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miniwiki - 利用者の投稿記録 [ja]
2024-05-08T02:49:07Z
利用者の投稿記録
MediaWiki 1.31.0
物品税
2019-03-07T08:58:54Z
<p>59.135.158.95: /* 問題点 */</p>
<hr />
<div>{{課税}}<br />
'''物品税'''(ぶっぴんぜい)は[[租税|間接税]]、[[消費税#個別消費税|個別消費税]]の一種である。近世[[オランダ]]の重税が有名。<br />
<br />
== 概要 ==<br />
間接税についての伝統的な考え方は、[[生活必需品]]に対しては課税を差し控え、贅沢品には担税力が認められるからこれを重く課税するというものである。戦後の混乱期から[[高度経済成長]]を迎える日本においても、前述の考え方は一般的に肯定されていた。具体的には、[[宝石]]、[[毛皮]]、[[電化製品]]、[[乗用車]]あるいはゴルフクラブや[[洋酒]]などといった[[贅沢品]]が物品税の対象とされていた。日本の「物品別間接税」は世界に先駆けて導入され、現在欧米で導入されている「間接税の物品別[[軽減税率]]」は日本のこの間接税システムを真似したものである。<br />
<br />
物品税は低所得者でも購入せざるをえない生活必需品などが非課税になっており、かわりに高所得者が購入する贅沢品には高い税率で課税されるという税制であるため、[[一億総中流]]社会の原動力になったシステムといえる。<br />
<br />
日本では[[1937年]]([[昭和]]12年)に、特別税法に規定された[[北支事件特別税]]([[1938年]](昭和13年)から[[1940年]](昭和15年)まで支那事変特別税)の一つとして創設された物品特別税が前身となり、[[1940年]](昭和15年)に恒久法として物品税法が制定されて物品税となった。[[1989年]]([[平成]]元年)[[4月1日]]の[[消費税法]]施行に伴い、廃止された。<br />
<br />
== 問題点 ==<br />
しかし'''グレーゾーンとなる商品の存在、あるいは新ジャンル商品の登場から「どれが、なぜ、課税か非課税か」が問題となるケース'''があとを絶たなかった。物品税は課税対象の品目を予めリストアップしておく必要があるが、商品の多様化により、生活必需品か贅沢品かの判定自体が困難なものもあり、奢侈度で税率が異なっていたため、物品税そのものが執行困難性を内包する税制であった。<br />
<br />
例えば、物品税法上、[[レコード]]は一般的に課税であったが、[[教育]]に配慮して[[童謡]]と判定されれば非課税であった。このため[[皆川おさむ]]の「[[黒ネコのタンゴ]]」、[[子門真人]]の「[[およげ!たいやきくん]]」、[[わらべ]]の「[[めだかの兄妹]]」などのレコードについて、課税対象か否かの議論が行われた。「黒ネコのタンゴ」は[[東京国税局]]は童謡と判定したものの、他の国税局管内では歌謡曲とみなされ課税されるという不統一が起こった<ref group="注釈">レコードはプレス場所で納税する規定があった。</ref><ref name="AS19760212">「アツーい税金攻勢 『たいやきくん』まないたの上」『[[朝日新聞]]』1976年2月12日付朝刊、22頁。</ref>。「およげ!たいやきくん」は童謡と判定され、非課税となった<ref>[[長田暁二]]『昭和の童謡アラカルト―戦後編』ぎょうせい、1985年、246-247頁。ISBN 4-324-00124-3</ref>。「めだかの兄妹」はB面曲の「春風の郵便屋さん」が歌謡曲(流行歌)と判定され、B面曲の方が演奏時間が長いため課税対象と判断された<ref name=mainichi_830524>「ヒットしたら なんになる 流行歌か童謡か 『物品税払え』国税庁は流行歌扱い レコード会社は拒否」『[[毎日新聞]]』1983年5月24日付東京朝刊、21頁。</ref>。本作を発売した[[フォーライフ・レコード]]はこれを不服として東京国税局と交渉したが、結局フォーライフ側が折れる形で物品税を追納することとなった<ref name=mainichi_830610>「『めだか』やはり流行歌 レーコド会社([[ママ (引用)|ママ]])3000万円納税」『毎日新聞』1983年6月10日付東京夕刊、15頁。</ref>。<br />
<br />
『たいやきくん』問題を受けて<ref name="AS19760212" />、[[日本レコード協会]]は[[1977年]](昭和52年)、[[国税庁]]から了解を得て「歌詞・メロディが子供にふさわしく、子供が容易に口ずさめる曲」やジャケットに「子供向け」「児童向け」の表示があるレコードを童謡扱いとする、音楽業界の自主基準を定めた<ref name="NK19860613">「東京国税局、アニメソングにも物品税──レコード大手に追徴4000万」『[[日本経済新聞]]』1986年6月13日付朝刊、30頁。</ref>。<br />
<br />
この自主基準を基に、[[アニメソング]]についても『童謡扱い』とするレコード会社もあった。しかし[[1986年]](昭和61年)、ポニーとキャニオン・レコード(後に両社は合併し、[[ポニーキャニオン]])が童謡扱いとしていたアニメソングのレコードの一部{{Refnest|group="注釈"|[[陣内孝則]]の「ハートブレイクCrossin'」(『[[ふたり鷹]]』主題歌)、[[岩崎良美 (歌手)|岩崎良美]]の「タッチ」(『[[タッチ (漫画)|タッチ]]』主題歌)、[[小島恵理]]の『ON THE WING』(『[[レンズマン]]』主題歌)、[[クリスタルキング]]の「[[愛をとりもどせ!!]]」(『[[北斗の拳 (テレビアニメ)|北斗の拳]]』主題歌。B面曲の「ユリア…永遠に」は童謡と判定されたが、A面曲の方が演奏時間が長く、課税対象とされた)など<ref name="NK19860613" />。}}について、東京国税局は「童謡に該当せず、課税対象」と判断したため、物品税約4,000万円を追徴課税された<ref name="NK19860613" />。<br />
<br />
他にも、類似製品であるが課税・非課税が異なる問題<ref group="注釈">[[コーヒー]]は課税で、[[緑茶]]や[[紅茶]]は非課税、特級酒と一級酒は課税で二級酒以下は非課税、ゴルフ用品が課税でスキー用品が非課税、[[ストーブ]]は課税で[[コタツ]]は非課税、乗用車は課税で商用車は非課税、[[ケヤキ]]の家具は課税で[[桐]]の家具は非課税など。</ref>や、同じ商品でも時代の需要の違いで課税対象となるかどうかが変化する問題<ref group="注釈">例としては、[[軽ボンネットバン]]が当初は商用に使われて非課税だったが、時代が下ると乗用車として幅広く普及したことを受けて課税対象とされたことがあげられる。</ref>もあった。さらに、複数製品で一体をなす製品では、その製品ごとに課税の有無や税率が異なる場合、それらを別売りとするケースも見られた<ref group="注釈">一例としては [[CD-ROM2|CD-ROM<sup>2</sup>]]システム([[日本電気ホームエレクトロニクス]])があり、物品税時代は非課税となるインターフェースユニットが課税となるユニット本体と別売りされていた。</ref>。<br />
<br />
また、対象となる物品の範囲、指定のタイミングや税率を巡って、企業側や消費者から不公平感が指摘されることもあった。例えば、真に新しいカテゴリの商品のうちは対象にならず、法令の改正などを経るために、ある程度普及してから課税対象になるため、可処分所得が相対的に少ない世帯は、新商品の入手を一層困難にする結果となる「不公平な問題点」も指摘された。法律自体は変わっていないのに、[[大蔵省]]の役人通達によって租税対象を変更した[[通達行政#.E3.83.91.E3.83.81.E3.83.B3.E3.82.B3.E7.90.83.E9.81.8A.E5.99.A8.E8.AA.B2.E7.A8.8E.E4.BA.8B.E4.BB.B6|パチンコ球遊器課税事件]]も発生した。<br />
<br />
また基本的には蔵出し課税であり、一部を除いてサービスなどには課税されない。<br />
<br />
このような背景もあり、[[消費税|一般消費税]]導入時に物品税は廃止された。<br />
<br />
== 日本における消費税制度導入前当時の物品税の課税比率 ==<br />
※[[1988年]](昭和63年)当時<br />
=== 乗用車 ===<br />
* 普通乗用車(3ナンバー車) - 23%<br />
* 小型乗用車(5ナンバー車) - 18.5%<br />
* [[軽自動車|軽乗用車]] - 15.5%<br />
<br />
=== 商用車 ===<br />
* [[貨物自動車|トラック]]、[[バス (車両)|バス]]など - 原則として非課税(軽ボンネットバンを除く)<br />
* [[軽ボンネットバン]] - 非課税だったが、[[1980年代]]以降より乗用車として幅広く普及したため5.5%に課税<br />
<br />
== 脚注 ==<br />
=== 出典 ===<br />
{{Reflist}}<br />
<br />
=== 注釈 ===<br />
{{Reflist|group="注釈"}}<br />
<br />
== 関連項目 ==<br />
* [[消費税]]<br />
* [[富の再分配]]<br />
* [[一億総中流]]<br />
* [[通行税]]<br />
<br />
== 外部リンク ==<br />
* {{PDFlink|[http://www.isfj.net/ronbun_backup/2004/ronbun/zaiseiA_yagi.pdf 消費税の逆進性と物品税]|541KB}} - ISFJ日本政策学生会議<br />
* [http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/houritsu/04019620331048.htm 衆議院トップページ > 立法情報 > 制定法律情報 > 第040回国会 制定法律の一覧 > 法律第四十八号(昭三七・三・三一)] - [[衆議院]]<br />
* {{PDFlink|[http://www.mof.go.jp/pri/publication/zaikin_geppo/hyou/g384/384_f.pdf 昭和59年度税制改正の要綱]|141KB}} - [[財務省 (日本)|財務省]](旧大蔵省) [[1984年]][[1月27日]]閣議決定内容 「4.物品税」の章に、当時の一部の物品税率が記載されている<br />
<br />
{{DEFAULTSORT:ふひんせい}}<br />
[[Category:消費税]] <br />
[[Category:廃止された日本の税]]</div>
59.135.158.95
デュアルクラッチトランスミッション
2018-09-04T10:30:44Z
<p>59.135.158.95: /* DCT搭載車種 */</p>
<hr />
<div>[[ファイル:VW DSG transmission DTMB.jpg|thumb|300px|6速DCTの[[カットモデル]]([[フォルクスワーゲン]]のDCT)]]<br />
'''デュアルクラッチトランスミッション'''(''Dual Clutch Transmission'')とは、[[自動車]]など[[車両]]用の有段[[自動変速機]]の一種で、[[ギア]]が2系統ありそれぞれに[[クラッチ]]があることからこの名前がある。<br />
<br />
略して'''DCT'''と表記される。日本では、'''デュアルクラッチ'''のほか'''ツインクラッチ'''とも称される。また'''ダブルクラッチ'''と呼ばれることもあるが、運転技法の「[[クラッチペダル#ダブルクラッチ|ダブルクラッチ]]」<ref group="注釈">中吹かしの際のクラッチペダルの操作方法。</ref>とは異なるので注意が必要である。<br />
<br />
== 概要 ==<br />
手動変速機([[マニュアルトランスミッション]]、MT)と同じ[[オートマチックトランスミッション#平行軸歯車式|平行軸歯車]]とクラッチを2系統持つ。片方が奇数段を、もう片方が偶数段を担当し、それらを交互に繋ぎ変えながら変速する。変速時には次のギアが待機状態<ref group="注釈">例えば2速走行時に1速または3速のギアの噛み合いが完了し待機している。</ref>にある。クラッチ操作および変速操作はコンピュータ[[制御]]により[[自動]]的に行われるため、操作は通常のATと同じである。<br />
<br />
[[2003年]]に市販車にトルコンレスで初採用されて以降、小排気量過給エンジンによる[[ダウンサイジングコンセプト]]との相性の良さから[[欧州車]]に採用が拡大している。おおむねMTの感覚を好む欧州で評価が高い反面、トルクコンバータ+ステップATのスムーズな発進と変速を好む米国と日本で評価が低い。2014年、[[トルクコンバータ]]との組み合わせも発売された。<br />
<br />
== 歴史 ==<br />
レース用として使用したのはポルシェが最初である<ref name="racingon466-42">『Racing On』466号 pp.42-53「テクノロジー詳説&バリエーション」。</ref>。{{main|ポルシェ・ドッペルクップルング}}<br />
<br />
実際にスムーズな発進や変速を実現するためには駆動系の高度な電子制御化も必要で、その後[[ボルグワーナー]]が開発を続け、市販化されたのは2003年アウディとフォルクスワーゲンによる'''DSG'''(''Direct-Shift Gearbox'' )として4代目[[フォルクスワーゲン・ゴルフ|ゴルフ]]R32に搭載されたのが最初になった。ポルシェの市販車に採用された最初は2008年の[[ポルシェ・997|ポルシェ・911]]である。それ以降はほかのメーカーからもDCTが採用車が発売、DCT自体も他社によっても開発され採用する車種は増大傾向にある。<br />
<br />
2014年、トルクコンバーターを採用した[[アキュラ・TLX]]が発売された。<br />
<br />
== メカニズム ==<br />
[[ファイル:Doppelkupplungsgetriebe-A.svg|thumb|right|デュアルクラッチ機構の概念図。左側が入力([[エンジン]]側)、右側が出力([[ホイール]]側)。Kurbelwelleは[[クランク]]軸(エンジン)、DoppelKupplungと示しされている部位が2重になっているクラッチ、Hohlwelleは中空の軸、Getriebeが変速器部、Getriebe-ausgang が出力。数字は変速器の段数を、斜線はその段のギアが噛みあう部分を表している。]]<br />
奇数段・偶数段は、例えば6速の場合は「1-3-5-R」段と、「2-4-6」段を分担する。二組の入力側ドライブギア(駆動側歯車)とクラッチは同軸上に配置され、片方のみが動力を伝える。停止状態から走り出す場合、あらかじめ1速がコンピュータによって選択され、シンクロ動作を終え、奇数段軸に嵌合して待機している。発進のため[[アクセル]]を開けると、奇数段軸側のクラッチを[[半クラッチ]]状態またはトルコンを経て締結し、車軸に動力を伝え前進する。その間、もう一方の偶数段の2速ギアセットはシンクロ動作を終え、軸に嵌め合わされる。偶数段軸はエンジンと接続されていないので出力軸側から駆動され、カウンター[[シャフト]]と入力軸までが空回りをしながら待機している。車が2速で走行する領域に入った時、奇数段軸のクラッチを開放し偶数段軸のクラッチを接合することで短い時間で変速する。また2速への変速が完了すると同時に、奇数段ギアセットは次の変速に備えて3速の[[シンクロナイザ]]の嵌合を終えて待機状態に入る。以後の変速も同様に行われる。つまり、2つの変速系統を専用クラッチで交互に切り替えて変速する。<br />
<br />
運転状況によりギアを飛ばしてシフトアップやシフトダウンする機種もあるが、奇数段と偶数段を交互に使う関係上、ほとんどの機種では一段ずつ上下する。DCTは一段あたりの変速時間自体が短いため、複数段の変速であっても敏速である<ref>「[http://autoc-one.jp/volkswagen/golf/report-45820/0003.html フォルクスワーゲン ゴルフ TSI トレンドライン 試乗レポート] 」 クルマ選びの総合支援ポータル オートックワン 2008年7月17日</ref>{{出典無効|date=2015-04-19|title=出典には7速から一気に4速と書いてある}}。また急減速時や飛び越しシフトダウン時はクラッチの[[回転数]]とエンジンの回転数を合わせる[[スロットル]]動作(ブリッピング)が自動的に行われる。<br />
<br />
2系統の独立したクラッチディスクの配置方法は大別すると以下の二種類となる。まず同心円状に内側と外側に配置する構造が[[特許]]になっている。特許を持つメーカーが組み立てメーカーにクラッチ機構を納入してDCTを生産する。外側のクラッチの回転[[モーメント]]だけが大きいので制御が難しい。もうひとつは筒状の部品で一つ目のクラッチを外側から回避し、二つ目のクラッチ入力面を回転させ、同じ[[直径]]のクラッチを同軸線上に二組、並列に配置する方法(入力面だけなら直列に配置されるが、締結機能は並列)となる。同じ形状のクラッチを二組使えるので動作が安定する。ただし軸線方向の変速機外寸が長くなる。例外的に、入力直後に[[平行]]する2つのカウンターシャフトに振り分け、それぞれのカウンターシャフトの入力端にクラッチを設け、カウンターシャフトと出力軸の間で変速機を構成し、クラッチが同軸上に並ばない配置も考案されている。しかし外寸が大きくなるため自動車に使われない。<br />
<br />
歯車は従来のMTと同じ構成の[[シンクロメッシュ]]機構を持つ常時噛合式で、シフトフォークを油圧[[アクチュエータ]]または[[電動機]]で作動させて変速する。DCTの変速機構は二倍に複雑なためシンクロメッシュ機構を入力軸とカウンターシャフトの双方に持つものが多い。<br />
<br />
クラッチディスクは滑りを制御するために多板式となり、湿式多板と乾式多板がある。湿式多板クラッチは基本的に無交換で長寿命とされていたが、[[渋滞]]など走行条件によっては短時間で[[摩耗]]する場合がみられる。多くは摩耗による[[ストローク]]や[[クリアランス]]の増加は自動調整されるか、あるいは制御装置が再学習機能を持つ([[日産・GT-R]]は定期調整が指定されている)。湿式多板クラッチは大[[トルク]]に対応しながら滑りを制御しやすいため、大きな車種に用いられる。乾式多板クラッチは対応トルクと滑り時間が制限されるが、構造がシンプルで部品数や油量が湿式に比べ少ないため運用コストに優れる。また乾式の伝達効率は湿式に比べ高いため、省燃費性が求められる小型車種に向いている。クラッチ操作は基本的に[[油圧]]を用いる。初期の油圧ポンプは機械式だったが、後に電動式油圧ポンプも使用されるようになった。その他クラッチ操作を[[電動機]]で行い油圧フリーとした([[二輪車]]用)電動化DCTも開発されている。<br />
<br />
二つのクラッチを切り替える時間は0.05秒以下と短く、エンジン回転数を合わせるために最短でも0.2秒ほどクラッチを滑らせている。シフトアップ時はエンジンの惰性をパーシャルに駆動軸に伝えながら回転を落とし、完全に締結した後に[[燃料]]噴射を再開する。クラッチの負担は多いがエンジン惰性を有効利用して変速中の大部分も緩加速している。しかし急減速時のシフトダウンはギアの噛み合いは終わっているのにクラッチ部の回転合わせのためブリッピングが必要になり、時間短縮や燃費に効果はない。<br />
<br />
== 利点と課題 ==<br />
{{出典の明記|date=2015年4月|section=1}}<br />
MT的な有段変速機の感覚をダイレクトでリニアであることを好む人(多少の変速ショックと連続可変しない感覚を好む人)に評価が高いが、従来のMTやAMTに比べれば変速ショックは少なく、それらの正常進化と考えられる。<br />
<br />
加速時のシフトアップの効率が良く、変速中も加速が完全には途切れない{{要出典|date=2015年3月|title=0.05秒以下途切れるのでは?}}。加速性能が良く、自動変速でMTより燃費が良い。一例として、2012年9月に発表された[[アウディ・A3|アウディ・S3]](6速DCTと6速MTの2つがラインナップに用意されている)のデータでは、停止から速度100km/hまでの加速時間がMT車の5.4秒に対して、DCT車では5.1秒となっている。また、100km走行あたりの燃費は、MT車の7.0L(14.2km/L)に対して、DCT車では6.9L(14.4km/L)であり、さらに[[二酸化炭素]]排出量はMT車の162g/kmに対して、DCT車では159g/kmとなっており、運動性能、燃費性能、環境性能の全ての面でMTよりも優位となっている。<br />
<br />
減速時のシフトダウンに利点はない。トルコンレスでは、ゆっくりの減速時に早く切り替えてもエンジンブレーキがギクシャクと利くだけなので、滑りクラッチをシフトアップ時よりも長く使い、ゆっくりとシフトダウンしている<ref>[http://news.mynavi.jp/articles/2008/09/03/sst/001.html ツインクラッチは走りを革新する - 三菱自動車「Twin Clutch SST」(前編)(2) サーキットでのスポーツ走行が可能な耐久性] マイナビニュース</ref>。さらに急減速時の早いシフトダウンでは回転合わせのため下段のシンクロが嵌合しているにもかかわらずクラッチを開放したままブリッピングするので、デュアルクラッチは無駄になる。またブリッピングが無駄な空ぶかしになる欠点も有段変速に共通である。無段変速機のように常時、車速とエンジン回転数を調整しておくことはできない。<br />
<br />
減速時にも断続的にシフトダウンが必要なので[[オルタネーター]]で[[回生ブレーキ|回生]]する第三の[[エコカー]]では回生が中断して摩擦式[[無段変速機|CVT]]より不利である。出力軸側にある電動機で駆動と回生を行う[[ハイブリッド]]の場合、[[エンジンブレーキ]]の引きずりがあるので不利、あるいはクラッチを離して回生を優先すると再加速時に大きな飛越しシフトダウンのためブリッピングが必要、またはエンジン再始動を含む[[タイムラグ]]が大きい。<br />
<br />
MTと似た構造を持つため、伝達効率はMTに近いが、アクチュエーターの作動用油圧ポンプによる駆動ロスなどでMTより3%ほど劣る。 MTよりも燃費が良いのは自動変速の[[最適化]]の分である。一方で摩擦式CVTの伝達効率はDCTより低いがエンジンを含めた連続可変制御の最適化で総合効率はDCTより高い(ただし街中の低速運転に限る。高速直進運転ではDCTが勝る)。また従来のステップATは中間的な伝達効率だが、二組の[[遊星歯車機構]]の組み合わせを変えるだけで多段化が容易で、かつロックアップ領域を増やす改良が進んでいる<ref>[http://blog.livedoor.jp/yamamotosinya/archives/52332876.html ステップAT、CVT、MT、DCTの重量比較メモ] - クルマのミライ〜山本晋也のブログ〜(2013年05月05日版)。一方、VWでは2010年Q3からティグアンに搭載された7速DSGで、許容トルク量を増加させながら、リバースギアシャフトの省略など全体の見直しで、従来の6速型に比べ大幅な軽量化を果たし、競争力を確保している[http://autoprove.net/2010/09/2329.html VWティグアンがマイナーチェンジ 7速DSGを搭載] - Auto Prove(2010年09月11日版)。</ref>。<br />
<br />
このように他方式の改良も進んだ結果、急加速を多用するスポーツ走行にはDCTの特性が適し、効率も高いが、スロットル開度が小さい運転(エコラン)では摩擦式CVTや遊星歯車式ATの効率を上回ることはない。特に摩擦式CVTの伝達効率は急速に改善され、[[2012年]](平成24年)時点で伝達効率は遊星歯車式ATに追いついた<ref>{{Cite web |url=http://www.nedo.go.jp/hyoukabu/articles/201213jatco/index.html |title=自動車の省燃費化を実現する新型無段変速機を開発 |accessdate=2015年4月19日 |author=ジヤトコ |authorlink=ジヤトコ |date=2013年3月 |format= |work=プロジェクト実用化ドキュメント |publisher=[[NEDO]] |page= |quote= |doi= |ref=}}</ref>。さらに、摩擦式CVTは、ステップATのロックアップ領域を含む他の機械式変速機と異なり、エンジン回転数と車速(車輪の回転数)との関係が[[線型性|線形]]ではないため、速度が上がっても負荷が低ければエンジンの回転数(燃料の消費量)を低く抑えることができる。このため、最高速度約81.6km/h、平均速度約24.4km/h、勾配や旋回などの要素も一切含まれていないなど、試験の負荷が欧州や北米に比べると低い日本の[[JC08モード]]燃費値では優位に立っている。<br />
<br />
DCTは変速中だけ滑りを生じる摩擦伝達を用いる。摩擦式[[無段変速機|CVT]]は常に少量の滑りを生じる摩擦伝達で無段変速する。この特徴の違いから、DCTは摩擦式CVTより大型化できる。実際、DCTは大型トラックや大型バスに応用済みである一方、摩擦式CVTは乗用車でさえ大型化には限界がある<ref>摩擦式CVTは発売当初は小型車両に限られた。その後少しずつ中型車にも使われるようになったが、それでも車重2トン程度、排気量3リットル程度が限界である。この限界は摩擦式CVTのベルト・チェーンが摩擦不足で大きくスリップし発熱することによる。</ref>。ただし、それ以外の[[無段変速機|CVT]]である電力(機械併用)式CVT・油圧(機械併用)式CVTではこうした許容制限はなく、大型(土木・農作業)車両や・鉄道車両・船舶等(鉄道車両・船舶での油圧式CVT使用実績は主推進系以外で)にも使われている。また、遊星歯車式ATも同様に大型化に適している。<br />
=== 利点 ===<br />
* MTに準じた高い伝達効率を実現している<ref name="racingon466-42" />。<br />
* 変速指令でクラッチだけを繋ぎ変えるので変速が早い<ref name="racingon466-42" />。操作に対するタイムラグが短く、駆動力の途切れる時間を最小限にでき駆動効率が高い<ref name="racingon466-42" />ため、燃費が良く加速が速い<ref name="racingon466-42" />。<br />
* MT(6×2速等の副変速機付多段MTを除く)を超えた多段化が可能<ref name="racingon466-42" />。変速差が小さいためショックが小さく<ref name="racingon466-42" />、低燃費を実現できる<ref name="racingon466-42" />。<br />
* [[道路交通法]]上では[[オートマチックトランスミッション|AT車]]扱いとなる為、[[オートマチック限定免許|AT限定免許]]で運転が可能である<ref group="注釈">AT限定大型二輪免許には650ccまでの排気量制限があるため、2015年までに販売されているDCT搭載の二輪車は運転することができない。</ref>。<br />
* [[ダウンサイジングコンセプト]]は小径ターボの採用によって[[ターボラグ]]を抑制しているが、エンジン単体ではターボラグの存在が避けられない。DCTは短い変速時間によって、巡航から加速に移る際の[[ターボラグ]]を隠蔽できる{{要出典|date=2015年4月}}。[[ダウンサイジングコンセプト]]は、巡航時は過給圧を抑えて排気量なりの低燃費を達成する一方、加速時は過給圧を上げて排気量を超えた大トルクを引き出すことで高いドライバビリティの獲得を狙うものである。変速時間の短いDCTはシフトダウンを伴う急加速時において、エンジン回転数を素早く上げることで排出ガス流量を速やかに増加させ、短時間に過給圧を上げることができる。<br />
* ハイブリッドではないエンジンを回し続ける通常の車種において、[[ターボ]]などの[[過給機]]付きエンジンの場合、変速が短時間で終了するために過給圧の低下が少なく[[ターボラグ]]が減少する{{要出典|date=2015年4月|title=遊星歯車式では変速で過給圧が低下する?}}(「[[ダウンサイジングコンセプト|エンジンのダウンサイジング]]」の潮流にマッチしている)<br />
* 減速中のエンジンブレーキの効きが一定で、アクセルペダルによる車速管理が容易である{{要出典|date=2015年4月|title=エンジンブレーキ時は変速しないという意味?欠点では?それと「アクセルペダルによる車速管理が容易」の関係は?}}。<br />
* シフトアップ時は滑りクラッチの働きを含めて効率的、変速中も緩加速は続き、シフトショックも少ない。<br />
* 構成要素の多くがMTの既存部品と同じで、信頼性が期待でき、生産ラインを流用できる。<br />
* 高出力の大型車にも使える。<br />
* クラッチ操作が自動制御されるので、クラッチの長寿命が期待できる。<br />
<br />
=== 欠点 ===<br />
* MTと比べてクラッチ、[[フライホイール]]、ねじり[[ダンパ]]、変速機構が重複し、大きく重くなる。<br />
* MTと比べて滑りクラッチとシフトフォークの操作に油圧ポンプのエネルギーロスを伴う。<br />
* トルコンレスでは、エンジン回転数と合わせるためクラッチを滑らせる時間が長く摩擦損失を生む。<br />
* トルコンレスでは、ATを期待するユーザーによっては僅かな変速ショックが問題とされる(MT愛好者のようにダイレクトで良いと評価されない)。<br />
* トルコンレスでは、発進がスムーズではなく、クラッチフェース摩耗や発熱からストロークが変わりショックやジャダー、作動音が出る場合がある。VW製DCTでは不具合により国際的に頻回のリコールが発生している。<br />
* シフトダウンにDCTは無意味、無駄になる{{要出典|date=2015年4月|title=だとすると2速に対しては必ず3速が待機し1速が待機する事はない。}}。<br />
* 摩擦式CVTの総合効率に達していない(遊星歯車式に対しても、効率上の優位性は観測されない)。<br />
* 急減速時のシフトダウンに空ぶかしが必要となる。<br />
* 減速時にも断続的にシフトダウンが必要なため[[オルタネーター]]で回生するエコカーではCVTより回生が中断して不利。<br />
* 出力軸側のハイブリッド用[[電動機]]で回生を優先すると大きな飛越しシフトダウンのためブリッピングが必要、または再加速時にタイムラグが大きい。<br />
* クラッチの構造が特許で押さえられているために基幹部品は一社独占であり、製造コストが割高になる。<br />
<br />
== 各社のDCT ==<br />
* [[ツインクラッチSST]]([[三菱自動車工業]])<br />
* [[デュオニック]]([[三菱ふそうトラック・バス]])<br />
* [[Honda SPORT HYBRID Intelligent Dual Clutch Drive|SPORT HYBRID i-DCD]]([[本田技研工業]])<br />
<br />
== DCT搭載車種 ==<br />
2013年現在、デュアルクラッチトランスミッションはスポーツカーの代名詞的存在になっており<ref name="racingon466-42" />、ポルシェ<ref name="racingon466-42" />製品の大多数がPDKを搭載する他、[[フェラーリ]]<ref name="racingon466-42" />、[[ランボルギーニ]]<ref name="racingon466-42" />といったスポーツカーブランドだけでなく[[アウディ]]<ref name="racingon466-42" />、[[BMW]]<ref name="racingon466-42" />、[[メルセデス・ベンツ]]<ref name="racingon466-42" />、[[ボルボ]]<ref name="racingon466-42" />、[[アルファロメオ]]<ref name="racingon466-42" />、[[フォード・モーター|フォード]]<ref name="racingon466-42" />、[[現代自動車]]、[[ルノー]]<ref name="racingon466-42" />など多数のメーカーが一般の市販車に採用している。しかし日本車(四輪乗用車)においては普及率は低く、[[本田技研工業|ホンダ]]を除くと[[日産・GT-R|日産GT-R]]と[[三菱・ランサー|7代目ランサー]]ターボ([[三菱・ランサーエボリューション|ランエボX]]及び[[三菱・ギャランフォルティス|ギャランフォルティス・ラリーアート]])しかない。<br />
<div class="NavFrame" style="clear:both; border:0"><br />
<div class="NavHead">乗用車</div><br />
<div class="NavContent" style="text-align:left"><br />
; ドイツ<br />
* [[フォルクスワーゲン]] - 「'''DSG'''('''D'''irect-'''S'''hift '''G'''earbox、'''D'''irekt-'''S'''halt '''G'''etriebe)」の名称で6速と7速のDCTを展開。<br />
** [[フォルクスワーゲン・ゴルフ|ゴルフ]] - 4代目モデルの「R32」で6速DCTが世界初のDCT搭載市販車として先行採用され5代目モデルの「GTX」「GTI」「GT TSI」で本格採用されたのを皮切りに各グレードへ普及。<br />
** [[フォルクスワーゲン・ゴルフトゥーラン|ゴルフトゥーラン]] - 当初のトルコン式ATからマイナーチェンジで6速DCTに変更された。[[2009年]]9月のマイナーチェンジで7速DCTとなった。<br />
** [[フォルクスワーゲン・ゴルフ|ゴルフ ヴァリアント]]<br />
** [[フォルクスワーゲン・ゴルフ|ゴルフ カブリオレ]]<br />
** [[フォルクスワーゲン・ポロ|ポロ]]<br />
*** 2009年フルモデルチェンジより、「コンフォートライン」グレードに乾式クラッチの7速DCTを搭載し日本で発売。<br />
*** [[2010年]]6月には1.2L車が登場。乾式クラッチの7速DCTを搭載。<br />
*** 2010年9月には1.4L GTIグレードが登場。乾式クラッチの7速DCTを搭載(GTIには、ドイツ本国などでも、MT仕様は用意されない)。<br />
** [[フォルクスワーゲン・ニュービートル|ニュービートル]]<br />
** [[フォルクスワーゲン・ザ・ビートル|ザ・ビートル]]<br />
** [[フォルクスワーゲン・シロッコ|シロッコ]] - 3代目モデルの「2.0TSI」(6速)と「TSI」(7速)で採用、以降Rなどに採用。<br />
** [[フォルクスワーゲン・ジェッタ|ジェッタ]] - ゴルフ同様、5代目モデルの「2.0T」で初採用。以降各グレードへ普及。<br />
** [[フォルクスワーゲン・パサート|パサート]] - 6代目より採用。以降各グレードへ普及。<br />
** [[フォルクスワーゲン・パサート|パサート ヴァリアント]]<br />
** [[フォルクスワーゲン・パサート|パサート オールトラック]]<br />
** [[フォルクスワーゲン・シャラン|シャラン]] - 6速DCTを搭載。<br />
** [[フォルクスワーゲン・ティグアン|ティグアン]] - 7速DCTを搭載。<br />
** [[フォルクスワーゲン・CC|CC]]<br />
* [[アウディ]] - 「'''Sトロニック'''(''S-tronic'' )」の名称で6速と7速のDCTを展開。フォルクスワーゲングループのため、中身はDSGと基本的に同じ。<br />
** [[アウディ・TT|TT]] - 初代の「3.2 quattro」に6速DSGを初搭載。その後2代目にモデルチェンジすると名称をS-tronicと変えてFFモデルにも採用される。<br />
** [[アウディ・A1|A1]] - 初代より採用。7速DCTを搭載。<br />
** [[アウディ・A3|A3]] - 2代目より採用。こちらも搭載グレードが拡大しつつある。<br />
** [[アウディ・A4|A4]] - 5代目A4、およびその派生車種より採用。縦置きエンジン用に新開発した7速DCT。<br />
** [[アウディ・オールロードクワトロ|A4 オールロードクワトロ]] - ベースとなったA4と同様に7速DCTを採用。<br />
** [[アウディ・A5|A5]]<br />
** [[アウディ・A6|A6]] - 4代目A6より7速DCTを採用。<br />
** [[アウディ・A7|A7]] - 7速DCTを採用。<br />
** [[アウディ・R8 (市販車)|R8]] - 従来はMTとシングルクラッチAMTの「Rトロニック」のラインナップだったが、2012年7月に登場したマイナーチェンジモデルから、DCTであるSトロニックを搭載。V8にオプション、V10に標準装備となった。<br />
** [[アウディ・Q3|Q3]]<br />
** [[アウディ・Q5|Q5]]<br />
* [[BMW]] - 「'''M DCT'''(''M Dual Clutch Transmission'' )」の名称で7速のDCTを展開。<br />
** [[BMW・1シリーズ|1シリーズ]] - [[2008年]]から「135i」で当初から6速MTとトルクコンバータ併用ATから設定されたが、2010年5月頃からは6速MTと7速DCTに変更された。0→100km/hの所要時間がMTに比べ0.2秒短縮されている。<br />
** [[BMW・M3|M3]] - 2008年からM3で6速MTに加え、7速DCTが用意された<ref>[http://www.carview.co.jp/news/0/70482/ BMW M3コンバーチブル、欧州で発売開始](2008年[[4月25日]] [[カービュー]])</ref>。0→100km/hの所要時間がMTに比べ0.2秒短縮されている。<br />
** [[BMW・Z4|Z4]] - 2009年に発売された「sドライブ 35i」と2010年に発売された「sドライブ 35is」に7速DCTを採用。<br />
** [[BMW・3シリーズ|3シリーズ]] - 2009年に発売された「335i」のクーペとカブリオレに7速DCTを採用。<br />
** [[BMW・5シリーズ|M5]] - [[2011年]]に発売された5代目M5に、7速DCTを「M DCT Drivelogic(エム・ディーシーティー・ドライブロジック)」の名称で搭載。[[アイドリングストップ]]機構に対応。またアクセルペダルを一回軽く踏むだけで最低速度での前進が可能となる「ロー・スピード・アシスタント」を搭載し、渋滞時などの低速域での快適性向上を図っている。<br />
* ポルシェ - 「[[ポルシェ・ドッペルクップルング]]」(PDK)の名称で、[[ZFフリードリヒスハーフェン|ZF]]製7速DCTを展開。<br />
: ポルシェ全体では当初、NAモデルのみに採用されていたが、2009年発売のパナメーラよりターボモデルへも採用された。<br />
: [[2012年]]発表の[[ポルシェ・991|ポルシェ・911]]の[[ポルシェ・ドッペルクップルング|PDK]]仕様には、Dレンジ走行中にアクセルから足を離すと自動的に惰性走行状態に入ることで駆動系のロスを減らし燃料消費率を低減する機能が搭載されている。<br />
:* [[ポルシェ・ボクスター|ボクスター]]<br />
:* [[ポルシェ・ケイマン|ケイマン]]<br />
:* [[ポルシェ・911|911]]<br />
:* [[ポルシェ・パナメーラ|パナメーラ]]<br />
* [[メルセデス・ベンツ]] - 「'''AMGスピードシフト'''」の名称で7速のDCTを、「'''7G-DCT'''」の名称で7速のDCTをそれぞれ展開。<br />
** [[メルセデス・ベンツ・SLS AMG|SLS AMG]] - [[ゲトラグ]]製7速DCTを「AMGスピードシフトDCT-7」の名称で採用。<br />
** [[メルセデス・ベンツ・Aクラス|Aクラス]]<br />
** [[メルセデス・ベンツ・CLAクラス|CLAクラス]]<br />
** [[メルセデス・ベンツ・GLAクラス|GLAクラス]]<br />
** [[メルセデス・ベンツ・Bクラス|Bクラス]] - 2011年発売の2代目Bクラスに、7速DCTを「7G-DCT」の名称で採用。<br />
** Mercedes AMG GT<br />
; イタリア<br />
* [[フェラーリ]] - 7速のDCTを展開。[[フィアット]]グループのため、中身は[[マセラティ]]等と基本的に同じ。<br />
** [[フェラーリ・カリフォルニア|カリフォルニア]] - 7速DCTを採用。<br />
** [[フェラーリ・458イタリア|458イタリア]] - [[ゲトラグ]]製7速DCTを採用。DCTの性能の優位性が社内外ともに認知されたことから、同モデルにはMTの設定が初めからない。フェラーリが市販車からMTの設定を外したのは初めてである([[フェラーリ・エンツォフェラーリ|エンツォフェラーリ]]を除く)。<br />
** [[フェラーリ・488GTB|488GTB]]<br />
** [[フェラーリ・FF|FF]] [[GTC4Lusso]] - 7速DCTを採用。通常は後輪駆動だが、必要時には「パワートランスファーユニット」を介し前輪にも駆動力を配分する4輪駆動システムと組み合わされている。<br />
* [[アルファロメオ]] - 「'''アルファTCT'''(アルファ・ツインクラッチ・テクノロジー)」の名称で、ボルグワーナー製6速DCTを展開。<br />
** [[アルファロメオ・ミト|ミト]] - 当初はMTのみの設定であったが、2010年に1.4 MultiAir Turboグレードに6速乾式DCTが採用された。<br />
** [[アルファロメオ・ジュリエッタ|ジュリエッタ]] - 2010年発表の新型ジュリエッタに、6速DCTを採用。<br />
** [[アルファロメオ・4C|4C]] - 6速DCTを搭載。<br />
; フランス<br />
* [[プジョー]] - 「'''DCS'''('''D'''ual '''C'''lutch '''S'''ystem)」の名称で6速のDCTを展開。プジョーと[[シトロエン]]が所属する持株会社「[[PSA・プジョーシトロエン]]」社が三菱自動車工業と商品供給契約を結んでいるため、中身は三菱のツインクラッチSSTと基本的に同じ。<br />
** [[プジョー・4007|4007]] - 2010年モデルから、ディーゼルエンジン搭載の「2.2HDi FAP156」グレードに6速DCTを採用(4007は[[三菱・アウトランダー]]のOEM車)<ref>[http://response.jp/article/2009/09/11/129445.html プジョーのSUV、4007…新トランスミッション採用]([[2009年]][[9月11日]] [[Response.]]掲載記事)</ref>。<br />
* [[ルノー]] - 「'''EDC'''('''E'''fficient '''D'''ual '''C'''lutch)」の名称でゲトラグ製乾式クラッチの6速DCTを展開。中身はルノーサムスン車で採用されるパワーシフト<sup>®</sup>DCTとほぼ同じ。4代目メガーヌから7速湿式クラッチも展開されている。<br />
** [[ルノー・クリオ|クリオ/ルーテシアIV]]([[ルノー・スポール]]を含む)<br />
** [[ルノー・メガーヌ|メガーヌIII/IV]]<br />
** [[ルノー・タリスマン|タリスマン]]<br />
** [[ルノー・キャプチャー|キャプチャー]]<br />
** [[ルノー・カジャー|カジャー]]<br />
** [[ルノー・セニック|セニック IV]]<br />
** [[ルノー・エスパス|エスパス V]]<br />
* [[ブガッティ・オトモビル]] - フォルクスワーゲンと同じ「'''DSG'''」の名称で7速のDCTを展開。<br />
** [[ブガッティ・ヴェイロン|ヴェイロン]] - 世界で初めて7速DCTを搭載した自動車。縦置き[[ミッドシップ]]エンジンとの組み合わせも世界初。1,000馬力を超える出力に余裕をもって対応することから、DCTの登場から早い段階でその耐久性の高さが立証される形となった(2010年には1,200馬力の出力を出すグレードも追加設定された)。<br />
; イギリス<br />
* [[マクラーレン]] - 7速のDCTを展開。<br />
** [[マクラーレン・MP4-12C|MP4-12C]] - グラツィアーノ製7速DCTを採用。<br />
; 他欧州車<br />
* [[ボルボ]] - 「'''パワーシフト'''(''PowerShift'')」の名称でゲトラグ製6速DCTを展開。かつて[[フォード・モーター|フォード]]グループに属していたため、中身はフォードのパワーシフトと基本的に同じ。各モデルの1.6リットル、2.0リットルのエントリーグレードに搭載されている。<br />
** [[ボルボ・C30|C30]]<br />
** [[ボルボ・V40|V40]]<br />
** [[ボルボ・S40|S40]]<br />
** [[ボルボ・V50|V50]]<br />
** [[ボルボ・S60|S60]]<br />
** [[ボルボ・V60|V60]]<br />
** [[ボルボ・XC60|XC60]]<br />
* [[フォード・モーター|フォード]]<br />
** [[フォード・フィエスタ]]<br />
** [[フォード・フォーカス]]<br />
** [[フォード・モンデオ]]<br />
; 日本<br />
* [[三菱自動車工業]] - 「'''[[ツインクラッチSST]]'''(''Twin clutch SST'')」の名称で6速のDCTを展開。SSTとはスポーツシフト・トランスミッション(Sport Shift Transmission)の略。本体は[[ゲトラグ]]より購入、クラッチについてはボルクワーナー製で制御やチューニングは三菱で担当。<br />
** [[三菱・4B1型エンジン|4B11]][[ターボチャージャー|ターボ]]搭載車(ランエボX、ギャランフォルティス・ラリーアート)<br />
*** [[三菱・ランサーエボリューション|ランサーエボリューションX]] - 2007年[[10月1日]]発売のランサーエボリューションXで採用。'''日本車では初'''のDCT搭載車。<br />
*** [[三菱・ギャランフォルティス|ギャランフォルティス]](セダン/スポーツバック)・ラリーアート<br />
* [[日産自動車]] - ボルグワーナー製の6速DCTを展開。<br />
** [[日産・GT-R|GT-R]] - [[2007年]][[12月6日]]発売。6速DCTを採用。2軸デュアルクラッチの部分はボルグワーナー社製の部品を購入加工し、変速ギア部分は[[愛知機械工業]](日産グループ)などの部品で製作されたもの。段間変速時間は[http://www2.nissan.co.jp/GT-R/R35/0710/XML/card/eq4isr000002qmvj.html Rモード]で0.2秒。<br />
* [[本田技研工業]] - [[ハイブリッドカー|ハイブリッド車]]向けに「'''[[Honda SPORT HYBRID Intelligent Dual Clutch Drive|SPORT HYBRID i-DCD]]'''」の名称で7速DCTを展開。ホンダとシェフラージャパンとの共同開発。<br />
** [[ホンダ・フィットハイブリッド|フィットハイブリッド(2代目)]] - 2013年[[9月6日]]発売。<br />
** [[ホンダ・ヴェゼル|ヴェゼル]] - 2013年[[12月19日]]発売。<br />
** [[ホンダ・グレイス|グレイス]] - [[2014年]][[12月1日]]発売。<br />
** [[アキュラ・TLX]] - 2014年、米国で製造発売。トルクコンバーターを世界初採用。<br />
** [[アキュラ・RLX]] - 2014年9月26日、米国で発売。<br />
*** [[ホンダ・レジェンド|レジェンド(5代目)]] - [[2015年]][[2月20日]]発売。<br />
** [[ホンダ・ジェイド (自動車)|ジェイド(日本国内向け)]] - [[2015年]][[2月13日]]発売。<br />
** [[ホンダ・シャトル|シャトルハイブリッド]] - [[2015年]][[5月15日]]発売。<br />
; 韓国<br />
* [[現代自動車]]<br />
** [[ヒュンダイ・ヴェロスター|ヴェロスター]] - 6速DCTを採用。韓国車で初。<br />
** [[ヒュンダイ・ツーソン|ツーソン]] - 7速DCT。1.6Lターボと1.7Lディーゼルに採用。韓国のSUVで初。<br />
** [[ヒュンダイ・ソナタ|ソナタ]] - 7速DCT。1.6Lターボと1.7Lディーゼルに採用。<br />
** [[ヒュンダイ・i40|i40]] - 同上。但し、1.7Lディーゼルのみ。<br />
** [[ヒュンダイ・アクセント|アクセント]] - 同上。但し、1.6Lディーゼルのみ。<br />
** [[ヒュンダイ・エラントラ|エラントラ]] - 同上。1.6Lターボと1.6Lディーゼルに採用。<br />
** [[ヒュンダイ・i30|i30]] - 同上。但し、1.6Lディーゼルのみ。<br />
** [[ヒュンダイ・ミストラ|北京現代・ミストラ]] - 同上。1.6Lターボに採用。<br />
** [[ヒュンダイ・セレスタ|北京現代・セレスタRV]] - 1.4ターボGDIに採用。セレスタセダンには未設定。<br />
** [[ヒュンダイ・アイオニック|アイオニック]] - [[ハイブリッドカー]]とDCTの組み合わせは量産車世界初。<br />
* [[起亜自動車]]<br />
** [[キア・K5|K5]] - 1.7Lディーゼルのみに採用。ソナタ/i40と同システム。<br />
** [[キア・K3|K3]] - 7速DCT。1.6Lディーゼルのみに採用。<br />
** [[キア・ソウル|ソウル]] - 7速DCT。1.6Lディーゼルのみに採用。<br />
** [[キア・ニロ|ニロ]] - 6速DCT。アイオニックと同システム。<br />
** [[キア・スポーテージ|スポーテージ]] - 7速DCT。1.7Lディーゼルのみ。<br />
* [[ルノーサムスン自動車]] - ゲトラグ製の6速DCTを展開(ルノーサムスンではパワーシフト<sup>®</sup>DCTを名乗る。ルノーのEDCと同じ)。<br />
** [[ルノーサムスン・SM5|SM5]] - [[2013年]][[5月]]発売。<br />
*** SM5 D - [[2014年]][[7月]]発売。韓国中型車の[[ディーゼルエンジン]]搭載車両初の組み合わせ。<br />
** [[ルノーサムスン・SM6|SM6]] - [[2016年]][[3月]]発売。<br />
** [[ルノーサムスン・QM3|QM3]] - ディーゼルエンジンとの組み合わせのみ。<br />
</div></div><br />
<div class="NavFrame" style="clear:both; border:0"><br />
<div class="NavHead">トラック・バス</div><br />
<div class="NavContent" style="text-align:left"><br />
世界で最初の開発・発表・搭載は[[三菱ふそうトラック・バス]]である。トラック・バス用DCTは、パフォーマンス面の他にも経済的メリットが大きい(燃費面、乗客・積荷に対するショックの少なさ、クラッチ寿命延命による費用低減)ため、注目されている。<br />
<br />
* 三菱ふそうトラック・バス - 世界初の商用車用DCTとして自社開発の6速DCTを「'''[[デュオニック|DUONIC(デュオニック)]]'''」の名称で展開。2010年7月に発表した。<br />
** [[三菱ふそう・キャンター|キャンター]] - 2010年[[11月11日]]発売の8代目キャンターに搭載<ref>[http://www.mitsubishi-fuso.com/jp/news/news_content/100720/100720.html 2010年7月20日 環境性能・経済性能・走行性能を高いレベルで実現する小型トラック用「新型パワートレーン」を開発 〜新型エンジン「4P10」とBlueTec®システムを採用、商用車世界初デュアルクラッチ式トランスミッション「DUONIC」を新開発〜]([[2010年]][[7月20日]] 三菱ふそうトラック・バス社プレスリリース)</ref>。構造上、ダンプカーや消防車向けの[[パワーテイクオフ]]にも対応することができる。<br />
** [[三菱ふそう・ローザ|ローザ]] - 2011年[[8月31日]]発売の4代目ローザの改良版に搭載。DCTのバスへの搭載はこのローザが世界初である。<br />
</div></div><br />
<div class="NavFrame" style="clear:both; border:0"><br />
<div class="NavHead">二輪車</div><br />
<div class="NavContent" style="text-align:left"><br />
* 本田技研工業<br />
**[[ホンダ・VFR1200F|VFR1200F]] - 世界初のDCT搭載二輪車<ref>[http://www.honda.co.jp/news/2010/2100629-vfr1200f.html 2010年6月29日 大型二輪スポーツツアラー「VFR1200F Dual Clutch Transmission」を新発売](2010年[[6月29日]] 本田技研工業プレスリリース)</ref>。6速。<br />
** [[ホンダ・インテグラ (オートバイ)|インテグラ]]<br />
** [[ホンダ・NC#NC700X|NC700X]]<br />
** [[ホンダ・NC#NC700S|NC700S]]<br />
** [[ホンダ・CTX|CTX700N]]<br />
** [[ホンダ・CTX|CTX700]]<br />
** [[ホンダ・NC#NC750X/S|NC750X]]<br />
** [[ホンダ・NC#NC750X/S|NC750S]]<br />
** [[ホンダ・VFR#VFR1200X (Crosstourer)|VFR1200X]]<br />
** [[ホンダ・NM4|NM4-01]]<br />
** [[ホンダ・NM4|NM4-02]]<br />
** [[ホンダ・アフリカツイン|CRF1000Lアフリカツイン]]<br />
** [[ホンダ・X-ADV|X-ADV]]<br />
**GL1800<br />
</div></div><br />
<br />
== 鉄道車両 ==<br />
[[北海道旅客鉄道|北海道旅客鉄道(JR北海道)]]の[[JR北海道キハ160形気動車|キハ160形気動車]]は[[燃焼室#直接噴射式|直噴式]][[ディーゼルエンジン]]とトルコン式ATの組み合わせで落成したが、その後モーターアシスト方式による[[ハイブリッドカー|ハイブリッド]]システムの試験のため[[コモンレール]]式ディーゼルエンジンと[[日立ニコトランスミッション]]製のデュアルクラッチ式4速自動変速機に換装された。<br />
<br />
[[発電機]]兼用のアシスト[[モーター]]は変速機の外に架装されており、クラッチを介して2速ギアに繋がれ、[[運転]]条件によって断続される<ref>[http://www.hitachi-nico.jp/index.html 株式会社 日立ニコトランスミッション] > [http://www.hitachi-nico.jp/technical/about_technical/hast/index.html HASTドライブの構造と動作モード]</ref>。併せてエンジンと2本のギアシャフトの間にある2つのクラッチと変速機と[[プロペラシャフト]]の間にある逆転機のクラッチも制御され、[[鉄道駅|駅]]間の基本的なパターンはモーターのみで起動してそのまま加速、45km/h以上でエンジンを始動してモーターとの併用で走行、逆転機を[[中立#機械|中立]]にして[[惰行]]中にエンジンで発電、エンジンを停止して[[回生ブレーキ]]による[[エネルギー]]回収となっている。<br />
<br />
== 注釈 ==<br />
{{Reflist|group="注釈"}}<br />
<br />
== 出典 ==<br />
{{脚注ヘルプ}}<br />
{{Reflist}}<br />
<br />
== 参考文献 ==<br />
* 『[[Racing On]]466号 特集 ポルシェ962C』[[三栄書房]] 2013年9月14日発行 ISBN 978-4-7796-1905-2<br />
<br />
== 関連項目 ==<br />
* [[トランスミッション]](変速機)<br />
** [[マニュアルトランスミッション]](MT、手動変速機)<br />
** [[セミオートマチックトランスミッション]]<br />
** [[オートマチックトランスミッション]](AT、自動変速機)<br />
** [[無段変速機]](CVT)<br />
<br />
{{自動車部品}}<br />
<br />
{{デフォルトソート:てゆあるくらつちとらんすみつしよん}}<br />
[[Category:機械要素]]<br />
[[Category:省エネルギー]]<br />
[[Category:自動車環境技術]]<br />
[[Category:自動車トランスミッション技術]]</div>
59.135.158.95
大韓航空機撃墜事件
2018-08-08T17:45:03Z
<p>59.135.158.95: /* アメリカ軍部の指示説 */</p>
<hr />
<div>{{混同|大韓航空機銃撃事件|x1=1978年の|大韓航空機爆破事件|x2=1987年の}}<br />
{{Infobox Airliner incident<br />
|name=大韓航空 007便<br />
|画像=File:1981-09-15 12-00-00 United States Hawaii Aliamanu 2.JPG<br />
|Image caption=1981年に撮影された事故機<br />
|Date=[[1983年]][[9月1日]]<br />
|Type=ソ連領空侵犯による撃墜<br />
|Site= {{Flagicon|JPN}}[[北海道]][[宗谷岬]]の北・[[宗谷海峡]][[樺太]]近海<br />
|Fatalities=269(全員)<br />
|Injuries=0<br />
|Aircraft Type=[[ボーイング]][[ボーイング747|747-230]]<br />
|Operator= {{Flagicon|KOR}}[[大韓航空]](KAL)<br />
|Tail Number=HL7442<br />
|origin = {{Flagicon|USA}}[[ジョン・F・ケネディ空港]]<br />
|stopover = {{Flagicon|USA}}[[アンカレッジ国際空港]]<br />
|destination= {{Flagicon|KOR}}[[金浦国際空港]]<br />
|Passengers=240<br />
|Crew=29<br />
|Survivors=0<br />
}}<br />
'''大韓航空機撃墜事件'''(だいかんこうくうきげきついじけん)は、[[1983年]][[9月1日]]に[[大韓航空]]の[[ボーイング747]]が、[[ソビエト連邦|ソ連]]の[[領空]]を[[領空侵犯|侵犯]](航路逸脱の原因については後述)したために、[[ソ連防空軍]]<ref>本事件についてしばしば「[[ソ連空軍|ソ連'''空軍''']]の戦闘機に撃墜された」と書かれることがあるが、これは誤りで、迎撃したのはソ連'''防空軍'''の[[要撃機|迎撃戦闘機]]である。当時、ソ連では「防空軍」と「空軍」は別の組織とされ、領空侵犯機を迎撃する任務は主に防空軍が担当していたため、本事件も防空軍が担当している。</ref> の戦闘機により撃墜された事件のこと。乗員・乗客合わせて269人全員が死亡した。<br />
<br />
なお、大韓航空はこの5年前にも航法ミスでソ連領空([[コラ半島]]上空)を侵犯し、ソ連軍機に迎撃されている([[大韓航空機銃撃事件]])。<br />
<br />
日本で'''[[大韓航空機事故|大韓航空機事件]]'''と呼ぶ場合この事件の事を指す場合と、[[1987年]][[11月29日]]の[[大韓航空機爆破事件]]のことを指す場合に分かれるが、両事件は全く異なるものであるので注意。<br />
<br />
== 経緯 ==<br />
===007便の概要===<br />
[[File:1981-09-15 12-00-00 United States Hawaii Aliamanu.JPG|thumb|220px|right|奥から、2番目に写る、事故の2年前に撮影されたHL7442機。胴体に「I LOVE NEW YORK」というステッカーが貼られている]]<br />
[[File:Boeing 747-206B PH-BUE KLM - Royal Dutch Airlines, New York - John F. Kennedy International, July 1984. (5529775281).jpg|thumb|220px|right|ジョン・F・ケネディ国際空港(1984年)]]<br />
[[File:Alaska Airlines N481AS at Anchorage, Aug 2016.jpg|thumb|220px|right|アンカレッジ国際空港]]<br />
[[File:RKSS Domestic.jpg|thumb|220px|right|金浦国際空港]]<br />
大韓航空007便は、アメリカ・[[ニューヨーク]]の[[ジョン・F・ケネディ国際空港]]を出発し、[[アラスカ]]の[[テッド・スティーブンス・アンカレッジ国際空港|アンカレッジ国際空港]]を経由、[[大韓民国]]・[[ソウル特別市|ソウル]]の[[金浦国際空港]]に向かう、当時週4便で運航されていた定期便であった。なお、この便は[[1979年]]4月に開設されたもので、事故機には「I LOVE NEW YORK」というステッカーが貼られていた<ref>[http://www.airliners.net/photo/Korean-Air-Lines/Boeing-747-230B/0497730/L/&sid=a9b44de2fc475a4a819b518f1af98633 Airliners net]</ref>。<br />
<br />
当日使用された機体は[[ボーイング747|ボーイング747-230]]([[機体記号]]HL7442)で、[[ファーストクラス]]と[[エコノミークラス]]の2クラスが用意され、乗客240人、乗務員は千炳寅(チョンビョンイン)機長以下29人(うち6人が「[[デッドヘッド]]」= 業務移動のため乗務した非番の乗務員)であった。なお、乗客乗員の国籍は次のとおりである。<br />
<!--<ref name="ICAO93" />--><br />
{|class="sortable wikitable" style="font-size:97%;"<br />
|-<br />
!国籍||人数<br />
|-<br />
|{{AUS}} || style="text-align:center;"|2<br />
|-<br />
|{{CAN}} || style="text-align:center;"|8<br />
|-<br />
|{{DOM}} || style="text-align:center;"|1<br />
|-<br />
|{{HKG1959}}|| style="text-align:center;"|12<br />
|-<br />
|{{IND}} || style="text-align:center;"|1<br />
|-<br />
|{{IRN}} || style="text-align:center;"|1<br />
|-<br />
|{{JPN}} || style="text-align:center;"|28<br />
|-<br />
|style="vertical-align: top;"|{{KOR}}|| {{sort|105|76(乗客)<br />23(乗務員)<br />6 (デッドヘッド乗務員)}}<br />
|-<br />
|{{MAS}} || style="text-align:center;"|1<br />
|-<br />
|{{PHI}} || style="text-align:center;"|16<br />
|-<br />
|{{ROC-TW}} || style="text-align:center;"|23<br />
|-<br />
|{{SWE}} || style="text-align:center;"|1<br />
|-<br />
|{{THA}} || style="text-align:center;"|5<br />
|-<br />
|{{GBR}} || style="text-align:center;"|2<br />
|-<br />
|{{USA}} || style="text-align:center;"|62<br />
|-<br />
|{{VIE}} || style="text-align:center;"|1<br />
|-class="sortbottom"<br />
|'''合計'''|| style="text-align:center;"|'''269'''<br />
|}<br />
発着国の韓国人と[[アメリカ合衆国|アメリカ]]人の乗客が多くを占めたが、ソウルで乗り継ぎ自国へ向かう[[日本]]、[[中華民国]]、[[フィリピン]]、当時は[[イギリス]]の[[植民地]]であった[[香港]]の乗客も多かった(なおフィリピン人のうち、4人は[[日本の外国人|在日在住者]]で、そのうちの1人は、[[横浜市]]の[[セント・ジョセフ・インターナショナル・カレッジ]]に通学する[[小学生]]であった)。<br />
<br />
また、業務渡航客から[[観光]]客まで幅広い層が利用する路線であったことから、[[中東]]から帰国する[[出稼ぎ]]労働者が、その犠牲者の多くを占めた[[1987年]]の[[大韓航空機爆破事件]]と比べると、犠牲者の年齢層も幅広い(日本人の犠牲者で最年少は3歳の男児だった)。<br />
<br />
なお[[日本人]]乗客の多くは、[[日本航空]]や[[パンアメリカン航空]]の[[直行便]]に比べて、[[航空券]]が安価な大韓航空を使い、ソウルを経由して日本へ帰国する[[観光]]客や[[留学]]生であった。<br />
<br />
=== 撃墜までの経過 ===<br />
[[Image:KAL007.svg|thumb|300px|予定航路(破線)と実際の飛行航跡(実線)の地図]]<br />
※時刻は[[日本標準時|東京]]/[[韓国標準時|ソウル時間]]([[UTC+9]])。<br />
<br />
[[1983年]][[8月31日]]<br />
*13:05 - KAL007便がジョン・F・ケネディ国際空港を出発、この際に慣性航法装置(INS) 3基のうちの1基に不具合が報告された。<br />
*20:30 - 燃料補給のためにアンカレッジ国際空港に到着。燃料を補給する間に乗務員を交替し、千炳寅機長と副操縦士、機関士の3人が新たに運航乗務員としてソウルまでの乗務に当たることとなった。また、社員割引でニューヨークから搭乗してきた他の[[航空会社]]の社員が降機した。なお、機内で就寝していた一部の乗客を除き、乗客の多くは[[空港ターミナルビル]]内の待合室へ移動した。<br />
*21:20 - アンカレッジ国際空港を出発予定。しかし、追い風のためソウル([[金浦国際空港]])開港(6:00)前に到着することが分かり、出発を見合わせた。<br />
*21:50 - ニューヨークからの乗客と、アンカレッジからの乗客([[カナダ]]からの乗り継ぎ客を含む)を乗せて、予定より30分遅らせてアンカレッジ国際空港を出発した。追って[[ロサンゼルス]]発ソウル行きのKAL015便([[ボーイング747|ボーイング747-200]])も出発した。<br />
*22:00 - KAL007便が離陸。<br />
*22:02 - [[ウェイポイント]]「ベセル」へ向かうため方位角245度へ機首を向ける。以降、機首は245度のまま(※方位角90・180・270・360(=0)度は順に東・南・西・北)。<br />
*22:27 - カイルン山電波局付近を通過し、レーダー圏外へ入る(この時、既に予定航路(J501)を北へ11km逸脱していたことが後に判明した。管制官からの警告は無かった)。<br />
*22:49 - アンカレッジの管制官に「ベセル」通過を報告。実際のベセルより22km北の位置であった。[[アメリカ空軍]][[レーダーサイト]]「キングサーモン」の圏内であったが、これは管制権を持っていなかった事もあり、KAL007便への警告はしなかった。この後、最も北寄りでソビエト社会主義共和国連邦領に近い北太平洋航空路であるR20(ロメオ20)に向かうはずだった。<br />
[[Image:Su-15_Flagon.jpg|right|220px|thumb|防空軍のSu-15TM(同型機)。]]<br />
[[Image:MiG-23_Flogger_G.jpg|thumb|220px|MiG-23(写真は事件で迎撃に上がった[[MiG-23|P]]型の空軍向け派生型である[[MiG-23MLA (航空機)|MLA]]型で、外見は一部アンテナ類を除きほぼ同じ)。]]<br />
[[9月1日]]<br />
*00:51 - ソ連の防空レーダーが、[[カムチャツカ半島]]北東を飛行する航跡をとらえる。ソ連側はアメリカ軍機と判断した。<br />
*01:30 - 007便、ソ連の領空を侵犯。ソ連軍機は迎撃を試みるも接触できずに帰投。<br />
*02:28 - 007便、[[カムチャツカ半島]]を通過。ソ連のレーダーから消えた。<br />
*02:36 - 007便、[[樺太]]に接近しソ連軍は警戒態勢に入る。<br />
*02:54 - この時点から007便の[[ボイスレコーダー]]の録音が残る。操縦士らは雑談に興じていた。<br />
*03:05 - 007便、後続便(同航路を2分遅れで飛行するKAL015便)と通信し、お互いの風向風速がまったく異なっていることに気付く。しかし、操縦士らは[[飛行計画|フライトプラン]]を見て誤差の範囲内だと判断し、ロメオ20の航路逸脱には気付かなかった。<br />
*03:08 - ソ連軍機([[Su-15 (航空機)|Su-15TM]]迎撃戦闘機)が007便を視認。暗いため機種の判別はできていない。航法灯と衝突防止灯が点灯していることを報告。<br />
*03:20 - 新東京国際空港(現・[[成田国際空港]])内にあった[[東京航空交通管制部]]東京国際対空通信局が<ref name=":0">原口和久『成田空港365日』崙書房、2000年、208頁。</ref>、007便に3万5,000フィートへの高度変更を許可(燃料節約のための高度上昇)。<br />
*03:21 - ソ連軍機([[MiG-23 (航空機)|MiG-23P]]迎撃戦闘機)、警告射撃。しかし、[[曳光弾]]は搭載されておらず、[[徹甲弾]](光跡を伴わず、弾丸の航跡が見えない)のみ発射<ref>曳光弾は事件発生の半年前に底をつき、部隊は補給申請していたが事件発生時も補給されてない状態であった。</ref>。007便も気付かず。<br />
*03:23 - 007便、高度上昇し3万5,000フィートに到達。これに伴う速度低下で、ソ連軍機は007便の真横まで追いついてしまうが、当時の技術では旅客機が軍用機の接近を感知するのは困難で、「Traffic!(他機接近!)」の警告音は鳴らず、007便は気づくことができなかった。<br />
*03:23 - 攻撃命令発令。<br />
*03:25 - ゲンナジー・オシポーヴィチ({{ru|Генарий Осипович}}、Gennady Osipovich)中佐の操縦するSu-15TMがミサイルを発射、通常の手順に従い、赤外線誘導式とレーダー誘導式の計2発。30秒後(03:26:02)、007便の尾翼に赤外線誘導式が命中した。結果、方向舵制御ケーブル周辺、油圧系統の4分の3を損傷(ICAOの最終報告書による推測)し、機体に約1.75平方フィートの穴が開いて急減圧が発生。機体は一時上昇したが、エンジン出力を下げて、ギアダウン(車輪降ろし)をすると、降下し始めた。操縦は困難となる(なお、油圧系統の4分の1と、4つのエンジンは無事だった)。ボイスレコーダーの記録によると、着弾するかなり前から、ほとんどの乗客は起きていて、[[機内食]]をとっていたようである。 それとともに、機内に大きな衝撃と轟音が鳴り響いた<ref> ナショナルジオグラフィック 「メーデー 航空機事故の真相」から </ref>。 <br />
*03:26 - 千機長が東京コントロールの管制官に「急減圧の発生<ref>実際の正確な発言内容は"Rapid compression(急激な加圧)"であり、機長は加圧と減圧('''de'''compression)を混同している。その他にも、"All compression"、"Power compression"という誤った発言がボイスレコーダーに記録されている</ref>」と「高度1万フィートへ降下する」旨交信をしたものの、雑音により途中で交信が途絶した。これ以降、セルコールによる呼び出しを含めてコールするが応答せず<ref>ボイスレコーダーには、機長の管制官への「待て、待て、待て、待て、セットする(Standby,standby,standby,standby,set.)」という返事が記録されているが、これが確認できる乗務員の最後の会話となった</ref>、機長らはなおも操縦を試みた(左右のエンジン出力に差をつけることによる方向転換など)。客席からの悲鳴が2度にわたって記録される。一方、ボイスレコーダーの音質が次第に悪化していった。<br />
*03:27 - 着弾から1分44秒後(03:27:46)、[[ブラックボックス (航空)|ブラックボックス]]の記録が途絶えた(着弾の衝撃と外気の侵入による断線のためと思われる)。ボイスレコーダーの最後の音声は、緊急降下を知らせる自動アナウンスだった。その後も007便は左へ旋回し、上昇・下降しながら落下し続ける。<br />
*03:38 - ソ連及び[[北海道]][[稚内市]]の[[航空自衛隊]][[稚内分屯地]]の[[レーダーサイト]]から007便の機影が消えた。ソ連のレーダー記録、公開された機体の残骸や遺体の状況などから、007便は機首を下げた状態で高速で海面に激突したと推測されている。近くで操業していた日本の[[イカ]]釣り[[漁船]]「第五十八千鳥丸」の乗組員は、[[海馬島 (樺太)|海馬島]]の北18.5海里沖で飛行機の爆音と海上での爆発を目撃し、航空機の燃料に用いられる[[ケロシン]]の匂いがしたと証言した。<br />
<br />
=== 事件の発覚 ===<br />
[[画像:TokorozawaCommunicationsTower.jpg|thumb|right|220px|東京航空交通管制部の通信塔。]]<br />
航路を外れた007便は、[[航空自衛隊]]の[[稚内分屯地|稚内レーダーサイト]]により観測されていた。しかし、この時点で洋上飛行中(のはず)であった007便は[[トランスポンダ|ATCトランスポンダ]]から識別信号を発しておらず、航空自衛隊は007便を「ソ連国内を飛行する所属不明の大型機」として、その周りに飛行するソ連軍戦闘機を、「迎撃訓練を行う戦闘機」として扱った。<br />
<br />
これとは別に、[[陸上幕僚監部]][[情報本部#概要|調査部第2課別室]](通称「調別」、[[シギント|電波傍受]]を主任務とする部隊)は、ソ連の戦闘機が地上と交信している音声を傍受。「ミサイル発射」のメッセージを確認したが、この時点ではソ連領土内での[[領空侵犯]]機に対する通常の迎撃訓練が行われていると考えており、実際に民間機が攻撃されていたという事実は把握していなかった。この録音テープは、後に[[アメリカ合衆国|アメリカ]]がソ連に対し撃墜の事実を追及するために使用するが、公式には[[日本国政府]]から[[アメリカ合衆国連邦政府]]への引き渡しは行われておらず、どのような経緯で渡ったのかは不明である。<br />
<br />
撃墜直後、稚内の[[レーダーサイト]]は所属不明機の機影が突然消えたことを捉えた。行方不明機がいないか日本、[[大韓民国|韓国]]([[大邱広域市|大邱]])、アメリカ([[エルメンドルフ空軍基地|エルメンドルフ]])、ソ連([[ウラジオストク]])の各航空当局に照会したところ、前記の3国からは「該当機がない」との返答を受け、ソ連からは返答が無かった。<br />
<br />
ミサイル命中の30秒後、それまで007便を通信管制していた[[東京航空交通管制部]]に雑音が混じった007便からの呼び出しが入ったが、そのまま連絡が途切れた(「急減圧により緊急降下する」旨の交信の内容は、[[鈴木松美]]の音声分析により判明)。代わりに呼びかけを依頼された、付近の飛行機からも007便へは無線が通じず、30分後から「遭難の可能性あり」として、当局に捜索を要請した{{要出典|date=2016年6月}}。<br />
<br />
=== 各国政府の対応 ===<br />
====撃墜当日====<br />
[[File:President Reagan and Prime Minister Yasuhiro Nakasone.jpg|thumb|220px|日本の[[中曽根康弘]]首相とアメリカの[[ロナルド・レーガン]]大統領 (左)。]]<br />
[[File:RIAN archive 101740 Yury Andropov, Chairman of KGB.jpg|right|220px|thumb|ソ連の[[ユーリ・アンドロポフ]]書記長。]]<br />
9月1日の朝の時点で日本政府が、大韓航空機が「[[樺太|サハリン]]沖」で行方不明になったことを公式発表し、午前7時前後には日本の[[テレビ]]や[[ラジオ]]では「ニュース速報」として「大韓航空機が行方不明になった」と報じた他、各国の[[通信社]]が[[東京]]発の情報として大韓航空機の行方不明を報じた。<br />
<br />
また、この後に「ソ連軍機により[[樺太]]に強制着陸させられた」、「乗客乗員は全員無事」などの出所のわからない誤報も報道機関の間で飛び交い、日本の各[[マスコミ]]はこれらの誤報を朝から昼にかけてニュースや[[ワイドショー]]で放送した上に(なお、この日の午前中の日本のテレビはこの事件の報道一色となった)、昼過ぎに締め切りとなる[[夕刊]]に掲載してしまった[[新聞社]]もあった。さらにこれらの記者が家族に対して直接伝えたりしたために、大韓航空や家族などの関係者が混乱する一幕もあった。<br />
<br />
このような日本や韓国、アメリカ合衆国などの[[西側諸国]]の報道があったものの、日本やアメリカの政府やマスコミからの問い合わせに対してソ連は「該当する航空機は国内にいない」「領空侵犯機は[[日本海]]へ飛び去った」と事件への関与を否定した。これに対して[[アメリカ合衆国連邦政府]]は、その日の内に「ソ連軍機が007便を撃墜した」と発表、日本当局から入手したソ連軍機の傍受テープも雑音を除去し、[[ロシア語]]のテロップを付けた上で、一部放送した([[自衛隊]]が傍受した軍事情報である「テープを公開すること」について、[[中曽根康弘]]首相や[[後藤田正晴]]官房長官を始めとする[[日本国政府|日本政府]]首脳は、全く相談を受けていなかっただけでなく、自衛隊からアメリカ側に渡った事実も伝えられていなかった。後に元CIA職員の[[エドワード・スノーデン]]が持ち出した機密情報によると<ref>[http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170424/k10010959721000.html スノーデン文書の中に日本情報 ネットメディアが公開 - NHK] {{webarchive|url=https://archive.is/20170424121911/http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170424/k10010959721000.html |date=2017年4月24日 }}</ref>、このテープは防衛庁の承認のもと、[[アメリカ国家安全保障局]]に渡された)<ref>「ナショナルジオグラフィックチャンネル」のドキュメンタリー「メーデー!:航空機事故の真実と真相」シリーズ(シーズン7「大韓航空007便」)で同事件が紹介された際、無線交信を傍受した再現シーンは自衛隊レーダーサイトではなく、アメリカ軍の通信傍受施設で傍受したようにされている。</ref>。<br />
<br />
このアメリカ合衆国連邦政府による正式発表を受けて、事件の当事国である日本や韓国、アメリカなどの西側諸国ではソ連に対する非難が起こり、ソ連政府に対して事実の公表を求めた。<br />
<br />
当日、ソ連の[[ソ連共産党政治局|政治局会議]]が行われたが、この会議では議題にならなかった([[ユーリ・アンドロポフ]]書記長に対しては会議直前に撃墜の報告は行われた)。翌日には事件の反響に伴い、臨時政治局会議が健康不良のアンドロポフ書記長に代わり、[[コンスタンティン・チェルネンコ|チェルネンコ]]書記の主催で行われるが「領空侵犯を計画的な挑発行為として非難する」事のみの決定に留まった{{要出典|date=2016年6月}}。<br />
<br />
またこの日には、北海道の[[オホーツク海]]沖合で操業していた日本の漁船が、旅客機機体の破片や遺品を発見した。これと前後して、[[海上保安庁]]や[[アメリカ海軍]]の船艇が、機体が墜落したと思われる付近に向けて、捜索に向かった。<br />
<br />
====翌日以降====<br />
[[File:Ogarkov-KAL007.gif|right|220px|thumb|発表を行うソ連のオガルコフ参謀総長(9月2日)。]]<br />
[[9月2日]]には、ソ連の[[ニコライ・オガルコフ]][[ソ連軍参謀本部|参謀総長]]が「領空侵犯機は航法灯を点灯していなかった」「正式な手順の警告に応答しなかった」「日本海方面へ飛び去った」と、テレビカメラを入れた[[記者会見]]で発表した(後に007便の航法灯は点灯しており、十分な警告は行わなかったことをパイロットが証言する)。これに対しアメリカの[[ロナルド・レーガン]]大統領はソ連政府を「うそつき」と非難した他、当事国である韓国の[[全斗煥]]大統領もソ連を激しく非難した。また、日本や[[西ドイツ]]など多くの西側諸国の政府がソ連の対応を非難する。<br />
<br />
[[9月6日]]に、[[国際連合安全保障理事会|国連安全保障理事会]]において、陸上幕僚監部調査部第2課別室が傍受したソ連軍機の傍受テープに、[[英語]]と[[ロシア語]]のテロップをつけた[[ビデオ]]が、アメリカによって各国の[[国連大使]]に向けて上映され、ソ連軍機による撃墜の事実を改めて世界に問いかけた。これに対して、ソ連の国連大使はビデオの上映中は一貫して画面から目をそらし続けていたが、この後、ソ連の[[アンドレイ・グロムイコ]]外務大臣兼第一副首相は、大韓航空機の撃墜を認める声明を正式に発表した<ref>[http://www.youtube.com/watch?v=7U6010ajPYY 「KAL007 Shooting Down」公開された傍受した交信記録。]</ref>。<br />
<br />
9月9日に、ソ連のオガルコフ参謀総長が「大韓航空機は民間機を装ったスパイ機であった」との声明を発表、13日には[[国際連合安全保障理事会|緊急安保理事会]]でソ連への非難決議が上程されるが、[[常任理事国]]のソ連の[[拒否権]]の行使により否決された。<br />
<br />
9月13日に、大韓航空機と最後の交信を行った日本の運輸省航空局が交信記録を公表し、撃墜直前まで全く異常がなかったことが確認される<ref name=":0" />。<br />
<br />
なお、当事者である韓国は当時ソ連との国交がなかったうえ、[[国際連合]]に加盟していなかったこともあり、ソ連への抗議や交渉、国連での活動は、国連加盟国でソ連と国交があり、かつ事件の当事者である日本(事件時に当該機の管制を担当し、さらに隣接する公海上に当該機が墜落、また多くの乗客が被害に遭った)とアメリカ(当該機の出発国かつ製造国であり、また多くの乗客が被害に遭った)が主に行った。<br />
<br />
=== 機体の捜索 ===<br />
[[File:PSKR-ImeniXXVsezdaKPSS(DN-SN-89-04571).jpg|thumb|220px|周辺海域で捜索に当たるKGB[[ロシア国境軍|国境軍総局]]の[[巡視船|国境警備艦]][[イーメニXXVスエーズダKPSS (国境警備艦)|イーメニXXVスエーズダKPSS]](アメリカ海軍によって撮影/9月17日)。]]<br />
[[File:Soviet boats stalking.jpg|thumb|220px|捜索を行うアメリカ海軍のナガランセットの横を通過する[[ソ連海軍]]の[[大型対潜艦]][[ペトロパヴロフスク (大型対潜艦)|ペトロパブロフスク]](9月17日)。]]<br />
[[File:Mikhail Merchink.jpg|thumb|220px|ソ連の引き揚げ作業船「ミハイル・メルチンク」(アメリカ海軍によって撮影/日時不明)]]<br />
事件後すぐに、日米ソの船舶や航空機が大韓航空機が墜落したと想定された樺太の西の海馬島周囲の海域を船舶や航空機によって捜索したが、ソ連は[[領海]]内への日米の艦艇の立ち入りは認めず、[[公海]]上での捜索に対しても日米の艦艇に対して進路妨害などを行った。<br />
<br />
その後、ソ連は回収した機体の一部や遺品などの一部の回収物件を日本側へ引き渡したが、一方で「これ以外に遺体は見つかっていない」こと、「ブラックボックスは回収していない」ことを主張した。だが、機体の破片や遺体の一部が北海道の沿岸に事件直後から次々と流れ着いており、付近で操業していた日本の漁船などによって回収もされていたため、このようなソ連による発表内容は当時から疑問視されていた(なお、北海道沿岸に流れ着いた遺体のほとんどは、[[皮膚]]組織の一部など原形を留めていないものであった)。<br />
<br />
ソ連崩壊後に行われた[[イズベスチヤ]]紙の取材では、複数の遺体とその一部および数々の遺品がソ連側によって実際に回収されていたことが明らかにされたが、日本側に引き渡されたもの以外の全てが証拠隠滅のために検査後に全て焼却処分にされてしまっていた。なお、日本側に漂着した遺留品は、身元確認ができないまま[[2003年]]の忠霊祭において遺族会の了承の元で焼却処分にされた(これ以前に遺体の一部も同様に火葬されている)。<br />
<br />
また、日米ソが必死になって捜索していたブラックボックスについては、実際には、事件後間もなくソ連当局によって回収されていた。ソ連当局は、[[コックピットボイスレコーダー]]と[[フライトデータレコーダー]]の分析を即座に済ませ、[[1983年]][[11月28日]]には極秘報告書においてスパイ行為説を否定していた。だが実際には、「『スパイ飛行説』の反証となりうる可能性がある」との報告に基づき、[[モスクワ]]はブラックボックス回収の事実を公表しなかった。日米は、上記の事実を知らないまま、ブラックボックスを半年以上も捜索し続けていたことになる。<br />
<br />
なお、ブラックボックスの「極秘」の回収指示書が、ソ連当局から樺太の地元住民に渡されていたこと、地元住民がその指示書と同じものを実際に海中から引き揚げたこと、そして、住民が密かに自宅などに持ち帰っていた部品が撃墜された大韓航空機のものであったことが、[[日本テレビ放送網|日本テレビ]]の『[[大追跡 (情報番組)|大追跡]]』の取材により、[[ソ連崩壊]]直後の[[1991年]]に判明していた(この番組は翌[[1992年]][[4月4日]]に放送された)。<br />
<br />
この番組では、[[ロシア国防省]]の許可の下、[[潜水艇]]を用いて事故現場の撮影も行われ、墜落後10年近く経っても墜落現場付近に沈んでいた機体の残骸や犠牲者の衣服、そして遺骨の一部が撮影されていた(なお、この番組ではブラックボックスについてロシア側からは一切明らかにされなかったが、ロシア側から公開の意向を日本側に伝えたのが番組収録とほぼ同時期だったため、おそらく相前後したと思われる)。<br />
<br />
== その後 ==<br />
{{独自研究|section=1|date=2016年6月}}<br />
[[File:Tower_of_the_prayer_at_Cape_Soya.jpg|thumb|220px|right|宗谷岬の慰霊碑。]]<br />
韓国では、ソ連が謝罪してくる姿勢を全く見せないため、政府によるソ連政府に対する正式な抗議のみならず、ソ連製品の[[ボイコット|不買運動]]や、多くの市民によるソ連に対しての抗議運動が烈火の如く巻き起こった{{要出典|date=2016年6月}}。<br />
<br />
アメリカは、ソ連の[[アエロフロート]]機のアメリカ乗り入れを無期限停止した上、[[アメリカ合衆国連邦政府]]職員の同航空の利用を制限し、[[パンアメリカン航空]]機のソ連乗り入れも停止した。なおその後もソ連による[[ロサンゼルスオリンピック (1984年)|ロサンゼルスオリンピック]]の[[ボイコット]]など、[[ミハイル・ゴルバチョフ|ゴルバチョフ]]大統領による[[ペレストロイカ]]や[[グラスノスチ]]といった開放政策が行われるようになるまで両国の関係が緊張を続けたこともあり、アエロフロート機のアメリカ乗り入れ停止は[[1986年]][[4月29日]]まで続いた{{要出典|date=2016年6月}}。<br />
<br />
日本政府は制裁措置として2週間の[[日本航空]]とアエロフロートによる定期便相互乗り入れを停止し、[[成田国際空港]]-モスクワ線や成田-[[ハバロフスク]]線などの運行が停止した<ref name=":0" />。<br />
<br />
事件後に多くの遺族がそれぞれの国で大韓航空に対する損害賠償のための訴訟を起こしたが、大韓航空は賠償請求に対して「事件の原因の[[不可知論]]」を理由に拒否したため、多くの遺族は和解に応ぜざるを得なかった{{要出典|date=2016年6月}}。なお、事件後に遺族によって[[宗谷岬]]に慰霊碑が建てられた。<br />
<br />
事件当時[[国際民間航空機関|ICAO]]理事会は、民間航空機の要撃は避けるのが望ましく、最後の手段としてのみ用いるべきこと、いかなる場合でも武器の使用を慎むべきことを勧告していた<ref>藤田勝利編『新航空法講義』信山社、2007年、72-73頁。</ref>。事件を契機として翌1984年に[[シカゴ条約]]の改正が行われ、これにより領空を侵犯した民間航空機を撃墜することは明示的に禁止されることになった(同条約3条の2)。<br />
<br />
撃墜時パイロットであるオシポーヴィチ中佐は[[1986年]]に戦闘機の事故で重傷を負ったために退役し、[[アディゲ共和国]]の[[マイコープ]]市で暮らしているがソ連崩壊後の[[1991年]]「大追跡」のインタビューで、軍令のためとはいえ結果的に民間機を撃墜したことは遺憾だとコメントした(同席した妻は「撃墜は義務」であった旨のコメント)。その後の「ナショナルジオグラフィックチャンネル」のドキュメンタリー「メーデー!:航空機事故の真実と真相」シリーズ(シーズン7「大韓航空007便」)のインタビューでは撃墜した機体は偵察機だと今も信じているという異なるコメントをしている。<br />
<br />
事件を契機に、軍事用途に開発された[[衛星測位システム]]である[[グローバル・ポジショニング・システム|GPS]]が、民間航空機の安全な航行のために開放された<ref>[http://qz-vision.jaxa.jp/READ/qz-navi05.html 準天頂衛星システムの歴史] - [[JAXA]]。2016年2月20日閲覧</ref>。<br />
<br />
== 領空侵犯原因 ==<br />
{{独自研究|section=1|date=2016年6月}}<br />
ソ連政府によるブラックボックスの隠匿などにより、事件についての多くの疑問点が、[[冷戦]]が終結した[[1990年代]]まで解明されないままであった。しかしその後冷戦が終結したことを受けて、[[1991年]]11月に[[パリ]]で行なわれた国際テロ対策会議において[[オレグ・カルーギン]][[ソ連国家保安委員会]](KGB)議長顧問が、「この事件の詳細を日本側に報告する」と[[佐々淳行]][[内閣安全保障室]]長に表明し、その後実際にロシア政府は回収を秘匿していた007便の[[ブラックボックス (航空)|ブラックボックス]](上記のように、記録は墜落の11分前で途切れていた)を[[国際民間航空機関|ICAO]]に提出し、合わせて残された遺品の遺族たちへの引渡しを行った。ICAOはこれを高い解析技術を持つ第3国である[[フランス]]の航空当局に提出、解析を依頼し、その結果をもとに調査の最終報告をまとめた。<br />
<br />
それによると、航路逸脱の原因は以下のいずれかとされた。どの説が正しいかは、証言できる者が生存しておらず真相究明が不可能なため不明である。<br />
<br />
[[Image:B747-cockpit.jpg|thumb|220px|ボーイング747-200の操縦席(手前中央が慣性航法装置)。]]<br />
; 慣性航法装置の入力ミス<br />
: 航路は、通過地点を順に[[慣性航法装置]](INS)に打ち込むことで設定するが、[[経度]]のみ(もしくは、[[緯度]]のみ)がずれて打ち込まれたのではないか、または、出発地の座標が誤って打ち込まれたのではないかなどとする説。<br />
; 慣性航法装置の起動ミス<br />
: 慣性航法装置は飛行前に[[ジャイロ]]を安定させる動作(アライン)が必要である。この動作から実際のナビゲーションを始めるまでにスイッチの切り替えをするが、切り替え前に機体を動かしたのではないかとする説。<br />
; 慣性航法装置の切り替えミス<br />
: 航路に乗るまでHDGモード(方位のみを指定する自動操縦、方位角モード)で飛行し、航路に乗ってからはNAVモード(事前に入力した地点に向かい飛行する自動操縦、誘導モード)にするはずが、[[乱気流]]もしくは[[積乱雲]]回避のためにHDGモードのまま、NAVモードに切り替えなかった、もしくはHDGモードに切り替えたが、所定の航路から7.5マイル以上離れていたために機械が切り替わらなかったとする説。実際に、切り替え忘れのために[[日本航空]]機が航路を逸脱した事例がある。<br />
<br />
なお、007便のボイスレコーダーには千機長と副操縦士、機関士があくびを繰り返すのが記録されていることから、設定ミスもしくは切り替えミスに気づかなかった原因として疲労による[[ヒューマンエラー]]を指摘する声もある。実際に3人の運航乗務員は、事故前にソウル→アンカレッジ→ニューヨーク→[[トロント]]→アンカレッジという勤務スケジュールであり、休養も取っていたが、ジャーナリストの小山巌は著書で、「時差に疲れて休養を取るというのは、単に眠ればよいという単純な時間のつじつま合わせでは解決しない」と述べており、乗員らは[[時差ぼけ]]が抜けきらなかった結果、注意力が散漫になった可能性がある。<br />
<br />
なお、ICAOの最終報告書は、日本の遺族には原本のコピーのみが手渡され、日本政府は「ICAOによる調査の中立性、一貫性を失う恐れがある」として公的な和訳は作成していない<ref>[[田英夫]]参議院議員(当時)の [http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/134/syuh/s134001.htm 質問趣意書] に対する[[1994年]][[11月14日]]の[[村山富市]]総理大臣(当時)による [http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/134/touh/t134001.htm 答弁書]</ref>。ボイスレコーダーの音声は、小山巌がICAO本部へ出向いて聞き、著書『ボイスレコーダー撃墜の証言』に収録した。ブラックボックスの記録は捜査資料のため、基本的にマスメディアに公開されることは無いが、この事件の音声の一部が韓国側に流出し、日本テレビの番組([[スーパーテレビ情報最前線]])で放送されたことがある{{要出典|date=2016年6月}}。<br />
<br />
== 領空侵犯原因諸説 ==<br />
{{出典の明記|date=2015年11月25日 (水) 14:57 (UTC)|section=1}}<br />
ICAOによる最終報告が出て領空侵犯の原因が解明される以前に、「領空侵犯の原因」として、ソ連政府が責任を韓国やアメリカに押し付けるために展開した根拠のない主張、そして西側の一部のマスコミや研究家の間で言われた説には下記のようなものがある。<br />
<br />
* '''[[大韓航空機撃墜事件#アメリカ軍部の指示説|アメリカ軍部の指示説]]'''<br />
* '''[[大韓航空機撃墜事件#燃料節約説|燃料節約説]]'''<br />
<br />
事件の最終報告はソ連政府による[[情報操作]]と証拠隠匿のため、撃墜事件が発生してから10年余りも経ってから報告されたため、一般にはあまり広まっていない。そのために専門知識に欠ける多くのマスコミやジャーナリストによって、いまだに『原因は未解明である』と記述されてしまうことも多く、事件当時ソ連が情報操作の一環として発表したスパイ飛行説(後述)が、その後も「陰謀マニア」のみならず、『良識がある』とされる一部の西側のジャーナリストの間においてすら未だ根強い支持を得ており、これらの説が真実かのように主張され、一般の間にもこれらの説が真実味を持って受け止められているケースがある。<br />
<br />
また、「スパイ飛行説派」の一部からは「千機長をはじめとする大韓航空機の運航乗務員は事前にアメリカ軍基地でアメリカ軍によるスパイの訓練を受けていた」、「大韓航空はこの事件の補償金をアメリカ政府から受け取った」、「事故機は破損しながらもサハリン沖に不時着水し、ソ連によって救助された一部の乗客と乗員は即刻処刑され、残りも[[シベリア]]の[[ラーゲリ|強制収容所]]に送られ今も強制収容所に入れられたままである」というような根拠が提示されない説だけでなく、[[石原慎太郎]]元[[運輸大臣]]は、自らの著書内で「墜落しつつある大韓航空機の千機長が『デルタ010』という言葉を発していたが、これはアメリカの情報関係者に対する暗号である」という説(なおこれは「Descent to Ten Thousand(10,000に降下する)」という実際に行われた交信を聞き間違えたことが明らかになっており、そのことが明らかになって以降石原はこの説を主張しなくなった)や、「アメリカの保守派論客として知られていたラリー・マクドナルド下院議員は生還したもののソ連軍に捕らえられ、処刑を免れたもののモスクワの[[ルビャンカ|ルビヤンカ]]刑務所に送られ現在も収監されている」などという突飛な説が、最終報告の発表後にさえ日本やアメリカなどの西側諸国のテレビや雑誌でまことしやかに報じられた。<br />
<br />
=== アメリカ軍部の指示説 ===<br />
「アメリカ軍が同盟国である韓国政府および国営航空会社であった大韓航空に対し、ソ連極東に配備された戦闘機のスクランブル状況を知るため、もしくは、近隣で偵察飛行を行なうアメリカ空軍機に対するソ連軍機の哨戒活動をかく乱するために、民間機による故意の領空侵犯を指示し、事故機がこれに従った」とする説である。<br />
<br />
撃墜事件直後のソ連政府が「非武装の民間機を撃墜した」ということによるイメージダウンを覆い隠すために、007便のブラックボックスを回収したという事実を隠してまでこの説を強硬に主張したほか、当時、アメリカや韓国国内、そして日本などの西側諸国でもマスコミを中心に当局の陰謀の存在が議論されたが、ブラックボックスの内容や交信記録の音声が公開され原因が解明された現在では、当事国の[[ロシア]]政府によってさえも否定されている。<br />
<br />
この説の「根拠」としては以下が挙げられていた。<br />
<br />
[[Image:RC-135_Cobra_Ball_aircraft_parked_at_Offutt.jpg|thumb|220px|right|ボーイングRC-135。]]<br />
[[File:Korean Air Boeing 747SP at Basle - January 1985.jpg|thumb|220px|right|変更前の大韓航空機の英語社名と機体塗装([[1985年]])。]]<br />
[[File:Boeing 747-300 (Korean) 05.jpg|thumb|220px|right|事件後に変更された大韓航空機の英語社名と機体塗装([[1980年代]]後半)。]]<br />
* 「千機長が元韓国空軍の軍人であり、この計画に従うことに躊躇しない」という説(アエロフロートのような東側諸国のみならず、[[ルフトハンザ航空]]や[[ユナイテッド航空]]、[[アリタリア航空]]、そして[[1970年代]]の[[日本航空]]や[[全日本空輸|全日空]]、[[日本エアシステム|東亜国内航空]]などがそうであるのと同様、当時の大韓航空のパイロットには元空軍軍人が多かった)。<br />
* 撃墜の日に、現場近くをアメリカ空軍の[[偵察機]]である[[ボーイング]][[RC-135 (航空機)|RC-135]]が(通常の)偵察飛行をしていた。<br />
<br />
この説の欠点として以下が指摘されている。<br />
<br />
* 単にスクランブルの様子を観測、もしくは哨戒活動を攪乱するだけのために、果たしてアメリカ軍は自国民を含む民間人数百人の命をかけてまで領空侵犯を指示する意義があったのか(なお、当時の航空地図には「'''ソビエト領内に侵入した場合、無警告で撃墜される恐れがある'''」と赤字の注意書きがされていた)。また、この様な計画が公になった際にはアメリカは人道面で国際的な非難を浴び信頼を失うのは避けられず、そのようなリスクに見合ったメリットがあるとは考えにくい。さらにもし大韓航空機でスパイ行為をするのなら、乗客が搭乗しない上にスパイ機器を設置しやすく、さらに乗客がいないため情報漏洩のリスクが小さい[[貨物機]]の定期便で行うほうが効率もよい。<br />
*同じく大韓航空自身も、撃墜された上に自身がスパイ飛行に関与していたことが発覚することによって受ける金銭的、信用的及び風評的ダメージは甚大なものであり、そこまでのダメージを受けてまでこの様な計画に与することは割に合わない(実際にこの事件後大韓航空の旅客は激減しただけでなく、遺族補償による金銭的ダメージが後々まで尾を引いた。また世界各国で社名と機体の写真が繰り返し放映されたことを受け、事件後に英語社名と機体塗装、社章の変更を余儀なくされ、変更のために莫大な投資を余儀なくされている)。また、仮にスパイ飛行を行った結果、下記の1978年の事件の時同様に撃墜を免れソ連領内に強制着陸させられたとしても、強制着陸させられた結果スパイ飛行の事実やスパイのための機器の秘密がソ連当局に対して表ざたになるだけでなく、その結果同社に与える損害は計り知れないものだということは分っていたはずである。<br />
* 上記のように、大韓航空はこの5年前の[[1978年]]にも[[パリ]]からアンカレジへ向かっていた[[ボーイング707]]が[[コラ半島]]の[[ムルマンスク]]上空で航法上のミスにより(「運航乗務員がカードゲームをしていたために航路を逸れた」と言う[[客室乗務員]]の証言もある)ソ連領空を侵犯しソ連軍機の迎撃をうけており、機体損傷に伴いソ連領内へ不時着、乗客2人が死亡し乗員乗客が長期にわたって拘束を受けるという事件を起こし、国際的な非難を受けていた(詳細は「[[大韓航空機銃撃事件]]」を参照)。いくら元軍人である千機長といえども、撃墜される可能性が高い飛行経路を数百人の民間人を乗せたままの旅客機で飛行することに全く躊躇しないというのは説明がつきにくい。<br />
*事件後に心理学者が交信記録の音声を分析したところ、千機長も副操縦士も平常の精神状態であったと分析されており、戦闘機による追尾や警告射撃を受けていたことに気づいていたという点は見受けられなかった(この事実はボイスレコーダーの内容からも裏付けられている)。<br />
* 他機や地上からの無線による呼びかけに対して、電波状況などの理由により応答しないことは日常茶飯事であり、また、後続機がコースの逸脱に気づいていたという証拠もなく、後続機よりもコースの離脱に気づいている可能性の高い地上からの呼びかけには撃墜直前まで応答しているため、後続機からの呼びかけを意識的に無視していたとは考えにくい。<br />
* 仮にスパイ飛行だとしても、007便とその運航乗務員がそれを隠蔽するための偽装を行った形跡がまったく残っていない。例として、[[ウェイポイント]]の通過時刻が予定と毎回ずれているがそれをずれたまま報告している、同一航路の他の便より低い[[気温]]を報告している(=北方へ逸脱している)など。また、蛇行した航路については、誤差を持ったレーダー記録の各点を線でつないだ結果の見かけのものだとする意見もある。<br />
<br />
=== 燃料節約説 ===<br />
「千機長が燃料節約のために意図的に航路を北にずらし、スクランブルを受ける危険を承知でソ連領空を侵犯した」とする説である。この説の根拠は、当時の大韓航空機は航空運賃が他社に比べて安く(現在においても同様である)、「燃料を節約することは機長の使命であった」という報道もあった(少なくとも「燃料節約に気を使うこと」は現在の他社においても同様である)。<br />
<br />
説の欠点として、以下が指摘されている。<br />
<br />
* 上記のように、大韓航空は5年前の[[1978年]]にもムルマンスク上空で航法上のミスによりソ連領空を侵犯しソ連軍機の迎撃をうけ、機体損傷に伴いソ連領内へ不時着、乗客2人が死亡し乗員乗客が長期にわたって拘束を受ける事件を起こし、その後深刻な旅客離れを招き経営が傾くという経験をしている。当時の状況においてソ連領空へ故意に領空侵犯を行った場合、良くても不時着や強制着陸、最悪の場合は攻撃を受けて撃墜される可能性があることを大韓航空も機長も理解していたはずで、その結果、5年前同様に同社が被る損害は計り知れないものだということも分っていたはずであり、そこまでの危険を冒してまで、[[日本円]]で数万円から数十万円程度と思われる燃料を節約する必要があったのかという、根本的な疑問点がある。<br />
<br />
*大韓航空が同社の機長に対して、領空侵犯の上に無警告で撃墜された過去のある[[仮想敵国]]領空を侵犯してまで燃料節約を行うように指示したという実例、証拠はない。また、他の大韓航空をはじめとするソ連と敵対していた西側諸国の旅客便が、同様に仮想敵国領空を侵犯してまで燃料節約を行っていたという実例、証拠もない。<br />
<br />
*さらに、燃料の節約には、ルートのみならず高度や風向きも影響するが、もし燃料節約のために千機長がソ連領空を侵するルートを取ったとしても、『この日に飛行したルート、高度、風向きが燃料の節約に最適か』という分析は、この説を唱える者は誰1人として行っていない。<br />
<br />
== ソ連防空軍機による007便に対しての認識 ==<br />
この事件の疑問点に、「民間機と認識した上で撃墜したのか」ということがあるが、ソ連崩壊後に行われた、撃墜した戦闘機のパイロットのゲンナジー・オシポヴィッチ中佐や地上の指揮官に対するその後のインタビューの中で、「007便が航行灯を点灯していた」ことと、「パイロットも地上も、007便を“民間機を装ったスパイ機”と認識していた」ことが明らかになった。また、アメリカ軍が撃墜後のソ連軍の地上基地同士の交信を傍受した中で、撃墜2時間後に「どうやら我々は民間機を撃墜してしまったらしい」という報告もなされていた。<br />
<br />
これを裏付けるように、[[1976年]]に函館空港での[[ベレンコ中尉亡命事件]]でアメリカに亡命し、空軍顧問となっていた[[ヴィクトル・ベレンコ]]元ソ連防空軍中尉は事件当時、アメリカ国防総省の依頼で交信を解読し「領空を侵犯すれば、民間機であろうと撃墜するのがソ連のやり方だ。ソ連の迎撃機は、最初から目標を撃墜するつもりで発進している。地上の防空指令センターは、目標が民間機かどうか分からないまま、侵入機を迎撃できなかった責任を問われるのを恐れ、パイロットにミサイルの発射を指示した」と、[[1997年]]8月の[[北海道新聞]]の[[インタビュー]]で証言している。<br />
<br />
== その他 ==<br />
*このHL7442機は[[1972年]]に[[コンドル航空]](当時[[ルフトハンザドイツ航空]]の子会社で、チャーター便を運航している。現在は[[トーマス・クック・グループ]]傘下)のD-ABYH機として製造され、[[1979年]]に大韓航空に売却された機体である。カスタマーコードがルフトハンザの30となっているのはこのためである<ref>大韓航空の生え抜き機体はカスタマーコードがB5。</ref>。<br />
*「007便」という便名が、人気スパイ映画「[[007]]」シリーズと同じ数字のため、これと掛け合わせて根拠なくスパイ飛行説を唱える報道が多発した。<br />
*ロック・ギタリストの[[ゲイリー・ムーア]]が1984年にリリースしたアルバム『[[ヴィクティムズ・オブ・ザ・フューチャー]]』収録の「Murder In The Skies」という楽曲で大韓航空機撃墜事件について取り上げており、「罪のない269人が殺害された」と歌っている。<br />
*[[ロシア人]]との[[混血]]で当時中学生だった[[川村カオリ]]は教師から「この外道が! ソ連に帰れ!」と罵倒されたという<ref>2009年3月13日放送『[[中居正広の金曜日のスマたちへ|金スマ波瀾万丈]]』及び、自伝『Helter Skelter』参考</ref>。<br />
*この事件は[[冷戦|東西冷戦]]の最中に発生し、事件後米ソの軍事的緊張も高まっていただけに、一歩間違えば[[第三次世界大戦]]に発展する可能性があった事件でもあった<ref>1983年9月26日には、ソ連の監視衛星がアメリカからの核ミサイル攻撃を誤検出する事件が発生した。当時ソ連戦略ロケット軍中佐で当直将校であった[[スタニスラフ・ペトロフ]]の誤報判断により回避された。</ref>。<br />
<br />
== 大韓航空機撃墜事件に関連する作品 ==<br />
* ドキュメンタリー「[[メーデー!:航空機事故の真実と真相]]」シリーズ シーズン7「TARGET IS DESTROYED」([[ナショナルジオグラフィックチャンネル]])-この作品内では、007便の機体は海面に激突する前に空中分解したという説明になっている。<br />
* ドキュメンタリー「撃墜 大韓航空機事件〜情報戦争の9日間〜」([[日本放送協会|NHK]])<br />
* [[ゲイリー・ムーア]]「Murder in the Skies」(1984年)アルバム『[[ヴィクティムズ・オブ・ザ・フューチャー]]』収録。<br />
* 映画「[[大韓航空機撃墜事件 FLT・NO・007便・応答せよ]]」(監督:[[デビッド・ダーロウ]] 1989年製作)<br />
* コミックス「[[ルサルカは還らない]]」(作:[[御厨さと美]]、[[集英社]]) - 主人公とチームを組む主要キャラクターの一人(韓国系米国人女性)がロシアを憎悪する大韓航空機撃墜事件遺族(被災者の娘)という設定。<br />
*長編小説「ブラックメイル」上下 斎田祐造 文芸社 2015年10月<br />
*長編小説「預言」金辰明 光言社 2018年1月<br />
<br />
==脚注==<br />
{{Reflist}}<br />
<br />
== 参考文献 ==<br />
*[[セイモア・ハーシュ]]、篠田豊訳『目標は撃墜された』 [[文藝春秋]] 1986年、ISBN 4-16-341150-X<br />
*:いわゆる「ハーシュ・レポート」。事件後の各国の対応を[[情報機関]]の内情にも突っ込んで取材し、コース逸脱原因についても考察。<br />
*アンドレイ・イレーシュ、川合渙一訳『大韓航空機撃墜の真実』 文藝春秋 1992年、ISBN 4-16-346960-5<br />
*:いわゆる「イズベチヤ・レポート」。ソ連の[[グラスノスチ]]に伴い、イズベチヤ紙が民間機を撃墜した理由を中心に証言を集め特集した。<br />
*[[柳田邦男]] 『撃墜』 [[講談社文庫]] 上・中・下、1991年(初版1984年)、ISBN 4-06-184976-X<br />
*:事件後の各国の駆け引きのほか、逸脱原因についての実験と考察も。<br />
*小山巖 『ボイスレコーダー撃墜の証言』 [[講談社]] 1998年、ISBN 4-06-209397-9、講談社+α文庫、2002年<br />
*:ロシアがICAOに提出したブラック・ボックスをもとに解明された撃墜の様子・逸脱の原因・遺族のその後。<br />
*小山巌 『消えた遺体 大韓航空機事件の1000日』 講談社 1987年、三一新書・三一書房 1997年<br />
<br />
== 関連項目 ==<br />
{{Commonscat|Korean Air Lines Flight 007}}<br />
* [[大韓航空機銃撃事件]]<br />
* [[ソ連防空軍]]<br />
* [[ジーン・カークパトリック]]<br />
* [[大出俊 (政治家)|大出俊]] - 国会議員。国会で事件について追及し、公式報告書の齟齬や矛盾点を明らかにした。<br />
* [[マレーシア航空17便撃墜事件]] - [[2014年]]に[[ウクライナ]]領空で発生した、[[地対空ミサイル]]「[[9K37|ブーク]]」による航空機襲撃事件。<br />
* [[対ソ連軍領空侵犯機警告射撃事件]]<br />
* [[ゲイリー・ムーア]]-1984年発表のアルバム「Victims of the Future」の中にこの事件についての曲"Murder in the Skies"が収録されている。<br />
* [[シギント]]<br />
<br />
== 外部リンク ==<br />
* [http://www.rescue007.org/ Rescue 007 Home]<br />
* [http://www.tailstrike.com/010983.htm ボイスレコーダーの記録(英語)]<br />
* [http://cks49w.php.xdomain.jp/index.php 慣性航法装置起動ミスの検証]<br />
* [http://d.hatena.ne.jp/IAFA/20091117#p1 KAL007生存者存命の可能性]<br />
* [http://www.youtube.com/watch?v=10O3fKZBxz0 Air Crash Investigation Target is Destroyed (Korean Air Lines Flight 007) part 5]<br />
* [http://cgi2.nhk.or.jp/archives/tv60bin/detail/index.cgi?das_id=D0009030185_00000 大韓航空機 撃墜事件] - [[NHKアーカイブス]]<br />
<br />
{{1983年の航空事故一覧}}<br />
<br />
{{DEFAULTSORT:たいかんこうくうきけきついしけん}}<br />
[[Category:ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国で発生した航空事故]]<br />
[[Category:大韓航空の航空事故|けきついしけん]]<br />
[[Category:大韓民国の事件]]<br />
[[Category:ソビエト連邦の事件]]<br />
[[Category:ソビエト連邦の軍事]]<br />
[[Category:冷戦]]<br />
[[Category:陰謀論]]<br />
[[Category:撃墜による航空事故]]<br />
[[Category:ボーイング747による航空事故]]<br />
[[Category:1983年の航空事故]]<br />
[[Category:1983年の大韓民国]]<br />
[[Category:1983年のソビエト連邦]]<br />
[[Category:1983年の国際関係]]<br />
[[Category:樺太の歴史]]<br />
[[Category:1983年9月]]</div>
59.135.158.95
ブレーキ・バイ・ワイヤ
2018-07-23T18:12:33Z
<p>59.135.158.95: </p>
<hr />
<div>{{未検証|date=2010年1月}}<br />
'''ブレーキ・バイ・ワイヤ'''(Brake by wire)とは、[[ブレーキペダル]]と[[アクチュエータ]]が[[コンピュータ]]を介して[[電線]](ワイヤ)によって接続され、アクチュエータが[[摩擦ブレーキ]]を作動させるシステムである。<br />
<br />
従来のブレーキのように、ブレーキペダルと摩擦ブレーキとが鋼索([[ケーブル]])や[[油圧]]などの[[機械]]的な手段で繫がっていないため、[[運転者]]の操作力はダイレクトに摩擦ブレーキに伝わることはない。ただし、市販車に装着されているブレーキバイワイヤは、電線のみで繋がった完全なバイワイヤ方式ではなく、[[故障]]時の対策として通常の油圧ブレーキ配管が併設され、[[フォールトトレラント設計|万一の場合には通常の油圧ブレーキが作動するようになっている]]。<br />
<br />
もともとは[[航空]]分野において、[[機体]]の大型化や高[[機動]]化に伴って人力操作では対応が困難になったことがきっかけで開発されたコンピュータによる操縦支援システム([[フライ・バイ・ワイヤ]])の概念を、[[自動車]]のブレーキ技術に応用したものである。<br />
<br />
運転者の意思とは無関係にコンピュータ独自の判断でブレーキに補正をかけることができるため、[[回生ブレーキ]]における摩擦ブレーキとの協調制御、[[トラクションコントロール]]や[[横滑り防止装置|スタビリティコントロール]]との併用、また[[オートバイ]]では前後連動ブレーキなど、[[安全]]面での[[性能]]向上が期待されている。<br />
<br />
市販車への採用は、[[2001年]]6月に[[トヨタ自動車]]が初代[[トヨタ・エスティマ#エスティマハイブリッド|エスティマ・ハイブリッド]]に標準搭載された「ECB」が世界初である。このシステムは、上記の「油圧式ブレーキに比べて制御しやすい」という利点を生かし、本来は個別に動作していた[[横滑り防止装置|横滑り防止装置(ESC、トヨタでの呼称は VSC + TRC)]]、[[電子制御ブレーキシステム|EBD]]付き[[アンチロック・ブレーキ・システム|ABS]]、[[ブレーキアシスト]]の機能を統合制御して車両の安定性を高めるシステムとして、また[[回生ブレーキ]]による[[エネルギー]]回収効率をより高めるために搭載している。<br />
<br />
[[輸入車]]においては、[[メルセデス・ベンツ]]も同年10月から[[ボッシュ (企業)|ボッシュ]]製のブレーキバイワイヤであるSBC([[:en:Sensotronic Brake Control|Sensotronic Brake Control]])を[[メルセデス・ベンツ・SLクラス|SLクラス]](R230型)に装備した。次いで[[2002年]]発売の[[メルセデス・ベンツ・Eクラス|Eクラス]]([[メルセデス・ベンツ・W211|W211型]])にも採用されたが、不具合が多く発生したため、Eクラスのみ廃止され、後期型から油圧式のブレーキとなった([[メルセデス・ベンツ・W211]]も参照)。<br />
<br />
その後、四輪車では、二代目[[トヨタ・プリウス]]の[[回生ブレーキ]]、[[オートバイ|二輪車]]では[[ホンダ・CBR1000RR]]等にも採用されている。<br />
<br />
== 関連項目 ==<br />
* [[アンチロック・ブレーキ・システム]] (ABS)<br />
* [[ドライブ・バイ・ワイヤ]]<br />
* [[アクチュエータ]]<br />
* [[安全装置]]<br />
* [[エックス・バイ・ワイヤ]]<br />
* [[ポールトレーラー]]<br />
* [[電気指令式ブレーキ]]<br />
<br />
== 外部リンク ==<br />
* [http://www1.odn.ne.jp/sogogiken/bywire.mihon.pdf 自動車バイワイヤ技術の現状と将来分析(PDF版)]<br />
* [http://techon.nikkeibp.co.jp/article/FEATURE/20100208/180034/?ST=print トヨタ・プリウスの協調回生ブレーキ]<br />
* [http://www.honda.co.jp/tech/motor/c-abs2/detail/index.html 電子制御コンバインドABS]<br />
<br />
{{自動車部品}}<br />
{{tech-stub}}<br />
<br />
{{DEFAULTSORT:ふれきはいわいや}}<br />
[[Category:自動車]]<br />
[[Category:自動車工学]]</div>
59.135.158.95
トロピカーナ
2018-07-05T08:49:42Z
<p>59.135.158.95: </p>
<hr />
<div>{{otheruseslist|アメリカ合衆国フロリダ州にあるジュース会社|アメリカ合衆国ネバダ州ラスベガスにあるカジノホテル|トロピカーナ (ホテル)|パチスロ機|トロピカーナ (パチスロ)|スタイル|トロピカーナ (スタイル)}}<br />
[[File:Tropicana Products old Logo.svg|thumb|right|250px|トロピカーナ]]<br />
'''トロピカーナ'''(Tropicana)は、[[アメリカ合衆国]][[フロリダ州]]にあるTropicana Products社が生産している[[ジュース]]([[ソフトドリンク]])の[[ブランド]]。[[1947年]]設立。米国においては1998年より[[ペプシコ]]の傘下となっている。<br />
<br />
1940年代の[[フロリダ州|フロリダ]]でに進物用のカットフルーツビジネスで成功したアンソニー・ロッシは、[[オレンジ・ジュース]]の瞬間殺菌技術を見て1949年に「トロピカーナ」のブランド名でジュースビジネスに参入した<ref name="Laszlo">ピエール・ラスロー『柑橘類の文化誌:歴史と人の関わり』寺町朋子訳 オーム社 2010年 ISBN 9784903532608 pp.178-179.</ref>。<br />
<br />
トロピカーナはジュースから水分を取り除く蒸発乾燥装置を開発することで[[濃縮還元|冷凍濃縮]]ジュースという技術革新をもたらし、冷凍ジュース市場でのトップブランドとなった<ref name="Laszlo"/>。1954年には、ごく短時間だけ加熱する新しい瞬間殺菌法を導入し、冷蔵状態で管理されるチルドジュースの製造へとつながった。物流面での技術改良も積極的に行われ、コーティング紙を用いた[[紙パック]]の開発をアメリカン・キャン・カンパニーに委託し、1969年には柑橘ジュース業界で最初に自前の紙パック製造工場を稼働させている<ref name="Laszlo"/>。<br />
<br />
日本においては、1991年に[[キリンビバレッジ]]と合弁会社を設立し、[[ライセンス生産]]による販売が開始された<ref>{{Cite web|url=http://www.k-tropicana.com/history.html|title=トロピカーナの原点|accessdate=2017-05-25|publisher=キリン・トロピカーナ}}</ref>。紙パック製品の販売は[[小岩井乳業]]が行っていたが、2011年よりキリンビバレッジ本体が行っている。日本において主なペプシコの飲料(ペプシコーラ、ゲータレード、マウンテンデューなど)は[[サントリーフーズ]]がライセンス生産を行っている中でキリンが販売している本製品は異例と言える。また、[[明治製菓]]よりその果汁を使った[[キャンディ]]が発売された。<br />
<br />
== 脚注 ==<br />
{{Reflist}}<br />
<br />
== 関連項目 ==<br />
* [[トロピカーナ・フィールド]](Tropicana Products社による[[ネーミングライツ]])<br />
<br />
== 外部リンク ==<br />
* [http://www.tropicana.com/ Tropicana(米国)]{{En icon}}<br />
* [http://www.k-tropicana.com/ トロピカーナ] - キリン・トロピカーナ<br />
* {{Facebook|kirintropicana.jp}}<br />
<br />
{{food-stub}}<br />
{{デフォルトソート:とろひかあな}}<br />
[[Category:市販清涼飲料水]]<br />
[[Category:ジュース]]<br />
[[Category:アメリカ合衆国の食品会社]]<br />
[[Category:キリンビバレッジ]]<br />
[[Category:ペプシコ]]</div>
59.135.158.95
スチールホイール
2018-06-23T22:28:14Z
<p>59.135.158.95: </p>
<hr />
<div>[[File:KFZ1560.jpg|thumb|200px|[[ドイツ|独]]KFZ社製の純正供給向けチューブレスタイヤ用4穴スチールホイール。極一般的な鉄チンホイールは概ねこのような外見を呈する。]]<br />
'''スチールホイール'''(Steelwheel)は、[[鋼|鉄鋼]]を用いて製造された[[自動車]]の[[車輪|ホイール]]。通称『'''鉄チンホイール'''』(てっチンホイール)。<br />
<br />
==解説==<br />
[[File:Nascarphx16.jpg|thumb|200px|[[NASCAR]]用のスチールホイール]]<br />
[[File:1969 AMC SCRambler whel.jpg|thumb|200px|1969[[モデルイヤー|年式]] [[アメリカン・モーターズ|AMC]]・[[:en:Rambler_American#SC.2FRambler|SC/ランブラー]]のスチールホイール。[[回転式拳銃|マグナムスタイル]]と呼ばれる様式で、[[アメリカ車]]ではアルミホイールが普及する以前は様々なデザインのスチールホイールが製作された。]]<br />
[[File:Daihatsu Naked 005.JPG|thumb|200px|[[ダイハツ・ネイキッド]]。「Naked」の言葉通り剥き出し(ありのまま)の素材感を表現するコンセプトに合わせ、特別にデザインされたスチールホイールが装着されている。]]<br />
スチールホイールには[[アルミホイール]]と比較して、以下のような特徴がある。<br />
===長所===<br />
*安い - アルミホイールと比較した場合安価に製造できる。<br />
*強い - [[じん性|靭性]](破壊抵抗性)にも優れるため、万一[[タイヤ]]が[[パンク]]しても[[リム (機械)|リム]]だけで相当距離を引きずりながらでも走行することができる。他に[[タイヤチェーン]]を装着する時ホイールへの傷付きを気にしなくて良い、アルミホイール以上に[[腐食]]([[錆]]が発生)しやすいものの、[[ワイヤーブラシ]]や粗目の[[サンドペーパー]]などで錆を落とした後、(ラッカースプレーなどで)[[塗装|リペイント(再塗装)]]すればそのまま再利用できる。<br />
<br />
===短所===<br />
*重い - [[鋼]]は[[アルミニウム合金]]よりも[[比強度]]が低いため、同一強度に仕上げると重くなりやすい。<br />
*デザイン性に欠ける - スタイリッシュな形状に加工しづらい。ほとんどの場合くすんだ銀色か黒色で、[[ブレーキキャリパー]]の[[オフセット]]による凹凸と穴が数個開いている([[原動機付自転車|原付バイク]]用のものは2本にまとまった支柱が3束ある形状)という無骨な見た目となる。このため市販乗用車の場合は、外側に[[樹脂]]製のカバー('''[[:en:Hubcap|ホイールキャップ]]'''、あるいはホイールカバー)か、樹脂製または金属製のセンターオーナメント(センターハブキャップ)を取り付けているケースがある。[[マッスルカー]]に分類されるアメリカ車やその影響を受けた日本のドレスアップカーでは、[[クロームメッキ]]された金属製のホイールカバーや、トリムリングと呼ばれるリムの部分のみを装飾する部品も好んで用いられる。<br />
<br />
===よくある誤解===<br />
「重い」「デザイン性に欠ける」という短所は'''「全てのスチールホイールに当てはまるとは限らない」'''ことに留意するべきである。<br />
<br />
;重量<br />
:鋼は[[疲労限度]]があるのに対しアルミニウム合金には限度がなく、繰り返される応力により止め処なく強度低下するため、用途によっては使用期間が想定を超えることを考慮し予め予備強度を確保する必要がある。自動車メーカー純正アルミホイールの多くは全体に肉厚を増して予備強度を確保するので一概にスチールホイールの方が重くなるとはいえない。[[本田技研工業|Honda]]公式サイトの[[FAQ]]によると、[[ホンダ・フリード|フリード(標準ピュアガソリン車)]]の場合14インチ鉄(タイヤ185/70R14)で7.1kg、15インチ(185/65R14)の場合、鉄7.9kg・アルミ8.3kgと同サイズで比べてもアルミの方が重いと言う結果になっている<ref>共にHonda公式、2015年1月26日閲覧。<br>ホイール重量に関して:[http://customer.honda.co.jp/faq2/userqa.do?user=customer&faq=faq_auto&id=30236&parent=30026 クルマQ&A フリード「ホイールの重量を教えて。」]<br>タイヤサイズに関して:[http://www.honda.co.jp/FREED/webcatalog/performance/ フリード標準車 性能] </ref>。<br />
;デザイン性<br />
:マルチスポーク形状などデザインを重視したスチールホイールが全くない訳ではなく、自動車やカー用品を販売する側の事情(上級グレード車を売りたい、あるいは(高額商品である)アルミホイールを売りたいなど)などもあって純正・社外品ともに普及が進んでいないという側面がある。ホイールそのものにデザインを施したスチールホイール(スタイルド・スチールホイール)を純正で採用する車種(例:[[トヨタ・RAV4]]および[[ダイハツ・テリオスキッド]]、2代目以降の[[スズキ・ジムニー]]などの[[SUV]]系、2代目[[トヨタ・カルディナ]](一部)および9代目[[トヨタ・カローラセダン]](ただし法人向けの「Xアシスタパッケージ」のみ)などの小型普通乗用車系、[[ダイハツ・ネイキッド]]や[[スズキ・ハスラー]]などの軽乗用車系)も存在する<ref>[http://www.topy.co.jp/dept/wheel/BB001_002.html フルデザインスチールホイールの一例]</ref>。<br />
<br />
==スチールホイールの利用状況==<br />
[[File:Osaka_Auto_Messe_2014_(104)_TRIAL_-_Toyota_86_(ZN6).JPG|thumb|200px|[[トヨタ・86]]「RC」。このグレードは趣味性の高い車種でありながら、ノーマルの状態ではホイールキャップなしのスチールホイールが装着されている。他のグレードとは違い写真のように購入後カスタムすることが前提の「素材」と割り切った商品であるからである。]]<br />
[[File:The frontview of Toyota Esquire (R80G) ver.BATMAN 75th.JPG|thumb|200px|[[トヨタ・エスクァイア]]の[[バットマン]]仕様カスタムカー。デザインコンセプト(例えば「無骨さ」や「ワル」な雰囲気を出したい場合)によっては、カスタムカーであってもあえてスチールホイールを使用することがある。]]<br />
<br />
その性質上、ホイールの外観を重視せず低コストで済ませたい車両に使われることが多いため、原付バイク、[[タクシー]]、[[教習車]]、[[社用車|営業車]]、[[バス (交通機関)|バス]]、[[貨物自動車|トラック]]、農業・産業機械、[[パトロールカー|パトカー]]などでよく目にされる。かつては[[覆面パトカー]]の目印ともされたが、近年では新車にアルミホイールが標準装着されていることが多く、次第にこの法則は当てはまらなくなってきている。また趣味性の高い車種であってもカスタム用の素材と割り切って装備を簡略化し価格を抑えたグレードが存在することがあり、そのような場合にもスチールホイールが使用されることがある<ref>[http://www.subaru.jp/brz/brz/grade/grade.html#grade1 スバル・BRZ「R カスタマイズパッケージ」]・・・本来趣味性の高い車種でありながらスチールホイール(それもキャップ無し)が装備されるのは、名前が示す通りこのグレードは'''ユーザーがカスタムすることを前提とした「素材」'''であり、購入後各自で好みのホイールに交換することが前提となっているからである。この様な対処は同じくカスタムベース用である[[三菱・ランサーエボリューション|三菱・ランエボ「RS」(一部仕様を除く)]]や[[日産・シルビア|日産・シルビア「スペックR・Type-B」]]などでも見ることができる。</ref>。ホイールに全くこだわりが無いドライバーの多くは安価で入手できるスチールホイールを購入することが多い(破損・盗難などでホイール交換を強いられた場合や履き替え用(スタッドレスタイヤなど)など)。しかし2010年代以降は車種(特に軒並みホイールを大径化(小さくても16インチ)した[[Dセグメント]]以上の車種)によってはスチールホイールの純正設定が無く<ref>・スチールホイールの設定がない、あるいは極端に限られるDセグメント以上に相当する車種の例(2016年10月24日、各社公式サイトより)<br />
*[http://toyota.jp/pages/contents/alphard/003_p_002/pdf/spec/alphard_equipment_list_201607.pdf アルファード(xxH30系)]:設定なし<br />
*[http://toyota.jp/pages/contents/markx/002_p_006/pdf/spec/markx_equipment_list_201501.pdf マークX(X130系)]:最低グレード「250G Fパッケージ」のみ<br />
*[http://www.nissan.co.jp/SKYLINE/PDF/skyline_specsheet.pdf スカイライン(V37)]:設定なし<br />
*レガシィ(BN9/BS9):[http://www.subaru.jp/legacy/b4/spec/ B4]・[http://www.subaru.jp/legacy/outback/spec/ アウトバック]ともに設定なし<br />
*[http://www.mazda.co.jp/globalassets/assets/cars/pdf/atenza/atenza_specification_201608.pdf アテンザ(GJ系)]:セダン・ワゴンともに設定なし<br />
</ref>、アルミホイールしか選択できない(もしくは極端に選択肢や入手経路が限られる)場合もある。<br />
<br />
また強度面から、[[貨物自動車]]においては車両重量および積載荷重に対する安全基準を満たした[[JWL|JWL-T]]規格アルミホイールが[[純正]]品・社外品も含めてあまり種類が多くない<ref>[http://www.mlit.go.jp/jidosha/kijyun/saimokubetten/saibet_002_00.pdf 軽合金製ディスクホイールの技術基準]では「専ら乗用の用に供する乗車定員10人以下の自動車(乗用車)を除く普通自動車、小型自動車及び軽自動車」には「トラック及びバス用軽合金製ディスクホイールの技術基準に適合したホイール(JWL-T規格)」が必要で、こうした車両のアルミホイールはJWL-T刻印が打刻されているものでなければ保安基準に適合せず、[[自動車検査登録制度|車検]]に通らない。ただし例外として最大積載量が500kg以下(ただし、平成26年1月以前の保安基準改正前までは最大積載量が200kg以下)の小型貨物自動車および軽貨物自動車の場合に限り、JWL-T刻印が打刻されていないアルミホイールであっても合法的に車検が通る場合もある(主に[[軽ボンネットバン]]や[[軽トラック]]、総排気量1,500cc以下かつ最大積載量500kg以下の小型ライトバンなど)。</ref>。こうした事情も含めてスチールホイールが積極的に利用され続けている。<br />
<br />
純正装着品以外(社外品)においては、ハブボルト穴を複数開けて何種類かの異なる[[ナット座ピッチ直径|P.C.D.]]に対応できるようにしたマルチホールタイプが主流であり、降雪地帯での[[スタッドレスタイヤ]]向けホイールとして量販店で販売されている。<br />
<br />
[[モータースポーツ]]においては、[[NASCAR]]の車両に現在でもスチールホイールが用いられており<ref>市販車両のものと異なり、高張力鋼を使用した非常に強度の高いホイールのため、一般的なアルミホイールよりもはるかに軽量である。</ref>、NASCAR車両をイメージした社外品のスチールホイールも存在する。また「無骨さ」「ワルっぽさ」といったデザインコンセプト上の問題やジャンルにおけるカルチャーからあえてスチールホイールを使用するカスタムカーもないわけではない。<br />
<br />
== 種類 ==<br />
[[File:Lambretta Model D 123cc - close-up of rear wheel - 20080302.jpg|thumb|200px|1950年代の[[イタリア]]の[[スクーター]]、[[ランブレッタ]]・モデルDのスチールホイール。'''合わせホイール'''と呼ばれる形式で、日本の軽自動車もおおむねこれと類似した形状のスチールホイールを採用していた。]]<br />
[[プレス加工]]により鋼板から[[ディスク]]を成形し、これをリム[[フランジ]]と溶接し製造する。またリムフランジ部とディスク部とを一体成形する工法もある。<br />
<br />
=== チューブレスタイヤ用 ===<br />
リムフランジ内側に、ビードからの空気漏れをおさえる凸部分が形成されている。また、空気口は気密性バルブが取り付けられるよう、規格と精度が保たれている。<br />
<br />
=== チューブタイヤ用 ===<br />
一体型の外観はチューブレスタイヤ用に似ているが、ビードシート部分の凸部分がないこと、空気口がチューブのバルブよりも大きい穴になっていることが異なっている。チューブレス用のバルブとタイヤを使用しても、チューブレスホイールとしての使用はできない。<br />
<br />
=== 合わせホイール ===<br />
チューブタイヤ用のうち、合わせホイールと呼ばれるものは、左右のリムをボルトとナットなどで合体させる2ピース構造になっており、合わせ面へのチューブの噛み込みを防止するため、ゴム製のリングが使用される。リムが分割構造となっているため一般的なリム乗り越し型のタイヤチェンジャーは必要無く、特別な工具が無くてもタイヤの着脱(入替え)が簡単に行なえる。この特徴から戦場での整備が避けられない[[軍用車両]]にも多く用いられ、「コンバットホイール」と呼ばれることもある。<br />
<br />
[[軽自動車]]では[[1950年代]]の360 cc規格期より多用された形式であり、[[1980年代]]初頭まで一部の550 cc規格車種も採用していた<ref>新規開発で合わせホイールを最後に採用した軽自動車は乗用では初代[[スズキ・セルボ]](最上級グレードを除く)、商用では5代目[[ダイハツ・ハイゼット]](全グレード)である。</ref>。[[オートバイ]]では[[ホンダ・モンキー]]を始めとする一部の[[原動機付自転車]]で現在も合わせホイールが採用されている。[[貨物自動車|トラック]]用はリム止めのリングで片側のリムを抑えており、ここへチューブの挟みこみを防止するために、ゴム製の[[フラップ]]が使用される。今日のスチールホイールと比較して製造に要する材料が少なく済み、ごく安価であることから黎明期の自動車で多用されたが、構造上組み合わせられるブレーキが[[ドラムブレーキ]]にほぼ限定されるため、[[ディスクブレーキ]]の普及や車両の平均速度の高速化・積載重量の高荷重化などに伴い、現在製造販売される自動車からはほぼ完全に姿を消した。しかし、[[産業機械]]用のノーパンクタイヤには、現在でもこのホイールが使われている。<br />
<br />
=== 2ピースホイール・3ピースホイール ===<br />
リムがスチール製かつ[[ハブ (機械)|ハブ]]がアルミ合金製のものや、ホイールディスクの代わりに[[スポーク]]が使われた例がある。<br />
<br />
==脚注==<br />
{{reflist}}<br />
<br />
== 関連項目 ==<br />
* [[アルミホイール]]<br />
* [[マグネシウムホイール]]<br />
* [[インチアップ]]<br />
<br />
== 外部リンク ==<br />
* [http://www.jama.or.jp/user/pdf/iso_wheel_100203.pdf 新・ISO方式ホイール取扱いガイド] - [[日本自動車工業会]]<br />
<br />
{{自動車部品}}<br />
{{デフォルトソート:すちいるほいいる}}<br />
[[Category:自動車部品]]</div>
59.135.158.95
SAP (企業)
2018-06-19T13:08:56Z
<p>59.135.158.95: </p>
<hr />
<div>{{基礎情報 会社<br />
| 社名 = SAP SE<br />
| ロゴ = [[File:SAP 2011 logo.svg|151px|SAP SE logo]]<br />
| 画像 = [[ファイル:SAP AG Headquarter 1200.jpg|280px|SAP本社]]<br />
| 種類 = 欧州会社([[欧州会社法]])<br />
| 市場情報 = {{FWB|SAP}}<br />{{nyse|SAP}}<br />
| 本社所在地 = [[ヴァルドルフ]], [[ドイツ]]<br />
| 設立 = 1972年 [[ヴァインハイム]], [[ドイツ]]<br />
| 業種 = 情報・通信業<br />
| 事業内容 = [[企業アプリケーション]]<br />
| 代表者 = {{仮リンク|Hasso Plattner|en|Hasso Plattner}} (Chairman)<br />{{仮リンク|Bill McDermott|en|Bill McDermott}} (CEO)<br />
| 売上高 = {{Increase}} 23.4 Billion € (2017)<ref name="financials">[http://go.sap.com/corporate/en/company.html SAP Company Information]</ref><br />
| 純利益 = {{Increase}} 3.63 Billion € (2016)<ref name="financials" /><br />
| 総資産 = {{Increase}} 27.09 Billion € (2013)<ref name="financials" /><br />
| 従業員数 = 84,100人 (2016年)<ref name="SAP Company Information">{{cite web|url=http://global.sap.com/corporate-en/our-company/index.epx |title=SAP at a Glance: Company Information |accessdate=2017-01-28}}</ref><br />
| 関係する人物 = [[ディートマー・ホップ|Dietmar Hopp]]<br />Hans-Werner Hector<br />{{仮リンク|Hasso Plattner|en|Hasso_Plattner}}<br />[[:en:Klaus Tschira|Klaus Tschira]]<br />[[:en:Claus Wellenreuther|Claus Wellenreuther]]<br />
| 外部リンク = {{URL|http://sap.com|SAP.com}}<br />
| 営業収益 = {{Increase}} 4.46 Billion € (2013)<ref name="financials" /><br />
| parent = <br />
| footnotes = <br />
| intl = yes<br />
}}<br />
'''SAP SE'''(エスエイピー・エスイー:英語、エス・アーペー・エスエー:{{lang-de|SAP SE}})は、[[ドイツ]]中西部にある[[ヴァルドルフ (バーデン)|ヴァルドルフ]]に本社を置く[[ヨーロッパ]]最大級の[[ソフトウェア]]会社。<br />
<br />
[[フランクフルト証券取引所]]、[[ニューヨーク証券取引所]]上場企業({{FWB|SAP}}, {{nyse|SAP}})。<br />
<br />
== 概要 ==<br />
SAPは主にビジネス向けソフトウェアの開発を手掛ける大手ソフトウェア企業であり、売上高では[[マイクロソフト]]、[[オラクル (企業)|オラクル]]、[[IBM]]に続いて世界第4位である。<ref>[http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1404/07/news030.html ソフトウェアのベンダー別ランキングが映し出すもの]</ref><ref name=":5">[http://www.tbr.co.jp/pdf/report/ind_g017.pdf 独 SAP と米セールスフォース・ドットコムに見る 海外有力ソフト企業のイノベーション]</ref> <!--ビジネスソフトウェアという観点では、世界最大の企業である。-->特に大企業向けのエンタープライズソフトウェア市場においては圧倒的なシェアを保持しており、企業の基幹システムである[[企業資源計画|ERP]]分野においては世界一である。<ref name=":5" /><ref>[http://www.publickey1.jp/blog/09/top50sap.html 業務アプリケーションベンダTOP50:首位SAP、オラクルが追走]</ref><br />
<br />
[[2017年]]末時点で世界全体での売上高が約3兆2,000億円<ref>[http://www.zdnet.com/article/sap-q4-2017-stable-profit-with-a-cloud-sales-surge/ SAP Q4 2017: Stable profit with a cloud sales surge]</ref>、従業員が約84,000人の規模になっている。日本法人である[[SAPジャパン]]は1992年に設立され、従業員は1,200人である(2017年10月現在)。<br />
<!--以下の記述は要出典--><br />
<!--SAPジャパン設立時の初期の頃は現在のロゴとは異なり、IBMのロゴと同じようにブルーの罫線の組合せで台形を構成し、SAPという文字を白抜きしたような感じになっていた。--><br />
<br />
第二次世界大戦後に創業したドイツ企業の中で最も成功した企業の一つであり、時価総額は2016年現在で約965億ユーロ(約11兆円)でドイツ最大の企業である。<ref name=":0">『日本経済新聞』 2016年8月16日朝刊 「独SAP、提携加速」</ref> 2017年現在、世界190ヶ国で345,000社の顧客を抱え、経済誌[[フォーブス (雑誌)|フォーブズ(Forbes)]]が毎年選出する[[フォーブス・グローバル2000|フォーブズ・グローバル2000]]にランクインする企業のうち87%がSAPの顧客である。<ref>[http://go.sap.com/corporate/en/company.html SAP Facts and Information]<br />
</ref><ref>[https://www.sap.com/corporate/en/company/history.html SAP: A 45-year history of success]</ref><br />
<br />
SAPは''Systemanalyse und Programmentwicklung''(「[[システム]][[分析]]と[[プログラム (コンピュータ)|プログラム]][[開発]]」の意味のドイツ語)という社名で、[[1972年]]に[[IBM]][[外国法人|ドイツ法人]]を退社した5人の[[エンジニア]]によって創業された。この名前は頭字語は後に''Systeme, Anwendungen und Produkte in der Datenverarbeitung'' (Systems, Applications And Products in Data Processing) と変更されたが、[[2005年]]に会社の正式名称は単に"SAP AG" と変更された。また、2014年7月からは企業形態を欧州会社(Societas Europaea)に変更し、社名を"SAP SE"と変更した。<ref>[http://news.mynavi.jp/news/2014/07/10/111/ SAP、会社形態を欧州会社(SE)に変更]<br />
</ref> 俗に「[[アクロニム|サップ]]」と呼ばれることもあるが、正しくは「エスエイピー」(英語および日本語の場合)または「エスアーペー」(ドイツ語の場合)である。<br />
<br />
広告などのキャッチコピーは「Run Simple」。<ref>[http://cloud.watch.impress.co.jp/docs/event/651840.html 新生SAPが掲げる“Run Simple”はHANAとクラウドとともに]</ref><br />
<br />
== 主要製品・サービス ==<br />
<br />
=== 基幹システムパッケージ(ERP) ===<br />
SAPの主な製品は、[[企業資源計画|ERP]]に代表されるビジネスアプリケーション群である。SAPのシステムは、企業における会計システム、物流システム、販売システム、人事システムなどからなっており、それぞれがデータ的に一元化されているため、リアルタイムな分析が可能となる。<br />
<br />
最も有名な製品は「[[SAP R/3]](エスエイピー・アール・スリー)」というERP製品であり、「R」はリアルタイムを意味し、「3」は[[三層アーキテクチャ]]([[データベース]][[サーバ]]、アプリケーションサーバ、クライアント)を採用していることを表している。SAP R/3以前には、{{仮リンク|SAP R/2|en|SAP R/2}}というメインフレーム上で動作するソフトウェアが開発・販売されていた。後継製品として、[[2004年]]7月に出荷されたmySAP ERP2004, 2006年5月に出荷されたmySAP ERP2005があり、2006年6月にはSAP ERP 6.0が出荷され、R/3という名前の製品は既に出荷されていない。また、2015年2月からは同社のインメモリーデータベース[[SAP HANA]]をプラットフォームに採用した次世代ERPである[[SAP S/4HANA]]が提供開始されている。<ref name=":7">[http://www.publickey1.jp/blog/15/saperps4hanaoraclehtml5ui.html SAPの新ERP「S/4HANA」、データベースはHANAのみ。HTML5ベースのUI、クラウドとオンプレ両対応]</ref>「S」はSimpleを意味する。<br />
<br />
機能要件に合わせてアドオン開発する場合は、SAP独自言語である[[ABAP]]を利用し開発環境であるABAPワークベンチ上で開発を行う。また、OpenSQLと呼ばれるデータベース非依存の[[SQL]]文を利用することでさまざまなデータベースに対応させるとともに、テーブルバッファによるデータのキャッシュの機能を持たせて性能を向上させている。<br />
<br />
中小企業向けのERPパッケージとして「[[SAP Business One]](ビジネス・ワン)」、中堅企業向けには「[[SAP Business All-in-One]](ビジネス・オールインワン)」が提供されている。<ref>[http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/011300130/ SAPジャパン、中小向けERP「SAP Business One」最新版を提供開始]</ref><ref>[http://www.nikkeibp.co.jp/news/it08q1/557634/ 中小・中堅企業向けのERPパッケージソリューションに注目]</ref> 又、2007年9月19日には、[[SaaS|オンデマンド(SaaS)]]型のERPソフトウェアサービス「[[SAP Business ByDesign]](ビジネス・バイデザイン)」を発表した。<ref>[http://www.atmarkit.co.jp/news/200709/20/sap.html SAPがSaaSに本格参入、中小向けERP発表]</ref><br />
<br />
=== 業務パッケージソフト/SaaS ===<br />
SAPは基幹システム以外にも[[顧客関係管理|CRM]]や[[SCM]], [[PLM]]といった幅広い分野でソリューションを提供し、大企業向けから中堅中小企業向けまで幅広くソリューションを提供している。また、[[オンプレミス]]製品依存からの脱却を目指し、クラウドサービスも積極的に展開しており、2015年には[[SaaS]]分野で売上世界4位にまで拡大した。<ref>東経, 『会社四季報 業界地図2017年版』東洋経済新報社 (2017)</ref> 主要なSaaSには経費精算の「[[コンカー・テクノロジーズ|Concur]](コンカー)」、人材管理の「[[SuccessFactors]](サクセスファクター)」、調達管理の「[[SAP Ariba]](アリバ)」、労務管理の「[[Fieldglass]](フィールドグラス)」、スポーツ・エンターテインメント業界向けクラウドソリューション「[[SAP Sports One]](スポーツ・ワン)」、コネクテッドカー向け分析クラウドソリューション「[[SAP Vehicle Insights]](ヴィエクル・インサイツ)」などがある。<ref>[http://www.publickey1.jp/blog/17/sapsap_cloud_platformiossdkiotapipaas.html SAP、「SAP Cloud Platform」にクラウドの名称変更。iOS用SDK、IoT対応、仮想マシン、API群など汎用PaaS型クラウドサービスとして訴求へ]</ref><ref>[http://ascii.jp/elem/000/001/139/1139267/ 「調達のデジタル化」は何をもたらすか、SAP Ariba社長に聞く]</ref><ref name=":4">[http://mag.executive.itmedia.co.jp/executive/articles/1705/31/news006.html 稼働率99.9%のPaaS, SAP Cloud Platform:アプリ開発に何が必要かを もっとも理解しているのがSAP]</ref><br />
<br />
CRM分野では[[オンプレミス]]型の「[[SAP CRM]]」や[[SaaS]]型の「[[SAP Cloud for Customer]](クラウド・フォー・カスタマー)」を提供しており、2015年時点のCRM分野の売上高は、首位の米[[セールスフォース・ドットコム|Salesforce.com]]に続き世界2位である。<ref>[http://www.sbbit.jp/article/cont1/29372 CRMベンダー4社をガートナーが比較、セールスフォース、SAP、オラクル、MSの動向]<br />
</ref> 2018年6月にはインメモリデータプラットフォームを採用した次世代CRMとして「[[SAP C/4HANA]]」を発表した。<br />
<br />
金融機関固有業務向けのパッケージも手掛けており、銀行向けの「[[SAP Core Banking]](コア・バンキング)」や「[[SAP Omnichannel Banking]](オムニチャネル・バンキング)」、保険業界向けの「[[SAP for Insurance]](エイエイピー・フォー・インシュランス)」なども提供している。<ref>[https://www.sapjp.com/blog/archives/7997 わずか7年で顧客満足度を国内トップに押し上げたオーストラリア・コモンウェルス銀行のコアバンキングモデル]</ref><ref>[http://news.sap.com/japan/2017/02/09/sap%E3%81%AE%E6%96%B0%E3%81%97%E3%81%84%E3%83%87%E3%82%B8%E3%82%BF%E3%83%AB%E3%83%90%E3%83%B3%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%82%BD%E3%83%AA%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%80%81it/ SAPの新しいデジタルバンキングソリューション、ITを簡素化し未来の銀行に向けた共同イノベーションを促進]</ref><ref>[https://www.tis.co.jp/news/tis_news/20131021_1.html TISとSAPジャパン、金融業界におけるビジネスで協業]</ref><br />
<br />
=== アプリケーションサーバー/SOA ===<br />
当初の戦略はあまねく業務ソフトウェアを提供し、SAP製品同士であればシステム間のデータなどの整合性を担保することによって他社との競争優位を引き出していたが、昨今の[[サービス指向アーキテクチャ]] (SOA) の流行による戦略の転換を図り、[[2003年]]からはSOAに対応した「[[SAP NetWeaver]](ネットウィーバー)」という製品を販売している。又、SAPではSOAをenterprise SOA(SAP NetWeaver; 登場当時はEnterprise Service Architecture (ESA) と呼ばれた)と呼称している。<br />
<br />
=== DB/BI/DWH ===<br />
2008年1月に[[ビジネスインテリジェンス|ビジネスインテリジェンス(BI)]]最大手のBusiness Objects(ビジネスオブジェクツ)社を買収し、情報分析・活用分野も強化している。<ref>[http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0710/08/news006.html SAP、Business Objectsを友好的買収へ]</ref> 2010年にはデータベース大手[[Sybase]](サイベース)社を買収し、[[関係データベース|リレーショナルデータベース]]製品「[[Adaptive Server Enterprise|SAP Sybase Adaptive Server Enterprise(ASE)]]」(旧称:Sybase Adaptive Server Enterprise)や「[[SAP IQ]]」(旧称:Sybase IQ)を販売している。<ref>[https://www.sapjp.com/blog/archives/4108 SAPアプリケーション向けデータベースとしてSAP Sybase ASEが採用される理由とは]</ref><ref>[http://www.publickey1.jp/blog/12/saperpsybase.html SAPがついに「データベース市場への本格参入」を宣言。ERPのデータベースとしてSybaseが選択可能に]</ref><ref>[http://news.mynavi.jp/articles/2012/05/10/sap/ SAPジャパンがDB市場に本格参入 - SAP HANAを核にサイベース製品を融合]</ref><br />
<br />
2010年には[[インメモリデータベース|インメモリーデータベース(DB)]]「[[SAP HANA]](ハナ)」をリリースした。SAP HANAのリリース以降、SAPはSAP HANAを専用データベースとして採用した製品を次々とリリースしており、2015年には次世代ERP「[[SAP S/4HANA]](エス・フォー・ハナ)」の提供を開始、続いて2016年には[[DWH|データウェアハウス(DWH)]]製品の「[[SAP BW/4HANA]]」をリリースした。<ref>[http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1205/09/news106.html SAPジャパンがDB市場に本格参入 サイベースとのシナジー効果を]</ref><ref name=":7" /><ref>[http://japan.zdnet.com/article/35088347/ SAP、次世代データウェアハウス「SAP BW/4HANA」を発表]<br />
</ref><br />
<br />
計画、予測、BIなどのアナリティクス機能を1つにまとめたSaaS型のソリューション「[[SAP BusinessObjects Cloud]](ビジネスオブジェクツ・クラウド)」も提供している。<ref name=":4" /><br />
<br />
=== PaaS ===<br />
2013年にはクラウドネイティブの[[ウェブアプリケーション|Webアプリケーション]]や[[モバイルアプリケーション]]を開発できるクラウドベースのアプリケーション開発プラットフォーム「[[SAP Cloud Platform]]」(旧称:SAP HANA Cloud Platform)の提供を開始した。<ref>[http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1606/13/news081.html SAPが「HANA Cloud Platform」に込めた大いなる野望]</ref><ref>[http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1506/01/news024.html SAPのPaaS「SAP HANA Cloud Platform」は日本に浸透するか?]</ref> Appleとの提携に基づいた「[[SAP Cloud Platform SDK for iOS]]」やIoT活用の基盤となる「SAP Cloud Platform IoTサービス」なども提供している。<ref>[http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1704/24/news051.html なぜSAPはPaaSの名称から「HANA」を外したのか (1/2)]</ref><br />
<br />
又、SAP Business Suite製品群を運用するために特化されたプライベートマネージドクラウドサービスとして「[[SAP HANA Enterprise Cloud]]」(HEC)も提供されている。<ref>[http://www.publickey1.jp/blog/13/saperpcrmsap_hana_enterprise_cloud.html SAP、ミッションクリティカルなERP/CRM向けクラウドサービス「SAP HANA Enterprise Cloud」を発表。基幹業務に特化したベアメタルサーバと仮想プライベートクラウド]</ref> <br />
<br />
=== IoT ===<br />
2017年1月には[[モノのインターネット|IoT]]関連のサービスポートフォリオとして「[[SAP Leonardo]](レオナルド)」をリリースし、企業のIoT導入を支援するソフトウェア群とコンサルティングサービスの提供を開始した。<ref name=":2">[http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1702/08/news029.html IoT導入を支援するコンサルティングサービスを発表]</ref><ref name=":3">[https://japan.zdnet.com/article/35095386/ IoTのアイデアをすぐに具現化--SAPがIoT製品群の短期導入プログラム]</ref> 2017年5月には自動車の挙動情報を収集し分析するアプリケーション「[[Connected Transportation Safety]](CTS)」も公開された。<ref name=":4" /><!--<br />
SAP社の製品は、企業における各業務(財務 / 管理[[会計]]、[[販売]]、倉庫管理、[[生産]]、人事等)に関して、伝票の入力、状況の確認等、情報の入出力システムである。特徴としては、各業務の情報を1つの "SAP" システムに格納するため、組織横断的な情報の分析が可能である。また、テンプレート化されているため、プロトタイプ方式のシステム導入に適している。このようなシステムを'''ERPシステム'''と呼ぶ。<br />
--><br />
<!--<br />
下の図は、各業務をモデル化したものである。業務を行う上で“物”がバリューチェーンを通して流れ、その情報を伝票の起票によって、情報化され、状況の分析の際に、レポート化される。また、物の流れにともなって、“勘定”即ち“お金”という形で情報化されたり、各行動をつかさどっている組織、従業員も情報化される。つまり、企業における、“人”“物”及び“金”を情報化して一気通貫して分析できる仕組みとなっている。<br />
--><br />
=== ブロックチェーン ===<br />
ブロックチェーンについてはSAP Leonardoの一部としてSAP Leonardo Blockchainというパッケージでブロックチェーン技術を利用可能であったが、2018年6月にはブロックチェーン・アズ・ア・サービス(Blockchain as a service)として「SAP Cloud Platform Blockchain」の提供開始を発表した。<ref name=":9">{{Cite news|title=SAP、新たなブロックチェーンサービス「SAP Cloud Platform Blockchain」を開始|date=2018-06-07|url=https://japan.zdnet.com/article/35120468/|accessdate=2018-06-10|language=ja|work=ZDNet Japan}}</ref> SAPはこれまでに製造、流通、食品、医薬品等の多数の分野でブロックチェーンの利用事例を作り、65社の企業と提携している。<ref name=":9" /><ref name=":10">{{Cite news|title=SAPがブロックチェーン開発支援のプラットフォームを立ち上げ {{!}} lab|date=2018-06-08|url=https://bitcoinlab.jp/news/1557/|accessdate=2018-06-10|language=ja|work=ビットコインラボ}}</ref> 更にSAPグループ開発技術の利用資格を持つメンバーのブロックチェーンコンソーシアムを結成しており、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ、インテル、UPS等の大手企業が参加を表明している。<ref name=":10" /><br />
<br />
== 業務提携 ==<br />
近年では異業種を含めた他社との協業を強化し、新たな領域での事業の創出に注力している。2015年12月時点では新事業が売上高の6割を占め、[[企業資源計画|ERP]]を中心とする既存事業からの依存脱却を図っている。<ref name=":1" /> 提携先は、米[[アップル (企業)|アップル]]、米[[Google]]、米[[IBM]]、米[[マイクロソフト]]などの[[情報技術|IT]]企業のほか、異業種では独[[シーメンス]]、米[[アンダーアーマー]]、米[[ユナイテッド・パーセル・サービス|UPS]]、独[[アディダス]]、伊[[トレニタリア]](鉄道大手)、伊[[ピレリ]](タイヤ大手)、独サッカー代表チーム、韓国政府、中国政府などの企業や組織が挙げられる。<ref name=":0" /><ref name=":1" /><ref>[http://www.sbbit.jp/article/cont1/31930 シーメンス島田専務、SAP馬場氏、長島社長鼎談、インダストリー4.0にどう備えるべきか]<br />
</ref><ref>[http://www.publickey1.jp/blog/17/googlesapsap_cloud_platformgoogle_cloud.html [速報]GoogleとSAPがクラウドで協業。SAP Cloud PlatformをGoogle Cloud上で展開可能に]</ref><br />
<br />
米[[アップル (企業)|アップル]]とは法人向け[[人工知能|AI(人工知能)]]を活用した対話[[アプリケーションソフトウェア|アプリ]]や法人向けクラウドサービスの開発を行っている。<ref>『日本経済新聞』 2016年8月25日夕刊 「アップル、法人向けAI - SAPと対話アプリ開発」</ref><ref>[http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM06H39_X00C16A5000000/ 米アップル、独SAPと提携 法人向けクラウドサービス開発]<br />
</ref><br />
<br />
[[モノのインターネット|IoT(モノのインターネット)]]分野では、ドイツが官民一体で進める「[[インダストリー4.0]]」と呼ばれる次世代の産業創出のための国家プロジェクトに参画し、独[[シーメンス]]や独[[ロバート・ボッシュ (企業)|ボッシュ]]と協力して世界標準策定に携わっている。<ref name=":1">「独SAP - 革新のジレンマ克服」,『日経ビジネス』2016年8月29日 No.1855,p.48-057,日経BP社</ref><ref>[http://japan.zdnet.com/article/35064800/ SAPの壮大なIoT戦略--センサからERP、そしてビジネスネットワークまで]<br />
</ref> 2016年には米[[ゼネラル・エレクトリック|ゼネラル・エレクトリック(GE)]]グループとも提携し、IoT分野での影響力拡大を図っている。<br />
<br />
医療分野でも存在感を増しており、癌研究をリードする米国臨床腫瘍学会(ASCO)が2015年に開始したプロジェクトに参画し、治療履歴を活用して治療方法を研究するソフトウェアを開発した。<ref name=":1" /> 金融では2016年7月には米リップル・ラボやカナダのATBフィナンシャル銀行と協力して、[[ブロックチェーン]]技術を採用したカナダからドイツへの国際支払送金に成功した。<ref>[http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/080402335/ SAPジャパン、ブロックチェーンでカナダとドイツ間の即時送金に成功した事例を発表]<br />
</ref><br />
<br />
日系企業とも協業を広めており、2015年10月17日に日産、[[横浜F・マリノス]]と提携し、クラブチーム運営業務の効率化やファン満足度向上のためのマーケティング活動に取り組むことを発表した。2016年9月15日には[[日本電信電話|NTT]]とIoTを活用した安全運航管理サービスを開始した。<ref>[http://news.mynavi.jp/news/2016/09/15/381/ SAPとNTT、グローバルでの協業を拡大 - 第一弾は安全運行管理]<br />
</ref> 2018年3月にはコニカミノルタと提携し、[[ロボティック・プロセス・オートメーション|RPA(Robotic Process Automation)]]を活用したクラウド型データ入力サービスも提供している。<ref>{{Cite news|title=コニカミノルタ、クラウド型データ入力代行サービス SAPと連携|url=https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00468124|accessdate=2018-04-28|work=日刊工業新聞電子版}}</ref> <br />
<br />
== 歴史 ==<br />
<br />
=== 略歴 ===<br />
* [[1972年]] - ドイツにSystemanalyse und Programmentwicklungを設立<br />
* [[1976年]] - 社名をSAPに変更<br />
* 1992年10月16日 - 日本法人として[[SAPジャパン|SAPジャパン株式会社]]を設立<br />
* [[2006年]][[5月12日]] - コンプライアンスソリューション企業 Virsa Systems社を買収 <ref>[http://www.atmarkit.co.jp/news/200609/23/grc.html GRC(ガバナンス、リスク、コンプライアンス)を改めてアピール、SAP - @IT]</ref><br />
* [[2008年]][[1月15日]] - [[ビジネスインテリジェンス]]ソフトウェアベンダー Business Objects社を買収完了 <ref>[https://news.mynavi.jp/news/2008/01/21/034/index.html 独SAP、Business Objectsの買収完了 - マイコミジャーナル] </ref><br />
* [[2010年]][[5月12日]] - データベース系のソフトウェアベンダー [[Sybase]]の買収合意を発表 <ref>[http://japan.internet.com/finanews/20100514/12.html SAP が58億ドルで Sybase 買収へ - japan.internet.com]</ref><br />
* [[2011年]][[12月3日]] - クラウド人事管理系のソフトウェアベンダー {{仮リンク|SuccessFactors|en|SuccessFactors}}の買収合意を発表 <ref>[http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1112/05/news037.html SAP、クラウドサービスのSuccessFactorsを34億ドルで買収]</ref><br />
* 2013年8月 - カスタマーエクスペリエンスのhybrisを買収<br />
* 2014年9月 - SaaSベンダー2位でクラウド経費精算ソリューションを展開する[[コンカー・テクノロジーズ]]を買収<ref>[http://ascii.jp/elem/000/000/936/936356/ SaaSベンダー第2位のコンカーを買収!クラウドに傾注するSAP]<br />
</ref><br />
* 2014年7月 - ドイツ企業から欧州会社への転換に伴い、社名をSAP SEに変更<br />
* 2017年3月 - [[モノのインターネット|IoT]]関連ソフトウェア群「[[SAP Leonardo]]」と同ソフトウェア群の導入を支援する「ジャンプスタートイネーブルメントプログラム」を発表。<ref name=":2" /><ref name=":3" /><br />
* 2017年3月 - Appleと共同でSAP Cloud Platform SDK for iOSのリリースを発表<ref>[http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/idg/14/481709/030200304/ AppleとSAPの提携は開発者志向、iOS向けSDKを3月末にリリース]</ref><br />
* 2017年3月 - Googleとクラウド分野での協業を発表<ref>[http://www.publickey1.jp/blog/17/googlesapsap_cloud_platformgoogle_cloud.html [速報]GoogleとSAPがクラウドで協業。SAP Cloud PlatformをGoogle Cloud上で展開可能に]</ref><br />
* 2018年1月 - 米Recast.AIを買収し、SAP Leonardo Machine Learningの機能強化を発表。<ref name=":8">[https://b2b-ch.infomart.co.jp/news/detail.page;JSESSIONID_B2BCH=9998cb2c54b91d7cae4e17c2b43e?0&IMNEWS1=853035 SAP、フランスでのイノベーション推進に向けてコミットメントを強化 、Recast.AI社の買収によりSAP(R) Leonardo Machine Learning機能の開発を加速]</ref><br />
* 2018年1月 - クラウドネイティブCRMの米カリダスの買収を発表。<ref>'''[https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-01-30/P3CWHY6JTSEG01 SAP:米カリダスを約24億ドルで買収へ-クラウド事業の強化狙う]'''</ref><br />
*2018年6月 - Microsoftとの提携拡大を発表。MicrosoftがSAP S/4HANAを採用し、SAPは同社のクラウドサービスをMicrosoft Azure上で稼働させるなど、両社の製品/サービスの相互利用範囲を拡大させた。<ref>{{Cite news|title=マイクロソフト、SAPとAzureの連携で前進--SAP Cloud Platform on AzureのGA発表など|date=2018-06-06|url=https://japan.zdnet.com/article/35120340/|accessdate=2018-06-11|language=ja|work=ZDNet Japan}}</ref><br />
*2018年6月 - ブロックチェーン・アズ・ア・サービス(BaaS)として「SAP Cloud Platform Blockchain」の提供を開始。<ref name=":9" /> 又、ブロックチェーンコンソーシアムの結成を発表。<ref name=":10" /><br />
<br />
=== 企業買収 ===<br />
{| class="wikitable"<br />
!買収時期<br />
!企業名<br />
!主要事業領域<br />
|-<br />
|1996年<br />
|Dacos<br />
|小売ソリューション<br />
|-<br />
|1997年<br />
|Kiefer & Veittinger<br />
|営業支援アプリケーション<br />
|-<br />
|1998年<br />
|OFEK-Tech<br />
|倉庫および流通センター向けソフトウェア<br />
|-<br />
|1998年<br />
|AMC Development<br />
|コールセンター向け電話統合ソフト<br />
|-<br />
|1999年<br />
|Campbell Software<br />
|人材管理ソフト<br />
|-<br />
|2000年<br />
|In-Q-My Technologies GmbH<br />
|J2EE Server<br />
|-<br />
|2001年2月<br />
|Prescient Consulting<br />
|コンサルティングサービス<br />
|-<br />
|2001年3月<br />
|Toptier<br />
|企業情報ポータルおよび統合インフラ<br />
|-<br />
|2001年5月<br />
|Infinite Data Structures<br />
|取引管理、CRM<br />
|-<br />
|2001年11月<br />
|COPA GmbH<br />
|飲料業界向けコンサルティングサービス<br />
|-<br />
|2001年12月<br />
|Paynet International AG<br />
|請求管理<br />
|-<br />
|2002年2月<br />
|Topmanage<br />
|SAP BusinessOne Suite<br />
|-<br />
|2002年5月<br />
|Expression<br />
|リアルタイムファイル共有サービス<br />
|-<br />
|2002年5月<br />
|IMHC<br />
|統合医療管理システム<br />
|-<br />
|2002年12月<br />
|Guimachine<br />
|NetWeaver Visual Composer toolkit<br />
|-<br />
|2003年6月<br />
|DCW Software<br />
|OS/400 Applications<br />
|-<br />
|2003年12月<br />
|SPM Technologies<br />
|ITアーキテクチャコンサルティングサービス<br />
|-<br />
|2004年6月<br />
|A2i<br />
|マスタデータ管理システム<br />
|-<br />
|2005年1月<br />
|ilytix<br />
|SAP BusinessOne Business Intelligence<br />
|-<br />
|2005年1月<br />
|TomorrowNow<br />
|非公式市場支援システム<br />
|-<br />
|2005年2月<br />
|DCS Quantum<br />
|自動取引管理システム<br />
|-<br />
|2005年6月<br />
|Lighthammer<br />
|製造インテリジェンスおよびコラボレーティブ製造システム<br />
|-<br />
|2005年9月<br />
|Triversity<br />
|POSシステム<br />
|-<br />
|2005年11月<br />
|Khimetrics<br />
|小売りソフト<br />
|-<br />
|2005年11月<br />
|Callixa<br />
|企業統合情報システム<br />
|-<br />
|2005年12月<br />
|SAP Systems Integration<br />
|コンサルティングサービス<br />
|-<br />
|2006年4月<br />
|Virsa Systems<br />
|コンプライアンスソリューション<br />
|-<br />
|2006年5月<br />
|Frictionless Commerce<br />
|SRMソフト<br />
|-<br />
|2006年6月<br />
|Praxis Software Solutions<br />
|WebベースCRM、Eコマース<br />
|-<br />
|2006年12月<br />
|Factory Logic<br />
|生産スケジューリングシステム、サプライ同期システム<br />
|-<br />
|2007年2月<br />
|Pilot Software<br />
|戦略管理ソフト<br />
|-<br />
|2007年5月<br />
|Outlooksoft<br />
|プランニングおよび統合<br />
|-<br />
|2007年5月<br />
|MaXware<br />
|アイデンティティソフト<br />
|-<br />
|2007年5月<br />
|Wicom Communications<br />
|インターネットコミュニケーションソフト<br />
|-<br />
|2007年10月<br />
|Yasu Technologies Pvt. Ltd.<br />
|ビジネスルール管理ソフト<br />
|-<br />
|2007年10月<br />
|Business Objects<br />
|[[ビジネスインテリジェンス]]<br />
|-<br />
|2008年6月<br />
|Visiprise<br />
|生産実行システム<br />
|-<br />
|2009年5月<br />
|Highdeal<br />
|大規模請求管理<br />
|-<br />
|2009年9月<br />
|SAF<br />
|在庫システム<br />
|-<br />
|2010年5月<br />
|TechniData<br />
|環境、医療、安全<br />
|-<br />
|2010年5月<br />
|[[Sybase]]<br />
|[[データベース]]、[[ミドルウェア]]、[[モバイル]]<br />
|-<br />
|2010年12月<br />
|Cundus<br />
|ディスクロージャー管理ソフト<br />
|-<br />
|2011年3月<br />
|Secude(セキュリティ部門)<br />
|セキュリティソフト<br />
|-<br />
|2011年9月<br />
|Crossgate<br />
|B2Bコマース<br />
|-<br />
|2011年9月<br />
|Right Hemisphere<br />
|3Dビジュアライゼーション<br />
|-<br />
|2011年12月<br />
|SuccessFactors<br />
|クラウドベース人材管理ソフト<br />
|-<br />
|2012年1月<br />
|datango<br />
|電子パフォーマンス支援技術<br />
|-<br />
|2012年6月<br />
|Syclo<br />
|モバイル資産管理<br />
|-<br />
|2012年10月<br />
|[[アリバ]]<br />
|電子購買サプライヤーネットワーク<br />
|-<br />
|2013年2月<br />
|Ticket-Web<br />
|スポーツおよびエンターテインメント業界向け[[顧客関係管理|CRM]]<br />
|-<br />
|2013年2月<br />
|SmartOps<br />
|在庫最適化ソリューション<br />
|-<br />
|2013年3月<br />
|Camilion<br />
|保険ソリューション<br />
|-<br />
|2013年5月<br />
|hybris<br />
|カスタマーエクスペリエンス、Eコマース向けソリューション<br />
|-<br />
|2013年10月<br />
|KXEN<br />
|予測分析サービス<br />
|-<br />
|2014年3月<br />
|Fieldglass<br />
|臨時雇用人材管理サービス<br />
|-<br />
|2014年5月<br />
|SeeWhy<br />
|行動ターゲットマーケティング分析<br />
|-<br />
|2014年9月<br />
|[[コンカー・テクノロジーズ]]<br />
|クラウドベース旅行および経費精算サービス<br />
|-<br />
|2014年10月<br />
|Saicon INC<br />
|リクルートメントサービス<br />
|-<br />
|2016年2月<br />
|MeLLmo Inc. (Roambi)<br />
|[[携帯機器|モバイル]]向け[[ビジネスインテリジェンス]]<br />
|-<br />
|2016年6月<br />
|Fedem Technology<br />
|[[モノのインターネット|IoT]]<br />
|-<br />
|2016年8月<br />
|Altiscale<br />
|ビッグデータ&Hadoopホスティングサービス<br />
|-<br />
|2016年10月<br />
|Plat.One<br />
|[[モノのインターネット|IoT]]<br />
|-<br />
|2016年12月<br />
|Abakus<br />
|マーケティングアトリビューション<br />
|-<br />
|2017年9月<ref>[https://japan.zdnet.com/article/35107758/ SAP、カスタマーアイデンティティ管理のGigyaを買収へ]</ref><br />
|Gigya<br />
|カスタマーアイデンティティ管理<br />
|-<br />
|2018年1月<ref name=":8" /><br />
|Recast.ai<br />
|会話型ユーザーエクスペリエンス[[人工知能|AI]]サービス<br />
|-<br />
|2018年1月<ref>[https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26322850Q8A130C1TJ2000/ 独SAP、米営業支援ソフト会社を買収 2600億円]</ref><br />
|カリダス<br />
|SaaS型[[顧客関係管理|CRM]]<br />
|}<br />
<br />
=== 創業者 ===<br />
SAPは1972年にIBMドイツ法人出身の下記の5名のエンジニアによって創設された。<ref name=":6">[https://tenshock.biz/articles/2114 【ERP世界一】SAPジャパン(株)に転職するなら知っておきたい情報まとめ]</ref><br />
* Hasso Plattner(ハッソ・プラットナー)<ref name=":6" /><br />
* Klaus Tschira<ref name=":6" /><br />
* Claus Wellenreuther<ref name=":6" /><br />
* Dietmar Hopp(ディートナー・ホップ)<ref name=":6" /><br />
* Hans-Werner Hector<ref name=":6" /><br />
<br />
== 脚注 ==<br />
{{脚注ヘルプ}}<br />
{{Reflist}}<br />
<br />
== 関連項目 ==<br />
* [[SAPジャパン]]<br />
* [[SAPアレーナ]]<br />
* [[TSG1899ホッフェンハイム]] - SAP社がスポンサー。創業者の一人[[ディートマー・ホップ]]が在籍していた。<br />
* [[SAP認定コンサルタント制度]]<br />
<br />
== 外部リンク ==<br />
{{Commonscat|SAP}}<br />
* [http://www.sap.com/ SAP SE]<br />
* [http://www.sap.com/japan/ SAPジャパン(日本法人)]<br />
* [http://homepage3.nifty.com/designer/ ABAP HELP]<br />
* [http://withsap.com/ WITH SAP]<br />
<br />
{{DAX}}<br />
{{EURO STOXX 50}}<br />
{{STOXX Europe}}<br />
{{MATvp}}<br />
<br />
{{DEFAULTSORT:えすえいひい}}<br />
[[Category:ドイツのソフトウェア会社]]<br />
[[Category:ドイツの多国籍企業]]<br />
[[Category:1972年設立の企業]]<br />
[[Category:フランクフルト証券取引所上場企業]]<br />
[[Category:NYSE上場企業]]<br />
[[Category:バーデン=ヴュルテンベルク州の企業]]<br />
[[Category:頭字語のブランド名|SAP]]</div>
59.135.158.95
ABC
2018-05-23T15:05:03Z
<p>59.135.158.95: /* 企業・法人 */</p>
<hr />
<div>{{clear}}<br />
'''ABC'''(エービーシー)とは、[[ラテン文字]][[アルファベット]]の最初の3文字。<br />
* 物事を習得する際の初歩。アルファベットの最初の3文字であることから転じている。日本語における「[[いろは]]」の比喩的表現に同じ。フランス語には"B.A.-BA"(「ベアバ」:bとaでbaだから)という言い方もある。<br />
<br />
<!-- '''ABC'''は、以下のものの略称でもある。 --><br />
== 企業・法人 ==<br />
=== 放送事業者 ===<br />
* アメリカのネットワークテレビ放送局・[[アメリカン・ブロードキャスティング・カンパニー]] (American Broadcasting Company) の略称。<br />
** [[ABCファミリー・ワールドワイド]] - 上記の関連企業。<br />
** [[ABCファミリー]] - 上記傘下のテレビ放送局。<br />
* オーストラリアの公共放送局[[オーストラリア放送協会]] (Australian Broadcasting Corporation) の略称。<br />
* 日本の認定放送持株会社[[朝日放送グループホールディングス]]の旧商号である、朝日放送(Asahi Broadcasting Corporation) の略称。<br />
** [[朝日放送テレビ]](ABCテレビ) - 上記傘下のテレビ放送局。<br />
** [[朝日放送ラジオ]](ABCラジオ) - 上記傘下のラジオ放送局。<br />
<br />
===流通業===<br />
* [[青山ブックセンター]] (Aoyama Book Center) - 日本の書店。<br />
* [[ABCストア]] - ホノルル拠点のコンビニエンスストアチェーン。<br />
* [[ABCマート]] - 日本の靴・衣料品のチェーン店。<br />
* スーパーABC - [[フジ (チェーンストア)#株式会社フジマート四国|(株)フジマート四国]]が[[愛媛県]][[松山市]]で展開しているスーパーマーケット。<br />
** 株式会社エービーシー - スーパーABCの元々の運営会社。<br />
* [[ABCクラフト]]<!-- [http://www.abc-craft.co.jp/]--> - 手芸用品の通販会社。<br />
* [[ABC商会]]<!-- [http://www.abc-t.co.jp/]--> - 建材の開発・輸入・販売を行う東京都千代田区の会社。<br />
<br />
=== その他の企業・法人 ===<br />
<!--広告掲載の場にしない--><br />
* [[全日本空輸]]傘下の[[アウトソーシング]]企業・[[ANAビジネスクリエイト]] (ANA Business Create Co., Ltd.) の略称。<br />
* [[中国農業銀行]] (Agricultural Bank of China) の略称。<br />
* [[ABC (新聞)]] - スペインの新聞。<br />
* [[ABCサービス]] - 日本の[[人材派遣会社]]。<br />
* [[ABCクッキングスタジオ]]<br />
* [[ABC (静岡県のパチンコ業)]]<!-- [http://www.abc-p.jp/]--> - 静岡県<!--内に本社を置き、同県内-->を中心に、主に[[パチンコ]]店を展開する企業。<br />
* [[ABCホビー]]<!-- [http://www.abchobby.com/]--> - [[ラジコン模型自動車|RCカー]]等の製造・販売を行う大阪市東淀川区の会社。<br />
* [[ABCハウジング]] - 首都圏・近畿圏の住宅展示場。<br />
** [[エー・ビー・シー開発]]<!--株式会社 [http://www.abcd.ne.jp/]--> - 上記を運営する企業の通称、朝日放送の関連会社。<!--ABC開発(略称ABCD)-->。<br />
* [[日本ABC協会]] (Japan Audit Bureau of Circulations) - 新聞発行部数の公査を行う社団法人。<br />
* [[JALエービーシー]]<!-- [http://www.jalabc.com/index.html]--> - [[日本航空]] の関連会社。<br />
<br />
== スポーツ ==<br />
* [[バスケットボールアジア選手権]] (Asia Basketball Championship) の略称。<br />
* イタリアのサッカークラブ・[[アタランタBC]] (Atalanta Bergamasca Calcio) の略称。<br />
* 北米のプロボクシング統括団体・[[ボクシング・コミッション協会]](Association of Boxing Commissions)の略称。<br />
* [[ABC FC]] - ブラジルのサッカークラブ。<br />
* [[ABC東京野球クラブ]] - 東京都昭島市の社会人野球チーム。<br />
* 登山における前進ベースキャンプ (Advanced Base Camp) の略称。<br />
<br />
== 音楽 ==<br />
* 日本の音楽レーベル・[[Atomic Bomb Crew]]の略称。[[K DUB SHINE]]・[[DJ OASIS]]が所属。かつては[[童子-T]]も所属していた。<br />
* 日本のバンド・[[Acoustic Beatles Club]]の略称。<br />
* 日本のバンド・[[Janne Da Arc]]のyasuのソロ活動名・[[Acid Black Cherry]]の略称。<br />
* [[ABC (バンド)]] - イギリスの[[ニューロマンティック|ニューロマンティックバンド]]。<br />
* [[ABC (ジャクソン5の曲)]]<!--([[:en:ABC (song)]])--> - [[ジャクソン5]]の曲のひとつ。<br />
** [[ABC (アルバム)]] - 上記を収録したジャクソン5のアルバム<!--(1970年)-->。<br />
* [[A.B.C.]] - [[ジャニーズ]]事務所所属のユニット、[[A.B.C-Z]]の前身。<br />
* [[ABCの歌]]<br />
* [[ABC (少年隊の曲)]] - [[少年隊]]のシングル<!--(1987年)-->。<br />
* [[ABCレコード]] - アメリカのレコード会社。<!--(1955 - 1979年)--><br />
* [[ABC/ピコ ファースト]] [[樋口康雄|ピコ]]のアルバム。<br />
<br />
== IT関連 ==<br />
* 史上初の[[コンピュータ]]、[[アタナソフ&ベリー・コンピュータ]] (Atanasoff-Berry Computer) の略称。<br />
* [[ABC (プログラミング言語)]] - 教育用[[プログラミング言語]]。<br />
* [[ABC記譜法]] - 音楽記述用言語。<br />
* [[ABC (Yet Another BitTorrent Client)]] ([[:en:ABC (Yet Another BitTorrent Client)]]) - [[BitTorrent]]クライアントソフト。<br />
* [[ABC 80]] (Advanced BASIC Computer 80) - 1970年代末のホームコンピュータ。<br />
**[[ABC 800]] - 上記のオフィス仕様版<br />
* [[ABC@home]] - 分散コンピューティング プロジェクト。<br />
* [[Android Bazaar and Conference]] - [[日本Androidの会]]が主催する日本最大の[[Android]]関連イベント。<br />
* [[暗号利用モード]]の一つ。Accumulated Block Chaining。<br />
<br />
== 理論・手法 ==<br />
* [[会計学]]における[[活動基準原価計算]](Activity-Based Costing)の略称。<br />
* [[論理療法#ABC理論|ABC理論]] - [[論理療法]]。<br />
* [[ABCモデル]] - 被子植物の花の発生モデル。<br />
* [[パレート分析|ABC分析]] - [[パレート分析]]の通称。<br />
* [[ABC予想]] - [[数論]]の予想。<br />
* [[ABC記譜法]] - 音楽記述言語の一つ。<br />
<br />
== 創作==<br />
*『[[ABC殺人事件]]』- [[アガサ・クリスティ]]の推理小説。<br />
*『[[ABCアーバックス]]』- [[あかほりさとる]]原作・[[七瀬葵]]原画の<!--、かつてのアニメ専門誌・[[電撃Animation Magazine|電撃アニマガ]]に連載された-->ライトノベル系小説。<br />
*『[[C神父]]』- [[ジョルジュ・バタイユ]]の小説。原題『'''Abbé C'''』は、フランス語で同じ発音のABCをもじったものである。<br />
<br />
== 総称 ==<br />
* 自動車の[[アクセルペダル|アクセル]] (Accelerator/gas pedal)、[[ブレーキペダル|ブレーキ]](Brake pedal)、[[クラッチペダル|クラッチ]] (Clutch pedal) 3ペダルの総称。<br />
* ABC兵器 - [[大量破壊兵器]]であることから[[規制が議論されている兵器|規制の対象または規制が討議されている]]、[[核兵器]] (Atomic weapon)、[[生物兵器]] (Biological weapon)、[[化学兵器]] (Chemical weapon) 3兵器のかつての総称。ただし現在はNBC兵器という。<br />
* ABC消火器 - [[消防法]]に定められた火災区分のうち A(普通火災)、B(油火災)、C(電気火災)のいずれにも対応した[[消火器]]であることを示す名称。<br />
* 平成ABCトリオ - 平成初期に発売された二人乗りの軽自動車[[マツダ・オートザムAZ-1|マツダ・AZ-1]]、[[ホンダ・ビート (自動車)|ホンダ・ビート]]、[[スズキ・カプチーノ]]の3車種の総称(俗称)。<br />
* [[ABC諸島]] - ベネズエラ沖のオランダ領[[アルバ|アルーバ]] (Aruba)、[[ボネール]] (Bonaire)、[[キュラソー]] (Curaçao) 3島の総称。<br />
* [[ABC強国]] - [[アルゼンチン]]、[[ブラジル]]、[[チリ]]3国の総称。<br />
* [[ABC地域]] - ブラジルの[[サントアンドレー]]、[[サンベルナルド・ド・カンポ]]、[[サンカエターノ・ド・スル]]3地域の総称。<br />
<br />
== その他 ==<br />
* [[未確認動物]]のひとつ、[[エイリアン・ビッグ・キャット]] (Alien Big Cat) の略称。<br />
* [[全バソト会議]] (All Basotho Convention) の略称。<br />
* [[中国系アメリカ人]]の俗称・American-Born Chineseの略称。<br />
* [[ABCプレース]] - [[ペンシルパズル]]。<br />
* [[劇団ビタミン大使ABC]] - 日本の劇団。<br />
<br />
== 関連項目 ==<br />
* [[特別:Prefixindex/ABC|ABCで始まる記事の一覧]]<br />
* [[特別:Prefixindex/Abc|Abcで始まる記事の一覧]]<br />
__NOTOC__<br />
{{Aimai}}</div>
59.135.158.95
流行
2018-05-15T09:46:02Z
<p>59.135.158.95: </p>
<hr />
<div>{{複数の問題<br />
|出典の明記=2009年6月<br />
|独自研究=2018年4月<br />
}}<br />
'''流行'''(りゅうこう、はやり)<br />
#あるものが人々の間に広がること、またはその状態。<br />
##Mode、Trend、Fad、Fashion:'''流行'''(りゅうこう、はやり)は、ある社会のある時点で、特定の思考、表現形式、製品などがその社会へ浸透・普及していく過程にある状態を表す。後述。<br />
##epidemic, [[パンデミック|pandemic]]:ある疾病が比較的限定された期間内に通常以上の頻度で発生すること。→[[伝染病]]、[[パンデミック]]を参照。<br />
#[[松尾芭蕉]]の[[俳諧]]理論において、時とともに移ろうことを意味する。対義語は「不易」(いつまでも変わらないこと)。[[俳諧]]を参照。<br />
<br />
== 語源 ==<br />
「流行」の語源は、「物事が河の流れる様のごとく世間に流布する」意味を表す漢語。徳の広まることや、はやり病(疫病)が広まることを指した。日本においては『流行』は動詞の『はやる』と混同され、主に後者の意味で使用されるようになった。<br />
<br />
== 学術的知見 ==<br />
{{節スタブ}}<br />
流行の特徴は、社会の構成メンバーが、ある種の行動様式や思想を[[模倣]]する結果として発生するといわれる。それらの現象は心理学的、社会学的な分析の対象になる。<br />
<br />
流行する様式は、少なくとも直接的には社会メンバーの自発的意志に基づいて模倣されるとはいえ、人為的に作られる場合もあるし、人々の全く予想していなかったものが流行し出す場合もある。<br />
<br />
群集心理学の祖である社会学者の[[ギュスターヴ・ル・ボン|ル・ボン]]は、流行の源泉を人間生来の模倣性に見出した上、この模倣を被暗示性の昂進した群衆心理における「[[感染]]」の結果であると考えた(感染説)。<br />
<br />
「与えられた範例の模倣<!--(「文化の哲学」)-->」として流行を捉えた社会学者の[[ゲオルク・ジンメル|ジンメル]]は、流行とは他者に同調する「模倣」と流行に同調しない他者との「差異化」との統一であると考えた(両価説)。またジンメルは「流行は[[階級]]的である」と考えた。流行は人々に[[アイデンティティー|アイデンティティ]](同一性)を与える。他方では、下層から模倣される上層の作り出す新たな流行によって差異性が保たれる。これによって流行には寿命があることをジンメルは説明した。<br />
<br />
特に大きな流行は、人々が従来の生活に飽き、新しい生活を求めた場合に発生するとも説明されている。<br />
<br />
=== 展開過程の分類 ===<br />
流行の展開過程は、それの発生・成長から衰退・消滅までを、いくつかの段階から捉え、分類することができる。<br />
# 潜在期:ある様式が生み出され、それがごく限られた人々に試行される時期<br />
# 発生期:試行過程を経て、新しい様式の存在が人々に知られ、同調者が現れる時期<br />
# 成長期:新しい様式に同調する人々の数が増加し一斉に、普及率が拡大していく時期<br />
# 成熟期:普及が最大の水準に達し、その伸びが鈍化していく時期<br />
# 衰退期:後発的に採用する人もいるがそれ以上に採用をやめる人の数が増える時期<br />
# 消滅期:採用する者が少なくなり、その様式が消滅していく時期<br />
<br />
また、流行の生成と消滅のパターンによる分類も可能である(森下伸也『社会学がわかる事典』より)。<br />
*一般化型<br />
:様式によっては、成熟期に達した後、その社会での普及が永年的に維持されるものがある(「定着」と呼ぶ)。ことに定着した生活様式は<!--時代・地域とも限定された[[文明]]に対しては-->[[文化]]といわれ、相互の交流によって伝達・共有されると共に発展する。<br />
*循環型<br />
:一定期間をおいて繰り返し流行と衰退を繰り返す様式。いくつかの様式の流行には、周期性があることが指摘されている(例:太い[[ネクタイ]]と細いネクタイ幅の流行など)。<br />
*衰滅型<br />
:一度流行したものの、定着せず陳腐化してしまう様式。マスコミュニケーションの発達した現代社会では、特に流行の周期が短くなっており、爆発的に流行したかと思えば、あっという間に陳腐化する現象が多く見られる。「一過性」のブーム。<br />
<br />
=== イノベーター理論 ===<br />
イノベーター理論は、[[1962年]]に[[スタンフォード大学]]の社会学者である[[エヴェリット・ロジャース]]によって提唱され、別名[[普及学]]とも言われる。特定様式が流行する過程において、その社会を構成するメンバーを分類したものである。<br />
<br />
*イノベーター(Innovators:革新者)<br />
:新しいものを進んで採用するグループ。彼らは、社会の価値が自分の価値観と相容れないものと考えている。全体の2.5% <br />
*アーリーアダプター(Early Adopters:初期採用者)<br />
:社会と価値観を共有しているものの、流行には敏感で、自ら情報収集を行い判断するグループ。オピニオンリーダーとなって他のメンバーに大きな影響力を発揮することがある。全体の13.5%。 <br />
*アーリーマジョリティ(Early Majority:前期追随者) <br />
:ブリッジピープルとも呼ばれる。新しい様式の採用には比較的慎重なグループ。全体の34.0%。 <br />
*レイトマジョリティ(Late Majority:後期追随者) <br />
:フォロワーズとも呼ばれる。新しい様式の採用には懐疑的で、周囲の大多数が試している場面を見てから同じ選択をする。全体の34.0%。 <br />
*ラガード(Laggards:遅滞者) <br />
:最も保守的なグループ。世の中の動きに関心が薄く、流行が一般化するまで採用しない。全体の16.0%。中には、最後まで流行不採用を貫く者もいる。<br />
<br />
=== 流行採用の動機 ===<br />
[[鈴木裕久]]は、流行採用の動機に関する従来理論を以下の5つに整理している。<br />
<br />
*自己の価値を高く見せようという動機<br />
:社会の中で自己の地位を高めることや、異性による注目や関心を獲得する<br />
*集団や社会に適応しようという動機<br />
:流行を採用することで、自分が適切な行動をとっているという安心感を得、また周囲にも自分が適切な行動を取りうることを証明できる<br />
*新奇なものを求める動機<br />
:自己をとりまく環境から情報を得ようとする欲求や、自分自身に対する刺激を求めようとする欲求<br />
*個性化と自己実現の動機<br />
:自分を他人から区別したいという欲求・感情のはけ口や、意志表示の手段とする<br />
*自己防衛の動機<br />
:様々な社会の束縛によるコンフリクトを解消し、自我を保護するため、抑圧された感情のはけ口とする<br />
<br />
===ファッドとファッション===<br />
急激に普及し、あっという間に消えてしまう流行を、[[ファッド]] (fads) と呼ぶ。1990年代後半に数か月だけ流行した[[たまごっち]]は好例であろう。いっぽうで、長期にわたり流行し、その社会に定着する流行を、[[ファッション]]と呼ぶ(例:[[ジーンズ]])。<br />
<br />
==思想・信仰==<br />
[[思想]]や[[信仰]]においても流行が見られる。例えば、[[江戸時代]]の[[ええじゃないか]]は、もともとあった[[お伊勢参り]]の風習が集団的熱狂状態となり、爆発的に流行した現象である。<br />
<br />
==美意識==<br />
{{独自研究|section=1|date=2018年4月}}<br />
現代では、流行に飛びつくのはまず若者である。既成の[[価値観]]や[[規範意識]]と衝突することが多く、年輩者からは[[逸脱]]と見做されがちである。はやりを採用しなければ、若者の間ではセンスを疑われるが、はやりが廃れ始めたら本人たちもなぜあのようなものに心を捉われていたか説明できなくなることが多い。<br />
*過去の流行 [[ガングロ]]、[[竹の子族]]、[[ジュリアナ東京|ジュリアナ]]の扇子など<br />
<br />
==工業デザイン==<br />
工業デザインの上にも流行が見られる。飛行機・船のデザインには流線型が合理的であるが、流線形が流行した時代([[未来派]])、機能的な必然性のないものにもイメージ主体で流線型のデザインが用いられた。<br />
<br />
<!--<br />
== 感染症 ==<br />
[[コレラ]]などの流行性疾患などは'''はやりやまい'''等と称されている。過去に流行したものとしては、中世ヨーロッパの[[ペスト]]、ルネサンス期の[[梅毒]]、近代では[[スペイン風邪]]などがある。<br />
--><br />
<br />
==生活用品・服飾==<br />
服飾での流行とは、ある一定の時期に非常に採用され、人々の間で広く行き渡っている服飾の様式である。 また、服飾デザインに関しては流行の影響が大きい。[[服装]]の流行現象には「刺激」と「飽き」のたえざる繰り返しがあると推察される{{誰によって|date=2018年4月3日 (火) 01:04 (UTC)}}。<br />
<br />
== 脚注 ==<br />
{{脚注ヘルプ}}<br />
{{reflist}}<br />
<br />
== 関連項目 ==<br />
{{wiktionary}}<br />
*[[ミーム]]<br />
*[[流行語]]<br />
*[[ファッション]]<br />
*[[トレンド]]<br />
*[[髪型]]<br />
*[[大衆]]<br />
*[[社会心理学]]<br />
**[[集団心理]]<br />
**[[同調現象]]<br />
*[[時流]]<br />
<br />
== 外部リンク ==<br />
* [http://www.jafca.org/trendcolor/process.php 日本流行色協会 「流行色が決まるまで」] - 日本流行色協会(旧・日本ファッション協会 流行色情報センター)は、1年半後の流行色を決めて発表する。<br />
<br />
{{Fashion-stub}}<br />
{{DEFAULTSORT:りゆうこう}}<br />
[[Category:流行|*]]<br />
[[Category:同調]]<br />
[[Category:社会心理学]]<br />
[[Category:情報社会]]<br />
[[Category:風俗]]</div>
59.135.158.95
自動車産業
2018-04-01T09:32:19Z
<p>59.135.158.95: /* 産業集積地域 */</p>
<hr />
<div>{{Pathnav|自動車|frame=1}}<br />
[[Image:Motor vehicles produced by country 2013.png|thumb| 2013年12月時点での国別の[[対数目盛]]による自動車生産台数|350px]]<br />
'''自動車産業'''(じどうしゃさんぎょう)とは、[[自動車]]および自動車[[部品]]の[[生産]]、[[販売]]、[[利用]]、[[整備]]に関連した[[産業]]をさす<ref>[http://www.jama.or.jp/industry/industry/index.html 日本自動車工業会ホームページの自動車産業の説明]([[日本自動車工業会]])では、''「[[自動車]]産業は[[製造]]・[[販売]]をはじめ[[整備]]・[[資材]]など各分野にわたる広範な関連産業を持つ総合[[産業]]です。」''と紹介されている</ref>。<br />
<br />
== 概要 ==<br />
[[自動車]][[産業]]は、関連産業の裾野が広く[[経済]]波及効果が大きいため、基幹産業<ref>『[[日経ビジネス]]「2001東京国際自動車会議」』</ref>として[[欧米]]や[[日本]]といった[[工業国]]の経済で重要な位置を占めている。自動車の関連産業は[[鉄鋼]]、[[金属]]、[[軽金属]]、[[ガラス]]、[[ゴム]]や[[プラスチック]]、[[革]]などの[[石油化学]]品、[[半導体]]などの[[原材料]]、[[鋳造]]などの[[加工技術]]、[[電子機器]]の[[制御]]を行う[[コンピュータソフト]]、[[宣伝]][[広告]]を行う[[マスメディア|マスコミ]]や[[販売]]を行う[[自動車販売店]]のほか、[[運輸業]]、[[ガソリンスタンド]]や[[自動車整備業]]、[[一般道路]]や[[高速道路]]の[[建設]]や[[整備]]、[[自動車保険]]の加入、[[自動車教習所]]の講習、[[自動車運転免許]]の新規作成や更新、さらには[[駐車場]]の建設や経営、[[レンタカー]]事業などと多岐にわたる。<br />
また、間接的なライバルとなる公共交通機関へのプレッシャーもかけられる。<br />
<br />
== 歴史 ==<br />
{{see also|自動車#歴史}}<br />
{{multiple image<br />
| align = right<br />
| direction = vertical<br />
| width = 350<br />
| header = 世界の自動車生産<ref name=RITA>U.S. DOT [http://www.rita.dot.gov/bts/sites/rita.dot.gov.bts/files/publications/national_transportation_statistics/html/table_01_23.html_mfd Table 1-23: World Motor Vehicle Production, Selected Countries]</ref><br />
| header_align = center<br />
| header_background =<br />
| footer =<br />
| footer_align =<br />
| footer_background =<br />
| background color =<br />
| image1 = Motor_Vehicle_Prod_volume_RITA_T1-23.svg<br />
| alt1 =<br />
| caption1 = <center>[[1950年]]からの各国の自動車生産台数推移(千台)</center>各国で戦後の復興が達成された[[1960年代]]には生産台数は急増したが、[[1970年代]]には数度にわたる[[石油危機]](燃料高騰)や強化され始めた[[排気ガス規制]]などもあり生産は低迷した。[[1980年代]]には各メーカーによる[[現地生産]]が始まり、[[1990年代]]にはその割合が増加していった。[[21世紀]]に入り[[新興工業国]]特に[[中国]]、[[韓国]]、[[インド]]が大きく生産台数を伸ばしている。それに反比例するかのように[[先進国]]での生産台数は横ばいから減少傾向にある。[[2009年]]には世界[[金融危機]]に端を発した不況から[[米国]]を中心に生産台数が激減した。<br />
| image2 = Motor_Vehicle_Prod_share_RITA_T1-23.svg<br />
| alt2 =<br />
| caption2 = <center>1950年からの各国の生産台数の占有率の推移</center><br />
'''[[1950年]]まで'''; [[米国]]が80%以上の自動車を生産<br />
<br />
'''[[1950年代]]'''; [[英国]]、[[ドイツ]]、[[フランス]]、[[イタリア]]が生産に再参入<br />
<br />
'''[[1960年代]]'''; [[日本]]が製造開始して80年代まで増加<br />
1980年代末までは米国、日本、ドイツ、フランス、英国、イタリアの6ヶ国で全体の約80%を生産<br />
<br />
'''[[1990年代]]'''; [[韓国]]が[[大量生産]]に乗り出す。2004年に韓国がフランスを抜いて5位になる<br />
<br />
'''[[2000年代]]'''; [[中国]]が大幅に生産量を増加、2009年には世界最大の生産国になる<br />
<br />
'''[[2013年]]'''; 中国(25.4%), 韓国, [[インド]], [[ブラジル]]と[[メキシコ]]で43%, 米国 (12.7%), 日本, ドイツ, フランスと英国で34%<br />
}}<br />
自動車は、その[[黎明期]]においては、[[蒸気]]、[[電気]]、[[ガソリン]]など様々な[[動力]]が試みられた。[[19世紀]]には既に改良が進んでいた[[蒸気機関]]を搭載した[[蒸気自動車]]が他の機関より秀でていた。[[20世紀]]に入り[[ガソリン車]]の性能が向上し、[[油田]]発見([[1901年]]、[[テキサス油田]])による[[ガソリン]]の安価な供給も背景に優位性を確立していった<ref>『2.自動車の誕生から産業化への道のり』[[独立行政法人]] [[環境再生保全機構]]</ref>。[[1910年]]頃までは[[特権階級]]の乗り物であったが、[[大量生産]]により安価で供給された[[フォード・モデルT]]の登場により、自動車は[[大衆]]化し、[[モータリゼーション]]社会が登場した。こうして自動車産業は急速に拡大していくことになる<ref>『3.産業化の進展と[[モータリゼーション]]』独立行政法人環境再生保全機構</ref>。<br />
<br />
19世紀には[[西ヨーロッパ|西欧]]で自動車の開発が先行しており、[[1900年]]の世界の自動車生産台数は約1万台で最大の生産国はフランスであった<ref>Bryant University [http://web.bryant.edu/~ehu/h364/materials/cars/cars%20_19th.htm The Automobile Industry] </ref>。<br />
<br />
[[1910年]]代に米国で大量生産が始まり、一方先行していた欧州では2度の[[世界大戦]]により工業生産([[民需]])が低迷した。<br />
結果、米国が1950年代まで8−9割を生産するという[[デトロイト]]の独占状態であった<ref>hydrogenambassadors.com [http://www.hydrogenambassadors.com/meet-aae/whec15/17.php World motor vehicle production] </ref>。[[戦後]]、各国の自動車生産が始まるに連れ米国の[[市場占有率|シェア]]は下降していった。1950年代に英国、次いでフランス・ドイツが復興。1960年代に後発の日本で自動車生産が本格化し、1970年代・1980年代と日本がシェアを伸ばした。1980年代には韓国の成長が始まり、1990年代には中国の急成長も始まった。中国は2009年にそれまでの世界記録約1300万台(日本が1991年に米国が1999年に達成)を超え、2013年には2212万台を生産しなお増加中である。<br />
<br />
2013年の生産台数では新興生産国である中国・韓国・インド・ブラジル・メキシコの5カ国のシェアは4割を超えたが、先発の米国・カナダ・日本・ドイツ・フランス・英国・スペイン<ref>西欧間の生産シフトであるので先発に含めた。</ref>の7カ国のシェアは4割を切った。ドイツ以外の先発国ではシェアの低下のみならず生産台数も低下傾向にあるが、ドイツでは増加し続けている。<br />
<br />
ガソリンエンジン・[[ディーゼルエンジン]]や自動車が[[発明]]されたのは欧州で、フランス・英国・ドイツは自動車産業の[[老舗]]であり、1960年代始めには、これら三国で30%以上のシェアであったが、70年代以降各国が生産台数を伸ばす中で英国では生産が低迷し、1980年代以降は新興生産国にシェアを奪われていった。2013年にはロシアを除く欧州における生産実績(台数)はドイツ(シェア6.8%)、スペイン(2.5%)、フランス(2.0%)、英国(1.8%)、チェコ(1.3%)、トルコ(1.3%)の順となっている。欧州では東欧への生産シフトが進んでおり、チェコ・トルコの他にスロバキア、ポーランド、ルーマニア、ハンガリーなどでも生産が拡大している。<br />
<br />
2013年の欧州連合(EU)28カ国の自動車生産の世界シェアは18.5%であった<ref>[[:en:List_of_countries_by_motor_vehicle_production]]のEUの数値とOICAの[http://www.oica.net/category/production-statistics/2013-statistics/ 2013 Production statistics]の合計より算出。</ref>。<br />
<br />
近年では、自動車の増加に伴う[[排気ガス]]の排出や[[騒音]]、[[燃料]]となる[[化石資源]]の[[枯渇]]などに対応して、[[ディーゼル]][[ハイブリッド車]]、[[燃料電池]]ハイブリッド車の研究開発が行われている<ref>産総研 TODAY 2006-01 自動車用次世代動力源</ref>。<br />
{{-}}<br />
<br />
=== 生産台数の推移 ===<br />
{{see also|各国の自動車生産一覧}}<br />
下表は、各国の自動車生産の一覧で[[アメリカ合衆国運輸省]]・Research and Innovative Technology Administration (RITA)および[[国際自動車工業連合会]] (OICA)他のデータを元にしている。1999年までの数値はRITAによる集計値、2010年以降はOICAの数値である。詳細の表「各国の自動車生産一覧」(原典:英版)では、各年度で出典が異なり、同一年度内でも複数の出典の寄せ集めになっているため、データの経年の整合性や年度内での合計が必ずしも合わない。<br />
<br />
生産台数は、[[乗用車]]・[[ライトバン]]・[[マイクロバス]]・[[トラック]]・[[バス (交通機関)|バス]]などすべての[[公道]]で運行される自動車を含む<ref>[http://oica.net/wp-content/uploads/2007/06/statistic-definitions.pdf Statistic definitions]</ref>。<br />
<br />
この生産台数集計は、1999年までは自動車メーカーの国籍別、2000年からは最終組立地のある国による集計である。自動車生産にはCB (Completely built up), CKD (Completely knocked down完全現地組立), セミノックダウンSKD (Semi knocked down)などの[[ノックダウン生産]]があり、自動車産業の国際分業化が進んでいる状況において、以下の集計は自動車産業の一側面を捉えたものである。例えば英国は完成車生産台数では下位ではあるが、自動車用のエンジンの生産台数は2008年には約316万基<ref>{{cite web|url=http://www.smmt.co.uk/downloads/MotorIndustryFacts.pdf|title=Motor Industry Facts 2010|accessdate=28 February 2011|publisher=SMMT }}</ref>、2013年には約255万基と完成車数より多く生産し、国外へ輸出している。<br />
<br />
2014年度の上位26カ国(下表)による生産は、総生産台数の97.6%を占めていた。また上位5カ国のシェアは61.8%であった。また先発の米・加・日・独・仏・英およびスペインの7カ国のシェアは39.5%、にたいして新興の中・韓・印・メキシコ・ブラジル・ロシア・タイの7カ国のシェアは47.1%であった。<br />
<br />
{| class="wikitable sortable" style="text-align:center"<br />
|+ 自動車生産台数の推移 (千台){{R|RITA}}<ref>1950年の数値は[[各国の自動車生産一覧]]より </ref>、数値太字 = 上位5カ国<br />
|-<br />
! data-sort-type="number" | 順 || 国 || 2014 ||<small>前年比</small> ||2010 || 2000 || 1990 || 1980 || 1970 || 1960 || 1950 || 最大 || 年度 || 備考<br />
|-<br />
| — ||全世界 ||89,931 ||2.7% ||77,629 ||58,374 ||48,554 ||38,565 ||29,419 ||16,488 ||10,577 ||89,931 ||2014 ||<br />
|-<br />
| — ||[[EU]] ||16,977 ||4.5% ||17,107 ||17,142 || || || || || ||19,718 ||2007 ||<br />
|-<br />
| — ||[[NAFTA]] ||17,420 ||5.6% ||12,153 ||17,698 ||12,551 || || || || || || ||<br />
|-<br />
| 1 ||[[中国]] ||'''23,723''' ||7.3% ||'''18,265''' ||2,069 ||509 ||222 ||87 ||23 || ||23,723 ||2014 || <ref>2010年ごろには、日本の軽自動車よりはるかに大きいが自動車に区分されない農用車が、約2百万台生産されていた [http://mitsui.mgssi.com/issues/report/r1408i_nishino.pdf 「三井物産戦略研究所 - 中国自動車産業の課題と展望」]。 </ref><br />
|-<br />
| 2 ||[[米国]] ||'''11,661''' ||5.4% ||'''7,743''' ||'''12,800''' ||'''9,783''' ||'''8,010''' ||'''8,284''' ||'''7,905''' ||'''8,006''' ||13,025 ||1999 ||<br />
|-<br />
| 3 ||[[日本]] ||'''9,775''' ||1.5% ||'''9,629''' ||'''10,141''' ||'''13,487''' ||'''11,043''' ||'''5,289''' ||482 ||32 ||13,487 ||1990 || <ref>2013年度には軽自動車の生産台数は約225万であった[http://carview.yahoo.co.jp/article/testdrive/20140430-10203577-carview/ 「自工会、2013年度の自動車生産実績を発表」]。</ref><br />
|-<br />
| 4 ||[[ドイツ]] ||'''5,908''' ||3.3% ||'''5,906''' ||'''5,527''' ||'''4,977''' ||'''3,879''' ||'''3,842''' ||'''2,056''' ||306 ||6,147 ||2011 || <ref>[[1990年]]までは[[西ドイツ]]のもの、[[ドイツ民主共和国|東ドイツ]]では[[1986年]]に264k生産</ref><br />
|-<br />
| 5 ||[[韓国]] ||'''4,525''' ||0.1% ||'''4,272''' ||'''3,115''' ||1,322 ||123 ||29 || || ||4,657 ||2011 ||<br />
|-<br />
| 6 ||[[インド]] ||3,840 ||-1.5% ||3,557 ||801 ||363 ||114 ||76 ||51 ||15 ||4,175 ||2012 ||<br />
|-<br />
| 7 ||[[メキシコ]] ||3,365 ||10.2% ||2,342 ||1,936 ||821 ||490 ||193 ||50 || ||3,365 ||2014 ||<br />
|-<br />
| 8 ||[[ブラジル]] ||3,146 ||-15.3% ||3,382 ||1,682 ||914 ||1,165 ||416 ||133 || ||3,712 ||2013 ||<br />
|-<br />
| 9 ||[[スペイン]] ||2,403 ||11.1% ||2,388 ||3,033 ||2,053 ||1,182 ||539 ||58 || ||3,033 ||2000 ||<br />
|-<br />
| 10 ||[[カナダ]] ||2,394 ||0.6% ||2,068 ||2,962 ||1,947 ||1,370 ||1,160 ||398 ||'''388''' ||3,059 ||1999 ||<br />
|-<br />
| 11 ||[[ロシア]] ||1,895 ||-13.5% ||1,403 ||1,206 ||2,040 ||'''2,199''' ||916 ||524 ||'''363''' ||2,233 ||2012 || <ref>1990年までの数値は[[ソ連]]のもの、ソ連では1985年に2247k生産</ref><br />
|-<br />
| 12 ||[[タイ王国|タイ]] ||1,880 ||-23.5% ||1,645 ||412 ||305 ||73 ||22 || || ||2,457 ||2013 || <ref>タイおよび1950年の数値は[[各国の自動車生産一覧]]より </ref><ref>生産上位であるが、前出のグラフではその他に含まれている。これはグラフの元データである米国運輸省の集計に抽出されていない為である。</ref><br />
|-<br />
| 13 ||[[フランス]] ||1,821 ||4.4% ||2,229 ||'''3,348''' ||'''3,769''' ||'''3,378''' ||'''2,750''' ||'''1,369''' ||'''358''' ||3,920 ||1989 ||<br />
|-<br />
| 14 ||[[英国]] ||1,599 ||0.1% ||1,393 ||1,814 ||1,566 ||1,313 ||'''2,098''' ||'''1,811''' ||'''784''' ||2,332 ||1963 ||<br />
|-<br />
| 15 ||<small>[[インドネシア]]</small> ||1,299 ||7.6% ||703 ||379 || ||103 || || || ||1,299 ||2014 ||<br />
|-<br />
| 16 ||[[チェコ]] ||1,251 ||10.4% ||1,076 ||455 ||242 ||233 ||170 ||75 ||31 ||1,251 ||2014 ||<br />
|-<br />
| 17 ||[[トルコ]] ||1,170 ||4.0% ||1,095 ||431 ||209 ||51 ||25 || || ||1,189 ||2011 ||<br />
|-<br />
| 18 ||[[イラン]] ||1,091 ||46.7% ||1,599 ||278 ||45 ||161 ||35 || || ||1,649 ||2011 ||<br />
|-<br />
| 19 ||[[スロバキア]] ||971 ||1.8% ||562 ||182 || || || || || ||975 ||2013 ||<br />
|-<br />
| 20 ||[[イタリア]] ||698 ||6.0% ||838 ||1,738 ||'''2,121''' ||1,610 ||1,854 ||'''645''' ||128 ||2,221 ||1989 ||<br />
|-<br />
| 21 ||style="white-space:nowrap" |<small>[[アルゼンチン]]</small> ||617 ||-22.0% ||717 ||340 ||100 ||282 ||220 ||89 || ||829 ||2011 ||<br />
|-<br />
| 22 ||[[マレーシア]] ||597 ||-0.8% ||568 ||283 ||192 ||104 || || || ||596 ||2013 ||<br />
|-<br />
| 23 ||[[ポーランド]] ||594 ||0.6% ||869 ||505 ||348 ||418 ||113 ||37 ||1 ||951 ||2008 ||<br />
|-<br />
| 24 ||[[南アフリカ]] ||566 ||3.7% ||472 ||345 ||335 ||405 ||298 || || ||588 ||2006 ||<br />
|-<br />
| 25 ||[[ベルギー]] ||517 ||2.6% ||555 ||1,033 ||1,248 ||923 ||296 ||1 || ||1,248 ||1990 ||<br />
|-<br />
| 26 ||[[ハンガリー]] ||438 ||36.2% ||211 ||137 || || || || || ||438 ||2014 ||<br />
|-<br />
| ||その他 ||2,187 ||-15.6% ||2,352 ||1,561 || || || || || || || ||<br />
|-<br />
! 順 || 国 || 2014 ||<small>前年比</small> ||2010 || 2000 || 1990 || 1980 || 1970 || 1960 || 1950 || 最大 || 年度 || 備考<br />
|}<br />
<br />
{{Global Production of Motorvehicles}}<br />
{{World motor vehicle production by country in 2013}}<br />
<br />
== 自動車輸出 ==<br />
[[File:2012 Automobile Export Treemap.png|thumb|350px| 各国の乗用車[[輸出]](金額)の割合 (2012) <ref name=harvard>ハーバード大学 [http://atlas.cid.harvard.edu/explore/tree_map/export/show/all/8703/2012/ Harvard Atlas of Economic Complexity] </ref><br>粗(Gross)輸出金額であり、輸入金額は差し引かれていない。[[米国]]は世界最大の乗用車正味輸入国であり、[[英国]]・[[フランス]]・[[ベルギー]]なども正味輸入国である。]]<br />
右の図において[[ドイツ]]の乗用車粗輸出金額が最大となっているが、2009年までは[[日本]]が最大で正味輸出金額の32%を占め、ドイツは29%であった。2012年の乗用車の正味輸出金額ではドイツが32%、日本が28%となっている{{R|harvard}}。<br />
{{-}}<br />
<br />
== 各国の自動車産業 ==<br />
{{main|[[:en:Automotive industry by country]]}}<br />
{{multiple image<br />
| align = right<br />
| direction = vertical<br />
| width = 350<br />
| header = 各国の自動車生産台数(千台){{R|RITA}}<br />
| header_align = center<br />
| header_background =<br />
| footer =<br />
| footer_align =<br />
| footer_background =<br />
| background color =<br />
| image1 = Motor Vehicle Production 1950 2013 NIC JA.png<br />
| alt1 =<br />
| caption1 = <center>[[新興工業経済地域]](NICs)の自動車生産台数</center><br />
| image2 = Motor Vehicle Production 1950 2013 OIC JA.png<br />
| alt2 =<br />
| caption2 = <center>[[先進工業国|先発工業国]](Old ICs)の自動車生産台数</center><br />
}}<br />
<br />
[[19世紀]]に[[欧州]]で自動車の開発が始まり、[[20世紀]]の前半世紀は[[アメリカ合衆国]]が飛び抜けた世界最大の自動車[[生産]]国および市場であった。[[第二次世界大戦]][[戦後|後]]の[[1950年代]]に欧州各国で、[[1960年代|60年代]]には[[日本]]での自動車生産が始まった。20世紀の後半世紀は米・日・[[ドイツ]]・[[フランス]]・[[英国]]・[[イタリア]]での生産が世界の約8割を占めていた。1980年代以降、その他の国でも自動車生産が始まり、21世紀には[[中国]]が米国の2倍以上を生産する世界最大の自動車生産国となった。<br />
<br />
2014年現在の自動車部品メーカーの上位100社を国別に見ると日本が30社、アメリカが25社、ドイツが18社、韓国が5社、フランスが4社などとなっている<ref>[http://www.chosunonline.com/m/svc/article.html?contid=2016042901119 自動車部品世界トップ100社、韓国中小企業はゼロ]朝鮮日報日本語版 2016年4月30日</ref>。<br />
<br />
=== アフリカ ===<br />
==== エジプト ====<br />
自動車産業の始まりは[[1960年]]に遡る。[[社会主義]]時代、[[政府]]は[[農業]][[経済]]から[[工業]]経済への転換を目指し最初のエジプト製の自動車が生産されたが、外国の企業との競争に勝てなかったのでまもなく生産を終了した。特に、社会主義の終焉と資本主義への移行が原因だった。その後1985年に[[ゼネラルモーターズ]](GM)が生産工場を建設するまで組立工場はなかった。<br />
<br />
当初3工場で大半の部品を輸入していたエジプトの自動車組み立て事業は23年間で成長し16事業で26の組み立てラインを持ち、乗用車、軽商用車、トラック、バスの生産同様に300工場が主要な部品を生産するようになった。GMの他に[[BMW]]、[[日産自動車]]、[[現代自動車|ヒュンダイ]]などがエジプトで自動車生産をしている。なおエジプトでのBMWの組立ラインは、ドイツ国外で唯一[[BMW・7シリーズ]]が生産される工場である。<br />
<br />
2004年まではエジプトの自動車市場と共に地元での自動車組み立てと部品製造は拡大を続けてきた。エジプト自動車製造協会(EAMA)のMoham-med El-Hadaryはエジプトの自動車市場は2004年にはわずか合計72,417台を生産しただけだった。と述べた。2007年には227,488台を生産し314%増えたと述べた。最も増えたのは乗用車で2004年の55,471から2007年には179,178台まで323%増えた。この傾向が続けば2012年には444,000台に到達すると期待される<ref>[http://aegypten.ahk.de/index.php?id=1058&L=15 ]{{リンク切れ|date=April 2011}}</ref>。<br />
<br />
==== 南アフリカ ====<br />
1940年代からGM、[[フォード・モーター|フォード]]、[[フォルクスワーゲン|VW]]などが進出しており、さらに1961年に完成車輸入を事実上禁止して国内自動車産業の育成策を取っているため、日米欧の多くのメーカーが進出し現地生産を行っており、アフリカにおける自動車産業の中心地になっている。また[[対面交通|左側通行]]、右ハンドルという条件のため、VW、BMW、[[メルセデス・ベンツ]]、フォードが日本やオセアニア市場向けなどの右ハンドル仕様を南アフリカの工場で生産し輸出している例もある。<br />
<br />
=== アジア ===<br />
==== バングラデシュ ====<br />
{{main|[[:en:Automotive industry in Bangladesh]]}}<br />
<br />
==== 中国 ====<br />
{{main|中国の自動車産業}}<br />
[[中華人民共和国|中国]]は、1956年に最初の自動車である[[トラック]]・[[解放号]]を作ったところから始まり、1958年から1960年代初頭にかけて、[[紅旗_(自動車)|紅旗・CA72]]、[[北京市摩托車制造廠]]の[[東風号_(自動車)|東風号]]や[[上海・SH760|鳳凰]]、[[和平_(自動車)]]など大型リムジンから3輪トラックまで相次いで発表された。1964年に[[中国汽車工業公司]]が設立され中央政府が統括しながら、自動車産業育成が計画されたが1960年代後半からの[[文化大革命]]の混乱によって産業の発展は遅れ、さらに技術的援助を受けていた[[ソ連]]との国交断絶などの影響で、1970年代までほとんど進歩がない状態だったが、70年代末から[[改革開放]]政策が始まると、数多くあった自動車生産工場は海外メーカーと合弁をはじめた。その中で最初に成功したのが、1985年から生産が始まったフォルクスワーゲンと[[上海汽車]]の合弁会社である[[上海フォルクスワーゲン|上海大衆汽車]]の[[VWサンタナ|サンタナ(中国語表記=桑塔納)]]である。その後[[プジョー]]、GM、[[フィアット]]などが次々に合弁で参入し、さらに2000年代半ば頃からの経済成長に伴い自動車需要が急増加、市場は一気に世界一の販売台数になるまで拡大。中国国内の自動車関連企業は膨大な数に上り、中国政府は、自動車メーカー乱立による生産性の低さや過剰生産などの問題を克服するために業界再編を進めることとなる。<br />
<br />
中には[[プラグインハイブリッドカー]]を開発し世界で初めて発売するなど技術力に差があるものの先進国の自動車メーカーとほぼ対等に競争できるほどに技術力が高まっている企業がある一方で、海外の安全性能試験で0点を付けられるような未だ低品質の製品も見られる。<ref>「このままでは日本は中国に追い抜かれる 日産の生産現場で何が起きているのか(2)」『日経ビジネスオンライン』2008年3月24日付配信、日経BP社</ref>)</small>、サービスの悪さなど課題もある。詳細は、[[中国の自動車産業]]・[[中華人民共和国の経済#自動車]]を参照されたい。<br />
<br />
一方、自動車修理業は、国内の急速な保有台数の増加に業界が追いついておらず、人手不足状態となっている<ref>『中国自動車修理業、技術者が大幅不足』2008年3月27日付配信 サーチナ・中国情報局</ref>。<br />
<br />
==== インド ====<br />
{{main|[[:en:Automotive industry in India]]}}<br />
[[インド]]では、経済成長に伴い自動車需要が増加しているが、全体の3/4程度が二輪車である。二輪車はホンダ系、インドの[[バジャージ・オート]]・[[TVSモーター]]のシェアが大きい。自動車は日系の[[マルチ・スズキ]]、インドの[[タタ・モーターズ]]と[[マヒンドラ]]、韓国のヒュンダイなどが主要メーカーである。<br />
<br />
インドでは今までの販売対象より低所得の層をターゲットにした機能を減らし価格を抑えた自動車が出現している。日本円で30万円以下の[[タタ・ナノ]]のように既存の価格を打ち破る製品が発売されており、こうした市場に進出しようとする自動車メーカーも少なくない。<br />
<br />
==== インドネシア ====<br />
<br />
==== イラン ====<br />
{{main|[[:en:Automotive industry in Iran]]}}<br />
2001年の時点において13の国営と民営の企業がイランにある。[[イラン・ホドロ]]とSaipaが94%を生産する。イラン・ホドロは最も普及しているブランドである。他に自動車の製造会社にBahman グループ, Kerman Motors, Kish Khodro, Raniran, Traktorsazi, Shahab Khodro等があるがそれらを合わせてもわずか6%に過ぎない。<ref>[http://web.archive.org/web/20040702071827/http://www.atiehbahar.com/Resources/Automotive.htm SAPCO: Iran Automotive Industry’s Market Shares (September 2001)] Retrieved November 14, 2008(2004年7月2日時点の[[インターネットアーカイブ|アーカイブ]])</ref>これらの自動車会社はバイクや乗用車、トラック等、幅広く生産する。2006年の時点でイランは世界で16番目に生産台数が多い。700万台を保有し、10人に1台の割合で普及している。(トラックやバスを含む)<ref name='Cars'>{{Citation| first= | last=| coauthors=| contribution=Iran Automotive Forecast| title=Economist Intelligence Unit| editor-first=| editor-last=| coeditors=| publisher=| place=| pages=| date=August 18, 2008| year=| id= | contribution-url=| format=| accessdate=2009-07-12 }}</ref><ref>[http://web.archive.org/20070710075729/iran-daily.com/1386/2865/html/economy.htm Iran 16th Biggest Automaker] retrieved 12 February 2008 {{Wayback | url=http://iran-daily.com/1386/2865/html/economy.htm <!-- Bot retrieved archive --> | date=20071017225933 }}</ref><ref>[http://web.archive.org/20070930203526/iran-daily.com/1386/2883/html/economy.htm Gasoline Quota Will Change In Two Months] retrieved 12 February 2008 {{Wayback | url=http://iran-daily.com/1386/2883/html/economy.htm <!-- Bot retrieved archive --> | date=20071020011705 }}</ref>2005年に自動車生産台数が100万台を記録し2009年3月に輸出額が10億ドルに達する計画である。<ref>[http://money.cnn.com/magazines/fortune/fortune_archive/2006/09/18/8386173/index.htm?postversion=2006091209 Made In Iran] Retrieved 12 February 2008</ref><ref>[http://www.payvand.com/news/08/oct/1227.html Payvand:Iran and car exports projected to reach $1b by March] Retrieved October 24, 2008</ref><br />
<br />
==== 日本 ====<br />
{{main|日本における自動車}}<br />
日本の自動車産業の出発点は、1907年に山羽虎夫と吉田真太郎が東京自動車製作所で「タクリー号」を生産したことから始まった。その後、1911年に橋本増治郎が[[快進社]]を設立し、イギリスの[[スイフト・モーター・カンパニー|スイフト]]社からシャシーを輸入して組み立てた「スイフト号」を生産し、1914年には自力で「ダット一号」を生産した。その後、1923年に[[関東大震災]]が発生し、東京の交通機関が麻痺した際に、[[東京市長]]の[[後藤新平]]は1000台の米国車を緊急輸入することで東京を機能不全から救い、日本人の間で車への評価が大いに高まったという。これに目を付けた米国の自動車会社は、1925年にフォードが[[横浜]]に、1927年にGMが[[大阪]]に自動車組立工場を建設し、1931年時点では、両社で合計二万台を組み立てていた。これに対して日本車の生産台数は400台に過ぎなかった<ref>小林英夫/金英善 『現代がトヨタを超えるとき』ちくま新書 P.57~58</ref>。<br />
<br />
フォード・GMの自動車組立工場は、どちらも[[ノックダウン生産|KD]]工場であったため、主要部品はアメリカ本国からの輸入であったが、補修部品を中心に日本の部品企業に厳格な査定を要求したため、結果的に日本の自動車産業の発展に大きく寄与することになった<ref>小林英夫/金英善 『現代がトヨタを超えるとき』ちくま新書 P.58~59</ref>。<br />
<br />
その後、外資系企業による日本の自動車産業の独占を危惧した政府は、[[自動車製造事業法]](1936年)を制定し、国内自動車産業の本格的な育成に乗り出した。この流れを予測していた[[トヨタ]]は1933年に、[[日産自動車|日産]]は1934年に自動車産業への本格的な進出を開始し、[[日中戦争]]、[[太平洋戦争]]における日本の軍用トラック生産の大半を任されるようになり、戦後の日本自動車産業の本格的な発展の準備となった<ref>小林英夫/金英善 『現代がトヨタを超えるとき』ちくま新書 P.59</ref>。<br />
朝鮮戦争後の1950年代後半から1960年代前半にかけて、日本の自動車産業は朝鮮特需の恩恵を受けて本格的に復活し、設備の更新と近代化、アメリカ式の品質管理、科学的管理法を導入し大幅な質的向上を果たした<ref>小林英夫/金英善 『現代がトヨタを超えるとき』ちくま新書 P.59~60</ref>。また、連合国によって航空機の開発、生産が禁止された期間の影響で、航空機の開発に携わっていた技術者が自動車産業へ転職したことにより、航空機で使われていた技術や設計手法などが自動車の開発にも導入されたことも自動車産業の近代化の要因となった<ref>前間 孝則『技術者たちの敗戦』草思社、2004年7月、ISBN 9784794213365</ref><ref>前間 孝則『マン・マシンの昭和伝説―航空機から自動車へ〈上〉』講談社、1993年7月、ISBN 9784062059985</ref><ref>前間 孝則『マン・マシンの昭和伝説―航空機から自動車へ〈下〉』講談社、1993年7月、ISBN 9784062065818</ref>。<br />
<br />
1952年に[[通産省]]は[[ヨーロッパ]]からの技術導入を進め、日産は[[オースチン・モーター・カンパニー|オースチン]]と、[[いすゞ]]は[[ヒルマン]]と、[[日野自動車|日野]]は[[ルノー]]とそれぞれ技術提携することを選んだが、[[トヨタ自動車]]は純国産メーカーとして発展していった。1955年からの[[高度経済成長]]後、1958年にトヨタが乗用車専門の元町工場を建設し、1962年には日産が乗用車専門の追浜工場を建設。1966年に日産と[[プリンス自動車工業|プリンス]]の合併があり、同1966年にトヨタと日野、1967年にトヨタと[[ダイハツ]]、1968年には日産と[[富士重工業]]の業務提携が開始された。この時期に、自動車産業では生産管理技術の発展に伴い、トヨタ生産方式の根幹である「[[カンバン方式]]」「[[ジャストインタイム]]」「自動化」「QCサークル活動」などが導入されていく<ref>小林英夫/金英善 『現代がトヨタを超えるとき』ちくま新書 P.60</ref>。<br />
<br />
1970年代の日本の自動車産業は、1971年の[[マスキー法]]、1973年の[[第一次石油危機]]を技術力と合理化で乗り切り、対米貿易摩擦が激化した1980年代には、対米貿易摩擦回避のために海外生産を拡大させていく。1990年代には、新興国市場に備えて、中国やインドでの生産を拡大していった<ref>小林英夫/金英善 『現代がトヨタを超えるとき』ちくま新書 P.61</ref>。<br />
<br />
2000年代には、原油高と環境規制の強化によって、燃費性能に優れ、省エネの小型車に日本の自動車メーカーが競争力を強めて、2007年にはトヨタが「ビッグ3」の一角を占めるまでになった<ref>小林英夫/金英善 『現代がトヨタを超えるとき』ちくま新書 P.78~79</ref>。<br />
<br />
2017年時点で日本の自動車関連企業数は、完成車メーカーが16社、ユニット・機能部品・内外装品などを納める一次部品企業が約800社、単一部品・プレス・金型鋳鍛造品を一次部品企業に供給している二次部品企業が約4,000社、金属部品・樹脂部品を二次部品企業に供給している三次部品企業が約2万社あり、合計すると2万5000社から構成されている。自動車関連の従業員数は、関連部門を含めた人数で約532万人におよび、日本の全就業人口の8.7%、製造業人口の49.6%を占める巨大産業となっている<ref>小林英夫/金英善 『現代がトヨタを超えるとき』ちくま新書 P.81~82</ref>。<br />
<br />
===== 産業集積地域 =====<br />
{{節スタブ}}<br />
トヨタの発祥の地である[[愛知県]][[豊田市]]が有名であり、隣接する[[刈谷市]]には[[デンソー]]・[[アイシン精機]]をはじめとしたトヨタグループの部品メーカー各社が本社を置いている。愛知県にはトヨタやトヨタグループ関連の工場が多く集積する。トヨタ以外では[[三菱自動車工業|三菱自動車]]も[[岡崎市]]に工場を持つ。他には、[[日産自動車]]のある[[神奈川県]]、[[本田技研工業]]のある[[埼玉県]]や[[三重県]]、[[スズキ (企業)|スズキ]]や[[ヤマハ発動機|ヤマハ]]のある[[静岡県]]、瀬戸内海沿岸地域([[マツダ]]のある[[広島県]]および[[山口県]]、三菱の工場を擁する[[岡山県]]([[水島臨海工業地帯]])、[[川崎重工業|カワサキ]]のある[[兵庫県]])、[[福岡県]]・[[大分県]]([[日産自動車九州]]・[[トヨタ自動車九州]]・[[ダイハツ九州]])・[[群馬県]]([[SUBARU]])に自動車産業の集積が見られる。<br />
<br />
また、工場周辺地域(愛知県や神奈川県、静岡県など)に、自動車部品など周辺産業が集積している。<br />
これを見ると、[[太平洋ベルト]]に沿っていることがわかる。<br />
;主な都市<br />
*[[愛知県]][[豊田市]]、[[岡崎市]]<br />
*[[神奈川県]][[横浜市]]、[[川崎市]]<br />
*[[静岡県]][[浜松市]]、[[裾野市]]<br />
:など<br />
<br />
==== マレーシア ====<br />
マレーシアにおいて自動車産業はおそらく最も着実に成長している市場の一つで世界への(アメリカとヨーロッパ以外へ)輸出が必要となる。<br />
自動車会社の一覧は以下を参照:<br />
<br>- [[プロトン (自動車)|プロトン Edar]] (PeRusahaan OTOmobil Nasional), マレーシアの自動車生産の先駆者<br />
<br>- [[プロドゥア]] (PERusahaan Otomobil keDUA), エンジンはダイハツの車種を元にしている。<br />
<br>- [[ブフォーリ]] & [[:en:TD2000|TD2000]], マレーシアを拠点として"アンティーク カー"を生産する。(元々はオーストラリアから来た).<br />
<br>- [[DRB-ハイコム]] (Diversified Resources Berhad - マレーシアのBerhadの重工業)<br />
<br />
==== 韓国 ====<br />
{{main|韓国車}}<br />
2010年、韓国の自動車産業は生産台数において世界で5番目で輸出市場において6番目に多い規模である。50年前に日本とアメリカから部品を輸入して組み立てる事から始まった。[[現代自動車グループ|現代自動車グループ(ヒュンダイ、キア)]]は現在ではトヨタに次いでアジアで2番目に大きい。1988年に年間国内生産台数が100万台を超えた。1990年に複数の自社開発車種を生産し能力を実証するだけでなく、10年以上にわたり社会資本に大規模な投資を行った。彼等の自動車の品質は近年、大幅に向上し国際市場での評価を得ることができた。<br />
<br />
==== パキスタン ====<br />
{{main|[[:en:Automotive industry in Pakistan]]}}<br />
パキスタンの自動車産業は長年にわたり成長し続けているが上位には入らない。生産される期間が長く大量に生産されるが車種が少ない。そのため、購入者は選択肢が限られる。競争において幸運なことに競争相手は少なく、輸入車は高額である。いくつかの世界的な規模の企業が組立工場を地元の企業と共同で設立している。<br />
<br />
==== タイ ====<br />
タイでTRとして知られる[[:en:Thai Rung Union Car|ThaiRung]]は[http://www.thairung.co.th/homeenglish.html Thai Rung Union Car Public Co. Ltd. (TRU)]によって生産される。会社は1967年にバンコクで設立された。元々の社名はThai Rung Engineering Co. Ltd.で1973年にThai Rung Union Car Co. Ltd.に変更した。TRUは1994年に証券取引所に上場した。TRUの事業は設計開発、自動車部品の生産、産業機材の生産、自動車組み立てと金融である。<br />
複数の廃盤になったランドローバーのエンジンを搭載したTRのバンはタイで設計された車体とプラットホームを組み合わせていた。近代的なTRのバンは小型または中型のトラックを元にしてSUVや7席の多目的車になった。<br />
<br />
=== 欧州 ===<br />
==== ベルギー ====<br />
1990年代には百万台以上を生産していた。<br />
<br />
==== フランス ====<br />
{{main|フランス車}}<br />
フランスの3大自動車メーカーは[[プジョー]]、[[ルノー]]、[[シトロエン]]である。<br />
<br />
==== ドイツ ====<br />
{{main|ドイツ車}}<br />
ガソリンエンジンの自動車は[[カール・ベンツ]]によって発明された。さらに現在大半の自動車で使用される4サイクル内燃機関はドイツの[[ニコラウス・オットー]]によって発明された。さらにディーゼルエンジンも同様にドイツ人の[[ルドルフ・ディーゼル]]によって発明された。<br />
<br />
ドイツはポルシェやメルセデス、アウディ、BMWのような高性能、高品質の自動車で有名で彼らは積極的に技術革新を取り入れる。ダイムラーベンツの前身であるダイムラー・モートレン・ゲゼルシャフトは世界最古の自動車工場でダイムラーベンツは合併により1926年に出来た。1998年にはアメリカの自動車会社であるクライスラーを買収し、2007年に多大な損失を抱えて売却した。<br />
<br />
==== イタリア ====<br />
{{main|[[:en:Automotive industry in Italy]]}}<br />
イタリアの自動車産業はGiovanni Agnelliによって1899年にフィアットが工場を建設した時に始まった。50社もの自動車会社が出来ては消えていった。その中には1900年に設立されたIsotta Fraschini、1906年設立のランチア、1910年設立のアルファ・ロメオ、1914年設立のマセラッティ、1939年設立のフェラーリ、1963年設立のランボルギーニがあった。第一次世界大戦と第二次世界大戦の間と1970年代の経済危機によりこれらの大半のブランドはフィアットや外国の企業へ売却された。現在ではイタリアの自動車産業は超小型車からスポーツカー等の高級車まで幅広い製品を誇っている。2009年6月の時点においてフィアットはクライスラーの20%の株式を保有する。<br />
<br />
==== オランダ ====<br />
[[スパイカー・カーズ]]と[[ネッドカー]]がある。<br />
<br />
==== ルーマニア ====<br />
{{main|[[:en:Automotive industry in Romania]]}}<br />
<br />
==== ロシア ====<br />
{{main|[[:en:Automotive industry in Russia]]}}<br />
ロシアの自動車産業は直接携わる人数が約60万人で総労働人口の1%に相当する。2010年の時点においてロシアは世界で15番目に大きな生産国で世界の生産台数の約7%を占める。2008年には1,469,898台生産したが世界金融危機により生産台数は減少して2009年には595,807台の小型車を生産した。<br />
[[アフトヴァース]]と[[GAZ]]は小型車を生産する大規模な企業で[[KAMAZ]]は大型車を生産する。外国の11社がロシアに進出して生産している。<br />
<br />
==== ソビエト ====<br />
{{main|[[:en:Automobile industry in the Soviet Union]]}}<br />
<br />
==== スペイン ====<br />
{{main|[[:en:Automotive industry in Spain]]}}<br />
2009年にスペインの自動車産業は350万台を生産しGDPの3.5%と被雇用者数の約9%を占める。スペインは世界で第8位の生産台数だが2008年から2009年にかけて自動車生産が落ち込んだ。政府の多くの政策が放棄された事により10年前から低迷が始まった。その結果全てのスペインの自動車のブランドが失われ、現在では外国の企業がブランドを保有する。スペインの主要な工場はフォルクスワーゲングループの子会社のSEAT, S.A.である。<br />
<br />
==== スウェーデン ====<br />
現存するスウェーデンの自動車製造会社は乗用車の[[ボルボ・カーズ]]と[[サーブ・オートモービル]]、トラック・バスの[[ボルボ]](乗用車とは別資本)と[[スカニア]]である。<br />
<br>乗用車のボルボはボルボグループからの経営分離、フォード傘下時代を経て、現在は中国資本の下にある。サーブは2度目の経営破たんを経て休業状態にあるが、[[:en:National Electric Vehicle Sweden|ナショナル・エレクトリックビークル・スウェーデン]]が生産再開を目指している。トラック・バス分野においてはスウェーデンの自動車産業は主要な地位にあり、グローバル販売台数でボルボは世界第2位、スカニアは第3位である。<br />
<br />
==== トルコ ====<br />
{{main|[[:en:Automotive industry in Turkey]]}}<br />
トルコの自動車産業は[[トルコの経済|トルコ経済]]において重要な位置を占める。1959年には[[コチ財閥]]とフォードとの合弁である[[:en:Otosan|Otosan]]が設立され、1961年に[[アナドル]]の量産が始まった。コチ以外にも[[サバンジュ財閥|サバンジュ]]や[[オヤック財閥|オヤック]]などの財閥と海外メーカーの合弁による自動車が生産されている。2008年の時点でトルコは1,147,110台生産してヨーロッパで6番目で世界で15番目の生産数である。<br />
<br />
==== イギリス ====<br />
{{main|[[:en:Automotive industry in the United Kingdom]]}}<br />
かつては[[レイランド]]など多数の中小メーカーが存在したが、1960年代からの[[英国病]]により労働組合の発言力が増し、慢性的なストライキによる生産効率の悪化、意欲低下による技術的な停滞に加え、低価格で信頼性の高い日本車勢の進出が重なり、国内メーカーは、[[ケーターハム]]や[[アリエル (自動車)|アリエル]]などのバックヤード・ビルダーに近い小規模な会社を除き、GMやフォルクスワーゲン等の海外企業に買収されるか倒産した。現在では知名度の高い[[ベントレー]]などブランド名が、他社の高級車部門として存続している。また[[ロータス・カーズ|ロータス]]や[[ランドローバー]]、[[ジャガー (自動車)|ジャガー]]などは、タタ・モーターズ(インド)やプロトン(マレーシア)など、かつて植民地だった国の新興メーカーが傘下に収めている。<br />
<br />
他の自動車メーカーから独立している[[アストンマーティン]]も中東などの投資グループが経営権を握っている。また[[CAFE]]などの規制強化により、[[アストンマーティン・シグネット]]のような規制対策車を販売するため他社からの供給を受けている(ベースは[[トヨタ・iQ]])。<br />
<br />
また[[ロイヤルエンフィールド]]などのオートバイ産業も、自動車と同じくブランドが売却されたか廃業したメーカーが多い。<br />
<br />
=== 北アメリカ ===<br />
==== 米国 ====<br />
{{main|[[:en:Automotive industry in the United States]]}}<br />
米国は世界で最初に大量生産技術を開発し、国土が広く公共交通機関が行き届かない地域が多いことから、自動車の市場規模は大きい。[[フォード・モーター|フォード]]、[[ゼネラルモーターズ|GM]]、[[クライスラー]]の「[[ビッグスリー]]」を筆頭とした自動車産業は、幾多の合併や淘汰を経つつも常に[[製造業]]の中心としてアメリカ産業を牽引してきた。<br />
<br />
1980年代には、[[日米貿易摩擦]]が発生する。この時期は産業[[空洞化]]も議論されたが、その後、再び米国の自動車産業は力をつけていた。<br />
<br />
しかし、2000年代後半になると「ビッグスリーの凋落と外国企業の進出」<ref>[http://cgi2.nhk.or.jp/archives/tv60bin/detail/index.cgi?das_id=D0009010766_00000 NHKスペシャル アメリカ発 世界自動車危機 - NHK名作選(動画・静止画) NHKアーカイブス]</ref>「環境規制の強化」が、自動車産業を揺さぶることになる<ref name="20080207nikkeibo">「沈みゆく米デトロイト 過去の危機とは事情が違う」『日経ビジネスオンライン』2008年2月7日付配信、日経BP社</ref>。ビッグスリーが生産量を削減し[[デトロイト]]などで[[失業者]]が生まれる一方で、トヨタ自動車などが工場進出した地域では、新たな[[雇用]]が生まれている。「米国には2つの自動車産業がある。1つは成長し、もう1つは縮小する産業だ」([[エコノミスト]] トーマス・クライアー)<sup>{{R|20080207nikkeibo}}より引用</sup>と評す向きもある。{{R|20080207nikkeibo}}<br />
また、2020年までに平均燃費を35[[mpg]]にすることが法律で決まったため、燃費向上のための技術開発費が、各社に重くのしかかっている。自動車業界による法案阻止の[[ロビー活動]]が失敗し、自動車業界の影響力低下が確認された事例でもある{{R|20080207nikkeibo}}。<br />
<br />
==== カナダ ====<br />
{{main|[[:en:Automotive industry in Canada]]}}<br />
カナダは2008年、世界で7番目だったが2010年にはやや順位を落とし11番目の生産量である。同時期にブラジルとスペインの生産量が初めてカナダを超えた。1918年から1923年にかけてカナダは世界で2番目に多く生産していた。カナダの自動車産業は自動車の初期にまで遡る。カナダでの最初の大規模な自動車の生産は1904年のオンタリオ州Windsor付近のWalkervilleで行われた。Walkerville Wagon Works工場でGordon McGregor と Wallace Campbellによって使いやすい117台の"C"型フォードを生産した。<br />
<br />
かつてはBrooks Steam, Redpath, Tudhope, McKay, Galt Gas-Electric, Gray-Dort, Brockville Atlas, C.C.M., や McLaughlinといった多数の地元資本のブランドがあった。1918年、McLaughlinはアメリカの企業であるゼネラルモーターズによって買収されゼネラルモーターズ・カナダにブランド名が変わった。第一次世界大戦によりカナダの自動車産業は発展し、1923年までは世界で第2位だった。しかし、当時は多数の工場で多数の車種を生産する非効率な状況が続いていた。その後1965年にアメリカ合衆国との間に自動車生産流通協定が締結されるまでカナダ製の自動車は高額だった。<br />
<br />
1964年に締結された協定または“Auto Pact”はカナダに一つの重要な要素をもたらし、現在ではアメリカによって運営される状況になった。Auto Pactの鍵となる要素は1:1の生産と販売の比率でカナダが必要とする価値を加えることだった。<br />
<br />
==== メキシコ ====<br />
北米([[NAFTA]])での生産では21世紀に入りカナダを抜く生産台数となった。<br />
<br />
=== 南アメリカ ===<br />
==== ブラジル ====<br />
{{main|[[:en:Automotive industry in Brazil]]}}<br />
ブラジルの自動車産業は2009年に350万台生産した。現在のブラジルにはフィアットやフォルクスワーゲンやフォード、ゼネラルモーターズ、日産、トヨタ、MAN、三菱、メルセデスベンツ、ルノー、ホンダ、ヒュンダイ等、世界で大きい自動車会社の殆どが進出しており、同様に[[トロラー]]、[[マルコポーロ (企業)]]、[[アグラレ]]、[[:en:Randon S.A.|ランドン]]のような新興国の企業もある。<br />
<br />
==== アルゼンチン ====<br />
南米における第二の生産国で、世界でも19位の生産台数である。<br />
<br />
=== オセアニア ===<br />
==== オーストラリア ====<br />
{{main|[[:en:Automotive industry in Australia]]}}<br />
オーストラリアではTarrant Motor & Engineering Co.によって1897年に自動車の生産が始まった。<ref>http://www.cars.com.au/the-boot/australian-car-history.html {{リンク切れ|date=2012年10月}}</ref>主要な自動車会社は[[1856年]]に[[アデレード]]で馬具製造の会社として設立されたのを起源とする[[ホールデン (自動車)|ホールデン]]と1925年設立の[[フォード・オーストラリア|フォード・モーター・オブ・オーストラリア]]がある。20世紀後半にはゼネラル・モータース傘下となったホールデン、フォードに加えトヨタ自動車、日産自動車(1991年生産撤退)、三菱自動車(2008年生産撤退)が組立工場を設置していたが、賃金の上昇や市場の狭さから撤退が相次ぎ、2016年にはフォードが、2017年にはゼネラルモーターズとトヨタ自動車が生産拠点の撤退を決めており、オーストラリア製の国産車が消滅する時期が明確となっている<ref>{{Cite news|url=http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0DW0OD20140516?rpc=188|title=アングル:豪ドルに調整リスク、「オランダ病」が顕在化|work=ロイター|publisher=ロイター通信社|date=2014-05-16|accessdate=2014-05-18}}</ref>。<br />
<br />
==== ニュージーランド ====<br />
ニュージーランドでは1980年代から1990年代にかけて、関税削減などにより、日本などから大量の中古車が流入し、新車の販売が激減。1998年後半にトヨタが現地工場を閉鎖して以来大手の自動車生産工場は存在しない。国内産業の保護への転換は国内の組立工場の閉鎖につながった。同国でのシェア上位はトヨタ・ニュージーランド、フォード・ニュージーランドそしてホールデン・ニュージーランドである。<br />
<br />
== 製造会社 ==<br />
順位は2013年の生産台数<ref name=oi13>{{cite web|title=World Motor Vehicle Production: World Ranking of Manufacturers Year 2013|publisher=[[国際自動車工業連合会|OICA]]|url=http://www.oica.net/wp-content/uploads//ranking-2013s-2.pdf|format=PDF|accessdate=2014-11-23}}</ref><br />
{| class="wikitable sortable"<br />
|-<br />
! 順位 !! グループ !! 国 !! 合計台数 !! 車種 !! LCV !! HCV !! バス<br />
|-<br />
| 1||[[トヨタ]]||{{JPN}}||10,324,995||8,565,176||1,481,722||272,411||5,686<br />
|-<br />
| 2||[[ゼネラルモーターズ]]||{{USA}}||9,628,912||6,733,192||2,890,958||4,762||<br />
|-<br />
| 3||[[フォルクスワーゲン]]||{{DEU}}||9,379,229 ||9,259,506 ||119,723|| ||<br />
|-<br />
| 4||[[現代自動車|現代]]||{{KOR}}||7,233,080||6,909,194||242,021||67,290||14,575<br />
|-<br />
| 5||[[フォード・モーター|フォード]]||{{USA}}||6,077,126||3,317,048||2,667,220||92,858||<br />
|-<br />
| 6||[[日産自動車]]||{{JPN}}||4,950,924||4,090,677||837,331||22,916||<br />
|-<br />
| 7||[[:en:Fiat Chrysler Automobiles|フィアットクライスラー]]||{{ITA}} / {{USA}}||4,681,704||2,163,040||2,350,697||124,131||43,836<br />
|-<br />
| 8||[[本田技研工業]]||{{JPN}}||4,298,390||4,263,239||35,151|| ||<br />
|-<br />
| 9||[[スズキ (企業)|スズキ]]||{{JPN}}||2,842,133||2,452,573||389,560|| ||<br />
|-<br />
| 10||[[PSA・プジョーシトロエン]]||{{FRA}}||2,833,781||2,445,889||387,892|| ||<br />
|-<br />
| 11||[[ルノー]] ||{{FRA}}||2,704,675||2,347,913||356,762|| ||<br />
|-<br />
| 12||[[BMW]]||{{DEU}}||2,006,366||2,006,366|| || ||<br />
|-<br />
| 13||[[上海汽車]]||{{CHN}}||1,992,250||1,685,392||231,374||74,431||1,053<br />
|-<br />
| 14||[[ダイムラー AG|ダイムラー]]||{{DEU}}||1,781,507||1,631,502||150,005|| ||<br />
|-<br />
| 15||[[マツダ自動車]]||{{JPN}}||1,264,173||1,175,443||88,730|| ||<br />
|-<br />
| 16||[[東風汽車|東風]]||{{CHN}}||1,238,948||642,092||226,319||357,414||13,123<br />
|-<br />
| 17||[[三菱自動車]]||{{JPN}}||1,229,441||1,090,571||135,306||3,564||<br />
|-<br />
| 18||[[長安汽車]]||{{CHN}}||1,109,889||873,794||166,056||70,039||<br />
|-<br />
| 19||[[タタ・モーターズ|タタ]]||{{IND}}||1,062,654||650,708||279,511||117,425||15,010<br />
|-<br />
| 20||[[吉利汽車]]||{{CHN}}||969,896||969,896|| || ||<br />
|-<br />
| 21||[[北京汽車]]||{{CHN}}||918,879||243,437||285,947||384,425||5,070<br />
|-<br />
| 22||[[富士重工]]||{{JPN}}||808,919||808,919|| || ||<br />
|-<br />
| 23||[[華晨汽車]]||{{CHN}}||782,904||479,335||264,210||39,359||<br />
|-<br />
| 24||[[第一汽車]]||{{CHN}}||717,883||448,290||61,822||203,895||3,876<br />
|-<br />
| 25||[[マヒンドラ&マヒンドラ]]||{{IND}}||584,534||407,563||173,398||2,2337||1,236<br />
|-<br />
| 26||[[長城汽車]]||{{CHN}}||557,564||430,423||127,141||||<br />
|-<br />
| 27||[[いすゞ自動車]]||{{JPN}}||532,966|| ||36,094||494,907||1,965<br />
|-<br />
| 28||[[:en:JAC Motors|JAC]]||{{CHN}}||517,577||206,132||120,588||174,571||16,286<br />
|-<br />
| 29||[[比亜迪汽車]]||{{CHN}}||510,950||510,950|| || ||<br />
|-<br />
| 30||[[アフトヴァース]]||{{RUS}}||507,242||495,013||12,229|| ||<br />
<br />
|-<br />
| 31||[[奇瑞汽車]]||{{CHN}}||477,166||459,283||17,883|| ||<br />
|-<br />
| 32||[[力帆集団]]||{{CHN}}||245,506||168,395||27,810||49,301||<br />
|-<br />
| 33||[[:en:Guangzhou Automobile Industry Group|GAIG]]||{{CHN}}||160,868||141,817||18,861|| ||<br />
|-<br />
| 34||[[:en:China National Heavy Duty Truck Group|CNHTC]]||{{CHN}}||155,218||||1,561||152,735||922<br />
|-<br />
| 35||[[プロトン (自動車)|プロトン]]||{{MYS}}||140,082||116,882||23,200||||<br />
|-<br />
| 36||[[パッカー]]||{{USA}}||135,891||||||135,891||<br />
|-<br />
| 37||[[:en:Hunan Jiangnan Automobile Manufacturing Co.|HJAMC]]||{{CHN}}||133,790||133,790||||||<br />
|-<br />
| 38||[[GAZ]]||{{RUS}}||126,594||||91,081||22,418||13,095<br />
|-<br />
| 39||[[:en:Shannxi Auto|Shannxi]]||{{CHN}}||103,524||1,172||12||102,001||339<br />
|-<br />
| 40||[[東南汽車]] (Fujian)||{{CHN}}||98,787||94,951||3,836||||<br />
|-<br />
| 41||[[アショック・レイランド]]||{{IND}}||91,445||638||32,434||39,031||19,342<br />
|-<br />
| 42||[[金龍客車]]||{{CHN}}||83,150||||38,955||||44,195<br />
|-<br />
| 43||[[:en:Navistar International|Navistar]]||{{USA}}||78,974||||||68,578||10,396<br />
|-<br />
| 44||[[:en:Youngman|青年汽車]]||{{CHN}}||71,101||71,101||||||<br />
|-<br />
| 45||[[:en:Tangjun Ou Ling|Tangjun Ou Ling]]||{{CHN}}||70,567||||24,680||45,887||<br />
|-<br />
| 46||[[:en:ZX Auto|ZX Auto]]||{{CHN}}||65,025||2,794||62,231||||<br />
|-<br />
| 47||[[UAZ]]||{{RUS}}||62,443||27,260||35,183||||<br />
|-<br />
| 48||[[一汽海馬汽車]]||{{CHN}}||61,054||61,054||||||<br />
|-<br />
| 49||[[宇通客車]]||{{CHN}}||57,711||||6,148||||51,563<br />
|-<br />
| 50||[[:en:Chun Nan Jun|Sichuan Hyundai]]||{{CHN}}||45,688||||14,673||29,598||1,417<br />
|}<br />
OICA<ref>{{cite web |url=http://www.oica.net/wp-content/uploads/stats-definition1.pdf |title=Definitions |publisher=OICA |accessdate=25 March 2014 }}</ref> これらの詳細を以下に示す:<br />
* '''乗用車'''は4車輪を備え、乗客の輸送で8座席未満に運転手の座席を追加するものとする。<br />
* '''軽商用車''' (LCV) は4輪式で荷物を輸送する。1トン未満が軽商用車とトラックの間で仕様される。この制限は国と事業者間で3.5から 7トンの間で依存する。ミニバスは軽商用車から派生して8座席以上と運転手の座席が追加され最大重量が3.5 から7トンである。<br />
* '''大型トラック''' (HCV)は貨物運搬用の車両である。最大積載量はの軽商用車の制限(3.5から7トン)を越える。それらにはセミトレーラー用の牽引車も含まれる。<br />
* '''バス'''は乗客の輸送に使用され8座席以上と運転手の座席を備え最大重量は軽商用車の制限(3.5から7トン)を超える。<br />
<br />
== 脚注 ==<br />
{{脚注ヘルプ}} <br />
<div class="references-small"><references/></div><br />
<br />
== 関連項目 ==<br />
* [[産業]]<br />
* [[製造業]]<br />
* [[自動車整備業]]<br />
* [[レンタカー]]<br />
* [[日本における自動車]]<br />
* [[自動車製造者の一覧]]<br />
* [[日本自動車工業会]]<br />
* [[中国の自動車産業]]<br />
* [[中華人民共和国の経済#自動車]]<br />
* [[各国の自動車生産一覧]]<br />
* [[国別自動車所有台数一覧]]<br />
<br />
{{主要産業}}<br />
<br />
{{Car-stub}}<br />
{{デフォルトソート:しとうしやさんきよう}}<br />
[[Category:自動車産業|*]]</div>
59.135.158.95
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