袖ケ浦市
袖ケ浦市(そでがうらし)は、千葉県のほぼ中央にあり東京湾に面した市。財政の豊かさは、千葉県内で浦安市(京葉工業地域の工場群と東京ディズニーリゾートなどが主たる産業である)、成田市(成田空港が主たる産業である)に次ぐ3番目である。京葉工業地域の工場群と観光施設の東京ドイツ村などが市を代表して経済を支える主要施設である。 また、図書館の蔵書に非常に力を入れており、人口1人あたりの蔵書数では千葉県内で2番目である。
Contents
人口
平成27年国勢調査より前回調査からの人口増減をみると、0.99%増の60,952人であり、増減率は県下54市町村中13位、60行政区域中16位。
袖ケ浦市(に相当する地域)の人口の推移 | |
総務省統計局 国勢調査より |
歴史
「古事記」によれば、日本武尊(ヤマトタケルノミコト)が相模国から東征の折り、走水(東京湾)を渡る際、大時化に遭い、そのとき妃の弟橘媛(オトタチバナヒメ)が海中に身を投じて海神の怒りを鎮め、尊の渡海を助ける。その妃の袖が海岸一帯に流れついたという伝説から、東京湾の千葉県側の海岸が「袖ヶ浦」の雅称で呼ばれるようになった。これが袖ケ浦市の名称の起源であるが、本来の袖ヶ浦の範囲は現在の袖ケ浦市よりはるかに広く、習志野市の臨海部の埋立地の一部にも、袖ヶ浦の地名がつけられている。
この日本武尊の伝説による地名は、袖ケ浦市のみならず近隣の木更津市と君津市と富津市になど至るまで、市名または市内地名(地番)に伝説として名前を残しているものも多い。
また、延喜式にも飫富神社とその名の記載がある飽富神社では、現在でも毎年1月にその年の農作物の出来を占う筒粥の儀式が執り行われている。 同じ筒粥は、國勝神社でも1月に行われる。
現在は京葉工業地域の一部で工業地帯となっている臨海部は、埋め立て以前はJR内房線の線路付近から海が広がり、海苔養殖が盛んに行われていた。養殖海苔の大半を占める主要品種であるナラワスサビノリの名称は、当市奈良輪で発見、選抜されたことから名付けられたものである。
アクアライン開通と袖ケ浦市
1997年に隣の木更津市と神奈川県川崎市を結ぶ東京湾横断道路(東京湾アクアライン)が開通し、木更津市に隣接する自治体としてアクアライン経由による神奈川県や東京都へのアクセスの利便性や不動産価格の安さによる、ベッドタウンとしての移住者で木更津市とともに近年に人口が大幅に増加した経緯がある。
同市には東京湾アクアラインと直結する東京湾アクアライン連絡道(アクア連絡道)が通り、当市内に袖ケ浦インターチェンジがある。袖ケ浦インターチェンジ付近には袖ケ浦バスターミナルが存在し、アクアライン経由の高速バスが多数発着する。
アクアライン開通の1997年までに館山自動車道(館山道)及びアクア連絡道の同市内区間が完成し、東京湾アクアライン開通後の2007年に首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の同市内区間が開通したことにより、高速道路網が全通した。
神奈川県は川崎市(川崎駅、浮島バスターミナル)と横浜市(横浜駅)、東京都は大田区の羽田空港などがアクアラインの対岸の拠点である神奈川県川崎市浮島(ジャンクション、インターチェンジ)に近く、主たるアクセス拠点となっている。。
沿革
現在の袖ケ浦市は、1971年に新設合併で誕生した2代目の袖ヶ浦町が市制施行したものであるが、ここでは前身となった旧袖ヶ浦町についても述べる[1]。
- 1955年(昭和30年)3月31日 - 君津郡昭和町、長浦村、根形村の一部(岩井、谷中、三黒)が合併して袖ヶ浦町(初代)を新設。
- 1971年(昭和46年)11月3日 - 袖ヶ浦町、平川町が合併し、改めて袖ヶ浦町(2代目)を新設。
- 1991年(平成3年)4月1日 - 袖ヶ浦町が市制施行し、袖ケ浦市となる。このとき、大きい「ケ」を採用するようになった。
行政
行政センター
- 袖ケ浦市役所
- 平川行政センター
- 長浦行政センター
警察
- 木更津市の木更津警察署が市内全域を管轄し、以下の交番や駐在所が市内にある
- 袖ヶ浦駅前交番
- 長浦駅前交番
- 中川駐在所
- 根形駐在所
- 平岡駐在所
消防
- 袖ケ浦市消防本部
- 平川分署
- 長浦分署
立法
市議会
会派構成
会派名 | 議席数 | 所属議員 |
---|---|---|
創袖クラブ | 5 | 山口進、山下信司、在原直樹、長谷川重義、笹生猛 |
新風会 | 4 | 根本駿輔、粕谷智浩、笹生典之、篠原幸一 |
市民クラブ | 3 | 鈴木憲雄、阿津文男、福原孝彦 |
市清会 | 2 | 小国勇、佐藤麗子 |
公明党 | 2 | 緒方妙子、前田美智江 |
日本共産党袖ケ浦市議団 | 2 | 励波久子、篠崎典之 |
開政クラブ | 2 | 佐久間清、塚本幸子 |
無所属 | 1 | 榎本雅司 |
公共機関
旧・君津郡市の木更津・君津・富津各市と合わせて、君津地域振興事務所として4市一体で管理体制を採っており、一例として公共職業安定所や労働基準監督署などの国の関係機関は隣の木更津市に設けられている。
医療機関
- 袖ケ浦さつき台病院 - 救急指定病院
郵便局
郵便番号は「299-02XX」で、下2桁は地区により異なる。
- 袖ケ浦郵便局 - ホリデーサービス実施局
- 平岡郵便局
- 袖ヶ浦のぞみ野郵便局
- 長浦郵便局
- 袖ヶ浦蔵波郵便局
- 袖ヶ浦さつき台郵便局 - ホリデーサービス実施局
運輸支局
火葬場
同市内に設けられていないため、隣の市原・木更津各市の火葬場に委託している。 同市内における火葬場設置の構想は1970年代から続いており、火葬場建設のために市内5か所を選定したものの、該当地域住民の同意が得られず、白紙に戻された経緯がある[3]。。 近隣の木更津市または市原市の火葬場で火葬する際に助成金が出る。 2016年1月28日に君津地域4市で「木更津市火葬場整備運営事業(仮称)」の覚書を締結し、既存の木更津市の火葬場を建て替えるために共同出資・建設を行うことが決定した[3]。
衛生
袖ケ浦市指定ゴミ袋を市内や隣の市原市、木更津市の小売店で購入し、自分が住む自治会管轄の近所のゴミステーションに出す。ゴミ袋は市のマスコットキャラクターガウラが印刷されたもので、ゴミの種類で色が異なる。
燃えるゴミ袋で印刷ミスが発生し、燃せないゴミ用と印字したことがある[4]。
ケーブルテレビ、インターネット等
- ケーブルテレビ - 木更津市のジェイコム木更津(旧木更津ケーブルテレビ)が当市全域を管轄している。
- インターネット - 当市全域で光ファイバー回線を利用可能。NTT東日本のフレッツテレビサービスは、市内の一部地域で提供されている。
ライフライン
- 東京電力エナジーパートナー - 電力
- 東京ガス - 都市ガス
- 一部地域に供給している。
- 袖ケ浦市水道局 - 水道
- NTT東日本 - 通信
- 同市の市外局番は木更津市と同じ「0438」である。
産業
第一次産業(農業・畜産)
農産物の作付面積は県内では上位を占める[5]。主に以下の農産物などの生産量が多い[6]。
- 野菜
- 果物
- その他
第二次産業(製造)
京葉工業地域として工業が盛んで、特に石油化学コンビナートが多く、製油所・石油化学工場のみならず天然ガス加工工場も擁する。
姉妹・提携都市
日本国外
イタジャイ市(ブラジル連邦共和国サンタ・カタリーナ州)
『平成3年生まれ同期市自治体連絡協議会』関連
- 1991年に誕生した上記の市による『平成3年生まれ同期市自治体連絡協議会』を設置。
地区
合併経緯などの歴史的経緯から、昭和地区、長浦地区、根形地区、中川地区、平岡地区などに分かれている。この他にも新興住宅地域として、蔵波台地区、代宿団地(けやき台)地区、長浦駅前(さつき台)地区、のぞみ野地区、浜宿団地地区、福王台地区などがある。
地区 | 大字・町名 |
---|---|
昭和地区 | 坂戸市場・奈良輪・福王台・神納 |
長浦地区 | 今井・野田・蔵波・蔵波台・長浦駅前・久保田・代宿 |
根形地区 | 飯富・下新田・三ツ作・大曽根・勝・のぞみ野 |
中川地区 | 大鳥居・横田・三黒・谷中・百目木・下根岸・阿部・打越・大竹・上宮田・下宮田・玉野・吉野田・滝の口 |
平岡地区 | 川原井・林・高谷・三箇・野里・永吉・上泉・下泉・岩井 |
埋立地 他 | 長浦・南袖・中袖・北袖・椎の森 |
教育
小学校
- 袖ケ浦市立昭和小学校
- 袖ケ浦市立長浦小学校
- 袖ケ浦市立根形小学校
- 袖ケ浦市立中川小学校
- 袖ケ浦市立平岡小学校
- 幽谷分校 - 4年次まで通学する。5年次以後は本校通学。
- 袖ケ浦市立蔵波小学校
- 袖ケ浦市立奈良輪小学校
中学校
特記事項を除き、小学校と学区は同一。
- 袖ケ浦市立昭和中学校 - 昭和小学校と奈良輪小学校が学区統合のうえ合流。
- 袖ケ浦市立長浦中学校
- 袖ケ浦市立根形中学校
- 袖ケ浦市立平川中学校 - 平岡小学校と中川小学校が学区統合のうえ合流。
- 袖ケ浦市立蔵波中学校
高等学校
特別支援学校
- 千葉県立槇の実特別支援学校 - 袖ヶ浦養護学校(当時)の分校として1970年に開校し、1979年に独立した。
専修学校
- 千葉県自動車総合大学校(CATS-I)
図書館
- 袖ケ浦市立中央図書館
- 袖ケ浦市立長浦おかのうえ図書館
- 袖ケ浦市立平川図書館
- 根形公民館図書室
- 平岡公民館図書室
体育施設
- 袖ケ浦市総合運動場
- 袖ケ浦市総合運動場野球場 - 同市福王台の市営球場、市営今井球場の2か所が存在する。
- 袖ケ浦市総合運動場陸上競技場
- そでがうら健康づくり支援センター「ガウランド」 - 同市が経営に関わる健康ランド施設、人工温泉や室内プールあり。
- 臨海スポーツセンター - 室内プールあり、市が経営する総合スポーツ体育館。
交通
鉄道路線
中心駅:袖ケ浦駅
- 2004年10月16日のダイヤ改正より、袖ケ浦駅・長浦駅ともに快速列車が全便停車するようになった(臨時列車(お座敷内房号、BBBASEなど)は除く)が全面停車するようになった。
- 特急列車のさざなみ号は袖ケ浦駅・長浦駅ともに全列車が通過する。
バス路線
高速バス
- 安房鴨川駅 - 袖ケ浦バスターミナル ⇔ 東京駅・浜松町バスターミナル・東京タワー
- 東京線【東京ガウライナー】(小湊鐵道)
- 新宿線(小湊鐵道・小田急シティバス)
- 渋谷線(小湊鐵道・東急トランセ)
- 羽田空港線(日東交通・小湊鐵道・京浜急行バス・東京空港交通)
- 木更津駅 - 袖ケ浦バスターミナル ⇔ 羽田空港
- 横浜線(日東交通・小湊鐵道・京浜急行バス)
- 館山自動車道経由
路線バス
道路
高速道路
- 館山自動車道 - 姉崎袖ケ浦IC(所在地は市原市との境)
- 東京湾アクアライン連絡道 - 袖ケ浦IC
国道
県道
- 主要地方道
- 一般県道
市道
1996年度から4年間かけて一般公募による愛称が制定された[10]。
- 平成通り - 市道台宿神納線
- けやき通り - 市道笠上台宿線
- 椎の森通り - 市道北袖インターチェンジ線
- ふれあい通り - 市道長浦小中学校線
- 長浦駅前通り - 市道長浦駅前線
- いちょう通り - 市道蔵波鎌倉街道線
- 中袖臨海通り - 市道長浦中袖線
- かつおり通り - 市道勝下清水頭線
- たちばな通り - 市道飯富蔵波台線
- 昭和通り - 市道南袖大野台線
- 海浜公園通り - 市道南袖神納線
- ならわ北通り - 市道今井坂戸線
- 袖ケ浦駅前通り - 市道袖ケ浦駅前線
- 坂戸の森通り - 市道坂戸川間尻線
- 袖ケ浦フラワーライン - 市道三箇永地線
- のぞみ野通り - 市道台宿横田線
- 金堀通り - 市道川原井金堀台線
- 幽谷通り - 市道川原井林線
- 長泉寺通り - 市道永地寺ノ越線
- 三番線通り - 市道三箇横田線
- 百目木公園通り - 市道横田10号線(広域農道)
- 山ゆり通り - 市道吉野田上宮田線
港湾
- 千葉港(国際拠点港湾)
出身有名人
- 木内泰史(ドラム奏者:サンボマスター)
- 鈴木秀範(社会人野球(新日鐵住金かずさマジック)監督・元選手)
- 花澤明(空手家・キックボクシングジム会長)
- 廣山望(サッカー選手)
- 前田三夫(帝京高校野球部監督)
- 吉田裕一(建築家)
- 若山かずさ(演歌歌手)
名所・旧跡・観光
観光施設
- 関東三大イルミネーション認定施設[11]。
- ダチョウ王国袖ケ浦ファーム
- ダチョウの観光牧場である。茨城県石岡市にも系列施設がある。
- 南総園
- ぶどう狩り観光農園。
公園
面積が広い主要な公園のみ記述する。
- 袖ケ浦市郷土博物館を併設し、本館と分館「アクアラインなるほど館」で構成されている。本館施設内に同市の郷土文化である上総掘り関連の資料を展示。また、周辺には縄文時代末期の遺跡・山野(さんや)貝塚もあり、2017年に同市初の国史跡に指定された[12]。
- 袖ケ浦海浜公園
- 百目木公園
- テニスコート、野球場、ゲートボールコートなどがあるほか(いずれも有料)、夏季には屋外プールの営業がある。
- 農村公園ひらおかの里(農業体験公園)
ゴルフ場
- 東京湾カントリー倶楽部
- カメリアヒルズカントリークラブ
- 木更津ゴルフクラブ
サーキット場
キャンプ場
- 森のまきばオートキャンプ場
直売所
- ゆりの里(道の駅ではないが、農産物などの物産販売所として道の駅と同様の機能を持つ商業施設)
- 農産物など以外にも市のマスコットゆるキャラのガウラのグッズなども販売している。
- 袖ケ浦公園に隣接している。
イベント
ちばアクアラインマラソンのコースが当市内にも一部ある(2012年、2014年、2016年、2018年)。ちばアクアラインマラソンは2012年から偶数年の10月に隔年開催である。
フルマラソンのコースの一部が当市内区間ある。フルマラソンはスタートとゴールは木更津市だが、途中に当市区間がある。ハーフマラソンは木更津市内のみで完結するので、当市内にコースは無い。 フルマラソンコースの袖ケ浦市内部分の主要な経由地は袖ケ浦公園やゆりの里などである。
脚注
- ↑ 市の紹介 - 袖ケ浦市
- ↑ “議員紹介・各種議員名簿”. 袖ケ浦市議会. 袖ケ浦市 (2018年2月1日). . 2018閲覧.
- ↑ 3.0 3.1 “火葬場整備事業”. 袖ケ浦の今. 袖ケ浦市 (2016年11月8日). . 2018閲覧.
- ↑ 千葉日報(2015年11月25日)
- ↑ “農産物の作付面積が県内上位を誇ります”. 市政の見える化特設サイト. 袖ケ浦市 (2017年4月13日). . 2018閲覧.
- ↑ “★千葉県の農産物と特産物のご紹介”. かずさ農産物センター. . 2018閲覧.
- ↑ “アリジゴク、おしっこする 千葉の小4が通説覆す発見”. asahi.com - プレーバック1週間. 朝日新聞 (2010年11月8日). . 2018閲覧.
- ↑ “12/15 高速バス「袖ケ浦 - 東京線」開業”. お知らせ. 小湊鐵道 (2017年12月1日). . 2017閲覧.
- ↑ “7/10 高速バス「木更津 - 渋谷線」開業”. お知らせ. 小湊鐵道 (2018年6月27日). . 2018閲覧.
- ↑ “道路愛称看板”. 道路. 袖ケ浦市 (2010年11月8日). . 2018閲覧.
- ↑ “関東三大イルミネーション”. 夜景検定スペシャルレビュー. 一般社団法人夜景観光コンベンション・ビューロー. . 2018閲覧.
- ↑ “縄文時代の袖ケ浦「国史跡 山野貝塚」をご存知ですか”. 袖ケ浦市教育委員会. 袖ケ浦市 (2016年7月6日). . 2018閲覧.
関連項目
- ガウラ - 袖ケ浦市のマスコットキャラクター。
外部リンク
- 行政
- 観光