浦戸諸島

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松島湾の湾口部の空撮(2009年10月)。写真左側から延びる七ヶ浜半島と写真中央の宮戸島との間の湾口部にあるのが浦戸諸島。
ファイル:Matsushima otakamori08Dec07.jpg
宮戸島東松島市)の大高森から浦戸諸島方面の眺望。松島四大観のひとつで「壮観」と呼ばれる。

浦戸諸島(うらとしょとう)は、日本三景松島の一部を構成する島嶼群。松島湾湾口部にあり、宮城県塩竈市に属する[1]

概要

桂島(かつらしま)、野々島(ののしま)、寒風沢島(さぶさわじま)、朴島(ほうじま)の有人島と、馬放島、大森島など多くの無人島からなる。松島浦の戸口にあることから、浦戸と呼ばれた[2]外松島とも呼ばれている。

浦戸諸島は旧宮城郡の東端にあり、その東には最小幅約80mの鰐ヶ淵水道を隔てて旧桃生郡宮戸島(現・東松島市)がある。現在、これらの島々は分離しているが、かつては七ヶ浜半島から地続きだったと言われており、陸奥国府多賀城724年神亀元年)築城)から桃生城759年天平宝字3年)築城)に至る経路になっていた[3]。しかし、869年貞観11年)の貞観地震津波によって沈水し、現在のような島々に分離したと考えられている[3]

有人島

桂島(地図
面積0.76km2、人口約400人。浦戸諸島4島の中で、最も塩竈市中心部に近い。島名の由来は曽良が松島に滞在した時、松島湾に浮かぶ島と月を見て「月桂冠の如し」と詠んだところからとも、鹽竈神社嘉津良比祭と関係があるとも言われている。西岸の展望台からは、七ヶ浜町泉ヶ岳などを望む。桂島、石浜2つの集落があり、浦戸諸島の中では最も人口が多い。民宿の多くは桂島にあり、塩竈に多大な貢献をした実業家白石廣造の邸宅跡や、島民が雨乞いをしたという「雨降り石」など観光の拠点でもある。石浜には唯一の郵便局である浦戸郵便局があり、ATMも用意されている。
毎年8月13日には夏祭り・花火大会が開催される。
野々島(地図
面積0.56km2、人口約140人。塩竈市の出先機関である浦戸諸島開発総合センター(別名:ブルーセンター)、宮城県漁業協同組合塩釜市浦戸支所、浦戸診療所、唯一の学校である浦戸第二小学校/浦戸中学校があり、浦戸諸島の行政・生活の事実上の中心である。島名については、島内の熊野神社にある承応年代(17世紀中頃)の鐘には「布島」と表記されている。島のいたるところに洞窟野仏があり、夜鳴き地蔵、「椿のトンネル」などが名所となる。
毎年8月14日には野々島納涼盆踊り花火大会が開催される。
寒風沢島(地図
面積1.45km2、人口約230人。浦戸諸島最大の島である。(江戸期の文人・大田南畝(蜀山人)の書いた随筆[4]には「寒澤島」とある。)宮城県漁業協同組合塩釜市浦戸東部支所がある。野々島と寒風沢水道を隔てて約100mで面しているほか、東岸は旧桃生郡宮戸島(現・東松島市)に最小幅約80mの鰐ヶ淵水道を隔てて面しており、両島に挟まれるような形になっている。そのため、架橋運動が盛り上がっている。集落は野々島と面した西側にある。島内には水田が広がり、農業に従事している人も多い。自給自足を実現している島という(斎藤潤『日本島旅紀行』より)。野々島との間では無料の渡し舟が運航されており、詰所の人に頼むか、無人の場合は鐘を鳴らすと運航する。
日本人として初めて世界一周を果たした津太夫の出身地である。江戸時代は「塩竈港の外港」として繁栄し、で運ばれた年貢米千石船に積み替え、ここから江戸品川港まで運ばれた。そのため、船乗りを相手にした遊郭が作られ、客を放したくない為に荒天を祈る遊女の想いが込められた「しばり地蔵」が名所となっている。幕末には、仙台藩初の西洋式軍艦開成丸」が建造され、記念碑である「造艦の碑」がある。戊辰戦争時には、江戸を脱出した榎本武揚の幕府艦隊が一時投錨したが、仙台藩無条件降伏の報に接し、会津戦争を逃れた土方歳三などの残存兵と共に、ここから箱館五稜郭へと向かった。
朴島(地図
面積0.15km2、人口約40人。浦戸諸島では最も奥にあり、最も小さな島である。島名の由来は、鳳凰が住んでいたからとも、烽火(狼煙)場があったからとも、仙台藩にまつわる宝島伝説があるからとも言われている。純粋な仙台白菜の種を採るために島中で菜の花が栽培されており、毎年ゴールデンウィークの時期になると、見事な花が島全体を覆い尽くす。この菜の花は食用としても全国に出荷されている島の特産品である。また、島内にはタブノキ原生林がある。朴島の周囲にある大森島、鷺島、味噌玉島、烏帽子島などの無人島群は、烏帽子列島と呼ばれている。

交通

本州~浦戸諸島

1日6-7往復塩竈市営汽船が結んでいる。「みしお(77t)」、「しおじ(64t)」2隻の船と、「うらと(19t)」1隻のFRP船で運航されている。いずれも貨客船で貨物も扱っているが、小型の「うらと」には大型の貨物を載せない旨を案内している。テレビ受像機冷蔵庫、大型漁具等の大型手荷物は、事前連絡をした場合以外は、鋼船での輸送になる。

  • 塩竈観光桟橋(マリンゲート塩釜) - 桂島(桂島) - 野々島 - 石浜(桂島) - 寒風沢島 - 朴島

諸島内の移動

塩竈市営汽船による移動以外に、桂島~野々島間、野々島~寒風沢島間は、無料の渡船を行っている。日中に船員が詰めており、旗や電話による合図を受けて利用できる。他に、水上タクシー「あっしぃ~君」「八千代丸」があり、電話連絡の上随時利用できる。

生活

  • 学校 - 野々島に浦戸第二小学校および浦戸中学校がある。かつては、桂島に旧浦戸第二小学校、寒風沢島に旧浦戸第一小学校があった。統合されて野々島に移転したが、浦戸諸島唯一の小学校にもかかわらず浦戸第二小学校である。
  • 商店 - 桂島(桂島)、野々島、寒風沢島にある。その他、移動販売船が日によって島々を巡回している(BS日テレ島旅」より)。
  • 郵便局 - 石浜(桂島)に浦戸郵便局があり、ATMも設置されている。郵便物や荷物の集配業務は、併設の郵便事業仙台東支店浦戸集配センターが担当する。
  • 医療 - 野々島に浦戸診療所がある。急患は、塩釜地区消防事務組合消防本部の消防艇「さくら」により搬送される。
  • 電話 - 本土と同様に使える。NTT東日本宮城支店塩釜ビルから野々島の浦戸無線中継所(浦戸収容局)まで無線伝送し、そこから有線回線で4島にサービスしている。市内局番は369-2xxx(ISDN専用局番は361-2xxx)となる。
    • 携帯電話 - 桂島に基地局があり、ほぼ全島で良好に受信できる。
  • 放送 - 宮城県で放送されている全てのテレビ・ラジオ放送局の電波が問題なく受信できる。
  • 民宿 - 桂島(桂島)に民宿8軒ペンション2軒、石浜(桂島)に民宿4軒、寒風沢島に民宿6軒。

脚注

  1. 西端の馬放島・地蔵島などが宮城郡七ヶ浜町に属する。
  2. 特集 夏の島じかん(1)(塩竈市)
  3. 3.0 3.1 浦戸村の沿革(塩竈市)
  4. 大田南畝「半日閑話」吉川弘文館(日本随筆大成 巻4)、1927年,287頁。同書には、「江戸期に、寒澤島に漂着した額板(署書体で「説好話・読好書・倣好人・行好事・漢壽亭侯関羽之書」と書かれている)を寒澤寺の額板とした故事」が記載されている。

関連項目

外部リンク