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<p>2409:13:92A0:BE00:34E9:2885:E9E6:F4B2: </p> <hr /> <div>{{出典の明記|date=2012年1月}}<br /> &#039;&#039;&#039;装甲艦&#039;&#039;&#039;（そうこうかん）は[[鉄]]ないし[[鋼]]の[[装甲]]を施した[[軍艦]]を指す用語である。日本では&#039;&#039;&#039;甲鉄艦&#039;&#039;&#039;ともいい、[[明治|明治時代]]にはより一般的な名称であった。装甲艦という種別は装甲の存在を表すものであり、艦の用途や艦形に関するものではない。そのため動力も手漕ぎ、帆走や[[蒸気機関]]による機走などさまざまなものが用いられ、船の大きさも数百トン程度から一万トンに及ぶものまで、実に様々であった。<br /> <br /> なお、19世紀末以降20世紀前半の[[戦艦]]、[[装甲巡洋艦]]から発展した[[巡洋戦艦]]も、19世紀以来の定義では装甲艦であるが、今日ではこれらを別分類とし、初期の装甲艦のみを指す艦種名称として用いられることが多い。<br /> [[File:Meyers b12 s0661a.jpg|thumb|300px|各国の装甲艦を描いたイラスト。左からフランス装甲艦「[[オセアン級装甲艦|オセアン級]]」、イギリス装甲艦「[[デヴァステーション級装甲艦|デバステーション級]]」、イタリア装甲艦「[[イタリア級装甲艦|イタリア級]]」、イギリス装甲艦「[[アドミラル級戦艦|コリンウッド]]」、ドイツ装甲艦「[[ザクセン級装甲艦|ザクセン級]]」、フランス装甲艦「[[アミラル・デュプレ (装甲艦)|アミラル・デュプレ]]」。]]<br /> <br /> == 装甲艦の歴史 ==<br /> {{節スタブ}}<br /> === 黎明期 ===<br /> {{main|産業化以前の装甲艦}}<br /> 鉄の装甲を持った装甲艦の誕生以前、[[火砲]]や[[矢]]などの投射兵器に対する防御としては厚い木の板が用いられていた。[[戦列艦]]は分厚い[[チーク]]材などで船体を構成していた。炸裂弾の実用化以前においては、大砲は攻城戦で城壁を壊す目的ならともかく、多数の敵兵を殺戮する目的には適さず、そのため当時の艦船は小口径の大砲を大量に装備する事で補っており、そのため木材による防御でも十分であった。日本の[[安宅船]]でも[[銃弾]]や矢を防ぐために盾板と呼ぶ厚い木の板をめぐらせたり、[[竹束|竹筒]]を並べた防御構造を有していたりした（なお[[#日本史における装甲艦]]も参照）。<br /> <br /> しかし、ヨーロッパで砲弾として高性能[[榴弾|炸裂弾]]が実用化されると、従来の防御では不十分となった。[[クリミア戦争]]中の1853年に起きた[[シノープの海戦]]の結果、木造艦船に対しては炸裂弾が圧倒的な威力を発揮することが、ヨーロッパでは広く認識された。<br /> <br /> 他方、[[19世紀]]前半には、後述の[[#ジーメンス法|ジーメンス法]]などの[[製鉄]]技術の進歩により、装甲用の[[鋼板]]生産が可能となっていた。動力面で[[蒸気船]]、特に[[舷|舷側]]武装の邪魔とならない[[スクリュー]]推進が実用化されていたことと合せて、軍艦に重い鉄の装甲を施すための技術的条件が揃っていた。<br /> <br /> こうして1854年に、世界で最初の装甲艦が[[フランス]]で建造された。これはクリミア戦争にフランスが参戦するに当たって、主に陸上[[砲台]]との交戦を想定して設計したもので、110mmの鉄板と440mmの[[オーク]]材で強固に装甲されていたが、帆走と150馬力の[[蒸気機関]]による最高速力はわずか数[[ノット]]の&#039;&#039;&#039;[[浮き砲台]]&#039;&#039;&#039;だった。そのうちの「ラブ（Lave）」以下3隻は、1855年に[[黒海]]で実戦投入され、大きな成果を挙げた。その効果を見た[[イギリス]]も、同種の装甲[[浮砲台]]の建造を開始した。<br /> <br /> === 19世紀 ===<br /> [[ファイル:LaGloirePhotograph.jpg|thumb|left|1859年進水の装甲艦[[ラ・グロワール]]]]<br /> [[ファイル:Buque de Torre Huascar.jpg|thumb|left|1865年就役の装甲艦[[ワスカル (装甲艦)|ワスカル]]。[[ペルー海軍]]の所属であったが[[太平洋戦争_(1879年-1884年)|南米の太平洋戦争]]で[[チリ海軍]]が鹵獲して編入し、現在も[[博物館船|記念艦]]として保存されている。]]<br /> 現在、記録に残る世界初の航洋装甲艦は[[1859年]]に[[フランス海軍]]が進水させた機走可能な装甲艦[[ラ・グロワール]]である。「ラ・グロワール」は排水量5,635トン、163mm後装砲36門、舷側装甲120mmを持ち、速力13ノットを発揮する軍艦史上初の防御装甲を持ち、長距離航行可能な軍艦であった。この後すぐに[[1860年]]にイギリスの「[[ウォーリア (装甲艦)|ウォーリア]]」が進水し、この流れに続けと列強各国はこぞって機帆装甲艦を建造するようになった。<br /> <br /> 同じく19世紀後半、[[ロシア海軍]]など内海を活動範囲とする海軍でも、沿岸防備用として多くの装甲艦が用いられた。<br /> <br /> 初期には帆走装甲艦が主であったものの、[[南北戦争|アメリカ南北戦争]]で[[1861年]]に南軍が装甲艦「[[マナサス (装甲艦)|マナサス]]」を就役させて以降は、蒸気機関を備える機帆走装甲艦が多数を占めるようになった。航続距離が短くても構わない沿岸用の装甲艦には、帆走設備を廃止するものも現れた。<br /> <br /> 装甲艦への武装方式にも改良が行われていった。はじめは従来の戦列艦・フリゲートと同じような砲列甲板式の[[舷側砲]]が使用されていたが、次第に比較的少数の巨砲を搭載するようになり、ケースメート式の&#039;&#039;&#039;中央砲郭艦&#039;&#039;&#039;、[[バーベット]]上に配置する&#039;&#039;&#039;[[バーベット#バーベット艦|露砲塔艦]]&#039;&#039;&#039;（バーベット艦）、[[砲塔]]を有する&#039;&#039;&#039;砲塔艦&#039;&#039;&#039;（ターレット艦）などが開発されていった。砲塔艦の中には、艦中央付近に左右非対称に2基の砲塔を積んだものもあり、&#039;&#039;&#039;中央砲塔艦&#039;&#039;&#039;と呼ばれる。沿岸用の装甲艦では、砲塔艦の特殊な類型として、帆走を廃止して極端な低[[乾舷]]とした&#039;&#039;&#039;[[モニター艦]]&#039;&#039;&#039;が出現した。装甲艦同士の[[ハンプトン・ローズ海戦]]で互いに装甲を貫通できなかったことは、装甲を打ち破るために巨砲搭載が進むきっかけとなった。また、火砲以外に[[衝角]]が装着され、[[リッサ海戦]]などの戦訓から重要視された。<br /> <br /> === 20世紀以降 ===<br /> [[ファイル:Couracado Vasco da Gama.jpg|left|thumb|200px|装甲巡洋艦の様な外観に変貌した[[ポルトガル海軍]]装甲艦「ヴァスコ・ダ・ガマ」]]<br /> [[File:Ottoman_ironclad_Mesudiye.jpg|right|thumb|250px|[[オスマン帝国海軍]]装甲艦[[メスディイェ (装甲艦)|メスディイェ]]]]<br /> 戦列艦から戦艦への過渡期である[[20世紀]]初頭以降、全船体を鉄鋼で作る技術が確立されると、木造ないし鉄骨木皮の装甲艦は次第に廃れていった。[[日露戦争]]の時点ではすでに第一線からは退いており、[[第一次世界大戦]]が始まるころにはほぼ姿を消している。しかし、一部の国では近代化改装を施し、[[装甲巡洋艦]]や[[海防戦艦]]の替わりとして再就役させる例が見られ、特に[[ポルトガル]]の装甲艦「[[ヴァスコ・ダ・ガマ (装甲艦)|ヴァスコ・ダ・ガマ]]」は1935年まで現役であった。<br /> <br /> 船体全体が[[鋼鉄]]製になって以後も、[[戦艦]]やこれに準じる性能の軍艦を装甲艦と呼ぶ例があった。例えばドイツ海軍の[[ドイッチュラント級装甲艦|ドイッチュラント級ポケット戦艦]]は、正式には装甲艦（{{lang|de|Panzerschiff}}）に分類されていた。ロシア海軍でも、戦艦に相当する艦を当初は装甲艦（{{lang|ru|Броненосный корабль}}）、その後1907年に戦列艦という分類に切り替えるまで艦隊装甲艦（{{lang|ru|Эскадренный броненосец}}）の語を用いている。日本語においても、語彙「装甲艦」「甲鉄艦」は、[[第一次世界大戦]]終結頃まで、戦艦や巡洋戦艦を含む装甲を有する軍艦の総称であった&lt;ref&gt;朝日新聞におけるこの語義での「装甲艦」の最終例は1919年2月28日3頁「講和問題／独艦処分問題／独艦爆沈反対」、「甲鉄艦」の最終例は1916年7月10日3頁「日英新聞記者の英艦隊訪問」である。この場合「装甲艦」は、&quot;Armored ship&quot;に対応し、&quot;Ironclad warship&quot;の訳語ではなかった。三省堂書店刊『日本百科大辞典 第四巻』（1910年12月）掲載[[肝付兼行]]執筆「装甲艦」参照。&lt;/ref&gt;。<br /> <br /> == 装甲艦の初陣 ==<br /> [[File:Ferdinand Max.jpg|thumb|left|リッサ海戦に参加し、衝角攻撃でイタリア装甲艦を破った[[オーストリア＝ハンガリー帝国海軍]]装甲艦「フェルディナント・マックス」。]]<br /> 広い意味では、装甲艦の最初の実戦使用は、クリミア戦争中の1855年の浮砲台による対地戦闘であった。<br /> <br /> 装甲艦同士の[[海戦]]としては、アメリカ南北戦争中の1862年に起きた[[ハンプトン・ローズ海戦]]が最初である。<br /> <br /> 航洋装甲艦隊による最初の海戦としては、1866年の[[リッサ海戦]]が著名である。また、1864年にデンマークとプロイセンが[[バルト海]]で交戦した[[ヤスムントの海戦]]で装甲艦が投入されたとする説もあり、今後の研究の結果によっては海戦史が一部書き換えられる可能性もある[http://www.d3.dion.ne.jp/~ironclad/wardroom/Jasmund/jasmund.htm]。なお、逆に非装甲の木造艦隊による最後の本格海戦としては、1864年5月に[[ヨーロッパ]]の[[北海]]で[[デンマーク]]と[[プロイセン]]・[[オーストリア]]連合艦隊が戦った[[ヘルゴラント海戦]]が有名である。<br /> <br /> == ジーメンス法 ==<br /> 装甲艦を語る上で重要なポイントの一つは船体に用いる[[金属]]の質と、その製法である。船舶の歴史上、その素材は木材が主流であった。しかし建造される船舶が次第に大型化するにつれ木材では素材として強度が足りなくなり、価格の高騰が進むようになる。製鉄技術の発達はその問題の解決策となるものであり、薄く延ばした鋼鉄で建造する事で木材を使用するよりも丈夫で軽く、コストを安く抑える事ができるようになるものであった。<br /> <br /> 製鉄技術の進歩に伴い小型の船舶には徐々に鉄の船体を用いられるようになったが、大型の船舶でこれを行う為にはさらに高い製鉄技術が必要とされる。イギリスの[[製鉄業]]では早期に平炉で高級鋼を生産する[[ジーメンス法]]が採用されており、鋼鉄板を同強度の鉄板よりも薄く、軽く、高品質に製造する事が可能であった。この為、イギリスでは早くから大型船の鋼鉄化を実現することが出来た。こうした高い技術力を背景として海外から造船の受注が増加したことにより、イギリスは[[1890年代]]までにヨーロッパの造船シェアで8割以上を占める造船大国として君臨する事となる。<br /> <br /> こうした進歩の結実の一つが[[1843年]]に完成した[[蒸気船]][[グレートブリテン号|グレート・ブリテン号]] ([[w:en:SS Great Britain|SS Great Britain]]) である。グレート・ブリテン号は排水量3675トン、全長98メートル、幅15.4メートルで、当時世界最大の鉄製の[[旅客船|客船]]であった。また、鋼鉄のみで建造された[[貨物船]]も[[1881年]]に進水されたイギリス製のセルビア号である。装甲艦は、こうした高い製鉄技術や造船設計の進歩を背景とし、時代の要求に伴って産まれてきたのである。<br /> <br /> == 日本史における装甲艦 ==<br /> 日本では、[[織田信長]]が[[伊勢国|伊勢]]の大名[[九鬼嘉隆]]に建造させた、「[[鉄甲船]]」という木造の船体の外側に鉄板を貼り付けた大型の軍艦が初の装甲艦の例として挙げられることもある。これは[[1576年]]（[[天正]]4年）の[[7月13日]]の[[第一次木津川口の戦い]]の際、[[毛利輝元]]麾下の水軍に[[焙烙火矢]]攻撃を受けた事を戦訓として、建造されたものである。ただし、鉄甲船の装甲はあくまで防火のためのものであり、防弾を目的とした装甲とは意味が違うものである。そして後世の装甲艦とは技術的なつながりは全く存在しない。<br /> <br /> 鉄甲船を装甲艦の元祖とみなす立場からは、[[第二次木津川口の戦い]]で投入されたのが装甲艦の初陣であると主張される。焙烙火矢を克服して大勝利を得たとするが、勝利の程度は疑問視する見方もある。<br /> {{main|鉄甲船}}<br /> <br /> 近代においては、木製船体の[[東艦]]（甲鉄艦）や、鉄骨木皮艦に部分装甲を施した[[金剛型コルベット]]などを輸入した。すでに時代は金属製船体への移行期にあったため、木製船体の採用は少数にとどまった。&lt;!--（資料で確認してから表示予定）[[幕府海軍|江戸幕府海軍]]の[[開陽丸|開陽艦]]は、オランダでの建造中に設計変更で装甲を施す提案が造船所側からあったが、採用されなかった。--&gt;<br /> <br /> == 脚注 ==<br /> {{脚注ヘルプ}}<br /> {{reflist}}<br /> <br /> == 関連文献 ==<br /> * 『戦艦　装甲艦から高速戦艦までの発達を厳選89隻で解説』石橋孝夫監修、小学館、1985年。ISBN 4-09-330032-1<br /> <br /> == 関連項目 ==<br /> {{commonscat|Ironclads}}<br /> * [[鉄甲船]] - 織田信長の命により建造された木造鉄張りの装甲艦。<br /> * [[大安宅船]] - 鉄甲船の別名。<br /> * [[ラ・グロワール]] - 世界初の機走装甲艦、戦艦の始祖｡<br /> * [[ウォーリア (装甲艦)|ウォーリア]] - イギリス初の鉄製装甲艦。<br /> * [[w:en:SS Great Britain|SS Great Britain]] - 世界初の大型鉄船。[[スクリュー]]を用いた船としても初である。<br /> * [[ヴァスコ・ダ・ガマ (装甲艦)|ヴァスコ・ダ・ガマ]] - 改装を経て1935年まで実用として就役していた装甲艦。<br /> * [[装甲巡洋艦]] - 19世紀末から20世紀初頭にかけて各国で建造された。<br /> * [[ドイッチュラント級装甲艦|ポケット戦艦]] - [[第二次世界大戦]]で[[ドイツ海軍]]が用いた。装甲艦 (Panzerschiff) とも呼ばれる。<br /> <br /> == 外部リンク ==<br /> * [http://www.d3.dion.ne.jp/~ironclad/wardroom/Jasmund/jasmund.htm ヤスムントの海戦] - ヤスムントの海戦の詳細<br /> <br /> {{Warship-stub}}<br /> {{DEFAULTSORT:そうこうかん}}<br /> [[Category:軍艦]]</div>

2409:13:92A0:BE00:34E9:2885:E9E6:F4B2
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