標準特異点

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数学では、標準特異点(canonical singularities)は、射影多様体の標準モデルの特異点として現れ、端末特異点(terminal singularities)は極小モデルの特異点として現れる特別な場合である。それらは Reid (1980) により導入された。滑らかな極小モデルは存在せず、従って、必然的に端末特異点である特異点を持たねばならないので、端末特異点は極小モデルプログラムで重要である。

定義

Y を標準クラス KYQ-カルティエであるような正規多様体とし、f:X→Y が Y の特異点解消とすると、

[math]\displaystyle K_X = f^*(K_Y)+\sum_i a_iE_i[/math]

となる。ここに和は既約な例外因子を渡るとし、ai は有理数で、ディスククレパンシー(discrepancy)と呼ぶ。

そのとき、Y の特異点を次のように呼ぶ。

全ての i に対し、ai > 0 のとき、端末(terminal)
全ての i に対し、ai ≥ 0 のとき、標準(canonical)
全ての i に対し、ai > −1 のとき、対数端末(log terminal)
全ての i に対し、ai ≥ −1 のとき、対数標準(log canonical)

性質

射影多様体 V の特異点が標準的とは、多様体が正規English版(normal)なとき、V の非特異部分の標準ラインバンドルのあるべきが、V 上のラインバンドルへ拡張され、V が任意の特異点の解消English版(resolution)と同じ多重種数を持つ場合のことを言う。V が標準特異点を持つことと、相対標準モデルEnglish版(relative canonical model)であることとは同値である。

射影多様体 V の特異点が端末的とは、多様体が正規English版(normal)なとき、V の非特異部分の標準ラインバンドルのあるべきが、V 上のラインバンドルへ拡張され、Vm の任意の切断の引き戻しが、特異点の解消English版(resolution)の例外因子English版(exceptional locus)の余次元 1 の成分に沿って 0 となるときを言う。

小さな次元での分類

2次元端末特異点は滑らかである。多様体が端末特異点を持つと、特異点は少なくとも余次元 3 を持ち、特に、余次元 1 と 2 では端末特異点は滑らかとなる。次元 3 の場合は、端末特異点は孤立特異点であり、Mori (1985) で分類された。

2次元標準特異点は、デュヴァル特異点English版(du Val singularity)と同じであり、解析的には C2 を有限群 SL2(C) で割った商空間に同型である。

2次元の対数端末特異点は、解析的には C2 を有限群 SL2(C) で割った商空間に同型である。

2次元対数標準特異点は Kawamata (1988) により分類されている。

ペア

より一般的には、Δ を有理数係数の素因子の形式的線型結合とするとき、ペア (X,Δ) のこれらのo概念を定義することができる。ペアは次のように呼ばれる。

  • Discrep(X,Δ) > 0 のとき、端末(terminal)
  • Discrep(X,Δ) ≥ 0 のとき、標準(canonical)
  • Discrep(X,Δ) > − 1 かつ |Δ| ≤ 0 のとき、川又対数端末(klt)(Kawamata log terminal)
  • Discrep(X,Δ) > − 1 のとき、純粋対数端末(plt)(purely log terminal)
  • Discrep(X,Δ) ≥ − 1 のとき、対数標準(lc)(log canonical)

参考文献