調和数列

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調和数列(ちょうわすうれつ、harmonic sequence または harmonic progression)とは、各項の逆数を取ると等差数列となる数列である。ピタゴラス音律では、ドの弦の長さを 1 とすると、ソは 2/3、1オクターブ高いドは 1/2 の長さになる。各項の逆数はそれぞれ 1, 3/2, 2 となり、公差が 1/2 の等差数列となる。よって、1, 2/3, 1/2 は調和数列である。

一般項と漸化式

調和数列とは、一般項 hna を初項とし定数 d を用いて

[math]h_n =\frac{a}{1+(n-1)d}[/math]

と表せる数列 {hn} のことである。ここで 1/d は自然数でないとする。このとき、a は初項である。各項は隣接する2項の調和平均になっている(調和中項)。調和数列の極限は 0 である。例としては、

[math]12,\, 6,\, 4,\, 3,\, \frac{12}{5},\, 2, \dots , \frac{12}{n}, \dots[/math]
[math]10,\, 30,\, -30,\, -10,\, -6,\, -\frac{30}{7}, \dots , \frac{30}{5-2n}, \dots [/math]

などが挙げられる。

n 番目の項と m 番目の項の関係を表す漸化式

[math]h_n =\frac{h_m}{1+(n-m)d}[/math]

である。

この数列の隣接2項間漸化式は

[math]\frac{1}{h_{n+1}} =\frac{1}{h_n} +\frac{d}{h_1} \quad (n\ge 1)[/math]

である。

調和数列の項の積

一般項 [math]h_n =\frac{a}{1+(n-1)d}[/math], 項数 n の調和数列 {hn} 総乗

[math]h_1 h_2 \cdots h_n =\frac{\left(\frac{a}{d}\right)^n }{\left(\frac{1}{d}\right)^{\overline{n}}} = \left(\frac{a}{d}\right)^n \frac{\Gamma \left( \frac{1}{d} \right) }{\Gamma \left(\frac{1}{d} + n\right) }[/math]

で表される。ここで、 [math]x^{\overline{n}}[/math] は上昇階乗冪x から 1 ずつ増やしながら x + n − 1 までの n 個の総乗(階乗の類似物)、Γガンマ関数を表す。

調和数列の逆数和

調和数列は各項の逆数を取ると等差数列になることから、等差数列の関係から調和数列の関係を得ることができる。

一般項 [math]h_n=\frac{a}{1+(n-1)d}[/math], 項数 n の調和数列 {hn} の全ての項の逆数和は、次の式で表される。

[math]\frac{1}{h_1} +\frac{1}{h_2} +\cdots +\frac{1}{h_n} =\frac{n}{2} \left( \frac{1}{h_1} + \frac{1}{h_n} \right) =\frac{n\{2+(n-1)d \}}{2a}[/math]

調和数列の級数

調和数列の級数は一般調和級数

[math]\sum_{n=1}^{\infty} \frac{a}{1+(n-1)d} =\frac{a}{d} \sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{n-1+\frac{1}{d}}[/math]

になる。これは発散級数である。