1-メトキシ-2-プロパノール

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1-メトキシ-2-プロパノール(1-methoxy-2-propanol)は、1-メトキシプロパン-2-オール(1-methoxypropan-2-ol)とも呼ばれる第2級アルコールの1種である。

構造と性質

1-メトキシ-2-プロパノールは、プロパン-1,2-ジオール [注釈 1] の1位の水酸基だけが、メタノールの水酸基と分子間で脱水縮合してエーテル結合をした構造をしている。化学式はC4H10O2 [1] 、示性式はH3CCHOHCH2OCH3 [2] 、分子量は90.1210である [1] 。 なお、1-メトキシ-2-プロパノールの2位の炭素、すなわち水酸基が結合している炭素はキラル中心であるため、1対の鏡像異性体を持つ [3] [注釈 2] 。 常圧における融点は-96 ℃から-95℃程度、常圧における沸点は約119 ℃である。したがって、常温常圧において1-メトキシ-2-プロパノールは液体として存在する。なお、この液体は無色透明である [4] 。 なお、引火点は31 ℃と常温よりもわずかに高い程度であり、287 ℃に達すると自然発火する [5]

毒性

ラットに対して経口摂取させた時の半数致死量は、6.040 (g/kg)であった [6]

合成法

酸化プロピレンの一般的な反応として、酸化プロピレンと第1級アルコールとが反応すると、反応させた第1級アルコールの水酸基と反応を起こす。結果として酸化プロピレンの1位の炭素と、第1級アルコール側の酸素が直結した構造の化合物、すなわち、エーテルを生ずることが知られている。よって、1-メトキシ-2-プロパノールを合成するためには、酸化プロピレンにメタノールを反応させれば良い [7] 。 なお、工業的に生産されて一般的に流通している1-メトキシ-2-プロパノールは、S体とR体の混合物である [8]

ファイル:1-methoxy-2-propanol reaction.png
酸化プロピレンとメタノールとが反応すると、1-メトキシ-2-プロパノールが生成する。

注釈

  1. プロパン-1,2-ジオール(propan-1,2-diol)は、1,2-プロパンジオール(1,2-propandiol)とも呼ばれ、慣用名ではプロピレングリコールと呼ばれる。
  2. つまり、1-メトキシ-2-プロパノールには、R体の(R)-1-メトキシ-2-プロパノールと、S体の(S)-1-メトキシ-2-プロパノールが存在する。

出典