KTX-山川

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KTX-山川
各種表記
ハングル KTX-산천
漢字 KTX-山川
発音 ケイティエス=サンチョン
日本語読み: けいてぃえっくす=さんせん
英語表記: KTX-Sancheon
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KTX-山川(KTX-サンチョン)は、大韓民国で開発された韓国鉄道公社(KORAIL)の高速鉄道車両である。形式番号は110000系

本項目では2011年までに製造された1 - 3次車を扱う。なお、当形式の4次車は「KTX-山川 (120000形)」を参照。

概要

この車両は試験車両HSR-350xの技術を利用して製作され、当初はKTX-IIという名称でも呼ばれた。2008年11月25日に初の量産車が出荷され、2009年2月17日、高陽車両事業所に回送された。以来、KORAILでの試運転を経て、2009年10月13日ソウル特別市で開催された「乗ろう!列車に!」(타자! 기차를!)のイベントで、正式に初公開された。空気抵抗を減らすために、車体は在来種の魚ヤマメをモチーフに流線型で製作され、2010年2月に行われた名称の公募では、これを反映した「KTX-山川(サンチョン)」という名称が最終的に採用された。以後、2010年3月2日から京釜線湖南線にそれぞれ投入され、運行が開始された。

性能

今後の高速鉄道車両のコンセプト設計が行われていた1996年当時には、IGBT素子の出力では1,100kWに達する主電動機を制御することが不可能に近かったため、電力制御素子としては、大電力制御が可能なGTOサイリスタ素子の中で最も効率の高いIGCTを使用することでいったんは決定された。しかし、試作車HSR-350xを使用した長期間の試験運行の結果、電力効率や騒音、信頼性の面でIGCTはあまりメリットがないものと判断された。パワーエレクトロニクス技術の発達により、IGBTを用いた大電力の制御が容易になりつつあり、量産車であるKTX-山川編成では、アメリカの半導体メーカーIXYSEnglish版社のイギリス法人が供給する[1]IGBTを用いたVVVFインバータ制御方式を採用することになった。

10両への短編成化と自動併結運用

既存のKTX-I編成が両端の動力車2両・動力車に隣接する電動機付き客車2両と中間付随客車16両の20両編成(L-M-16T-M-L)を組成するのに対し、KTX-山川編成では両端の動力車2両と中間付随客車8両の10両編成(L-8T-L)を組成する。車両の構成は、動力車 - 優等室 - 優等室 - 特室 - スナックカー・家族室合造車 - 優等室 - 優等室 - 優等室 - 優等室 - 動力車の順である。また、先頭車前部に電空一体の自動解結装置を装備し、需要に応じた弾力的な運用が可能となり、今後の全羅線慶全線などでの弾力的運用をも考慮しているのが特徴である。

なお、4号車に設置されたスナックカーについては、利用率が低迷したため順次一般室(12席)に改造を始めたが、2017年、国土交通部より安全性を検証しなかったという理由で中断させられている[2]

KTX-I編成との違い

客室設備

優等室(従来の一般車に相当)の座席前後間隔(シートピッチ)が従来の930mmから980mmと50mmほど拡がり、快適性が改善された。KTX-I編成の座席はフランス国鉄(SNCF)のTGV車両に準じて回転は不可能な構造であったが、すべての座席が回転可能な形態に変更されており、形状や材質も改良された。室内には間接照明を採用し、開放感が向上した。特室用座席の場合は、自動リクライニング機能が追加されており、最大リクライニング角度は、既存の39度から43度に改良された。窓ガラスは、既存の29mm(三層)から38mm(四層)と厚くなり、騒音遮断効果と安全性が向上した。特室の全座席と優等室8か所に220Vコンセントが設置されている。 2012年に追加投入された5編成と、2014年開業の湖南高速線用22編成は座席の厚みを減らし、前後間隔をKTX比75mm、KTX-山川比57mm拡大している (シートピッチは同じ)。定員も410席(特室33席、一般室377席)と増加する。

技術的な部分

主電動機を同期電動機から、現代ロテム製1,100kW級誘導電動機に変更し、維持補修の簡略化を図った。車体はKTX-I編成が普通鋼製のシングルスキン構造であるのに対し、KTX-山川編成ではアルミニウム合金ダブルスキン構造を採用し、これに伴う気密性の強化と騒音の低減を図っている。現代ロテム側の発表によると、300km/h走行時64dBの騒音値を達成したが、これは現用のKTX-I編成に比べて2dB程度低い数値である。客車の車体幅は2,904mmから2,970mmに拡大された。

また、加速性能が向上、KTX-Iの6分5秒に比べ49秒早い5分16秒で最高速度の300 km/hまで到達できるようになった[3]

編成

 
← ソウル・龍山・幸信・仁川国際空港
釜山・晋州・浦項・木浦・益山・麗水エキスポ →
号車(重連時) 1 (11) 2 (12) 3 (13) 4 (14) 5 (15) 6 (16) 7 (17) 8 (18)
形式 11xx51
PC
11xx01
T1
11xx02
T2
11xx03
T3
11xx04
T4
11xx05
T5
11xx06
T6
11xx07
T7
11xx08
T8
11xx52
PC
座席 - 一般室 一般室 特室 一般室
一般室 一般室
(自由席)
-
車内設備 - WC,テンプレート:Access icon,補 補,14px WC,補 WC,乗,売店,
同伴席
WC,補 WC,補,14px WC,補 -
定員 - 43 52 30 32
(うち同伴席4*4)
52 48 52 43 -

140000形

2018年の平昌オリンピックに備えた江陵線の高速化事業に伴い、2014年3月に15編成が現代ロテムに発注され、2016年から2017年にかけて落成している[4]SRT運行に伴い120000形がSR社にリースされて減少した編成数を補うため、KTXの既存路線で「KTX_山川」として運行されている。 運転席からの視野、ワイパー・連結面などが改善されている。カラーリングが初代と同じ青系に戻った他は130000形とほぼ共通のデザイン、仕様で、編成番号は4xxが付与されている。

量産車の試運転が不十分だったため、初期故障が発生した。[5]

 
← 水西
釜山・益山・木浦 →
号車(重連時) 1 (11) 2 (12) 3 (13) 4 (14) 5 (15) 6 (16) 7 (17) 8 (18)
形式 14xx51
PC
14xx01
T1
14xx02
T2
14xx03
T3
14xx04
T4
14xx05
T5
14xx06
T6
14xx07
T7
14xx08
T8
14xx52
PC
表記 4xx 4xx
座席 - 一般室 一般室 特室 一般室
一般室 一般室
(自由席)
-
車内設備 - WC,テンプレート:Access icon,補 補,14px WC,補 WC,乗 WC,補 WC,補,14px WC,補 -
定員 - 51 56 33 56 48 48 56 60 -

凡例

  • 補:補助席(デッキにあるジャンプシート)
  • WC:トイレ
  • 18px:自動販売機
  • テンプレート:Access icon:バリアフリー施設(座席及び便所)
  • 乗:乗務員室
  • 動:動力車

歴史

  • 2006年6月7日:現代ロテム、韓国鉄道公社から10編成100両を2,940億ウォンで受注[6]
  • 2008年1月10日:現代ロテム、韓国鉄道公社から9編成90両を受注[7]。(後日5編成を追加受注)
  • 2011年2月11日:KTX-山川第3編成が光明駅で脱線事故を起こし運用離脱。
  • 2012年9月5日:運用離脱していた第3編成が再ロールアウト[8]

運用

  • 1次車 - 2009年9月から第1次導入分(6編成60両)が搬入され、高速新線での走行試験を実施した後、2010年3月2日から営業運転を開始し、6編成が京釜線と湖南線に最初に投入された。
  • 2次車 - 2010年末までに4編成を追加投入。
  • 3次車 - 2010年末までに9編成を追加投入。
  • 4次車 - 2012年に5編成を投入。

画像

脚注

関連項目

外部リンク