操作

放射化

放射化生成物から転送)


放射化(ほうしゃか、Radioactivation)とは、もともとは放射能が無い同位体が、他の放射性物質等から発生する放射線を受ける事によって、放射性同位体となること。放射化の度合いは、放射線の種類とエネルギー、及び放射線を受ける同位体に依存する。

放射化は宇宙線による炭素14の生成のように自然界でも起こっている。

<ce>{\it{n}} + {^{14}_{7}N} -> {^{14}_{6}C} + {\it{p}}</ce>

人工的な放射化は1934年、キュリー夫人の娘イレーヌ・キュリーとその夫フレデリックによって初めて発表された。彼女らはポロニウムから生じたアルファ線アルミニウムに照射し、

<ce>^{27}Al(\alpha,{\it{n}})^{30}P</ce>

の反応により安定同位体から放射性同位体が生成することを確認した。この功績により、1935年に2人はノーベル化学賞を受賞している。

経済活動への影響

原子力エネルギーの利用を目的とする原子力発電所加速器等を構成する材料の一部は、施設の運転中に発生する中性子によって放射化する[1]。更に、中性子照射によって放射化した材料の中でも、施設の解体・処分時にある一定以上の残留放射能を持つものについては、低レベル放射性廃棄物へと区分されることが必要で有る[2]

原子力施設や加速器のほか医療用のポジトロン断層法に用いる 18F-FDG薬の生産に用いるサイクロトロン装置を収容する建物の壁材(コンクリート)では長期間の稼働によって壁材が放射化するが、放射化されにくい材料で作られる低放射化コンクリートが利用される[3]

応用例

線源

γ線源であるコバルト60生成は、安定同位体の59Co への中性子照射によって行われる[4]。通常は原子炉中で行われる[4]

<ce>^{59}Co({\it{n}},\gamma)^{60}Co</ce>

表現方法を変えると、

<ce>{^{59}Co} + {\it{n}} -> ^{60}Co</ce>
汚染分析

放射化を利用した分析手法が放射化分析で、放射化された元素の量を測定することで動植物の細胞内に取り込まれている元素の量を調べる。例えば、毛髪中水銀の定量[5]や、大気中の浮遊粉塵の分析も行われる[6]

出典・脚注

  1. 放射性核種の生成と放射線防護 放射光科学研究施設 高エネルギー加速器セミナー OHO'16 (PDF)
  2. 柴田徳思、使用を廃止した加速器の放射化の問題 RADIOISOTOPES. 1999年 48巻 3号 p.208-215, doi:10.3769/radioisotopes.48.208
  3. 金野正晴、低放射化コンクリートの開発の現況 コンクリート工学 2004年 42巻 6号 p.3-10, doi:10.3151/coj1975.42.6_3
  4. 4.0 4.1 コバルト-60(60Co) 原子力資料情報室(CNIC)
  5. 星野乙松、丹沢珪子、寺尾允男 ほか、放射化分析による毛髪中水銀の定量 衛生化学 1966年 12巻 2号 p.94-99, doi:10.1248/jhs1956.12.94
  6. 真室哲雄、松田八束、溝畑朗 ほか、[ https://doi.org/10.3769/radioisotopes.21.3_164 大気浮遊塵の放射化分析 (第2報)] RADIOISOTOPES. 1972年 21巻 3号 p.164-169, doi:10.3769/radioisotopes.21.3_164

関連項目