotation|天地初発之時…}}
 
 
 
とあり、「あめつちはじめてひらけしとき…」とふつうには訓読されている部分であるが、「初」は「はじめて」でも「はじめに」でもどちらにも読める。実際にどう発音して読んだかというより、要はその文字を追っていけば内容を理解できるという文である。
 
 
 
=== 漢字かな交じり文の成立 ===
 
文章を綴るための文字としての仮名(平仮名)の出現は、都が[[平城京]]から[[平安京]]に移って以後、すなわち[[平安時代]]に入ってからのことである。漢字に仮名を交えて書く「漢字かな交じり文」は、その当時すでに始まっている。当時の仮名の文も和語だけで記されていたわけではなく[[漢語]]も交えており、それはたいていの場合漢字で記すよう慣習づけられていたからである。また和語であっても文章を読み取りやすくするため、今のように漢字を当てて記すこともされていた。ただし和歌は漢語を使わずに詠み、また仮名だけで書くよう慣習づけられていた。その後、訓読文の影響も受けながら「漢字かな交じり文」は発達してゆく。
 
 
 
『[[伊勢物語]]』、『[[源氏物語]]』、『[[今昔物語]]』、『[[平家物語]]』、『[[方丈記]]』、『[[徒然草]]』、『[[奥の細道]]』、『[[雨月物語]]』など、日本古典文学の重要な作品は全て「漢字かな交じり文」で書かれており、現在まで1100年以上に渡って日本語の標準的な書き言葉となっている。
 
 
 
=== 音読みと訓読み ===
 
一つの漢字には、複数の「音読み」([[漢字音]])と「訓読み」([[和訓]])があることが多い。まず音読みについては、日本に様々な時代の、様々な地域の中国語の発音が並行して伝えられたことにより、一つの漢字に複数の音読みが行われることになった。[[呉音]]、[[漢音]]、[[唐音]]といったものである。こうした現象は、特定の時代の特定の地域では通常一つの発音しか認めてこなかった中国や[[朝鮮半島]]など、他の漢字を受容した地域では、ほとんど観察されない。例えば「行」は二字熟語の「行列」では「ぎょう」であり、「銀行」では「こう」、「行灯」では「あん」である。一つの漢字「行」に「ぎょう」、「こう」、「あん」の三通りの音読みがあるのはそれぞれ「呉音」「漢音」「唐音」に対応している。
 
 
 
訓読みでは「山」や「人」のように、「やま」「ひと」というほぼ一種類の訓読みが伝わっているものもあるが、「行」は「ゆく」(または「いく」)ともまた「おこなう」とも読み、「主」という漢字では「おも」、「ぬし」、「あるじ」といった複数の訓読みが当てられているといった例があげられる。一つの漢字の持つ意味の広がりが複数の和語の概念にまたがっていることにより、複数の読みかたが生じた。逆に「取る」・「採る」・「捕る」などのように、一つの和語に複数の漢字が割り当てられる場合もある。<!--「訓読み」は拡大解釈されて様々な読みに利用されている。「大」に「ひろ」、「美」に「よし」という「訓読み」をつけること等は比較的最近に広まったことである。
 
 
 
送り仮名は漢字を日本語表意文字として採用したことによって必然的に必要になった。日本語は膠着語であり、中国語は孤立語に相当する。孤立語と膠着語の違いを調整するために送り仮名は必要になった。振り仮名は漢字の読みの多様性に対応して出来るだけ採用するのが望ましい。
 
 
 
古事記は漢字だけで日本語を表示したものであるが漢字は原則として訓読みをするようになっている。音読みが必要な場合は「これ以降の5文字は音読みをせよ」というような注が挿入してある。普通の訓読みでは指示はないが特殊な訓読みをする場合は「常」を例としてあげるが「この文字はトコと読め」などと読み方を指定してある。以上のことから日本語では漢字の読み方は訓読みが主で音読みは従であると言える。
 
 
 
訓読みを採用したお陰で日本人は漢字と大和言葉とが一意に結びつくようになり、語順を入れ替えるだけで翻訳できる漢文訓読法が生まれた。訓読みをしない朝鮮やベトナムでは漢文訓読法は成立し得ない。
 
-->
 
=== 日本語としての漢語 ===
 
<!--[[言語学者]]は日本語が漢字を借用し中国語の単語を日本語に取り入れたことを、ときとして英語に対する[[ノルマン人]]の[[ブリテン諸島]]征服([[ノルマン・コンクエスト]])による影響に匹敵するとする{{誰|date=2010年2月}}。英語と同様、-->日本語には語源を異にした多くの[[同義語]]がある。中国起源のものと日本起源のものとである。また、中国起源の単語はより厳密さが求められる説明的な文脈で用いられる傾向があり、これはヨーロッパ言語を用いる国や地域の人々が[[ラテン語]]由来の単語をしばしば上流の証として用いるのと似ている。<!--文意に整合性がみられない。しかも独自研究
 
ノルマン人の英国征服により、英語の中に大量のフランス語が入って来た現象と日本語に漢字が入って来た現象の間に何らかの類推を見るのは誤っている。日本語では訓読みを採用しているため漢字が日本語表意文字になっている。日本が大量の漢字を使うようになっても大和言葉は消えていない。そのことは『万葉集』が現代人にも容易に理解できることから明らかである。実際に日本は一度も中国に征服されたことがない。ノルマン人の英国征服による言語学上の影響に匹敵する事象を探せば、[[第二次世界大戦]]で日本が敗北し米国に占領された後に目立つようになった[[カタカナ語]]の氾濫があげられるであろう。米国による日本占領は表向きは6年間で終わったが、米軍基地は60年経過した現在でもなくなっていない。そのため米英語をカタカナ表記しただけのものを使用するのが一般的になり、日本語に大きな変化をもたらしつつある。--><!--
 
以下も独自研究色が強い記述であり、しかも主たるテーマがずれており、[[和製漢語]]に記述すべきでしょう。
 
中国起源の単語([[漢語]])はよりフォーマルで知的な文脈で用いられるという事実を強調するのは誤りである。朝鮮では漢字を知っているかどうかで知識人と非知識人との区別がなされていたと言えるが、日本では事情が違う。日本では訓読みが許されており、漢字は日本語表意文字になっている。漢字は日本語そのものであり、日常的に漢字は使われている。漢字を知らなければ仕事に差し障りが生ずる。従って日本では「教養語としての漢語」というのはそのまま肯定できぬ状況が存在している。中国起源の単語は仏教用語などを中心に存在しているが、それほど多くはない。中国起源の漢語のように見えて和製の漢語である場合は多い。西欧伝来の新しい概念を表す漢語は殆ど和製の漢語である。例えば「中華人民共和国独立宣言」の中で中国起源の漢語は「中華」だけであり、残りの単語「人民」、「共和国」、「独立」、「宣言」は全て日本語([[和製漢語]])である。-->
 
近代では日本人が漢語を造語する例もあり、英語のphilosophy、ドイツ語のPhilosophieを指す用語として、明治時代の啓蒙家[[西周 (啓蒙家)|西周]]が、「[[哲学]]」と造語している。これらは[[和製漢語]]と呼ばれるもので、現在では漢語の本家である中国語圏に逆輸入されている例も多い。
 
 
 
=== 漢字かな交じり文の意義 ===
 
古い時代の日本に中国大陸より漢字と漢文が伝わり、その漢文を日本語として理解するために[[漢文訓読]]という方法が講じられた。現在の漢字かな交じり文はこの漢文訓読が源流のひとつになっている。その漢字かな交じり文に必要な仮名が世に現れる以前には、文の表記についていろいろな試みや工夫があった。
 
 
 
『万葉集』はその原文を見ればわかるように、本来全て漢字で記されており、基本としては詞書が「漢文」であり肝心の和歌は借字を用いた表記になっているが、その和歌のなかには今でいう「訓読み」を交えたものがある。その本文は見た目には漢字の羅列である。使われている漢字が借字なのか、または「訓読み」として読めばいいのかを区別するための手がかりは、[[韻文]]である和歌の五音や七音の音数律に拠ることになる。
 
[[ファイル:Manyousyu NukataOhkimi1.jpg|thumb|80px|『万葉集』巻第一(元暦校本)より。]]
 
{{quotation|熟田津尓舩乗世武登月待者潮毛可奈比沼今者許藝乞菜}}
 
 
 
これは『万葉集』で「にきたつに ふなのりせむと つきまてば しほもかなひぬ いまはこぎいでな」と現在訓読されている和歌の原文である。この文では「熟田津」「舩(船)乗」「月待」「潮」「今」が訓読みで、それ以外が借字で記されているが、もしこの24字の漢字の羅列が和歌であることを前もって知らなければ、何が書いてあるのかわからないし、当然訓読みと借字の区別もつかない。和歌なら五七五七七と句が分かれているので、それに当てはめてみて何とか内容を読むことができる。しかし[[散文]]では五音や七音に語句を当てはめることは出来ないので、こころみに散文で借字に「訓読み」を交えた文を書いたとしても、はじめてそれを読まされる側にとっては、内容を読んで理解することは不可能に近い。そうした困難を避けるために作られたのが「宣命書き」である。これは漢字の語句の間に、助詞や送り仮名などを小さい借字で書き添えるという形式である。また『古事記』には文中に、「この文字は借字として読め」という意味の[[割注]]を付けて読ませる方法が見られる。
 
 
 
仮名(平仮名・片仮名)の登場は、そのような状況を一変させた。仮名は借字である漢字から作られたものであるが、もともとの漢字の字形を[[草書]]よりももっと崩したりまたは略したりすることによって、そこに漢字を加えても仮名と区別が出来るようになった。平安時代以降、仮名で記された文学作品が多く作られるようになるが、上でも述べたようにそれらはすべてを仮名で記していたわけではなく、ある程度漢語や漢字を交えて書くようになっていた。それができたのも漢字と仮名が見た目の上で区別できたからであり、これは漢字片仮名交じりの文の場合でも同様である。そして時代が下ると『平家物語』などのように、漢語を多用する漢文訓読ふうの文も綴られるようになった。
 
 
 
仮名の登場によって日本語の繊細な表現を記すことができるようになったといわれるが、漢字と仮名の区別が漢字かな交じり文の成立を可能にさせ、その漢字かな交じり文の発達が、[[明治]]以降の和製漢語を生む土壌を作った。漢字かな交じり文は現在でも日本語の表記体系のなかで重要な地位を占めている。
 
<!--
 
漢字かな混じり文の意義の最大のものは日本語が表音文字と表意文字を使う世界でも珍しい言語の一つであるという事実にある。「ひらがな」と「カタカナ」が表音文字であり、漢字が表意文字である。中国から借りた漢字で不足する場合には勝手に国字という和製漢字を大量に作り、使用した。日本人が作った漢字は1万字に上る。「山」「川」などは漢字であり、「やま」「かわ」等の表意文字として使われている。しかし「峠」「鰯」などの国字は日常的に使われていて、それぞれ「とうげ」「いわし」等の表意文字として使われている。漢字がある場合は漢字を使い、大和言葉の単語に相当する漢字がない場合に日本人は国字を考えている。日常的には漢字か、国字かは意識せずに使用している。大量の国字が存在することから日本人が大和言葉の全てについて表意文字を作ろうとした時期があったと想像される。「ひらがな」と「カタカナ」が発明されていなかった天平・奈良時代には、ほとんどの大和言葉の単語に漢字または国字が知られていたと考えられる。
 
 
 
表音文字が発明された以降は漢字で大和言葉の語幹を表し、動詞の変化部分やテニオハを「ひらがな」や「カタカナ」で表す現在の表記法が確立した。漢字かな混じり文では大和言葉を使う造語法と漢語的造語法がある。「引き出し」「下手投げ」「売り出し」「犬走り」「土踏まず」などが前者であり、「村長」「馬車」「学校」「銀行」などが後者である。漢語的造語は音読みをするのが普通である。日本人には「むら(村)」や、「おさ(長)」が訓読みを通して既知であるために、「そんちょう(村長)」と音読みして、表意文字を見るとその意味はすぐに理解できるようになっている。漢語的な造語を日本人は大和言葉に変換して意味を理解するのが一般的になっている。漢字かな混じり文では重要単語を表意文字で表し、その間を表音文字でつなぐ形をとっているので文意の把握が容易で、高速に読み取れると言う長所がある。聞かなくとも文字を見るだけでおおよその意味は見当がつくことが日本語の大きな特徴になっている。
 
 
 
明治になって欧米の言葉を単にカタカナ表記したカタカナ語が使われるようになったために全ての単語に表意文字が存在すると言えなくなった。したがって江戸時代までは日本語の単語のほとんどについて表意文字で表現可能であったが明治以降、特に戦後に顕著になったカタカナ語の氾濫によって日本語の表意文字を持つという特徴が薄れつつあると言える。
 
 
 
朝鮮語が漢字を復活させれば「日本語が表意文字と表音文字をもつ珍しい言語」と言えないのではないかとの疑問を懐く人があるかもしれない。表面的にはそういえるが朝鮮語では訓読みを許していないので固有語は原則として漢字をもっていない。朝鮮語の中の漢字は大抵中国または日本から来た外来語が漢字で表されているものが多い。これに対して日本語では大和言葉の単語の殆どが漢字または国字をもっている。
 
-->
 
== 日本語表記法の変化 ==
 
<!--
 
=== 漢字のみを使用した時代 ===
 
3世紀頃漢字が伝わり、漢字を使って人名、地名、魚、動物、花、木、自然を表現するようになった。そのとき和語と同じ意味を持つ漢字で表現した。「やま」<---「山」、「さくら」<---「桜」、「かたな」<---「刀」。これが訓読みの始まりである。
 
日本語の文の表記も漢字のみを使わざるを得なかった。訓読みが一般的で漢字の意味そのものはよく知られていたので、言葉を漢字で表すのは容易だが、漢文と日本語の語順が同じでないので、文章表現には困難があった。最初は漢文の語順に影響され漢文式に並べて表現していたが次第に日本語の語順に漢字を並べて表現するようになっていった。それでも現代で言う送り仮名に相当する部分は表記されず読むときに日本語になるように送り仮名などを補って読んでいたものと思われる。
 
和歌は厳密に表現しなければならないので漢字を表音文字として利用して、表現したが中には訓読みで表現された単語が混じるので、解読は簡単ではなかったと思われる。
 
=== かなの出現以降 ===
 
9世紀末にひらがなが発明された。ひらがなは大和言葉を一意に表現できるという特性を持っているので、日本語表記の問題点を一気に解決し、日本を文化国家にするのに大きく役立った。最初は表音文字をひらがなで置き換え、読むときに補っていた送り仮名をひらがなで表記するようになり、日本語表記法としての漢字かな混じり文が完成した。905年に出された最初の勅撰和歌集である古今和歌集が漢字かな混じり文で書かれた最初のものである。ひらがなだけで大和言葉は一意に表現できるがひらがなだけでは分かち書きが必要になり、冗長になるという意味で漢字かな混じりは合理的である。漢字が混じることで文章が簡潔になり、分かち書きも必要でなくなる。また文章の中で重要な部分は漢字を追うことで把握できるという利点がある。最初は万葉仮名で表記されていた万葉集は現在では漢字かな混じり文で表記されていて、我々は何の不足もなく万葉秀歌を鑑賞できる。
 
大和言葉は漢字かな混じり文で完璧に表現できるようになったがその背景には訓読みの採用が大きい。訓読みとは漢字のすべてに日本風の名前をつけることである。訓読みのおかげで日本人は大和言葉を全く変えることなく漢字を導入することに成功した。
 
菅原道真が9世紀末に遣唐使を廃止したことも相まって10世紀初頭以降、国風文化が花盛りになる。これは漢字かな混じり文によって完璧に大和言葉が表現できるようになったことが大きい。
 
とはいえ漢文の本も書かれ続けたが読者に真意を伝えるために意識的に日本語つまり漢字かな混じり文を選んだ作者も少なくない。僧慈円は歴史書愚管抄を漢字かな混じり文で書いたがその理由として漢字かな混じり文で書いた方が読者は打てば響くように理解することができるということと慈円自身が意のままに書くことが出来ることを挙げている。また曹洞宗の道元は正法眼蔵を漢字かな混じり文で書いたがその理由として漢文で書けば教育のある人でも十分内容を把握できないが漢字かな混じり文で書けば誰でも内容を理解できるとしている。
 
-->
 
=== 明治時代 ===
 
[[ファイル:Meiji Kenpo02.jpg|thumb|right|200px|大日本帝国憲法「上諭」2頁目]]
 
[[ファイル:Hanwa Tennoji station 1938.jpg|thumb|right|200px|[[1938年]]10月頃の[[天王寺駅]]。左横書きが多いが一部に右横書きも残っている。]]
 
<!-- 翻訳調の文体なのでしょうが、主客関係がおかしな文がいくつかみられます。-->
 
明治の大変革はしばらくの間、日本語の表記には影響を与えなかった。しかし教育制度の変化に伴い、大量の新語が現れ、また文字を読み書きできる国民が増加してくると言語そのものに変化が現れた。大量の新語は他の言語から持ち込まれたものもあれば、新しく作られたものもあった。[[言文一致]]運動が完勝を収め、歴史的ないし古典的な文体([[文語体 (日本語)|文語体]])にとってかわって[[口語体]]が広く用いられるようになった。日本語の書きづらさについて議論があり、1800年代の終わりには表記に用いる漢字の数を制限しようという意見が見られるようになった。外国語との接触によって、[[漢字廃止論|漢字を廃止]]してカナまたはローマ字のみを用いるようにしようという主張もあったが、これは支持されなかった。西洋語風の[[句読点]]が用いられるようになったのもこの頃である(Twine, 1991)。
 
 
 
[[1900年]]に、[[文部省]]は日本語表記教育の改善を狙って3つの改革を行った:
 
* ひらがなの字体を標準化し、それ以外を[[変体仮名]]として排除しようとした。
 
* 漢字の字母数制限。初等教育では1200字に絞った。
 
* 実際の発音に合わなくなっていた漢語のかな表現(字音かな遣い)の改革
 
 
 
最初の2つは次第に広く受け入れられたが、最後の項目は保守層を中心に激しい反発を呼び、[[1908年]]に取り下げられることとなった(Seeley, 1991)。
 
 
 
=== 第二次世界大戦前 ===
 
[[1900年]]の改革が部分的に失敗したことと[[ナショナリズム]]の勃興とが合わさり、日本語表記法の改良は進まなかった。漢字の制限については多くの要求があり、いくつかの新聞は自主的に漢字を減らして送り仮名を増やしたが、公的な支持はなく反対も多かった。
 
 
 
=== 第二次世界大戦後 ===
 
[[ファイル:Nihon Kenpo01.jpg|thumb|right|200px|日本国憲法原本「上諭」(1ページ目)]]
 
[[ファイル:Street stall Cheese Yatai in Japan.jpg|thumb|right|200px|[[屋台]]の右側面 ズーチ([[チーズ]])]]
 
終戦直後、大きな改革が行われた。一部には[[連合国軍最高司令官総司令部|GHQ]]の影響もあったが、重要な部分のほとんどは保守主義者が教育制度の管理機構から排除されたことに起因しており、以前は着手されなかった改革を進めることができた{{要出典|date=2012年2月|title=GHQの影響より、保守主義者が排除されたことの影響の方が大きいとする具体的根拠が不明。}}。
 
 
 
大きな点は:
 
* [[現代仮名遣い]]の全面的採用 (1946年)
 
* [[当用漢字]](1850字)の発布 (1946年)
 
* [[教育漢字]]の統一書体発布 (1949年)
 
* [[人名用漢字]]の発布 (1951年)
 
 
 
ある時期、GHQ内の一部の方針として<!--特定の人物により-->ローマ字表記への変更が要請されたことがあるが、他の専門家の反対によって沙汰止みとなった(Unger, 1996)。日本の文化人の中にも、ローマ字表記を主張し試行する者がいたが、全かな表記と同様、漢字を表記しないと意味識別が困難であり、実用化されなかった。[[大韓民国|韓国]]と[[朝鮮民主主義人民共和国|北朝鮮]]で漢字混在表記を廃止してハングル([[チョソングル]])一元表記に実際に変更した結果として漢字文化の伝統が若い世代に伝わらず、問題となっていることと対照的であるとも言える(参考:[[ハングル]]および[[韓国における漢字#六十年文字戦争|六十年文字戦争]])。[[ベトナム]]も独立後に漢字を全廃し、[[アルファベット]]を使った[[クオック・グー]]に変更したため、韓国・北朝鮮と同様に漢字文化の伝統が若い世代に伝わらなくなっている。
 
 
 
加えて、一見、右横書きに見える「一行一字の縦書き」(例えば東京駅の[[駅名票]] 「駅京東」)は殆ど姿を消し、左横書きに事実上一本化された。戦前から左横書きはある程度普及しており、終戦によって一度に置き換わったわけではなく、その速度が加速したとも言える。「'''[[縦書きと横書き]]'''」の項も参照。<!----右書きは本当の横書きというよりも縦書きの特殊な例と考えられ(各行が一字しかない縦書き)、一行書きの標識等に用いられた(例えば東京駅の[[駅名票]] 「駅京東」)。--->
 
しかし現在でも、商用車や船舶のような乗り物の側面で、左側面では左書き、右側面では右横書きが用いられることがある。(トラックの左側面に「ウィキ商会」、右側面に「会商キィウ」と書くなど)。これは「進行方向から後ろ」へと読み方が方向付けられることによる純粋な右横書きと考えてよいものであるが、あくまで特殊な例である。
 
 
 
[[1963年]]に国語審議会で、[[吉田富三]]が「国語は漢字かな交じり文をもって表記の正則とする。国語審議会はこの前提の下に、国語の改善を審議するものとする」という提案を行い、[[1965年]]には認められた。この吉田提案は「現状の姿が最も正しい形であり、漢字が多すぎる等というのは誤りである」と主張している。これが日本で漢字かな交じり文が公的に認められた最初である。それまでの制限的な色合いが大幅に緩和され、[[1981年]]、当用漢字を元にしつつも、緩やかな目安である常用漢字1945字が内閣から告示され、当用漢字は廃止された。
 
 
 
[[2004年]]には、[[法務省]]の手で人名用漢字が大量に追加された。
 
 
 
戦後の日本語表記に関して、ごく簡略に言えば「名詞・用言の語幹を[[漢字]]で、用言の活用語尾・付属語を[[平仮名|ひらがな]]で表記する」という書き分けの原則が存在する''(詳細は上記'''文字種の使い分け'''の項参照)''。[[わかち書き]]を行わない日本語の表記では、この原則が語と語の切れ目を表示する機能を担っている。
 
 
 
公文書などは[[当用漢字]]、[[常用漢字]]のみをもって記述すべきとの方針が示され、新聞などもこれに倣ったため、[[まぜ書き]](例:拿捕→だ捕)や漢語の仮名表記(例:軋轢→あつれき)が頻繁に見られるようになった。[[漢字制限]]の理念に沿うものだが、上記のような事情があるため語と語の切れ目が見えにくくなり、かえって読みづらいとの批判がある。見苦しい、文化破壊である、といった批判も根強い。
 
 
 
これらの流れについては「'''[[国語国字問題]]'''」の項も参照されたい。
 
 
 
== ニュアンスを伝える日本語表記系 ==
 
他の言語では説明を追加したり単語自体を変更したりしなければならない情報でも、日本語の表記システムを用いれば同じ単語の表記を変えるだけで伝えることができる場合がある。例えば英語の「 I 」、ドイツ語の「 ich 」、ロシア語の「 Я 」に相当する「私」は男女兼用でフォーマルな文章にしばしば用いられる。ひらがなで書いた「わたし」は、口語的なニュアンスを帯びており優しい感じがするので、男女ともにインフォーマルな場や、親しみやすさを表現したい場合に使用される。例えば、女性が日記や友人への手紙で用いるなどは、その典型である。
 
 
 
カタカナの「ワタシ」は通常はほとんど用いられず、あえて一人称を強調する時や、外国人が片言で話すニュアンスを出す場合に用いられることがある程度である。転写にすぎないローマ字の「watashi」は、出現することは滅多になく、[[言語学]]や[[暗号]]などなにかの意図を含める場合にしか出現しない。ただし言語学の場合で問題になっているのは単語の意味ではなく単語それ自体である。暗号の場合は表記を隠す意図による。
 
 
 
文体上の狙いで漢字の複合語を恣意的に読ませることもできる。例えば夏目漱石は短編『[[十五夜]]』の中で名詞の「接続」を動詞的に活用した「接続って」を「つながって」と読ませている。これは通常ならば「繋がって」「つながって」と書くものである。なお、このような複数の漢字を、それに意味的対応する日本語のかな読みする例は、「天皇」を「すめらみこと・すめろぎ」、「日本」を「やまと」と読ませるなど、古くから存在している。
 
 
 
== ローマ字転写 ==
 
{{Main|ローマ字}}
 
 
 
日本語をローマ字で転写する方法にはいくつかある。英語利用者向けに開発された[[ヘボン式]]は、実用的な[[デファクトスタンダード|標準]]の表記法として、日本国内の外[[ラテン文字#使用言語|ラテン文字圏]]で用いられている。[[訓令式]]はカナとの対応が良く日本語話者には学びやすい。文部省がこれを公式に支持しているが、日本国外で用いられることは稀である。国際規格として[[ISO 3602]]があり、他にも[[日本式ローマ字|日本式]]、[[JSL]]、[[ワープロ式]]がある。
 
 
 
[[日本語のキリル文字表記|キリル文字]]、[[アラビア文字化#日本語のアラビア文字表記法|アラビア文字]]、[[デーヴァナーガリー]]による転写もある。
 
 
 
== 参考文献 ==
 
*伴直方 『国字考』〈『国語学大系』第八巻〉 厚生閣、1940年
 
*Christopher Seeley 『The Japanese Script since 1900』 Visible Language, XVIII 3, 267-302, 1984
 
*Yaeko Sato Habein 『The History of the Japanese Written Language』 University of Tokyo Press, 1984 ISBN 0-86008-347-0
 
*Nanette Twine 『Language and the Modern State - The Reform of Written Japanese』 Routledge, 1991 ISBN 0-4150-0990-1
 
*Christopher Seeley 『A History of Writing in Japan』 University of Hawai'i Press, 1991 ISBN 0-8248-2217-X
 
*Nanette Gottlieb 『Kanji Politics - Language Policy and Japanese Script』 Kegan Paul, 1996 ISBN 0-7103-0512-5
 
*[[マーシャル・アンガー|J. Marshall Unger]] 『Literacy and Script Reform in Occupation Japan: Reading Between the Lines』 OUP, 1996 ISBN 0-1951-0166-9
 
*[[小松英雄]] 『日本語書記史原論』 笠間書院、1998年
 
*[[山口仲美]] 『日本語の歴史』〈『岩波新書』〉 岩波書店、2006年
 
<!--*村島定行 『漢字かな混じり文の精神』 風詠社、2009年-->
 
 
 
== 関連項目 ==
 
{{関連項目過剰|date=2018年7月|section=1}}
 
*[[日本語]]
 
*[[日本における漢字]]
 
*[[旧字体]] - [[新字体]]
 
*[[国語国字問題]]
 
*[[仮名 (文字)]]
 
*[[平仮名|ひらがな]]、[[片仮名|カタカナ]]、[[アイヌ語仮名]]、[[台湾語仮名]]
 
*[[仮名遣]]
 
**[[現代仮名遣い]]、[[歴史的仮名遣]]
 
*[[ローマ字]]
 
*[[書記言語]]、[[文語体 (日本語)]]
 
*[[文語]]、[[口語]]
 
*[[縦書きと横書き]]
 
*[[ルビ]]
 
*[[漢文訓読]]
 
*[[公用文作成の要領]]
 
*[[沖縄方言の表記体系]]、[[方言字]]
 
*[[ケセン語]]
 
*[[クサチュー語]]
 
 
 
=== 文字の書体 ===
 
*[[楷書体]]
 
*[[行書体]]
 
*[[草書体]]
 
*[[江戸文字]]各種
 
*[[明朝体]]
 
*[[ゴシック体]]
 
*[[ポップ書体]]
 
 
 
=== 仮名の異体 ===
 
*[[ギャル文字]]
 
*[[変体仮名]]
 
*[[万葉仮名]]
 
*[[合略仮名]]
 
 
 
== 外部リンク ==
 
{{Commonscat|Japanese writing|日本語の表記}}
 
* [http://www.pinyin.info/readings/texts/unger2_introduction.html#modern_japanese The Modern Japanese Writing System]: an excerpt from 『Literacy and Script Reform in Occupation Japan』 by J. Marshall Unger.
 
 
 
{{日本関連の項目}}
 
 
 
{{DEFAULTSORT:にほんこのひようきたいけい}}
 
[[Category:音節文字]]
 
[[Category:表語文字]]
 
[[Category:日本語の表記|*]]
 

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