将棋用語一覧

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テンプレート:将棋ヘッダ 将棋用語一覧(しょうぎようごいちらん)では、将棋に関する用語をまとめる。将棋のルールに関するものなど基礎的な用語については将棋、将棋の戦法については将棋の戦法一覧、対局を有利に進めるのに役立つとされる格言については将棋の格言詰将棋に関する用語は詰将棋の用語を参照。

合駒(あいごま)
走り駒で王手されたとき、敵駒の利きの間に駒を打って王手を解除すること。また、その駒。合い駒。合い。
合駒請求
走り駒(香、角、飛車)で王手をして、間駒を強要すること。相手の選択肢が少なくなる、相手からの攻めが遅れる、特定の駒が入れば詰みがあるなどの狙いがある場合を指して言う。
開き王手(あきおうて)
走り駒と、敵玉の間に、走り駒の利きを止めている自分の駒があるときに、その駒を動かして王手をかけること。空き王手。
悪手(あくしゅ)
形勢が不利になるような指し手。
味(あじ)
  1. 今すぐではなく、後で効果が出るような駒の(部分的な)配置。<例>「味を残す」
  2. 一目見ての感触(気分の良さを含む場合もある)。<例>「これは一手指しただけで飛車先と角道が同時に通る味が良い手だ」[1]
味消し(あじけし)
いつでも指せる手を、ベストではないタイミングで早まって指してしまうこと。<例>「ここで質駒の金を取ったのは味消しだった」[2]
味つけ
中盤で、ある手順の前か途中に、後の局面に有利に作用するよう小駒で相手の駒の配置を変えること。<例>5四歩のたらしを受けさせて味つけをしておく。
足を止めてのパンチの応酬(あしをとめてのパンチのおうしゅう)
俗に、お互い相手の攻めを受けることなく、一直線に攻めの手を指し合うこと。「あなたはあなた、私は私」とも言う。
遊び駒(あそびごま)
攻めにも受けにも役に立っていない駒。「死に駒」と同義。
頭(あたま)
駒の一マス前。「~頭」と書いた場合は「とう」と読む。<例>玉頭(ぎょくとう)、角頭(かくとう)、桂頭(けいとう)
頭が丸い
角と桂馬の目の前の駒を取れない弱点を指す。
頭金(あたまきん)
玉の一マス前に金を打つこと。またはそれで詰ませること。「詰みの基本は頭金」という格言がある。
当たる
敵の駒の利きに味方の駒が入っている。またはその逆。次で取れるまたは取られる状態であること。<例>「桂馬に当てて打つ」[2]
厚い
玉の周りに駒が集まっていること。厚みとも。対義語は「薄い」。[2]
攻めの体勢が十分で、重厚なこと。対義語は「軽い」。
悪形(あっけい)
不利を招くような駒の配置。
穴熊の暴力(あなぐまのぼうりょく)
穴熊に囲った側が、「自玉が遠い」「王手がかからない」といった利点を生かして、大きく駒損するような、いわゆる「乱暴な攻め」を成立させてしまうこと。
暴れる
形勢が悪いと判断した時、無理やりにでも攻めを仕掛けること。
甘い
悪手とまではいかないが、思わしくない中途半端な手を指すさま。「甘い手」は緩手と同義。
余す
最後に少しの差で勝ちになること、あるいは、なりそうな状態になること。「残す」とも[2]
網が破れる
  1. こちらが捕獲しようと追いこんだ相手の飛車が助かる。
  2. かなりきわどいが玉を包囲できており、まちがえなければ詰ませることができたところが、中途半端な手をさしたせいで玉の脱出ルートができてしまう。
アヤ
入り組んだ仕掛け。
妖しい
狙いが明快でなく、相手を考えさせる手。「惑わし」とも。
謝る
相手の攻めの方が優れていることを認め、やむを得ず駒を引くなり打つなりして、相手の攻めを耐えること[2]。また、そうさせることを「謝らせる」と言う。歩を打つ場合、「歩を謝らせる」などと言う。
居(い)
【接頭語】駒が定位置から動いてないこと。居玉、居飛車、居角[2]
以下
「以降」と同義。「以下詰み」とあれば、簡単な即詰みであることを示している。<例>「▲6八飛以下△8六歩▲同歩△同飛▲6五歩と進んだ」
行き所のない駒
居玉
いじる
(盤上のマス、区域について)即座に不利になることはないが厄介な手で攻める。<例>「相振り飛車は往々にして端をいじられる」
いじめる
特定の駒に狙いをつけ、追い回して捕獲を図ったり、動きや利きを制限させること。特に、小駒で斜めに動けない飛車と、前後左右に動けない角の弱点を突く場合に使う。
忙しい
相手の仕掛けが成立し、対応しつつ指さざるを得ない状況のこと。<例>「ここで角成を許すと一気に忙しくなる」
一局
将棋の1ゲームのこと。
本譜から変化する有力な手順や局面のこと。<例>「ここで手抜きして攻め合っても一局の将棋ですね」など[2]
一間竜(いっけんりゅう)
竜王が相手玉から1マス空いた地点にいる状態のこと。特に詰みや必至などの有効な手がある状態を指して言う。反対に1マス空いた地点に配置できても、弾かれてしまう場合には一間竜とは言わない。
痛い
ある手の応手に困るさま。好手を指されて平凡な応手では形勢を維持できないさま。特に厳しいことを「激痛」という。<例>「うっかり見落とした歩の叩きが痛い」
一手一手(いっていって)
一手受けても即座に攻められ、この先どう指しても勝敗が覆らない状況。<例>「後手玉は囲いが残っていてなかなか詰みませんが、先手は攻めがほどけないので一手一手ということで投了しましたね」[2]
一手勝ち
一手の差で先に玉を詰ませること。
一手指した方がよく見える(いってさしたほうがよくみえる)
局面が伯仲していることをいう常套句。プロによる大盤解説で、どちらが有利(不利)かという断言ができない、または複雑な手順をしゃべるのが面倒というときの婉曲表現としても用いる。
一手すき
(現代では)「詰めろ」と同義。「二手すき」なら、「詰めろ」になるまでもう一手猶予があるという意味になり、以下「○手すき」は猶予に応じて増える。
一歩で一手をかせぐ
位置をよくするために相手の駒が一つ下がったあとで、その駒を歩でたたいて直前、または少し前の形にもどすこと。歩切れのため歩が1枚ほしいという場合は別として、基本的には単純に一手をかせがれないような手順を選ぶ。
居飛車党(いびしゃとう)
居飛車を対局に多く用いる人。居飛車を得意にする人。
居飛車の税金(いびしゃのぜいきん)
先手で居飛車、後手が振り飛車を採用した時、後手の角が一筋の端から出られないように、先手が牽制目的で突いておく端歩のこと。
嫌味
相手が一目では分からない、悪くなるような変化があるように思わせる手のこと。その手を指すことは、「嫌味をつける」と呼ぶ。<例>「後手が嫌味をつけたことでまた形勢不明になった」
浮く
1.ある駒にひもがついていない状態になること。<例>「角と金の両方が浮いているため、このままでは次に両取りで飛車を打たれてしまう」
2.飛車を中段に進めること。浮き飛車。
受かる
序盤から中盤で使う場合、正しく受ければ相手の仕掛けを成立させないで済むこと。どうやっても成立を許す場合は「受からない」と言う。また、終盤において使う場合、正しい受けであれば詰まないことを指し、「受からない」と言えば、相手に手番が回ると防ぎきれずに詰まされることになるので相手を詰ますか、詰めろ逃れの詰めろをかける必要がある。
受け、受ける
相手の攻めを防ぐこと。
受け切る
最後まで正しく受けて、攻めを凌ぐこと。
受け潰し
受けに回って相手の攻めを切らせて続かない様にする、または手も足も出ない盤石の態勢に持っていくこと。実際に行うには相当の実力を要する[2]
受けなし
「受からない」と同義。
薄い
囲いをなす駒の数が少ない、終盤で玉の周りに駒が少ない、ある箇所が容易に攻め破られることなどを言う。対義語は「厚い」。
うっかり、うっかりする
読みに重大な抜けがあったことを後になって知ったり気づいたりすること。<例>「王手飛車をうっかりしていました」
埋める
駒を打って囲いを補強すること[3]
うるさい
相手のしつこく絡んでくる厄介な攻めや、何かにつけて邪魔になる駒などを指して[2]。<例>「この端攻めは相当にうるさいですね」
上手と下手
応手(おうしゅ)
相手の指し手に対応する指し手。大体は手、指し手と同義。
大駒・小駒
おかわり
駒と駒を相殺した直後に、同じ駒で相手の駒を取りにいくこと。特に桂馬の両取りで駒を取った後、再度桂馬で両取りをかける場合、銀を相手の金に引っかける手に使われる。
置く
飛車を敵陣に打つ場合に、「打つ」の代わりに使う言葉。
送りの手筋
玉の横に金などを打ち、玉で取らせて一間竜の形にし、容易に詰む状態にすること。
抑え込む
相手の駒の動きを封じるような攻めや守りのこと。「押え込む」とも。
押し売り
ある一つの駒で追い回して、相手が嫌々でも取らざるを得ないようにすること。
遅い
詰めろ、必至、王手などがかかるまでの手数が多い様子。
落ちている
余裕を見ていつでも取れるような駒のこと。
お手伝い
自分の指した手が、相手にとって有利になってしまうこと[2]。<例>「この金合いはお手伝いでしたね」
お願い
敗色が濃厚なため、相手がうっかりしなければなんでもない手を、相手は間違えないだろうと思いつつ、わずかな期待をこめて指すこと。
重い
指し手において、金銀を多く使うなど投資が大きい手や、確実であるがスピード感が無いような様子を指す言葉。良い意味でも悪い意味でも使うが、後者であることが多い。対義語は「軽い」。<例>「ここで銀を打って行ったのは重い手だった」
面白い
  1. 一般的な手ではないが、発想がユニークである手。または筋、手順など[2]。<例>「この桂は面白い手でしたね」
  2. 確実というほどではないが若干有利な局面ではないかと思われること。対義語は「面白くない」[2]。<例>「ここで形勢が落ち着いては後手が面白い」
おろす
飛車を敵陣に打つ時、「打つ」の代わりに使う言葉。
終わっている
勝敗が覆らない状態であること[2]。<例>「この将棋はここで終わっている」
温泉、温泉気分
序盤の終わりから中盤の浅い段階で大きく有利になったため、慢心と何をしてもよさそうな選択肢の多さから、個々の読みの細かい部分や読んだ展開の比較がなおざりになること。

顔が立つ
指した時点ではうまく行くかわからなかった手が、後から有効活用できて失着とならなくなること。<例>金打ちは強引だったが、桂馬と連携して顔が立った。
角道(かくみち)
角の移動範囲。多くの場合一手で大きな移動範囲を確保できることから、「角道をあける」ことは重視される。逆にあえて「角道を止める」こともある。
飾り駒
ガジガジ攻める
相手の囲いの金銀に対し、桂香歩でうしろにひもをつけた状態で駒を打ち、相手が取っても取らなくても次に金銀の交換にして囲いを弱めるという手順を2,3回くりかえす。ガリガリとも言う。<例>「6六に歩があるので6七銀と打ってガジガジ攻める」
堅い
玉が安定していること。玉の周囲に駒があって詰みにくいこと。
堅さ負け
囲いの堅さの差が響いて負けること。
形作り
自分の玉が詰まされ負けることをわかっていて、相手の玉に詰めろをかけて、一手違い、いい勝負であったとの局面を作るなどの手を指すこと。逆にボロボロの圧倒的大差になる前に、見込みがなければ潔く投了してしまうことも広義での形作りのひとつであると言う。
勝ちになる
まだ対局は終了していないが、もはや勝利が決定的な状態になること。
勝ちやすい
明らかに有利というほどではないが、完全に互角というよりはなんとなく有利である感じ。その状態。
ガッチャン銀
相腰掛け銀において、早々に銀をぶつけて、交換を強要すること。角換わり相腰掛け銀において、王手銀取りで馬を作る手順が特に有名。
金駒(かなごま)
金属の名前を冠した駒である金と銀のこと。
ある駒の動きを妨げている駒。その駒を「壁銀」「壁金」など呼ぶ。例えば初期状態から銀を金の頭に上げれば、玉はそちら側には逃げることができなくなる。玉の逃げ道を防いでいる場合は、好ましくない状態である。
辛い(からい)
(終盤で)指し手が着実かつ非常に厳しいこと。茶化して「友達をなくす手」ともいう。2004年の文献では、特に丸山忠久を激辛流と評している。
絡む、絡みつく
攻め駒はあまり多くないのに、なかなか切れない攻めのこと。
軽い
  1. 指し手にスピード感があったり、手筋の歩を使う、金銀を投入しないなど少しの投資の割りに効果が大きい指し方をしたりする様子を褒める言葉。振り飛車において比較的よくみられる。<例>軽い攻め、軽い捌き(カルサバ)
  2. 攻め駒が足りないのに、無理に攻めてしまっている状態。1.とは違い、批判的に使う。<例>攻めが軽いので、迫力不足だ
感想戦
緩手(かんしゅ)
もっと早い手や厳しい手を指すべきところで指された、緩い手、ぬるい手、良くない手。疑問手よりは悪くない。不利な側が指した場合は緩手ではなく勝敗に直結する悪手や敗着である。
がんばる
  1. 形勢が相当に不利であっても投了せずに指しつづける
  2. 相手の強烈な攻めに対して懸命に持ちこたえる
完封
自玉に相手の駒を寄せ付けずに負かすこと。
顔面受け
玉を直接守備の駒として使い、攻めを受けること。玉は全方向に動ける強い駒ではあるが、受け方を間違えると即詰みとなるため危険度が高い作戦である。
利かし、利かせる
相手に受けを迫る手を指すこと。特に、すぐには効果は出ないが、放置しておくと後に脅威となる手になるため、相手に対応させること。逆に相手に指されて受けを迫られる場合、「利かされ」と言う。
鬼手(きしゅ)
勝利を決定付ける一手。「おにて」と読むこともある。「妙手」と似ているが、より直接的に勝利に結びつくような手に使う。
奇襲戦法
利く、利き
駒が動けること。また、ある駒甲を乙が取るとその乙を丙が取れるときに「丙が甲に利いている」と呼ぶ。利いている範囲を「利き」という。
棋譜
棋風
指し手の特徴、ある人の指し手の傾向。
気持ち悪い
ここ数手ではだいじょうぶだが、のちに嫌な手順が出てきて形勢が悪くなりそうな駒の配置、またはその嫌な手順の鍵となる駒を形容していう語。<例>「ここに歩がたれていてるのが気持ち悪いのでまあ取ります」
疑問手
勝敗を直接決したわけではないが、他にもっと良い手があったのではないかと思われる、緩手と悪手の中間の手[4]
鍛えが入っている
あまり知られていないが、これまでに相当に研究してきたであろう実戦的な手。
急所
最も大きな勝負所や、盤面でのポイント。「焦点」と言われることもある。<例>「ここで急所の一着が出ました!」
急戦
強手(きょうしゅ)
意表を突いたどぎつい手。「強い手」とも。多少の損は構わずに最終的な実利を取る意味のある手など。通常は攻めの手のことを言うが、受けの手の場合は「受けの強手」と言う。
局面
駒の位置、状態の総体。
玉形(ぎょっけい)
狭義には玉の囲いに同じ。広義には玉の周りの駒の配置。玉の安定度。
拠点
  1. 甲の囲いの駒Aに対して駒取りになる乙の駒Bについて、そのBにひもをつけている乙の駒C。
  2. 相手の玉や囲いの近くへ簡単には取られないように配置した自分の小駒。特に歩を指すことが多い。
棋理
指し手の善し悪しに関する(経験的かつ感覚的な)法則性。<例>「遊び駒を使うこの手は最善手でないとしても棋理からして局面が悪くなることはないでしょう」
棋力
切る
駒、特に大駒(飛車・角)を小駒(金・銀・桂馬・香)と交換すること。一般的には損だが、切ることによって詰みを狙える場合や、大駒一枚と金銀二枚を交換できる場合には切られることもある。
切らす
相手の攻めを受けて防ぎきること。「受け潰し」も参照。または、持ち駒に歩がない状態。「歩を切らす」と言われる。
斬り合い、斬り合う
相手の攻めを受けず、一手勝ちを狙うこと。
切れる
攻め切れずに駒損だけ残ること。どうにも切れてしまいそうな時は「切れ模様」などとも。
切れ筋
正しく応じれば切れる手順。
銀冠
銀冠の小部屋
端歩をついた状態の銀冠の、銀の右側(先手振り飛車なら1七、先手居飛車なら9七、後手振り飛車なら9三、後手居飛車なら1三)のマス。銀冠は上部を銀で守っているために、条件がよくないと上から攻めるには手数がかかる。一方下から玉を追いこんだときに斜め上に上がられると、銀か角がないと王手をかけにくい。そこで銀の右側のマスに逃げて1手の余裕をかせぐ展開がよく発生する。それをさして(「玉の短時間の安全地帯」というニュアンスで)「銀冠の小部屋」と呼ぶ。
銀ばさみ
の両横に相手の歩がいるために、銀が斜め後ろに戻れないこと。
食いちぎる
歩以外の異なる種類の駒がひもがついた状態でぶつかっていてどちらからも取らないままだったが、片方が猛攻をかける順が始まり、持ち駒の補給のためにそのぶつかっている駒を取ること。「切る」とは部分的に同義。<例>これは銀で香車を食いちぎって打っていきますね。
空気を捨てて仕掛ける
盤上の駒の配置が、あたかも歩を突き捨てて相手に歩を渡して開戦した局面に見えるにもかかわらず、その歩が相手の駒台ではなく自分の駒台に乗っている局面になっていること[5]
クソ粘り
形勢が不利な状況で最後まで諦めず逆転を目指して指すこと。対義語は「早投げ」。
クマる
穴熊囲いを用いること。藤井システムの登場などで、一時期以降は無事にクマれないことも多い[6]
位(くらい)
中央の段(5段目)のこと。先手が6段目、後手が4段目に歩を配置し位を制圧することを「位を取る(位取り)」という。
食らいつく
  1. 「張り付く」と同義
  2. (不利な側が)形勢の差が広がらないように懸命に指す
苦しい
不利と同義。
形勢
対局の状況。駒の損得や囲いや駒の働きなどを総合した有利不利の差。形勢をさす語は、数多くあり、おおよそ9段階に分かれていて、同じ程度の形勢をさす語でもニュアンスが異なる悪いほうから(悪)「敗勢/負け/終わっている/投了級」 ― 「劣勢/厳しい/非常に苦しい」 ― 「不利/苦しい/悪い」 ― 「元気が出ない」 ― 「つまらない/おもしろくない/さしにくい/持ちたくない/やや悪い」 ― 「互角/五分/満足/まずまず」 ― 「おもしろい/さしやすい/させる/持ちたい/先手乗り、後手乗り/満足/ややよし」 ― 「有利/よし」 ― 「優勢」 ― 「大優勢」 ― 「勝勢/勝ち」(好)
消す
駒を取ったり交換したりして盤上からなくすこと。
元気が出ない
  1. どうにか相手の攻めに応対しているだけで、形勢に影響しなそうな、最善ではなさそうな選択肢を取っている雰囲気をいう。
  2. ここから勝てなくはないが、それなりに不利さを感じるのであまり選びたくないさま<例>「ここで金を使うんじゃ元気出ませんよねえ」
研究
ある局面からの変化について、どのようなメリットやデメリットがあるのか調べること。これを複数人で行う集まりは「研究会」と呼ばれる。
公開対局
検討
  1. 生中継されている対局を見ながら、どのような変化になるか予想し、どちらが有利・不利かを判定すること。対局場の近くでこれを集団で行う部屋を「検討室」という。
  2. 過去の棋譜を見ながら、他にどのような変化があったかを調べること。
交換
  1. 駒の取り合いの結果、お互いに持駒を得ること。例えば、自分の銀で相手の桂を取り、次に銀が相手の別の駒に取られれば「銀桂交換」と言う。また、自分の角で相手の角を取り、次に自分の角が相手の別の駒に取られれば「角交換」と言う(「角角交換」とは言わない)。なお、自分の駒1枚(x)と相手の駒2枚(yz・ただし歩は対象外)が交換される場合は、「二枚替え」あるいは「xとyzの交換」と言う。
  2. 指し手に対して受けた、もしくは応じた時の表現。符号で表現することが多いが、端歩の場合は「端歩の交換」と言う。
好形(こうけい)
よい駒の配置。
好手(こうしゅ)
うまい指し手。良い指し手。
幸便(こうびん)
相手の狙いに対応した手が駒取りや自玉の受けになっているなどして一石二鳥感があるさま。<例>3六歩に4五桂とはねるのが金に当たって幸便なので先にそれを消す
攻防の角・飛(こうぼうのかく・ひ)
相手を攻めつつ、自玉の守りにも利いている角(馬)や飛車(竜)のこと。
後手
後手を引く
受けている相手に逆に攻める余裕を与えるような手を指すこと。
この一手
他の指し手を選ぶ余地がないこと。必然的に指し手が決まっていること。「盤上この一手」ともいう。
小鬢(こびん)
玉・飛車の斜め上のマス。カタカナの「コビン」と表記されることが多い。元は頭の左右前側面の髪のこと。
駒落ち(こまおち)
実力差がある者同士が対局するときに上位者が何枚か初期位置の駒を減らしてハンデをつけること、またそのハンデ。詳細は将棋の手合割も参照。
駒音(こまおと)
駒を指す時に出る音。特に、気合が入っている時に出る力強い音を「駒音高く」(駒音が高い)と言う。
駒組み(こまぐみ)
自分の玉を囲って守りを堅めたり、攻勢の準備をする段階のこと。
駒得(こまどく)・駒損(こまぞん)
盤上の駒と駒台の駒との総合で、対局開始時より駒を得、または損していること。
駒柱(こまばしら)
いずれかの筋のマスが、全て駒で埋まっている状態を柱に例えた言葉。「成立すると縁起が悪い」という俗説があるが、根拠は無い。
駒割り(こまわり)
対局する双方の持っている駒の数と種類。「駒の損得」ともいう。
ごめんなさい
「謝る」と同義。歩を打って受ける場合は「ごめんなさいの歩」と言う。
怖い
次に来る相手の強烈な手を放置する、間違えると詰むような王手の連続に応じたりするなど、玉に関して危険のあるさま。

最新形、最新型(さいしんけい)
プロの棋戦で最近よく用いられている定跡からの変化。また、それによって現れる局面。
最善手
考えられる指し手の選択肢の中でもっとも良いと思われるもの。
刺さる
  1. 角、桂、香、歩を打った駒取りに対してまともに応対することができず、形勢が傾くこと。<例>この順は6五桂の金取りが刺さって気分がいい。
  2. 玉の囲いの近くの嫌な位置に相手の攻め駒がいくつもあり、玉は裸になっていないもののすでに危険なさま。<例>馬、と金、桂、いろいろ刺さりすぎてもう無視して攻めあうしかない。
指されてみればなるほど
読みになかった手が、最善手に近い手になっていること。または大盤解説などで、解説者の最善の読みとは違ったときに婉曲表現として使う場合もある。
指し切り
攻めが完全に切れてしまうこと。「切れる」も参照。
指し過ぎ
無理筋と同義。調子に乗って攻めすぎて形勢を損ねること。
指し手
手と同義。
指しにくい
  1. やや形勢不利な局面。
  2. あり得るかもしれないが、(自分は)指したくはない手。
指しやすい・指せる
やや有利な局面ではないかと思われること。<例>「飛車を打たれても3筋から攻め合って指せそうですね」
捌く(さばく)
攻め駒(特に飛車・角)をうまく働かせること。攻め駒と守りの駒を交換して持ち駒にすること。特に振り飛車を用いる場合に重視される。
さよなら
責められていた駒が逃げること。
三手の読み
基本中の基本の「読み」。自分が1手指したら相手がどう指すか、その手に対してはこう指す、という3手1組の読み筋のこと。日常生活でも無意識的に使っている(ビジネスの交渉など)。2手目が死角になりやすく、相手の価値観で判断する必要があり、ここで判断を誤ると3手目以降をいくら読んでも意味が無い[7]
幸せになれない
序盤か中盤の中で、ある候補となるさし手があり、それが(長年の勘から)将来的に悪影響を来たす臭いがしていて、それをさす気が起きないさま。<例>(解説者が手を示して)「こういう手は一応ありますが、幸せになれないとしたものですよね」
持久戦
事件
悪手によって優勢または勝勢が吹き飛んでしまうことの比喩的表現。<例>「先手勝勢だがここで同角と取ってしまうと事件」
自然な手
バランスの取れた違和感のない手。一見自然な手が局面次第で悪手となることもある。
質駒
いつでも取れる状態になっていて、実質上甲の側の持ち駒であるのと等しい乙の駒。特に飛車や角などの高い駒で安い駒を取る時に用いられる。
実戦
実際の対局。実際に指された手を示すときに用いることもある。<例>「実戦の9四角では4二歩が有力だった」
実戦的な手
ある局面において、客観的な善悪よりも対局者心理や消費時間といった盤外の要素を加味して選ばれた手。
実戦的には
「実戦では」の意。たとえば「この局面は先手が有利だが実戦的には大変」という文は「この局面は先手が有利だが、実戦では持ち時間の制限や読み間違いや囲いの差や駒得などの要素もあるため、まだ逆転の可能性がある」を意味する。
失着
悪手と同義。
じっと
すぐに攻めるような手や相手に応じる手を指さずに、陣形を整えたり、先を見越して指す手。<例>「じっと1六歩と突いた」
死に駒
  1. 行き所のない駒。敵陣の最も奥の桂馬・香車・歩、敵陣2段目の桂馬。ルール違反である。
  2. →遊び駒。
死ぬ
駒がどこに動かしても、また放置しても取られてしまう状態になること。ただし普通歩と玉については言わない(玉の場合は「詰む」という)。
痺れる(しびれる)
相手に良い手を指され、非常に困ってしまうこと。特に意表を突いた想定外の手で困ること[8]
邪魔駒
攻める地点にすでに自分の駒があるため、攻めが続かないこと。これをただ捨てして攻めを継続させる手段を「邪魔駒消去」と呼ぶ。
十字飛車
飛車が縦横に利いている両取りのこと。
渋滞
ある駒を別のマスへ進めたいが、そこに既に自分の別の駒があって邪魔になり、思うように攻められないさま。特に縦方向に複数の駒が固まっている時に使う。
趣向
(主に序盤戦で)工夫した珍しい手を指して、意表の作戦に出ること。
主張
局面での有利な要素。
手裏剣
主に敵陣や前線の急所に打つ歩のこと。
(将棋の)純文学
矢倉囲いの俗称。もともと米長邦雄が矢倉戦法における含みの多い指し手を純文学で用いられるような遠回しな表現に喩えたことが語源とされるが、現代では王道の囲いや戦法といった意味で使用される場合が多い。
勝勢
勝つ可能性が非常に高い局面。「優勢」をさらに強めた言い方。
定跡
焦点
複数の駒が利いている地点。通常、駒を捨てる時に使う。<例>「焦点の歩に好手あり」
上部開拓
相手陣の駒を取りつつ、一定の範囲を自分の駒で制圧すること。特に入玉を狙う際に用いられる。
勝負勝負でいく
終盤で形勢の不利なほうが、(最善の順を取られるととどかないだろうが)開き直って相手の迷いそうな攻め手を次々とくりだし玉に迫ること。
勝負手(しょうぶて)
大胆で勝敗を決しようとする手。主に形勢が不利な側が指す、まぎれを求める手のことを言う。
将来
この先に起こりうる展開。<例>「将来の王手飛車を消す手」
尻金(しりきん)
玉の真後ろに打つ金、またはそれで詰んでしまう形のこと。
陣形
駒の配置。特に序盤の駒の配置
新手(しんて、しんしゅ)
(序盤において)定跡にない新しい手。
死んだふり
大きく有利になってから自然にさしていたつもりが、いつのまにか相手に逆転されていたこと。<例>「また山田くんの死んだふりにかかったよ」
スースーする
玉のいる段について、その段に飛車を打ちこまれると即王手になってしまう状態。
姿焼き
自分の玉の囲いが崩されず、そのまま残っているにもかかわらず、攻めが切れるなどしてすでに敗勢の局面に陥っていること。穴熊囲いに用いられることが多い。
スカスカ
盤面のある範囲に駒がなく、守りが非常に弱いさま。「薄い」よりもさらに守りが弱いというニュアンスがある。 <例>「玉頭がスカスカなので怖い」
(金の、玉の)スクワット
将棋には駒を動かさずに相手の手番にするパスがルール上認められていないため、何か駒を動かす必要があるが、今の駒の配置を変えないまま相手に「千日手にしたくないならしかけてこい」と言ってパスをしたい場面もある。そのような場合、自陣の金か玉を一歩前→一歩後ろ→一歩前→一歩後ろと動かせば、二手一組の実質的なパスができる。この縦の動きのくりかえしを、スクワットと呼ぶことがある。単に「上下運動」ともいう。
  1. 将棋盤における横軸の列番号。1筋、2筋など。
  2. 駒の利きのライン。飛車筋、角筋。
  3. 理に適った、習いある手順。または個人の将棋の素質や才能。
  4. (主に「筋に入る」の形で)いったん有利(不利)になれば、そのまま一直線に有利(不利)が拡大していくこと。
筋違い角
捨てる
駒損を無視して攻めの駒を相手に渡すこと。特に、ただで捨てることを「ただ捨て」、(取らせる目的で)成り駒を取らせることを「成り捨て」という。
清算
盤上のある部分で、駒を取って取られて取って取られての連続で、その部分において双方の駒が盤上からきれいになくなり、お互いの持ち駒になること。
成立する
ある仕掛けによって仕掛けた側に有利、もしくは互角に局面が進行すること。定跡において重要な概念。<例>「この攻めはやや強引で、厳密には成立していない」
雪隠詰め(せっちんづめ)
玉をいずれかの四隅に追い詰めて詰めること。詰み# 特殊な「詰み」を参照。
ゼ・Z(ゼット)
相手に何枚駒を渡しても自玉が絶対に詰まない状態。「絶対に詰まない」の頭文字「Z」からきている。また、特定の駒を渡さない限り詰まない状態にも使われ、おもなパターンに「桂馬Z」「金駒Z」(金か銀)、「斜めZ」(斜め後ろに動ける駒=銀か角)、「横Z」(金か飛車)などがある。例えば「桂馬Z」であれば穴熊の玉のすぐ斜め上に銀ではなく角か桂馬があり、その頭に相手が桂馬を打てば一手詰めとなるが、相手の持駒に桂馬が無いためすぐには詰まされない状態を指す。
狭い
動ける(逃げられる)マスが少ないこと。
攻め
ゼロ手
  1. 結果的に手得をして、一手多く指せた状態。<例>「角を合わせてゼロ手で歩を突けた」
  2. 相手は必ず対応しなければならないために、速度計算において手数にカウントしないこと。
全軍躍動
ほとんど全部の攻め駒が何らかの形で役に立ち、手の流れが非常によいさま。
先後同型(せんごどうけい)
先手と後手の陣形がまったく同じになること。
全駒(ぜんごま)
相手の玉以外の駒を全て奪うこと。実際は全駒になる前に投了するか、攻める側が詰ませるのがマナーとされ、行った場合は投了しなかった方はもとより、詰ませなかった方も批難される事が多い。
先手をとる
相手が受けざるを得ない手を指すこと。相手が受けた後は自分の手番になることから。
千日手含み
局面がやや不利だと考えた時、相手の指し手次第では千日手への誘導を狙う指し方。<例>「後手なので千日手含みで指す」
俗手
誰でも思いつく分かりやすい手。良い意味でも悪い意味でも用いる。<例>「寄せは俗手で」
即詰み(そくづみ)
手数に関係なく、王手の連続で詰むこと。
速度計算
仮にお互いに相手の玉への攻めに専念した場合に(駒の損得は関係なく)どちらが早く相手の玉の詰みに到達できるかの手数を読むこと。
底歩
9段目あるいは1段目(自分から見て一番手前)に歩を打つこと。典型的には8段目の金将の下に歩を打ち、敵の飛車の横利きを遮る。「金底の歩、岩より固し」
そっぽ
前線と逆の方向のこと。<例> 「いつの間にか金がそっぽに行ってしまった」
~損(ぞん)
【接尾語】自分のいずれかの駒の数が相手より単純に少ない状態になっていること。「銀損」(ぎんぞん)、「桂香損」(けいきょうぞん)のように言う。歩以外の駒に損得がない場合は、歩の数について「一歩損」(いっぷぞん)、三歩損(さんぷぞん)のように言い、あるいは枚数を表さずに単に「歩損」(ふぞん)とも言う。反対語は「~得」(どく)。

第一感
最初に思いつく手[2]、局面を見た瞬間にうける印象。
大変、大変な将棋、まだまだ大変
すでに終盤戦ではあるが、どちらの勝ちになるかがはっきりするまでは、まだ相当の手数がかかる様子。
逮捕
大駒が小駒に囲まれて、直接取りにはなっていないが動けば取られてしまう状態。かけた側はいつでも取りをかけることができる。
大優勢
形勢の程度を表す語の一。多少緩くとも自然な手をつみかさねていけば確実に勝てる程度の差をいう。
退路封鎖
玉の逃げ道に駒をただ捨てし、ほかの駒に取らせることによって玉の逃げ道をなくす手筋。
打開する
千日手になりうるような状況で、千日手を選ばずに別の手順をとること。
耕す
先例が少なく先人が深く研究していない、または研究されすでに結論が出ていると見なされた局面について、新たな手順がないか調べ上げること。
足し算、足し算の攻め
1つのマスに、対局者甲の駒がa枚、乙の駒がb枚利いているとき、甲の1つの駒がそのマスに動くと、乙の1つの駒がその駒を取り、その取った駒をまた甲の駒がとるという、取る→取られる→取る→取られる、のくりかえしが起きる。このとき駒の枚数がa=bのときは最終的に乙の駒1枚が残り、a>bであれば、甲の駒が残る。そこで、ある一マスに自分の駒の利きを相手の駒の利きより多く集めれば、そこを突破することができる。このことを「足し算」といい、このことを利用してあるマスに対する駒の利きを単純に増やして突破を図ることを「足し算の攻め」という。
叩く
歩を相手の駒の前に打つこと。「叩きを入れる」とも。ただし相手の歩の前に打った場合は「合わせ」である[2][9]。取ると陣形が乱れる、次に取りになる手が受からない、飛車の横利きが消えるなどの狙いがあり、取らずに逃げると拠点が残ることになる。
ただ、ただ取り
ある駒を取るときに別の駒が相手に渡らないこと。逆に、ある駒を取らせるときに別の駒が得られないことを「ただ捨て」と言う。
(玉を)立つ
居玉を続けた後に、玉を前進させること。
多面指し
一度に複数人を相手に指すこと。指導対局などで行われる[10]
垂らす
歩を敵陣の2~4段目のいずれか(次にと金に成ることが可能な位置)に打つこと。その歩のことは「垂れ歩」と呼ぶ[2]
足りない
(終盤戦において)攻めがあと一歩届かず、負けになりそうな状態。
段(目)
将棋盤における縦軸の列番号。棋譜では漢数字で表記する。1から3段目が後手の陣地、7から9段目が先手の陣地として解説される。
ダンスの歩
歩によって相手の守りの金を誘い出した後にさらに歩を打ち、最終的に捕獲したり守備駒としての利きを弱めることができるようになる手筋。
単に
副詞。「単に~する」で、候補となる手順のうち単純なものを選ぶことをいう。<例>「ここで歩の叩きを入れずに単に取る」
地下鉄飛車
力を溜める
すぐに攻めずに相手の駒を取って持ち駒を増やしたり駒を成るなどして、より強力な攻めを狙うこと。
力将棋(ちからしょうぎ)
力戦と同義。
窒息する
飛車と角が(自分の駒に利きをさまたげられて)数マス動ける特性をまったく発揮できないこと<例>「この手を受けるにはひもをつけるだけの窒息した角しかない」
長考
指し手に時間をかけること。対義語は「早指し」
直射(ちょくしゃ)
飛車(竜)・角(馬)・香車の利きに相手の駒が直接当たっていること。
捕まらない
玉が正しく逃げれば詰まない状態。
突き捨て
歩を前に進め、わざと相手に取らせること。
継ぎ歩
歩を突き捨てるか叩いた直後に、さらに叩きを入れること。
突く
(歩を)前進させること。
つっぱる
選択肢が多くどれをさしても互角以上の局面で、自分の駒をたてなおすよりも相手陣のきわどい隙をつきにいく、歩のたたきなどに対して玉で取る、駒を逃げずに相手の駒に取りをかけかえすなど、(正否とは別として)危険志向の手を選ぶ。 <例>ここでつっぱりすぎて桂頭を攻めたので悪くしてしまった
つなぎ桂
自分の桂馬の利きの場所へ打つ桂馬の手筋。特にタダで取らせて桂馬をはねる手筋のこと。
潰れる
囲いが攻め破られること。
詰み
詰めろ
王手や詰みではないが、受けの手を指さなければ相手の次の手から王手の連続で玉が詰む状態。「必至」の記事も参照。
詰めろ逃れの詰めろ
自玉の詰めろを消しつつ、相手玉に詰めろをかける手。
つらい
「不利」「劣勢」とおおよそ同義の語。対局者の立場ではこの手順・局面は嫌だろうという主観的なニュアンスも持つ。
つり上げる
歩を叩くなどして、相手の駒を前へ誘導すること。「つり出す」とも言い、受け手側は「つり出される」と言う。
吊るし桂
  1. 桂馬で詰ませること。
  2. 相手玉側の香車を叩きの歩で吊り上げて、その香取りに打つ桂馬のこと。美濃囲いで特に有効になる。
盤上の駒を動かしたり持ち駒を打ったりすること。
手厚い
全く隙を見せない重厚な指し方、形。棋風を称する時にも使う[2]。対義語は「軽い」。
手順
  1. 複数の手の連続したもの。例えば金を動かしてから銀、銀を動かしてから金など、結局同じ形になるように思えても、手順が違えば相手の応手が異なり、全く違う展開になることもある[2]
  2. 手筋。<例>「ここからは手順の攻めが続く」
手順前後
先に指すべき手と後に指すべき手の順序、「手順」を間違ってしまうこと。特に、それを相手に咎められて、不利になってしまったこと[2]
手筋
パターン化された部分的な攻め・受けの手順[2]
手得
どちらかが相手よりも多く指し手を進めていること。多く指されている状態を「手損」と言う。
手なりでさす
すぐ分かるよさそうな手を連続して選んで局面を進めていくこと。「自然にさす」と同義のこともあるが、若干ニュアンスが異なる。
手になる
攻めが成立していること[2]。<例>「これは端を絡めて行って、手になっていますね」
手抜き、手を抜く、手抜く
駒が取られる状態や攻め込まれている状態で放置して別の手を指すこと。[2]
手番
攻めの主導権。
手拍子
その後どうなるか考慮せずに、つい思いついた手を指すこと[2]
出る
駒が前に移動すること。
手を戻す
攻めている状態から一転、受けや自陣の整備にまわること[2]
手を渡す
自分から動くと形勢を損ねると判断した時、大勢に影響の無い無難な手を指して、相手に手番を渡し、動きを見ること[2]。「手待ち」とも。
田楽刺し(でんがくざし)
複数の駒(歩が立たない筋、または角行と他の駒のことが多い)がある筋に香車を打ち、価値の高い駒を取る手。
投資する
(駒を)「使う」と同義の語。飛車角を自陣に打って受けに使ったり、金銀を打って囲いを補強したりするときによく用いる。
遠い
玉と攻め駒の距離が大きいこと
遠見の角(とおみのかく)
相手の陣地から離れた場所へ打ち込むが、自陣の守りよりも攻撃を主眼として睨みを利かせる角のこと。
咎める(とがめる)
相手の緩手、疑問手などを見逃さず、それをきっかけとして動くこと[2]。<例>「伸びすぎた歩を咎める」
と金攻め(ときんぜめ)
敵陣にと金を作り、そのと金を動かして相手の囲いの金・銀などを取りにいくこと。相手にとっては犠牲を払ってと金を盤上から消しても、自分が打つ時には歩としてしか使えないため、非常に強力である。
~得(どく)
【接尾語】自分の駒の数が、相手より単純に多い状態になっていること。「銀得」(ぎんどく)、「桂香得」(けいきょうどく)のように言う。歩以外の駒に損得がない場合は、歩の数について「一歩得」(いっぷどく)、三歩得(さんぷどく)のように言い、あるいは枚数を表さずに単に「歩得」(ふどく)とも言う。反対語は「~損」(ぞん)。
毒まんじゅう
駒が取れてうまくいくように思えるが、少し考えてみるとその手順で形勢が大きく悪くなってしまうことがわかる場合に、その取れそうな駒を毒まんじゅうという。<例>「ここで桂馬を飛車で取ると毒まんじゅうにかかるんですね」
友達をなくす手
既に勝ちが見えているのに、さらに有利を拡大しようとする手[2]。特に、絶対に逆転を許さないために、攻めても勝てる場面で受けに回り、相手の戦意を奪うような手。
取り込む
相手の囲いの中に自分の駒を前進させて崩すこと。
頓死
最善手で対応していれば詰まなかった王手に対し、応手を間違えて詰まされてしまうこと[2]。または詰めろをうっかり見落としたために詰まされること。

泣いている
なりゆきからある駒が放置されたままで役に立っておらず、そのことが形勢に大きく響いている状態。<例>「うーん、やっぱり8四の飛車が泣いてますね。どうにかして飛車を使うべきでしたか」
長い将棋
終局まで手数がかかること
投げる
投了と同義。自分の玉が詰んだか、相手の玉を詰ませる手が無くなり確実に自分の玉が先に詰むと判断した場合に負けを宣言すること。語源は駒台がなかった時代に、負けを認めた側が手持ちの駒を盤上に投げて降参していたことによる。現在は駒台の上に手をのせるしぐさにそのなごりが残っている。
斜め駒
斜め後ろに引ける銀や角のこと。「斜め駒が(手持ち駒の中に)ないので詰まない」(斜め駒Z)などと言う。
何をやっているのかわからない
何手も手を進めたのに、結果として指した手順が無意味であること。
習いある手/筋
似たパターンの局面で頻繁に出てくる知っておくべき好手順。
並べ詰み
持ち駒を連続して打てば容易に詰む状態[2]。「並べていけば詰む」とも言う。
成り捨て
相手の駒を取らずに成り、相手にその駒を取らせること。自分の邪魔駒を消したり、相手の守備駒の移動を強いたりする効果がある[2]
成り込み
飛車・角を相手の陣地へと数マス移動させて成ること。
難解
特にこれがよさそうという手が見当たらず次の手に候補が多いため、先手と後手のどちらがよいのかはっきりしないさま。完全に互角の場合、しばらく先に気づきにくい好手があってどちらかが有望になることが対局後に判明する場合、どちらかが有利だがそれ以上形勢をよくするとなるとよく分からない場合に分かれる。
何でもない
詰めろなどの危険な状況にならせていないこと、なっていないこと。<例>「この瞬間が何でもないので、相手玉に必至をかければ勝ちだ」
逃げる
駒を取られない位置に動かすこと。助詞の「を」を用いて「飛車を逃げる」のように言うことが多い。
二枚替え
対局者甲の駒2枚(歩を除く)がもう一方の乙の持ち駒になり、乙の駒1枚(歩を除く)が甲の持ち駒になること。たとえば、自分の角1枚と相手の金・銀とを交換することは駒得であるとされる。
人間には指せない手
コンピューターの挙げる候補手が、攻めあうよりも露骨に耐える順であったり、自玉を放置するギリギリの攻めあいであったり、何かうまいしかけのありそうな局面でのそれに影響しなさそうな手待ちであったり、互角っぽいのに先手で千日手を選ぶ展開であったりして、(正否は別として)人間が心理的に選びにくいものであること。解説でよく用いられる。<例>ここで4四銀? はーなるほど、しかし怖すぎて人間にはさせない手ですねこれは。え、さした? 〇〇八段が勝負手に出ましたねえこれ以外は勝てないと踏みましたか。
抜く
  1. 飛車・角・香車の利きを止めていた駒が動いたことで(飛車・角・香車で)ある駒が取れる状態になり、その駒をただで取ること。「素抜く」ともいう。
  2. 対局者甲の王手が乙の玉と乙の重要な駒の両取りになって、(乙の玉を守る手の後で)甲が乙の重要な駒をただで取ること。
ぬるぬる
玉の逃げ道(特に上部への逃げ道)がきわどく通っていて、(ウナギのように)なかなかつかまらない様子。
捻り合い(ねじりあい)
中盤から終盤において、研究が進んでおらず優劣不明な、非常に難解で緊迫した局面。<例>「先手の構想はうまく行かなかったが、なんとか捻り合いに持ち込んだ」
残す
相手の攻めがぎりぎりで決定打に至らず、なんとか勝ちになること[2]
覗く(のぞく)
角が斜めに数マスきいていること。
伸ばす
歩を前進させること。「突く」とは違い、駒組み段階でまだ他の歩などとぶつからない時に言う。「伸びすぎる」と言う場合は、伸ばした歩がただで取られてしまう場合を言う。
(手が)伸びる
ある手を指したとき、その先に発展性が見込めること。

敗勢
負ける可能性が非常に高い局面。
敗着
直接的に負ける原因となった悪手。ただし、明確な敗着がなく、いくつかの緩手や疑問手で決する局もある[2]
剥がす(はがす)
相手の囲いで要となる駒(特に金・銀)を盤上から無くすこと[2]
1筋あるいは9筋のこと。「端攻め」と言えば、端の方から攻めること。
弾く
玉に迫ってきた大駒に当てる形で指し、大駒は逃げるしか手のない状態のこと。特に囲いを補強する金や銀を打つこと。
端を詰める(取る)
1筋または9筋について、対局者のどちらかの歩が、1五または9五を占め、位をとること。
走る
飛車(竜)あるいは香車が数段前進すること[2]
パス
  1. 指す意味が無く、無駄な手のこと。<例>「一手パスしたが、結局大差をつけて勝った」
  2. 将棋には他のターン制のゲームで言う「一手休み」は無いが、「手を渡す」と同様の用法で使う。<例>「一手パスして様子を見る」
ハッチを閉める
玉を穴熊に囲うときに、玉の小鬢を塞ぐこと。銀であることが圧倒的に多い。
羽生マジック
速い
詰めろ、必至、王手などがかかるまでの手数が少ない様子。
離れる
浮くと同義。駒の利きがなくなること。
跳ね違い
相手と自分の桂馬の利きが重なった時、相手の桂馬をとらない方へ自分の桂馬を動かすこと。
跳ねる
桂馬が動くこと。
早投げ
形成な不利な状況で諦めて早い段階で投了すること。対義語は「クソ粘り」。
早逃げ
相手から攻められる前に、あらかじめ玉を安全な位置に移動させておくこと。
早指し
指し手を決めるまでの時間が短いこと。対義語は「長考」。
腹銀(はらぎん)、腹金(はらきん)
玉の急所である真横(腹)に打つ銀もしくは金のこと。銀は王手にはならないが、玉の逃げ道を縛る重要な一手となる。
バラす
相手の玉を囲っている駒と自分の攻め駒とを清算して、相手の玉を裸にすること。「清算する」と同義。その後に相手の玉を寄せるための準備である場合が多い。
張り付く
金・銀・と金・成桂・成香を相手の囲いの駒に当てる。
反省する
ある手順を読んでそれを実行しようとしたが、相手の応手や表情からこちらが悪くなる手順に入ってしまうことに途中で気づいたため、形勢を多少悪くすることを覚悟して、さしあたり必要な手をさす<例>「ここでつめろをかけようとしたが、角の王手で抜く筋があったので反省して玉をかわした」
パンツを脱ぐ
穴熊囲いをなす桂馬(先手の居飛車穴熊なら8九)が元の位置から(7七あるいは9七へ)動くこと[2]
反発
相手の攻めを受けたとき、守備一辺倒にならずに攻め返すこと。
控える
攻め駒を直接相手陣に打つのではなく、後々の攻めのために後方へ打っておくこと。
悲観する
対局中において実際の形勢よりも自分にとって不利であると(誤って)判断すること。<例>「この順は先手が手厚いので後手は悲観したのでしょうか」
必至、必死
「詰めろ」の内、かけられた側がどう受けても次に玉が詰む状態[2]
飛車先(ひしゃさき)
初期位置の飛車の前にある歩のこと。「飛車先を切る」といえば、これを相手に歩でとらせた後で飛車で歩を取り返すとともに飛車の利きをよくすることを指す。
必勝
勝つことが確実な状況。
ぴったり
歩以外の持ち駒を余らせることなく詰ませること。変化によっては必要になる駒が余る場合も含める。<例>「最後は銀を打ってぴったり詰みですね」
ひどい
  1. 勝敗の如何にかかわらず、内容が悪い将棋を指したこと。
  2. あまりにも不利な局面になる様子。
一組(ひとくみ)
例えば「三手一組」であれば、自分がある一手を指すと相手も特定の手を選ぶしかなく、さらにその手に対しての自分の手番での好手がある場合を指す。ただし詰みまでの手順には使われない。
一目(ひとめ)
第一感と同義。<例>「この王手は一目取っても詰みませんね」
響く
攻めが通用すること。逆に攻めが効果的でない場合は「響かない」という。
ひも
もしも駒A(歩以外)を相手の駒Bで取られても、駒Bを自分の駒Cで取り返せるような状態にあるとき、駒Cのことを「ひも」と言う。「駒Aに(駒Cの)ひもがついている」という言い方もある。<例>「自分の飛車が相手の角の利きに入っているが、歩のひもがついているからただ捨てにはならない」
広い
動ける(逃げられる)範囲が多い。玉が広い、囲いが広いのようにいう。
拾う
攻め駒を補充するために駒(特に、盤面の隅にある桂、香)を取ること。
歩切れ(ふぎれ)
持ち駒に歩がないこと。
蓋歩
走ってきた飛車や打ちこまれた飛車の後ろに歩を打つ手筋のこと。「蓋をする」とも言う。特に飛車先の歩を交換した後の8五歩を指す。ひもが付いていて取れない、もしくは取れば厳しい手がある状態。
含み(ふくみ)
いろいろな可能性を残した指し方。
負担になる
有効だと思ってせっかく打ったり前に進めたりした駒が、かえって相手からの攻撃の目標になってしまうこと。特に攻めの手や攻めの拠点を作る手について言う。
ぶつかる、ぶつける
  1. 駒組みを終えて、戦端を開くこと。
  2. 相手の駒の利きに自分の駒を指すか打って、交換を強要すること。
歩頭の桂
相手の歩の頭に桂馬を打ち、同歩の一手で囲いを崩壊させる手筋のこと。「矢倉崩しの歩頭の桂」という言葉もある。
不満がない
有利か、あるいは少なくとも五分五分の局面・展開になること。
振り飛車党
振り飛車を対局に多く用いる人。振り飛車を得意にする人。
震える
優勢であるのにそれを意識しすぎ、指し手が萎縮してしまうこと。もちろん震えてしまい指すべき手を指せねば形勢の差は縮まってしまい、逆転に至ることもある[2]
ふんどしの桂
桂馬で両取りをかけること。桂馬のふんどしとも。その形がに似ていることから。
変化
  1. ある局面から進行する手順として考えられる、それぞれの候補手順・選択肢。
  2. (「変化する」の形で)定跡形での進行途中で定跡から離れた一手を指し、違う展開を目指すこと(相撲用語変化 に由来か)。
ポカ
うっかりしたミス。
ほぐす
盤上の駒が密集している地点において、お互い駒を取り合うことで、局面を分かりやすくすること。
細い(攻め)
攻め駒が少なく、すぐに切れてしまいそうなこと。
凡手
大して有効にならないつまらない手。
本筋(ほんすじ)
  1. 多くの対局からつちかわれた感覚に照らして、おおよそ悪手にならないような、王道的な手。
  2. 定跡について、双方の妥当な手の応酬によって進行する手順。指し手の選択による(手順の)分岐のうち、解説の本線となるもの。
本譜(ほんぷ)
実際の指し手通りの進行のこと。<例>本譜ではここから角を打ったが、銀だったらどう変化したか検討した。

まぎれ
読むべき手順が入り組んでいるために読み間違える可能性。
負けになる
まだ対局は終了していないが、もはや敗戦が決定的な状態に陥ること。
回る
飛車の筋を変えること。また、縦横に大きく移動させることを「飛車の大転回」と呼ぶ。
満足
  1. 形勢の程度を表す語の一。ほぼ互角か、ややよしに当たる。「若干不利から互角になるのでそれで十分許せる」「本筋っぽくないひねった手順なので多少よくなるぐらいでも成功とみなしてよい」「後手で先攻できてしかもいくらか有利なので採用する」など、相対的評価のニュアンスが加わる。
  2. 不利な状況だがその中でもかなりマシな手がさせて、(最善かはわからないが)妥協してそのあとの展開で挽回しようという気になるさま<例>「竜ができるのでこの順で満足しないといけませんかね」
見えている
「~という手がある」と同義の表現。「次の○○が見えている」のように用いる。
見える
直感的に指し手を把握すること。
見せる
相手にとって嫌な手が次に来るような手。<例>「次に馬による両取りを見せる」
都詰め
玉が5五(盤面の中央)の位置で詰まされること。
妙手
非常に良い手。特に、指されるまで予想できなかった場合に用いられる。
未来がない
  1. 一応はこれ以上の形勢の悪化を防げるが、かといって形勢がよくなる手順になりそうもない、結局敗北へ向かう選択肢を形容していう語。
  2. ある玉の逃げるルートがあからさまに危険なさま。<例>「右上に逃げるのは未来がなさそうなので左上にいきます」
無理筋
本筋、すなわち正しい手順から外れた、正しく応じれば不利になる手順。無理攻めとほぼ同義。
無理攻め
相手に正しく応じられると、効果がなかったり、かえって損になったりする攻め。無理筋とほぼ同義。
目から火が出る
自分のミスにより、王手飛車取りをかけられること。「目から火の出る王手飛車」とも言う。
面倒を見る
相手の攻めを受けて、切れるのを待つこと。
~を持つ、~持ち、~を持ちたい
「~の立場で指す」ひいては「~の側が有利だと思う」「~の側に味方する」を意味する。たとえば「互角でしょうけども私は振り飛車を持ちます」という場合、「互角だけども振り飛車のほうが勝ちそうだ」あるいは「互角だけども自分は振り飛車党だから振り飛車の立場で指したい」を意味する。
もぐる
穴熊囲いを作る過程で香車の下(先手居飛車穴熊ならば9九)に玉を移動させる。
もたれる
角を敵陣に打って馬を作ることによる圧迫を狙ったり、駒を働かせて後々の厄介な手順を狙ったりするような手を指して相手に手番を渡し、それに対する相手の手に応じて局面を進めていく様子。
模様
  1. 序盤において「○○になりそうな局面」を略して「○○模様」というときに用いる語。たとえば「矢倉模様」は「相矢倉になりそうな局面」を意味する。
  2. 局面の全体的な様子。「模様が悪い」( = 有利ではない状況)などのように用いる。

優勢
形勢判断において、若干有利な状態。「有利」よりも強いが、「勝勢」ほどではない。
緩める
  1. 指し手に若干の手心を加えること。プロ棋士も指導対局などで、下手に存分に指して貰いたい時などに行なう場合がある[2]
  2. 直接攻めていく手ではなく、次により厳しい手を狙うために一見緩いと見える手を指すこと。「一手緩める」とも言う。
欲張る
(おもに「欲張った指し方」の形で)その局面で通常考えられる得な手を指さずに、(無理矢理)もっと大きい得をしようとする手を指すこと。
読む
頭の中で指し手を思い浮かべてこちらがどう指すか、相手がどう指して来るかを想定すること。
読み筋
頭の中で把握している手順。
読み切る
考えられる手順をすべて把握すること。
寄せる
  1. 相手の玉を詰ます、必至をかける、あるいは受けが利きにくい形にするための手順を指していくこと。
  2. 「引き寄せる」の略語。<例>「金を自玉に寄せて守りを補強する」
呼び込む
相手の攻め駒を自陣に引き込むこと。受け潰しを狙うなら良いが、意図せずに呼び込んでしまった場合は完全な失策である。
寄り筋
玉が寄せられそうな様子(「寄せる」を参照)。
寄る
  1. 玉・飛車・金と成駒のいずれかを右隣か左隣に動かすこと。
  2. 玉が寄せられた状態になること(「寄せる」を参照)。

ライン
利きという意味の「筋」と同義。ただし飛車と角のみに用いる。<例>「いつでも角のラインがあるのでこびんを開けたくない」
楽観する
対局中に、現在の局面からやや遠い先の局面について考え、これになるほうがよい、これでもかまわないと判断すること。結果的にその判断が甘かった場合によく用いる。<例>「二枚替えなので楽観して短時間で着手したが、存外互角に近かった」
乱暴
強引な攻め手。好手ではないと感じるが、具体的な応手をまちがえると不利になるというニュアンスをもつ。
力戦(りきせん)
定跡や過去の実戦譜の局面から離れ、互いの実力で勝負が決する局面。力将棋。手将棋(てしょうぎ)。<例>「定跡から早々に離れ、力戦模様になった」
両取り(りょうとり、りょうどり)
ある駒を取れる状態が二つの駒について同時に成立している場合、その状態。
「詰めろ」の略。2004年時点では、若手棋士の間で流行とのこと[2]
~流
【接尾語】棋風のよく現れている指し手を評して言う語。また、棋風そのものや、棋士のあだ名。<例>激辛流(丸山忠久)、鉄板流(森内俊之)など

分かれ
手順が一段落し、局面が落ち着いた時のこと。「このやりとりは互角の分かれ」などと使う[2]
割り打ち
割り打ちの銀とも言う。銀の斜め後ろの2マスの利きによる両取り。斜め後ろに動けない駒二つが一マス間を空けて並んでいるときに、銀をその両方の駒の斜め後ろに打って両取りをかけること。または飛車と金のように斜め前と斜め後ろに行けない駒が1マス空けて斜めに並んでいるときにもかけることができる。これは襷の銀とも呼ばれる。
腕力
力戦になった時に発揮される棋力。

脚注

  1. 『日本将棋用語事典』p.7では、味の良し悪しはそれぞれ0.5ポイントくらいのプラスまたはマイナスがある、ともしている。
  2. 2.00 2.01 2.02 2.03 2.04 2.05 2.06 2.07 2.08 2.09 2.10 2.11 2.12 2.13 2.14 2.15 2.16 2.17 2.18 2.19 2.20 2.21 2.22 2.23 2.24 2.25 2.26 2.27 2.28 2.29 2.30 2.31 2.32 2.33 2.34 2.35 2.36 2.37 2.38 2.39 2.40 『日本将棋用語事典』
  3. 『日本将棋用語事典』p.23
  4. 『日本将棋用語事典』についてはこの項目の他、p.47「緩手」も参照。
  5. 羽生善治が2010年度NHK杯テレビ将棋トーナメントに解説役として出演した際に説明。
  6. 『日本将棋用語事典』p.69
  7. 羽生善治氏が説く、「三手の読み」で未来を切り開く方法”. ログミー. . 2018閲覧.
  8. 『日本将棋用語事典』 pp.92-93 「痺れました」、「痺れる」
  9. 本来の日本語としては「歩で叩く」の方が自然だが、将棋界では「歩を(使って)叩く」と言う習慣がある
  10. 将棋 多面指しでプロと交流”. ニュース和歌山 (2017年11月18日). . 2018閲覧.

参考文献