ASML
ASML(蘭: ASML Holding N.V.)は、オランダ南部・フェルトホーフェンに本部を置く半導体製造装置メーカーである。半導体露光装置(ステッパー、フォトリソグラフィ装置)を販売する世界最大の会社で、16ヶ国に60以上の拠点を有し、世界中の主な半導体メーカーの80%以上がASMLの顧客である。ユーロネクスト、NASDAQ上場企業(Euronext: ASML 、テンプレート:NASDAQ)。
概要
IDMやファウンドリなどの半導体メーカーは、ムーアの法則に従い、製造するIC(集積回路)を年々微細化する。ICの製造工程では、30から40回シリコンウェハーに露光するため、露光機の性能がICの性能を左右すると言っても過言ではない。その為、ASMLは継続的に研究開発を行っている[1]。
近年の露光機には、光源に紫外線を発するArFエキシマレーザーが使用されており、さらに液浸露光技術が用いられる。2007年には液浸露光装置の解像度が37ナノメートルに達した。[2]
光学系はカール・ツァイスが供給し、蛍石や石英がレンズに使用されている。近年では反射鏡を組み合わせた光学系もある。
ASMLは液浸の採用によって2003年以降、躍進した[3]。2006年に出荷された「XT:1700i」は45nm世代の量産に向けたArF液浸スキャナーで、光学系の開口数(N.A.)が1.20と、初めてこれまでの限界とされてきた1.00を超えた[3]。
世界シェア・ランキング
売上高ベースで2007年のASML露光装置の世界シェアは65%。[4] 1996年は日本のニコンが約50%弱、キヤノンが約25%のシェアを獲得していた。
2008年の半導体製造装置メーカーランキング(VLSI Researchによる)では、東京エレクトロンを抜き2位に浮上し、[5] 2011年の同ランキングではアプライド・マテリアルズを抜き、初めて1位となった。[6]
沿革
- 1984年 フィリップス社とASM International社がそれぞれ50%ずつ出資する合弁会社ASM Lithographyとして設立[2]
- 1988年 スピンオフし独立した企業となり、旧社名の省略形のASMLを社名とする
- 1995年 アムステルダム証券取引所およびナスダックに上場[2]
- 2001年 エーエスエムエル・ジャパン株式会社を設立
- 2004年8月にArF液浸露光装置の第1世代機(試作機)「AT:1150i」出荷
- 2004年 第2世代機(先行量産機)「XT:1250i」出荷
- 2004年 第3世代機(量産機)「XT:1400i」出荷
- 2006年 第4世代機(量産機)「XT:1700i」出荷
- 2012年 アメリカの同業サイマーを買収[7]
- 2016年 台湾の漢民微速科技を買収[8]
関連項目
- 国際半導体技術ロードマップ
- IMEC (英語)
- Multiple Patterning (英語)
- EUV Lithography (英語)
外部リンク
出典
- ↑ “ASMLの半導体技術、「ムーアの法則」維持できるか”. ウォール・ストリート・ジャーナル (2016年10月3日). . 2017閲覧.
- ↑ 2.0 2.1 2.2 “ASMLの歴史”. . 2012閲覧.
- ↑ 3.0 3.1 F2スキャナーからArF「液浸」スキャナーへの大逆転
- ↑ http://www.asml.com/asml/show.do?ctx=40715&rid=40723
- ↑ https://www.vlsiresearch.com/public/cms_pdf_upload/pdf_file_1237312663.htm
- ↑ https://www.vlsiresearch.com/public/cms_pdf_upload/706001v1.0.htm
- ↑ “ASML、半導体向けEUVリソグラフィの開発を促進に向けCymerを買収”. マイナビニュース (2012年10月17日). . 2017閲覧.
- ↑ “蘭ASMLが台湾の漢民微測科技を買収へ-約3260億円で”. ブルームバーグ (2016年6月16日). . 2017閲覧.