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miniwiki - 利用者の投稿記録 [ja]
2024-05-21T09:59:36Z
利用者の投稿記録
MediaWiki 1.31.0
魔術
2018-06-30T22:08:10Z
<p>110.54.106.89: </p>
<hr />
<div>{{Otheruses|魔術全体|[[セレマ]]|魔術 (セレマ)|芥川龍之介の短編小説|魔術 (小説)}}<br />
{{Redirect|魔法}}<br />
{{Redirect|魔力}}<br />
'''魔術'''(まじゅつ)とは、仮定上の神秘的な作用を介して不思議のわざを為す営みを概括する用語である<ref>『[[ブリタニカ百科事典第11版]]』 ({{Cite wikisource|1911 Encyclopædia Britannica/Magic| |en|nobullet=yes}})</ref>{{refnest|group="*"|過去、多くの学者が魔術の根本的な意味について考察してきたが、実際の所魔術に単純な定義を与えるのは困難である{{sfn|Davies|2012|pp=1-2}}。}}。'''魔法'''(まほう)とも。<br />
<br />
[[人類学]]や[[宗教学]]の用語では'''呪術'''という<ref name="Heibonsha-Jujutsu">{{Kotobank|呪術|2=世界大百科事典 第2版}}</ref>。魔術の語は手品('''[[奇術]]''')を指すこともある<ref>{{kotobank|魔術|2=デジタル大辞泉}}</ref>。<br />
<br />
==呪術・魔術・魔法の語用論==<br />
英語の {{lang|en|magic}}{{refnest|group="*"|初出は14世紀<ref name="Genius">大修館書店 『ジーニアス英和大辞典』 magic の項。</ref>。ギリシア語の magikos<ref group="†">男性形 {{lang|grc|μαγικός}} 〔マギコス〕、女性形 {{lang|grc|μαγική}} 〔マギケー〕。</ref> を語源とする古フランス語から来ている<ref>研究社 『リーダーズ英和辞典 第2版』 magic の項。</ref>。}} は「魔法」、「魔術」、「呪術」と翻訳される<ref name="Genius"/>。近代日本において、訳語を創出する必要があった「文化」などの概念と異なり、magic は従来の日本語の語彙で対応しうる言葉であった{{sfn|江川・久保田編|2015|pp=10-12|loc=「呪術」概念再考に向けて - 文化史・宗教史叙述のための一試論}}。'''魔法'''は古くからある日本語であり、幕末に刊行された『[[和英語林集成]]』初版(1867年)の英和の部では magic に「魔法」「[[飯綱の法|飯綱]]」「妖術」が当てられ、同じく和英の部では「魔法」や「魔術」に magic arts, sorcery 等が当てられた{{sfn|江川・久保田編|2015|pp=10-12|loc=江川純一・久保田浩「「呪術」概念再考に向けて - 文化史・宗教史叙述のための一試論」}}。 <br />
<br />
[[宗教人類学]]の分野では、この訳語として'''呪術'''が定着している{{sfn|鶴岡ら訳|2002|loc=「訳語について」|pp=v-vi}}{{refnest|group="*"|人類学者の[[吉田禎吾]]の説明によれば、魔術の語を用いないのは手品と区別するためである<ref>{{Kotobank|呪術|2=日本大百科全書(ニッポニカ)}}</ref>。}}。一方、思想史<ref>{{Kotobank|呪術|2=百科事典マイペディア}}</ref>や西洋史の文脈では'''魔術'''の語が用いられることが多い{{sfn|江川・久保田編|2017|loc=野口孝之「近代ドイツ・オカルティズムの「学問」における「魔術」」|p=261}}。魔術は西洋[[神秘|神秘思想]]の一分野の呼称としても用いられる<ref name="Heibonsha-Jujutsu"/>。<br />
<br />
<!--<br />
'''魔術'''(まじゅつ)とは、<br />
#人間の意志を宇宙の事象に適用することによって何らかの変化を生じさせることを意図して行われる行為、その手段、そのための技術と知識の体系、およびそれをめぐる文化である。ただし一般通念としての魔術は科学技術と異なり、少なくとも見かけ上は超常的、超自然的なものとされる傾向がある。また、魔術によって引き起こすことができると想像される事象は、超自然的なもの、外面的・物理的なもの、内面的・精神的なものなど、文脈によりさまざまなケースがある。<br />
#1から長じて、[[ケルト神話]]などの神話や、[[ファンタジー]]などの物語で描写される不思議な術、技。<br />
#呪術、[[妖術]]、[[邪術]]、[[託宣]]、[[奇跡]]、[[仙術]]などの総称。([[アニミズム]]、[[汎心論]]の項も参照。)<br />
#[[奇術]]、[[手品]]のこと(本項「[[#奇術と魔術|奇術と魔術]]」の節も参照)。<br />
<br />
日本に魔術という概念が入ってきたのは明治の頃、{{lang-en-short|''magic''}}、{{lang-fr-short|''magie''}}、{{lang-de-short|''Magie''}} などの訳として入ってきた。英語のマジックは奇術の意味も持つ。<br />
新約聖書でパウロは魔術・呪術を悪だとしている。<br />
<br />
魔法は、常人には不可能な手法や結果を実現する力のことである。この語彙を用いるのは主に[[欧州]]系のそれに対してであるが、[[英語]]ではMagic(魔術、魔法、呪術、[[手品]])、Sorcery(妖術、魔法、魔道)、Wizardry(魔法、妙技)、Witchcraft([[魔女]]術)、など複数の言葉と微妙に異なった概念をもつため、該当語のない[[日本語]]訳については、訳語が訳者により異なり混乱している。<br />
<br />
呪術({{Lang-en-short|''magic''}})とは、[[原始宗教]]でもある[[文化人類学]]における[[シャーマニズム]]と[[アニミズム]]、それぞれの[[観念]]や行為にともなう[[呪文]]に代表される形式や様式や儀式をさす<ref>吉田禎吾「呪術」『文化人類学辞典』弘文堂、1987年</ref>。具体的には、<br />
<br />
①人類の初期社会や初期文明において押並べて発生したとされる、[[祈り|祈祷]]や[[占い]]など[[神託]]としての[[運命]]の決定やそれらを指針とした政(まつりごと)<br />
<br />
②[[民間療法|民間治療]]ともいわれる呪術医療([[呪術医]])と生活の糧を得るための「[[狩猟|狩り]]・[[漁撈|漁り]]」による[[薬草]]や[[毒草]]の[[知識]]や使用<br />
<br />
③または[[呪い]](まじない)や呪い(のろい)や[[祓|祓い]](はらい)といわれる[[祈祷師]]による[[霊魂|神霊]]の力の利用などを指す。<br />
--><br />
==呪術研究==<br />
===理論と学説===<br />
[[File:Golden bough.jpg|thumb|right|300px|『金枝』([[ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー|J.M.W. Turner]])、[[アイネイアース|アイネイアス]]神話の一場面。『金枝篇』の口絵として用いられた。]]<br />
*フレイザーの理論<br />
人類学者[[ジェームズ・フレイザー]]は、『[[金枝篇]]』において、文化進化主義の観点から<ref>吉田禎吾「呪術」『文化人類学辞典』弘文堂、1987年</ref>、呪術と[[宗教]]を切り分け、呪術には行為と結果の因果関係や観念の合理的体系が存在し、呪術を宗教ではなく[[プロトサイエンス|科学の前段階]]として捉えた。<br />
<br />
フレイザーは、呪術を「類感呪術(または模倣呪術)」と「感染呪術」に大別した。<br />
<br />
; [[類感呪術]](模倣呪術、{{Lang-en-short|''imitative magic''}})<br />
: 類似の原理に基づく呪術である。求める結果を模倣する行為により目的を達成しようとする呪術などがこれに含まれる。雨乞いのために水をまいたり、太鼓を叩くなどして、自然現象を模倣する形式をとる。<br />
; [[感染呪術]]({{Lang-en-short|''contagious magic''}})<br />
: 接触の原理に基づく呪術である。狩の獲物の足跡に槍を突き刺すと、その影響が獲物に及んで逃げ足が鈍るとするような行為や、日本での藁人形に釘を打ち込む呪術などがこれに含まれる。感染呪術には、類感呪術を含んだものも存在するとフレイザーは述べている。呪術を行使したい対象が接触していた物や、爪・髪の毛など身体の一部だった物に対し、類感呪術を施すような場合などである。<br />
<br />
フレイザーは[[進化主義]]的な解釈を行い、宗教は劣った呪術から進歩したものであるという解釈を行ったが、[[エミール・デュルケーム]]はこれを批判的に継承し、本来集団的な現象である宗教的現象が個人において現れる場合、呪術という形で現れることを指摘した。さらに[[ブロニスワフ・マリノフスキ|マリノフフスキー]]は、[[機能主義]]的な立場から呪術や宗教が安心感をもたらしているいうことを指摘し、また動機という点から人に禍をもたらすそうとする呪術を「黒呪術black magic」といい、雨乞いや病気回復など公共の利益をもたらそうとする呪術を「白呪術white magic」とした。しかし超自然的なものである呪術だとしても、意図的なものと非意図的なものがあるとして、[[エドワード・エヴァン・エヴァンズ=プリチャード|エヴァンズ=プリチャード]]は前者を[[邪術]]、後者を[[妖術]]として区別する必要性を主張した。<br />
<br />
*ビーティ(J.Beattie)は、呪術を象徴的な願望の表現とした。<br />
<br />
*レヴィ=ストロースによる指摘<br />
[[クロード・レヴィ=ストロース]]は、思考様式の比較という観点から、呪術をひとつの思考様式としてみなした。科学のような学術的・明確な概念によって対象を分析するような思考方式に対して、そのような条件が揃っていない環境では、思考する人は、とりあえず知っている記号・言葉・シンボルを組み立ててゆき、ものごとの理解を探るものであり、そのように探らざるを得ない、とした。そして、仮に前者(科学的な思考)を「栽培種の思考」と呼ぶとすれば、後者は「[[野生の思考]]」と呼ぶことができる、とした<ref>『野生の思考』([[1962年]])</ref>。<br />
<br />
「野生の思考」は、素人が「あり合わせの材料でする工作」([[ブリコラージュ]])のようなものであり、このような思考方式は、いわゆる"未開社会"だけに見られるものでもなく、現代の先進国でも日常的にはそのような思考方法を採っていることを指摘し、それまでの自文化中心主義的な説明を根底から批判した。<br />
<br />
===邪術と妖術===<br />
{{Main|邪術|妖術}}<br />
[[エドワード・エヴァン・エヴァンズ=プリチャード|エヴァンズ・プリチャード]]による南スーダンの[[アザンデ族]]の研究以来、社会人類学では邪術 (sorcery) と妖術 (witchcraft) とを区別するようになった。<br />
<br />
邪術は、英語の sorcery に対応する日本語の[[文化人類学]]用語であり、呪術信仰において超自然的な作用を有すると信じられる呪文や所作、何らかの物を用いて意図的に他者に危害を加えようとする技術を指す。ただし、防衛のために行われる呪術を邪術に含める場合もあるので、邪な意図によるものばかりではない<ref>『改訂 文化人類学事典』 ぎょうせい、昭和62年、258頁。</ref>。<br />
<br />
妖術とは、学問的には、文化人類学で定義されるウィッチクラフト(witchcraft)のこと。[[エドワード・エヴァン・エヴァンズ=プリチャード|エヴァンズ・プリチャード]]は、[[アフリカ]]のアザンデ人の研究において、[[ザンデ語]]において「人間が意図していなくても危害を加えてしまう力」として使われているマングの訳語としてwitchcraftという造語を用い、日本ではその訳語として妖術が定着した<ref>{{cite paper|title=近藤英俊/小田亮/阿部年晴篇, 『呪術化するモダニティ-現代アフリカの宗教的実践から-』, 風響社, 2007年, その1,|author=長島信弘|journal=貿易風 : 中部大学国際関係学部論集|vol=3|pages=290-303|year=2008|publisher=中部大学|url=http://ci.nii.ac.jp/naid/110007025371}}</ref>。<br />
<br />
===調査研究===<br />
呪術では、何らかの経験則に沿って呪術の様式が体系化されており、これが民族間の交流で他文化に影響を与えることも多い。これらの民俗学的調査により、民族間の交流や移動の経路などが判明することもある。また[[考古学]]的な観点からは、過去の遺物より呪術の様式を解明し、当時の文化や交易の経路を追跡して調査することも行われている。<br />
<br />
==世界の呪術文化==<br />
===呪術道具===<br />
呪術には特定の呪術[[道具]]があり、[[狩猟具]]や[[漁具]]を使用する場合もある。[[ギリシア文明]]や日本、[[東南アジア]]などでは[[弓矢]]が、[[神聖]]なものとされ、[[神]]や神の力が宿ると考えられ、呪術の道具として使用された。[[狩猟民族]]の社会において弓矢は世界的に普遍的な、呪術の道具であったと考えられている。これは、弓矢が敵対する社会集団との[[戦い]]に用いられたことも大きく起因する。<br />
<br />
また弓矢はその後、[[弦楽器]]の多くの起源となり、[[音楽]]や[[楽器]]に呪術的側面を持たせることにつながった。<br />
<br />
日本においては漁具の[[釣針]]や[[銛]]、弓矢の[[矢]]も「サチ」とよばれる[[マナ]]であるとされ、サツヤ(獲矢と書かれる)とよばれて信仰され、後、銃による狩猟が出て後も、獲物に当たった弾丸を鋳直して持つ「シャチダマ」という習慣があった。<br />
<br />
===呪術と医療===<br />
呪術が医療として機能していたことは民間医療などにもその痕跡がみられる。[[温泉]]([[冷泉]])[[治療]]なども[[経験]]的な[[医療効果]]が信じられ[[ヨーロッパ]]や日本などでも利用され、特定の信仰と結びつき呪術的要素を持っているものもある。特に日本においては、「詣で」と[[宿場]]と[[温泉地]]が結びつき、[[湯治]]はもちろん[[宿泊]]や[[入湯]]も[[禊]]や[[払い]]であった。沖縄には蕁麻疹、かさ(皮膚病)、魚骨が喉にささったときの、ハブ除けの、悪霊が付いた時の、くしゃみの時の呪術があった。くしゃみをすると霊魂が外に出るという考えがあった。<br />
<br />
[[アフリカ]]の一部の国では、[[毒]](植物にかぎらない)の生成と薬草の使用は生活の上で重要な位置を占め、それに伴いその知識を独占的に持つシャーマンが存在する。シャーマンは、現在、呪術医として分業するものも多く、薬草においては、"呪術"に使用されていた物品を科学的に検討してみたところ[[薬学|薬理効果]]があることが、実証されているという事例もあり、その知識と薬草の提供に対し、提携し契約している[[製薬]]会社も存在し実際に新薬の開発に貢献している。<br />
<br />
[[東洋医学]]における[[漢方薬]]、[[灸]]、[[針]]なども近代科学とは別の由来を持つという意味では同様の事例である。東洋医学においては歴史的に蓄積されてきた薬草の知識や[[陰陽五行]]などの思想体系が背景にある<ref group="*">これら[[東洋医学]]の知識体系は、[[カイロプラクティック]]など西欧化されたものもある。</ref>。<br />
<br />
また、[[心理学]]的な作用が結果として効果を発揮していると見られるケースや、行為者が意識的に'''心理効果'''を狙っているケースもある。暗示や[[催眠]]によるものなどである。このような心理効果の活用例には「[[偽薬|プラセボ]]」と呼ばれる薬を用いた治療方法が挙げられる<ref group="*">現代の西洋医学の医師が患者にプラセボを処方した時は、それは医師の"技術"のひとつと呼ばれ、医師の"呪術"と呼んでは不適切なように、発展途上国のヒーラーが医薬品が無い中で善意からプラセボを住民に処方しているのを"呪術"と決め付けることもまたあまり適切ではないであろう。</ref>。<br />
<br />
===占いと祈祷===<br />
[[File:070A.Samuel_Blesses_Saul.jpg|thumb|120px|[[預言者]]サムエル(右)]]<br />
呪術は基本的に神霊が祈祷師に[[憑依]]し、[[神託]]としての[[予言]]や[[預言]]や[[啓示]]、託宣を垂れることをいい、これは、[[ユダヤ教]]や[[キリスト教]]や[[イスラム教]]などでも同様に観察される。ヘブライ語で預言を垂れる、という意味のヒッティーフは、元「(涎を)垂らす」の意であり、『[[サムエル記]]』では忘我状態で神の言葉を述べる聖者を指して使われるが、日本の[[神社神道]]も[[巫]](かんなぎ)といわれる[[神主]]や[[巫女]]が、神の憑依体([[依り代]])となって神の御言を述べる。同様に神託を伝える儀式として[[亀甲獣骨文字|亀甲]][[占い]]や[[年始]]の[[神事]]、その簡易としての「[[おみくじ]]」等の占いがある。なお[[柳田國男]]は、[[年始]]に行う[[花札]]や[[百人一首]]のような[[カードゲーム]]を、「占術の零落した物」とする。同様に[[サムエル記]]上14章41節では、預言者[[サウル]]が胸ポケットに入れた[[ウリム]]と[[トンミム]]と呼ばれる物を無作為に取り出して、神意を問うシーンがある。結局は原始宗教、宗教または、それによって律せられる土着の習俗において、神霊を信じ、その神霊に祈る([[祈祷]])ことで神頼みをし、その啓示を人生の指針として身をゆだねるというのは、占いと変わらないともいえる。このように現在の宗教の多くは[[原始宗教]]からの「機会」を神の啓示とする呪術的要素を備え継承している。<br />
<br />
===呪術と社会===<br />
その発祥の原因として、集団としての人々の暮らしの中で、諍いや一年をどう過ごすかまたは、どうなるのかといった社会や個人の不満や不安であり、その緩衝としてシャーマンが存在する。具体的には[[寺社]]が地域社会の中心であったように、現在のヨーロッパの集落のほとんどが、[[教会]]を中心とした街づくりになっており、これは呪術を行うシャーマンが集落の中心にあった名残と考えられる。<br />
<br />
個人間や家族間の諍いとして処罰や依頼によりのろい(呪い)をかけたとしても[[実害]]はなく[[心理]]的な[[抑制]]効果でしかなく、また[[成人]]の[[通過儀礼]]などの呪術も子供から大人への決意を促す効果をもたらすものである。このように呪術は、[[裁判制度]]や[[法]]がない時代や地域の[[人治]]としての[[権威]]であり[[脅威]]としての力であったと考えられる。また個人の不安や不幸を取り除く、静めることも集団社会には必要であり、そのままにすれば、妬みや嫉みなど、反社会行為に発展しかねない、実際には効果がなくとも、[[祓い]]を行い不安を取り除けば、相互扶助の関係の中で、不利益より益になると考えられる。<br />
<br />
狩りや漁りや[[農耕]]の願いは[[豊饒]]であり、その[[土地]]が豊かになって実りの多いことが、その社会集団の願いである。それに対し集団の社会不安とならないようにするための、指針の提示が必要になり、それがその集団においての祈祷による[[祈願]][[祈念]]になり、占いによる大概が1年の[[禍福]]の予想をしていたと思われる。このことはどの世界でも呪術の延長である年単位の中での[[時節]]や[[季節]]による[[行事]]の繰り返しから見て取れる。<br />
<br />
===呪術と地域文化===<br />
*沖縄地方では、魔除けとまじないは盛んであり、フーフダ(符札、まじないを書いた木札や紙札をはる)、ハブよけのまじない、悪霊がついた時のまじないなどが行われている。例えば、沖縄では[[くしゃみ]]をすると[[魂]]が出てしまうと考えられており、それを取り戻すためのまじないがある。また、白くて固い物には魔除けの力があると信じられており、[[シャコガイ]]、[[スイジガイ]]、珊瑚や塩などを置いて魔を遠ざけようとする。[[石敢当]]、[[シーサー]]なども魔除けである<ref>山里純一『沖縄の魔除けとまじない』第一書房、1997年</ref>。<br />
*[[香港]]では、現在も「打小人」(ダーシウヤン)と呼ばれる、紙で作った人型を靴で叩いて行う黒呪術を代行することによって、報酬を得ている人たちがいる。<br />
*古くから[[中国人]]、[[華僑]]、[[華人]]を中心に信奉され、日本にも古くから伝わる陰陽五行思想としての「[[風水]]」においても、占い・呪術的な思考様式と精緻な理論的な思考様式とが混在している。<br />
<br />
これらは地域の[[文化]]や[[思想]]と密接に結びついており、場合によっては[[タブー]]のような行為にも関連する。タブーを敢えて犯すことで災いを発生させられるという思想や、あるいはタブーによる[[祟り]]を'''呪い'''(まじない)の効果で無効化しようとする行為が挙げられる。<br />
<br />
==西洋史における魔術==<br />
===古典古代から初期中世===<br />
[[File:Herodotos Met 91.8.jpg|120px|thumb|ヘロドトス]]<br />
古代ギリシアの魔術を示す語にはマゲイア<ref group="†">{{lang-grc|μαγεία}} 〔マゲイア〕、 {{lang-la|magia}} 〔マギア〕</ref>、ゴエーテイア<ref group="†">{{lang-grc|γοητεία}} 〔ゴエーテイア〕、 {{lang-la|goetia}} 〔ゴエティア〕</ref>、ファルマケイア<ref group="†">{{lang-grc|φάρμακα}} 〔パルマカ〕, {{lang|grc|φαρμακεία}} 〔パルマケイア〕; {{lang-la|veneficium}} 〔ウェネフィキウム〕</ref>が挙げられる{{sfn|鶴岡ら訳|2002|p=188|loc=ハンス・ディーター・ベッツ「古代ギリシア-ローマの魔術」}}。マゲイアはペルシアの神官階級の呼称とされる[[マギ|マゴス]]より派生した。[[ヘロドトス]]によればマゴイ(マゴスの複数形)は[[メディア王国]]の一支族名であるが、後に神託や占星術を司る知者と見なされるようになった{{sfn|鶴岡ら訳|2002|p=188|loc=ハンス・ディーター・ベッツ「古代ギリシア-ローマの魔術」}}。マゲイアはマゴイの神学という本来の意味でも使われたが、まじないや魔法といった意味でも用いられた。[[ゴエティア|ゴエーテイア]]は古代ギリシアの呪術師が霊の[[口寄せ]]をする際のうなり声から生じた言葉とも言われ、時には詐欺的または侮蔑的な意味合いを込めて使われた。ファルマケイアは薬であり毒薬でもあるという両義性をもつファルマコンより派生した。悪行を意味する{{ill2|マレフィキウム|en|Maleficium (sorcery)}}<ref group="†">{{lang-la|maleficium}}</ref>は犯罪的な加害魔術を指す言葉として用いられた。イアンブリコスやプロクロスといった[[ネオプラトニズム|ネオプラトニスト]]らは、[[テウルギア]](神働術)と呼ばれる、[[ダイモーン]](神霊)に働きかける哲学的魔術に言及もしくは実践した。テウルギアは神の業もしくは神を働かせる術の意であり、一説には『カルデア神託』の集成者とされる2世紀のカルデア人ユリアノスの造語とも言われる<ref>Flowers, Stephen Edred. ''Hermetic Magic'', Samuel Weiser, 1995.</ref>。ゴエーテイアは下等な魔術、テウルギアは高等な魔術、マゲイアは普通の魔術に分類された{{sfn|鶴岡ら訳|2002|p=189|loc=ハンス・ディーター・ベッツ「古代ギリシア-ローマの魔術」}}。<br />
<br />
新約聖書でパウロは魔術・呪術を悪だとしている。<br />
<br />
===盛期中世から初期近代===<br />
[[File:JosephWright-Alchemist.jpg|thumb|120px|『賢者の石を求める錬金術師』]]<br />
[[File:A._Kircher,_Magnes_sive_de_arte_magnetica_op_Wellcome_L0031533.jpg|thumb|[[アタナシウス・キルヒャー]]『磁石あるいは磁気の術について』(1641年)口絵。知識の各分野と神・人間・自然の相互の結びつきが表現されている。外円は神学を頂点にした各分野で、自然魔術が算術と医学に挟まれている。内円は「星界」(月より遠くにあるすべてのもの)、「月下界」(地球とのその大気)、「ミクロコスモス」(人間)で、中心にあるのは神の精神たる「原型世界」(羅:''mundus archetypus'')である。]]<br />
<br />
中世ヨーロッパ世界で、科学と魔術は同じものであった{{sfn|バートレット, 横山監訳|2008|pp=68-69}}。[[錬金術]]([[キミア]])は[[自然科学]]であり、化学であった{{sfn|バートレット, 横山監訳|2008|pp=68-69}}。中世の哲学を前提に、人間が神との融合に向けて精神的な完全さを目指し努力するのと同様に、地球上の物質も完全的物質になることが可能であると考えられた{{sfn|バートレット, 横山監訳|2008|pp=68-69}}。すべての自然物は精妙には調和して収まり、万物は[[マクロコスモスとミクロコスモス]]の照応によって結びついていた{{sfn|バートレット, 横山監訳|2008|pp=68-69}}。占星術は魔術の一部であり、大学で教えられ、数学や医学とも深く結びついていた{{sfn|澤井|2000|p=42}}。<br />
<br />
錬金術師にとって完全な金属である金の探究は道徳の探究でもあり、滓を取り除き、より物質を洗練させ、純粋なエッセンスを抽出することを目指した{{sfn|バートレット, 横山監訳|2008|pp=68-69}}。こうした超自然的で深遠な知識は、教会によって禁断の知識ともされたが、当時は錬金術や魔術と自然は対立するものではなく、自然と調和するものと考えられていた{{sfn|バートレット, 横山監訳|2008|pp=68-69}}。こうした知識を悪用し、悪魔との接触などを行う場合は「魔法」と呼ばれ、非難の対象となった{{sfn|バートレット, 横山監訳|2008|pp=68-69}}。<br />
<br />
13世紀の神学者オーヴェルニュのギヨームと[[アルベルトゥス・マグヌス]]の著作は'''自然魔術'''というジャンルの確立を促した<ref>Sophie Page (2004). ''Magic in Medieval Manuscripts''. University of Tronto Press. p. 18.</ref>。教父[[アウグスティヌス]]はあらゆる魔術は悪霊との交渉であるとしたが、13世紀のパリの司教ギレルムス(オーヴェルニュのギヨーム)は別の考えを示した。かれは論文『法について』のなかで他の多くの著述家と同様に魔術を断罪したが<ref>[[野口洋二]] 『中世ヨーロッパの異教・迷信・魔術』 早稲田大学出版部、2016年、150-151頁。</ref>、それだけでなく非法な魔術と合法な魔術とを区別した。その合法な魔術すなわち自然魔術 ({{la|magia naturalis}}) とは、悪魔に関係するものと教養人たちから誤解されているが、実際には自然の理に則った驚異なのであり、自然の事物の自然本性的力能 ({{la|virtutes naturales}}) の活用であるとギレルムスは論じた<ref>Benedek Láng (2008). ''Unlocked Books: Manuscripts of Learned Magic in the Medieval Libraries of Central Europe''. The Pensylvania State University Press. pp. 25-26.</ref>。中世に広く流布した作者不明の自然魔術書『アルベルトゥスの実験』別名『薬草、石、動物の効能について』は、少なくともその一部はアルベルトゥス・マグヌスの著作に基づいているが、そのなかには鉱物や薬草に秘められた力を利用して犬を黙らせたり、術者を不可視にするといった驚異を行う方法が記されている<ref>David J. Collins, S. J. 'Learned Magic'. in ''The Cambridge History of Magic and Witchcraft in the West'' (2015). kindle edition. Cambridge University Press.</ref>。<br />
<br />
初期近代ヨーロッパにおける、互いに結びついている目的を持った世界という見解は、[[キリスト教神学]]と、古代ギリシャの哲学者[[プラトン]]と[[アリストテレス]]の思想を大きく源泉とする{{sfn|プリンチペ, 菅谷・山田訳|2014|pp=32-35}}。プラトン的思想、特に[[新プラトン主義]]者たちはから、完全で超越的な一者から不活性で生命のない下等な物体まで、世界の存在は皆連続する階梯の中の特定な位置をもつという「自然の階梯(scala naturae)」という発想が生まれた{{sfn|プリンチペ, 菅谷・山田訳|2014|pp=32-35}}。一者から遠い下等な存在ほど、一者とは似ていないと考えられた{{sfn|プリンチペ, 菅谷・山田訳|2014|pp=32-35}}。プラトン思想の著作は、ヨーロッパでは[[ルネサンス]]期に再発見された{{sfn|プリンチペ, 菅谷・山田訳|2014|pp=32-35}}。<br />
<br />
アリストテレスの思想で寄与したのは、物事を知るためには「原因についての知識」が必要という考え方である{{sfn|プリンチペ, 菅谷・山田訳|2014|pp=35-37}}。彼の目的因と作用因という考えは、事物を他の対象との関係性で定義しようとするもので、神によってデザインされた[[摂理]]ある世界というキリスト教の考えと相性が良かった{{sfn|プリンチペ, 菅谷・山田訳|2014|pp=35-36}}。神による目的因は、被造物の内部に埋め込まれ、記号化されていると考えられていた{{sfn|プリンチペ, 菅谷・山田訳|2014|pp=-35-36}}。思想史家の[[エルンスト・カッシーラー]]は、ルネサンス期に魔術と占星術は深い同一性で結ばれており、象徴(シンボル)と因果律(自然法則や秩序)の融合がその概念の主調であったと述べている{{sfn|澤井|2000|pp=157-158}}。ある事物について知るには、その事物に関するネットワークを知り、特にそれを存在せしめ利用している他の事物について知ることが重要であると考えられていた{{sfn|プリンチペ, 菅谷・山田訳|2014|pp=35-36}}。当時の自然研究の全体を[[自然哲学]]と呼ぶが、学問の分野も宇宙の様々な局面も、互いに事物が結びついているという感覚が特徴と言える{{sfn|プリンチペ, 菅谷・山田訳|2014|pp=38-41}}。[[イエズス会]]の碩学[[アタナシウス・キルヒャー]]は、百科事典的な著作の口絵で、神学を頂点に、自然学、詩学、天文学、医学、音楽、光学、地理学などの学問を並べ、相互のつながりを示しているが、自然魔術(magia naturalis)も自然哲学の一分野としておかれている{{sfn|プリンチペ, 菅谷・山田訳|2014|pp=38-41}}。自然魔術は、近代科学とそれ以前の科学の中間的な学問だった{{sfn|澤井|2000|p=140}}。<br />
<br />
魔術の実践者は、世界に埋め込まれた隠された結びつき(hidden qualities, qualitates occultae。「オカルト的性質」という訳もあるが誤解を招きやすい)を知り、制御し、操作することを目指した。キルヒァーの口絵で、自然魔術は太陽を追うヒマワリの首振りで表されているが(図の左上)、これは事物の間の隠された結びつきの典型例である{{sfn|プリンチペ, 菅谷・山田訳|2014|pp=38-41}}。事物の結びつきは、一般的に「共感(sympathy)」によって機能しているとされ、共感作用の媒体が「世界精気」あると考えられていた{{sfn|プリンチペ, 菅谷・山田訳|2014|pp=46-47}}。隠された結びつきは感覚では気づけないと考えられており、慈悲深い神が世界に隠したヒントを見抜くために、注意深く観察し、先人の文献を読み込むことが重視された{{sfn|プリンチペ, 菅谷・山田訳|2014|p=43}}。科学史研究者のローレンス・M・プリンチペは、魔術(magia)を現代語に直すなら、「習熟(mastery)」が最適だろうと述べている{{sfn|プリンチペ, 菅谷・山田訳|2014|p=41}}。[[磁石]]、[[アヘン]]の催眠効果、[[潮汐]]に対する月の影響などが実例として知られた{{sfn|プリンチペ, 菅谷・山田訳|2014|p=42}}。<br />
<br />
自然魔術では実践が重視されたため、陳腐なことから崇高なことまで、かなり幅広く行われていた{{sfn|プリンチペ, 菅谷・山田訳|2014|p=47}}「崇高」の方には[[マルシリオ・フィチーノ]]がおり、生活の仕方と儀礼という形で実践し、自分の悩みの種であったメランコリー([[四体液説|四体液]]のうち黒胆汁が優勢な気質)と学者的な生活の関係を研究してライフスタイルの改善を提案した{{sfn|プリンチペ, 菅谷・山田訳|2014|pp=47-49}}。「陳腐」の方には[[デッラ・ポルタ]]がおり、彼の著作『自然魔術』は、人工宝石や花火、香水の作り方、動物の品種改良、肉の焼き方、果物の保存方法などの雑多なレシピが大部分を占めていた{{sfn|プリンチペ, 菅谷・山田訳|2014|pp=47-49}}。<br />
<br />
魔術は科学史の重要な部分であるとみなされている。中世から初期近代の「科学革命」の時期、神・人間・自然は互いに切り離されておらず、学者の研究範囲と意図は広大なものであった{{sfn|プリンチペ, 菅谷・山田訳|2014|pp=38-41}}。16・17世紀には、コスモス的・自然哲学的な視点は、濃淡はあれ広く共有されており{{sfn|プリンチペ, 菅谷・山田訳|2014|pp=38-41}}、ルネサンス期の自然魔術師たちによって、経験科学的視点の萌芽が現れた{{sfn|澤井|2000|p=162}}。17世紀後半には科学的研究で仕組みが解明される自然の事象も現れ{{sfn|澤井|2000|p=132}}、19世紀になると今日みられるような専門化された狭い観点に徐々に移り変わっていった{{sfn|プリンチペ, 菅谷・山田訳|2014|p=40}}。中近世ヨーロッパにおいて、宇宙(自然)は有機的につながったネットワークであり、人間はその中で周囲と調和して存在する、生きる実感を持つひとつの生物であった{{sfn|澤井|2000|pp=137-138}}。プリンチベは、現代的な研究法は知を細分化して成果を上げたが、世界をバラバラにし、人間の感性を宇宙から遠ざけ、根無し草にしたともいえると述べている{{sfn|プリンチペ, 菅谷・山田訳|2014|p=32}}。魔術を含む自然哲学は、包み込むような広い世界観を持ち、学者たちの研究動機や疑問、実践は、その世界観から湧き出していた{{sfn|プリンチペ, 菅谷・山田訳|2014|p=40}}。磁力や虹など魔術の研究対象であった物事の仕組みが科学的に解明されると、秘儀性を取り除かれ公になった学知は近代科学技術に吸収されていき、残された解明されていない学知、科学ではどうしても解決できない現象が魔術とされた。中世~初期近代には、理性的な思想とはキリスト教的な知であった。魔術はキリスト教との対比で非合理と考えられたが、キリスト教と科学が分離したことで、科学的合理性の対局として、非合理なものとして魔術的神秘が置かれるようになった{{sfn|澤井|2000|pp=133-134}}。現在魔術というと、神秘的な魔法が想像されるのはこのためである{{sfn|澤井|2000|pp=133-134}}。<br />
<br />
中近世キリスト教世界には、自然魔術以外の魔術も存在した。デッラ・ポルタは魔術を自然魔術と[[降霊術]]に分けている。[[トマソ・カンパネッラ]]は、モーセなど聖人が神の使者として自然を従わせて起こす「神的魔術」(奇蹟)、「自然魔術」(白魔術)、「悪霊魔術」(黒魔術、魔法)に分けて考えていた{{sfn|澤井|2000|pp=133-134}}。<br />
<br />
自然魔術は知識人階級で行われたが、黒魔術は庶民の間で広まった。黒魔術は太古からあるが、特に注目を集めたのはルネサンス期である。この時代は中世ヨーロッパ社会の終わりに当たり、貨幣経済と宗教改革、疫病で封建社会と教会は大いに揺るがされていた。黒魔術は自然の中の悪霊(精霊、デーモン)が相手の魔術であるが、これに民衆の社会不安が絡み、魔術というより一種のアニミズム、呪術といった様子であった。教会は、「魔法には生産的・護身的面があるのと同時に破壊的要素も強いこと」「魔法の及ぶ範囲に問題があること」(精霊の介入は黙認できない)という理由で、呪術的動きを疑いの目で見ており、素朴な民衆の土着文化の現れを悪魔崇拝・異端であるとみなすこともあった。{{sfn|澤井|2000|pp=141-143}}<br />
<br />
===近現代===<br />
{{main|近代魔術|神秘学}}<br />
現代の英米を中心に行われている儀式魔術は、[[黄金の夜明け団]]とその後継団体による19世紀末から20世紀前半にかけての儀式魔術復興運動を主要な起源とする。[[アレイスター・クロウリー]]は「魔術とは意志に応じて変化を生ぜしめる学にして術である」({{Lang|en|''Magick is the Science and Art of causing Change to occur in conformity with Will''}})と定義した<ref>[http://www.hermetic.com/crowley/aba/defs.html Crowley, Aleister. ''Book 4'', Part 3, Definition and Theorems of Magick .]</ref>。クロウリーは自分の提唱する魔術を旧来の魔術の洗練されていない部分から区別するために<ref>アレイスター・クロウリー 『神秘主義と魔術』 島弘之訳、国書刊行会、[[1986年]](昭和61年)、フランシス・キング 「日本語版著作集への序」。</ref> {{Lang|en|''Magick''}} という英語の古い綴り<ref group="*">たとえば、ウィリアム・シェイクスピアの戯曲の現行版は綴りがモダナイズされているが、17世紀に出版された[[初期近代英語]]の[[ファースト・フォリオ]]には {{Lang|en|magick}} という綴りがみられる。</ref>を用い、自分の魔術体系の独自性を強調した<ref>フランシス・キング 『アレイスター・クロウリーの魔術世界』 山岸映自訳、国書刊行会、[[1987年]](昭和62年)。</ref>。<br />
<br />
== フィクション作品における魔法・魔術 ==<br />
{{出典の明記|date=2017年12月|section=1}}<br />
魔法は物語において極めて魅力的な主題あるいは小道具である。このため、娯楽作品における魔法は、全くの架空でありながら多くの人々の思索と知恵が積み重ねられている。<br />
<br />
=== ゲームの魔法 ===<br />
ゲームの魔法に大きな影響を与えたのは、1930年代と1960年代のアメリカで流行した[[ヒロイック・ファンタジー]]、または、剣と魔法の小説である。『[[ダンジョンズ&ドラゴンズ]]』など初期の主要な[[テーブルトークRPG]]はヒロイック・ファンタジーを題材としており、ゲームのルールとして体系的な魔法を構築していった。そこに見られる魔法は、中世西洋的な呪術に古代神話の要素・概念が混合されたもので、歴史上の魔法とは全く異なるものであった<ref> <br />
{{Cite book|和書 <br />
|author=安田均 <br />
|authorlink=安田均 <br />
|coauthors=[[グループSNE]] <br />
|title=スペルコレクション <br />
|edition=初版 <br />
|year=1963 <br />
|month=1 <br />
|publisher=[[富士見書房]] <br />
|series=富士見文庫 <br />
|isbn=4-8291-4220-0 <br />
}}<br />
</ref>。<br />
<br />
=== フィクション中における体系化の是非 ===<br />
フィクションの創作にあたっては、作中の魔法の動作原理を定義付け、体系化することは、想像上の不可思議な力である魔法の神秘性を損なうものと考える者もいる。それとは逆に、魔法の原理を定義することは、作品のリアリティと独自性を生み出す重要な要素であるという考えもある。<br />
<br />
前者は[[エブリデイ・マジック]]的な作品に、後者はロールプレイングゲームやアクション性の強い作品などによく見られる。前者は「不思議」を不思議であるがままに受け入れるテーマから、後者はゲームとして運用していく際の必要性や、魔法の描写や作中世界の奥行きを増すためと考えられる。<br />
<br />
娯楽作品での魔法の動作原理は様々であるが、作中では以下のような動作原理がよく用いられている。<br />
* 個人の空想や願望を、そのまま具現化させる魔法<br />
* 聖霊や神の力の一部を発現させる、「奇蹟的要素」の高い魔法<br />
* “[[マナ]]”や“[[オドの力|オド]]”などの名称が付された、特殊な性質を有する「仮想の物質(エネルギー)」に、[[呪文]]などの手段で働きかける魔法<br />
* 「高レベルの科学」により、世界法則を書き換える技術を指す魔法<br />
<br />
=== 魔法の道具 ===<br />
フィクションの世界において、魔法は人がその場で使うほかに、魔法の力を持つ道具([[アイテム]])という形でも登場する。大きく分けると、魔法を使う者を補助する道具(魔法の[[杖]]や[[帽子]]、あるいは[[箒]]など)と、本来の役割とは別に魔法がかけられているものがある。<br />
<br />
前者については、[[魔法少女アニメ]]でよく用いられる魔法のステッキ(杖)やコンパクトなど、後者の例としては、[[白雪姫]]や[[雪の女王]]に登場する魔法の[[鏡]]などがある。<br />
<br />
=== 小説・漫画・アニメ ===<br />
以下には体系的な魔法分類がなされている創作を取り上げる。<br />
* [[スレイヤーズ#魔法|スレイヤーズの魔法体系]]:黒魔術・精霊魔術(・白魔術)・神聖魔法<br />
* [[覇王大系リューナイト]]の魔法体系:使用する魔法の属性を司るものは「六柱神」と呼ばれる神々。闇の属性の者にのみ使えるものもある。<br />
* [[ロードス島戦記]]の魔法分類:古代語魔法・精霊魔法・神聖魔法・呪歌([[ソードワールド#技能(職能)|ソードワールドの魔法分類]]もこれに準じて設定された)<br />
* [[ハリー・ポッターシリーズの魔法一覧]]:変身術・浮遊術・姿あらわし、くらまし・開心術、閉心術・その他色々<br />
* [[レンタルマギカ]]の[[レンタルマギカ#魔術|魔術]]<br />
* [[魔法先生ネギま!]]の[[魔法先生ネギま!#本作品における魔法|魔法]]<br />
* [[とある魔術の禁書目録]]の[[とある魔術の禁書目録の用語#魔術|魔術]]<br />
* [[魔法少女リリカルなのはシリーズ]]の[[魔法少女リリカルなのはシリーズ#魔法|魔法]]<br />
* [[TYPE-MOON]]の[[TYPE-MOON#魔術・魔法・異能|魔術・魔法・異能]]<br />
* [[FAIRY TAIL]]の[[FAIRY TAIL#魔法|魔法]]<br />
* [[魔法科高校の劣等生]]の[[魔法科高校の劣等生#魔法関連|魔法]]<br />
*[[ブラッククローバー]]の[[創成]]や[[回復]]などの技<br />
<br />
=== ゲーム ===<br />
代表的な作品<br />
* [[ドラゴンクエストシリーズの呪文体系]]<br />
* [[ファイナルファンタジーシリーズの魔法形態]]<br />
* [[スターオーシャンシリーズ]]の[[紋章術]]<br />
* [[テイルズ オブ シリーズの術技形態]]<br />
* [[女神転生#魔法体系|女神転生の魔法体系]]<br />
* [[MOTHERシリーズのPSI体系]]<br />
<br />
=== 特撮 ===<br />
* [[魔法戦隊マジレンジャー]]<br />
* [[仮面ライダーウィザード]]<br />
<br />
== 魔術師 ==<br />
{{main|魔法使い|魔女|魔術師の一覧}}<br />
<br />
== 言葉の定義 ==<br />
{{出典の明記|date=2017年12月|section=1}}<br />
{{独自研究|date=2017年12月|section=1}}<br />
魔術とは、現実世界にはまだ解明されていない法則があると信じて、その法則を利用して現実を変えるため、あるいは神託を得るために、特定の行動を行なうことである。<br />
<br />
魔術は[[白魔術]]と[[黒魔術]]という二つに大分類されているが、この分類は便宜的なものであり、統一見解とはいえない。<br />
<br />
日本では古くから[[神道]]と共に[[陰陽]]という概念が取り入れられ、[[風水]]や[[祈り|祈祷]]によって現状の改変を計るという呪術は存在しており、[[祈祷師]]や[[霊媒|霊媒師]]などを生業とする専門家も存在するが、「魔術」という語が使用される場合は、特に西洋の古典魔術や儀式魔術などを指すことが一般的であり、風水などを指して呼称することは稀である。<br />
<br />
=== 科学 ===<br />
一部の人にとって、“魔法”はエネルギー法の任意の制御の一形態だと思われているが、現在では、まだ科学的な[[メソッド]]の存在が確認されていない。<br />
=== 魔法 ===<br />
[[日本]]では「魔法」という言葉は、それらの神秘的で超常的な力または行為の中でも、特に[[西洋]]由来のものを指す言葉としてよく使われる。これは魔法という語が[[明治]]以降に[[外国語]]の訳語として使われたことが大きい。ただし、[[江戸時代]]に「魔法」という言葉がなかったわけではない(集荻田安静『宿直草』巻四「魔法を覚えし山伏の事」など)。18世紀の[[節用集|用字集]]『[[和漢音釈書言字考節用集]]』にも魔障、魔軍とともに魔法の語がみえる<ref>[http://books.google.co.jp/books?id=j8Yu0SaN5lgC&hl=ja&source=gbs_book_other_versions 和漢音釋書言字考節用集, 第 11 巻]</ref>。<br />
<br />
魔法という語には非常な魅力があり、[[魔法瓶]]や[[マジックインキ]]、[[ベルクロテープ|マジックテープ]]といった商品名に使われることもある。<br />
<br />
また日本では「魔法」といえば、[[説話|メルヘンやおとぎ話]]、あるいは子供向けを主とした「他愛のない不思議な力や方法」を指すときの言葉としてよく使い、たとえ[[フィクション]]であったとしても難しい理屈や深遠な原理が背景に存在するとされるものについては「魔術」などと呼ぶことが多い。<br />
<br />
そう言った「魔法」のイメージは、[[ハンス・クリスチャン・アンデルセン|アンデルセン]]や[[グリム兄弟]]の[[童話]]などが日本に輸入された際に与えられた「[[魔法使い]]」たちの印象が根底にあると考えてよい。<br />
=== Magic ===<br />
[[ゾロアスター教]]の[[祭司]]を語源とした[[マギ|Magi]]([[新約聖書]]で[[キリストの降誕|イエスの誕生]]時にやってきてこれを拝んだとされる[[東方の三博士|3人の賢者]]が著名)に由来する。一般的には現実の魔術の意味と同時に[[手品]]、[[奇術]]の意味でも用いられていた。さらに、[[ディズニー]]を初めとする近代以降の作品のエンターテインメント性が与えた影響により、伝統的な魔術と関係のない「魔法」や「魔法使い」たちの印象が重複し、定着した。但し、世間一般で云う印象で云うと、“[[魔女狩り]]”の悪影響があり、『魔法』は『悪い』イメージが東洋よりずっと強い。<br />
<br />
=== 奇術 ===<br />
魔術は不思議なものとして認知されている。奇術を行う際には、行われるものがタネも仕掛けもある奇術であるというよりも、不思議な魔術であると喧伝された。大仰な身振りと魔術という触れ込みで奇跡めいた見世物を披露されることが多くなり、世間で奇術が「魔術」と呼ばれることが定着した。<br />
<br />
近代になり、一般的に[[オカルト|オカルティック]]な奇跡の技という魔術の意味が縁遠くなったことも、魔術と奇術の混同の一因と見られる。[[奇術]]師が[[魔法使い]]と呼ばれるよりも、[[魔術師]]と呼ばれることが多いのはこのためである。<br />
=== 呪術 ===<br />
日本では'''呪い'''(まじない)として知られる。マジを行うの意味のナフをつけた語であるが、広辞苑に「まじくなふ」という語が収録されている。<br />
<br />
英語 の「magic」には、「魔法」「魔術」「[[奇術|手品]]」などの意味が含まれるが、日本語ではそれらとマジナイを区別するために、文化人類学や[[宗教学]]での学術用語としてはその訳語に「呪術」を充てている。<!--なおmagicの語源はペルシアの司祭をあらわすmagusに由来する。--><!--脱線トリビア--><br />
<br />
<!--東洋においても、[[中華文明]]圏の[[散楽]]やそれを源流とする[[猿楽]]から発展した[[神楽]]や[[太神楽]]にあるように、手品や[[アクロバット|曲芸]]が神道と結びつき、祈祷の儀式の一部となっている。--><!-- ??? 文脈を逸脱し、また意味もよく通じません<br />
--><br />
呪術の一種には、なんらかの儀式や呪文や器物などに[[霊|霊的]]な力が備わると考える者なら誰でも使うものがある。[[方違え]]や[[験担ぎ]]などのかたちで現代にも残る[[習俗]]や[[迷信]]がそれである。<br />
<br />
呪術とはそもそも「まじない」や「[[呪文]]」であり、[[仏教]]の[[お経]]も、唱えるものが必ずしもその意味を理解しているとは限らず、[[マニ車]]のようにそれを回すだけで功徳が得られるとするような面を形骸化として見れば、それらも呪文やまじないともいえる。<br />
<br />
<!--<br />
=== 意味合いの違い ===<br />
定義からわかるとおり、その意味するところは広く、厳密ではない。また各々の意味合いの違いを表現するために、類義語が非常に多い。基本的に、「道」「法」「術」は能力と方法論を同時に表し、「力」は能力のみを指す。<br />
<br />
以下に代表的な類義語それぞれの意味合いの違いを示すが、特に使い分けられていない時には大きな違いがない場合も少なくない。<br />
==== 魔法 ====<br />
仏教の影響下にある語であり、西洋由来の「神秘的な力とその方法論」である'''Magic'''の訳語として、[[仏]]の法である[[法 (仏教) |仏法]]に対し、[[仏]]ならぬ[[魔]]の法である「魔法」としたもの。Magicの訳語とされる前の江戸時代には、[[天狗]]が使う術などを指していた。後に魔術という語ができたため、総合的な訳語としての地位は取って代わられた。<br />
<br />
今日では、明治以降に紹介された外国のメルヘンやファンタジーに「善い魔法使い」「悪い魔法使い」が両方登場することにより、明確に'''手品ではない'''意味合いを持ち、神秘的な力に正邪の前提を含まず用いられる。<br />
==== 魔道 ====<br />
神道の影響下にある語であり、「魔法」と同様に、神の道である[[神道]]に対し、[[魔]]の道である「魔道」としたもの。<br />
<br />
本来は能力や現象を指す言葉ではなく、生き方、考え方を指す。意味合いとしては茶道・剣道などと同じ位置づけである。「冥府魔道に落ちる」などと使われるため、邪悪な死者の力の印象を強く残している。しかし実際には「魔法」と同じ概念で使われることが多い。<br />
===== 魔導 =====<br />
魔道が「生き方」なのに対して、魔導は「導く」ことを指す。<br />
==== 魔術 ====<br />
手品師の興行にあたっては、「魔法」や「魔道」では宗教的な意味合いを持つので不適切であった。そのため、それらから独立した表現として「魔術」という語が好んで用いられるようになった。この場合、手品師は[[魔術師]]と呼ばれることになる。<br />
<br />
そのため、原語であるmagicに最も近いのが魔術である。魔法、魔道と同じ概念を示すと同時に、「神秘的な力」ではない「手品」をも示す。<br />
==== 奇術 ====<br />
主に「奇術師」として用いられる場合が多く、明確に'''手品である'''という意味合いを持つ。<br />
==== 妖術 ====<br />
明確に'''手品ではない'''という意味合いを持つ。「魔法」以前には「神秘的な力」を示す最も汎用的な語であった。<br />
<br />
「魔法」以前から使われていたことから、フィクション等の作品では東洋風の雰囲気を持たせたい場合に用いられることがある。<br />
<br />
また[[妖術]]の語源が「[[妖怪]]が人間を惑わすために用いる神秘的な力(=[[妖力]])を用いる術」であることから、[[妖術]]を用いる者は'''人に在らざる者'''もしくは'''人外の類に組する者'''として'''邪悪である'''という意味合いを持つ場合がある。妖怪を始め妖気、妖言、妖雲、妖星、妖艶、妖姫、妖婦、妖狐、妖魔等々「妖」が付く言葉の多くが悪い意味を持つことから邪悪であるという印象を持たせるというのも一因であろう。<br />
<br />
しかし「神秘的な力」を示す最も汎用的な語としての地位を「魔法」や「魔術」に取って代わられた現在ではともかく、それ以前の古典や文学作品においては、長い歴史を経るうちに悪い意味を失って汎用的な語として使われていたことに注意するべきである。でなければ作品自体の意味が通じない場合すらある。<br />
==== 仙術 ====<br />
明確に'''手品ではない'''という意味合いを持つ。[[道教]]の影響下にある語であり、[[道士]]や[[仙人]]が修行により習得した神秘的な力とその体系を意味する。<br />
<br />
仙術以外の類義語がない場合は神秘的な力を意味する一般的な概念として用いられるが、他の意味合いの語と区別して用いられている場合は、術者が[[道士]]や[[仙人]]であることを示す場合を除いて、妖術が妖怪の先天的な[[妖力]]に基づいていることに対して後天的に習得して得た神秘的な力であることを示す。<br />
==== 方術 ====<br />
明確に'''手品ではない'''という意味合いを持つ。[[陰陽道]]の影響下にある語であり、[[陰陽師]]が修行等により習得した神秘的な力とその体系を意味する。<br />
==== 忍術 ====<br />
{{Main|忍術}}<br />
人間である[[忍者]]が用いる術であり、[[体術]]と秘伝の科学知識による体系を示す。基本的にはトリックであり明確に'''手品である'''のだが、[[フィクション]]に登場する場合はそうとは限らない。<br />
==== 幻術 ====<br />
対象の感覚のみに影響を及ぼして、実際には物理的な変化は起きていないのに物理的な変化が起きたと認識させるもの。あるいはその逆。<br />
<br />
[[#忍術]]の一つである幻術は[[光学]]や[[催眠術]]、薬物を用いたトリックであり明確に'''手品である'''が、[[化け狸]]などが人を化かす[[#妖術]]の一つである幻術は明確に'''手品ではない'''など、意味合いが異なる。<br />
==== 呪術 ====<br />
神秘的な力全般を「呪い(まじない)」といい、その中でも特に他人に害を与える神秘的な力を「呪い(のろい)」という。そしてそれらを行使する「術」が「呪術」であり、行使する者を「[[呪術師]]」と呼ぶ。明確に'''手品ではない'''という意味合いを持つ。<br />
<br />
妖術が[[妖怪]]の存在を前提としていることから、現代においては「妖術」が不適切であるために呪術が用いられる場合がある。例として、神秘的な力を用いて治療する医師を「[[呪術医]]」と呼ぶことなどが挙げられる。しかし一般に呪術といえば他人に害を与える「呪い(のろい)」の術であり、邪悪な印象が強い。<br />
==== 死霊術 ====<br />
本来は死者の霊を介して行なう占いを指していたが、近年では死体を[[ゾンビ]]や[[スケルトン]]として操る術としてのイメージが定着している。<br />
==== 法力 ====<br />
[[仏教]]の影響下にある語であり、明確に'''手品ではない'''という意味合いを持つ。[[仏法]]の修行により習得した神秘的な力そのものを指す。<br />
==== 神通力 ====<br />
[[修験道]]の影響下にある語で、明確に'''手品ではない'''という意味合いを持つ。修行により神に通じて得た神秘的な力そのものを指す。<br />
==== 超能力 ====<br />
{{Main|超能力}}<br />
明確に'''手品ではない'''という意味合いを持つと同時に'''科学と共存可能'''であるという意味合いを持つ。このため、[[神]]や[[悪魔]]、[[精霊]]、[[妖精]]、[[幽霊]]等々の'''非科学的'''なものが一切関与していないという特徴がある。<br />
<br />
方法論ではなく先天的素質に基づく「神秘的な力」そのものを指す。<br />
==== Magic ====<br />
[[マギ]](MAGI)が神秘的な知識(占星術)を用いて予言することから、神秘的に見える行為を行うことを「マギのような」と表現することになったもの。歴史的には手品であったという。現在では最も汎用的な語として使われている。<br />
==== Wizardry ====<br />
経験を積んだ年長者は、時に若輩者には神秘的としか思えない行為をしてみせることがある。翌日の天気を言い当てたり、甘いスイカを選り分けたり。<br />
<br />
そうした年長者は賢い(wise)者という意味でwizardと呼ばれ、その行為はwizardryと称えられた。そのため、昔話に登場する魔法使いには老人が多い。<br />
<br />
彼らは元々人間で、経験を積み知識を蓄えた賢い者達である。当然'''人間の味方である'''という意味合いを持つが、老人らしい気難しさも併せ持つ場合もある。<br />
==== Witchcraft ====<br />
{{Main|ウィッチクラフト}}<br />
[[悪魔]]と契約した者(Witch/[[魔女]])が、契約した悪魔から契約に基づいて力を借りることで用いる神秘的な力を示す。明確に'''邪悪'''な意味合いを持つ。魔女の力は強大なものから弱い呪いや薬物作成の類までまちまちである。<br />
==== Sorcery ====<br />
手品ではない神秘的な力を示す。その意味では「妖術」が最も近いが、Sorceryは基本的に善悪の意味合いを持たない。そのため、単に'''手品ではない'''ことを強調する時にも用いられる。<br />
<br />
しかし、Wizardryを使うWizardが「人間の味方」である意味合いを持つことから、わざわざSorceryを使うSorcererと表現された場合にはあまり良い意味を持たない場合が多い。<br />
--><br />
<!-- 独自研究と思われる一部をひとまずコメントアウト --><br />
<br />
==脚注==<br />
===註釈===<br />
{{Reflist|group="*"}}<br />
===原語===<br />
{{Reflist|30em|group="†"}}<br />
===出典===<br />
{{Reflist|2}}<br />
<br />
==参考文献==<br />
*{{Cite book|和書|author=澤井繁男 |year=2000 |title=魔術と錬金術|publisher=筑摩書房 |ref={{SfnRef|澤井|2000}}}}<br />
*{{Cite book|和書|author=[[ミルチャ・エリアーデ]]主編、ローレンス・E・サリヴァン編 |others=[[鶴岡賀雄]]・[[島田裕巳]]・[[奥山倫明]]訳 |year=2002 |title=エリアーデ・オカルト事典 |publisher=法蔵館 |ref={{harvid|鶴岡ら訳|2002}}}}<br />
*{{Cite book|和書|ref={{SfnRef|バートレット, 横山監訳|2008}} |author=ロバート・バートレット|others=横山紘一 監訳 |title=図解 ヨーロッパの中世文化誌百科|publisher=原書房|date=2008}}<br />
*{{Cite book|和書|author=ローレンス・M・プリンチペ |others=菅谷暁・山田俊弘 訳 |year=2014 |title=科学革命|publisher=丸善出版 |ref={{SfnRef|プリンチペ, 菅谷・山田訳|2014}}}}<br />
*{{Cite book|和書|author=[[江川純一]]・久保田浩編 |year=2015 |title=「呪術」の呪縛 |volume=上巻 |series=宗教史学論叢 19 |publisher=リトン |ref={{harvid|江川・久保田編|2015}}}}<br />
*{{Cite book|和書|author=江川純一・久保田浩編 |year=2017 |title=「呪術」の呪縛 |volume=下巻 |series=宗教史学論叢 20 |publisher=リトン |ref={{harvid|江川・久保田編|2017}}}}<br />
*{{Cite book|first=Owen |last=Davies |year=2012 |title=Magic: A Very Short Introduction |publisher=Oxford University Press |ref=harv}}<br />
<br />
== 関連文献 ==<br />
<!-- 魔法より -->* [[カート・セリグマン]] 『魔法―その歴史と正体』 ISBN 4409030361 かつて平凡社の世界教養全集の一冊として抄訳が出ていたものの全訳版。<br />
<!-- 魔法より -->* [[ゲリー・ジェニングズ]] 『エピソード魔法の歴史―黒魔術と白魔術』 ISBN 4390110101<br />
<!-- 魔法より -->* [[リチャード・キャヴェンディッシュ]] 『魔術の歴史』 ISBN 4309230431<br />
<!-- 魔法より -->* 脇明子 『魔法ファンタジーの世界』 岩波新書 新赤版1020 岩波書店 2006年 ISBN 4-00-431020-2<br />
<!-- 呪術より -->*サー・ジェームズ・ジョージ・フレイザー 『金枝篇』 [[石塚正英]]・[[神成利男]]訳、[[国書刊行会]]、2004年。 - 完訳版<br />
<!-- 呪術より -->*レヴィ=ストロース 『[[野生の思考]]』 [[大橋保夫]]訳、[[みすず書房]]、1976年。<br />
<!-- 呪術より -->*[[マルセル・モース]] 『社会学と人類学 I、II』 [[有地亨]]・[[伊藤昌司]]・[[山口俊夫]]訳、[[弘文堂]]、1973年。 - 呪術論を収録<br />
<!-- 呪術より -->*[[根岸鎮衛]] 『[[耳嚢]]』全3冊 [[長谷川強]]校注、[[岩波書店]]〈[[岩波文庫]]〉、1991年。 - 江戸時代の随筆。まじないについての逸話を収録。<br />
<!-- 呪術より -->*山里純一 『沖縄の魔除けとまじない』 [[第一書房]]、ISBN 4-8042-0125-4<br />
<!-- 魔術より -->* [[エリファス・レヴィ]] 『高等魔術の教理と祭儀 祭儀篇』 ISBN 440903023X<br />
<!-- 魔術より -->* エリファス・レヴィ 『高等魔術の教理と祭儀 教理篇』 ISBN 4409030221<br />
<!-- 魔術より -->* エリファス・レヴィ 『魔術の歴史 - 附・その方法と儀式と秘奥の明快にして簡潔な説明』人文書院 ISBN 4409030493<br />
<!-- 魔術より -->* 世界魔法大全 英国篇 全5巻<br />
<!-- 魔術より -->* 黄金の夜明け魔法大系 全6巻<br />
<!-- 魔術より -->* 現代魔術大系 全7巻<br />
<br />
== 関連項目 ==<br />
{{Commonscat|Magic}}<br />
=== 事項 ===<br />
{{Div col||10em}}<br />
* [[召喚魔術]]<br />
* [[奇術]]<br />
* [[妖術]]<br />
* [[邪術]]<br />
* [[託宣]]<br />
* [[奇跡]]<br />
* [[仙術]]<br />
* [[魔法使い]]<br />
* [[陰陽道]]<br />
* [[錬金術]]<br />
* [[占星術]]<br />
* [[数秘術]]<br />
* [[タロット]]<br />
* [[呪術的思考]]<br />
* [[オカルト]]<br />
* [[ブードゥー教]]<br />
* [[ヘルメス主義]]<br />
* [[グリモワール]]<br />
{{Div col end}}<br />
<br />
=== 人物 ===<br />
{{Div col||20em}}<br />
* [[魔術師の一覧]]<br />
* [[アレイスター・クロウリー]]<br />
* [[デッラ・ポルタ]]<br />
* [[ピコ・デラ・ミランドラ]]<br />
* [[マルシリオ・フィチーノ]]<br />
{{Div col end}}<br />
<br />
=== 団体 ===<br />
* [[黄金の夜明け団]]<br />
<br />
== 外部リンク ==<br />
* [http://www.jccme.or.jp/japanese/11/pdf/11-05/11-05-09.pdf イスラムと魔術]<br />
<br />
{{魔女術}}<br />
{{Normdaten}}<br />
<br />
{{DEFAULTSORT:ましゆつ}}<br />
[[Category:呪術|*]]<br />
[[Category:西洋魔術|*]]<br />
[[Category:文化人類学]]<br />
[[Category:宗教人類学]]</div>
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