太平山 (秋田県)

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太平山(たいへいざん)とは、秋田県中央部、秋田市上小阿仁村とにまたがる山である。太平山を中心として太平山県立自然公園に指定されている。

秋田市内の各地から望むことができるため、市のシンボルのひとつとして校歌などに歌われることも多い。

概要

秋田市中央部に近い側から前岳、中岳、鶴ガ岳、剣岳、宝蔵岳、弟子還岳、太平山(奥岳)、旭岳など多数の山頂が連なる。右の写真で左側にある小さなピークが前岳(774m)、中央右の最大に見えるピークが中岳(951.7m)で、その右のピークが鶴ガ岳(1,002m)である。最高峰の太平山(1,170m[1][2])山頂は距離の関係から低く見えており、中岳と鶴ガ岳の間の鞍部で僅かに山頂部が顔をのぞかせている。

奥岳には太平山三吉神社の奥宮が設置されている(里宮は秋田市広面赤沼にある)。また奥宮参籠所(山小屋)があったが、2008年平成20年)9月22日に火災のため焼失した。このとき、奥宮の被害はなかった。参籠所は再建工事が終わり2009年(平成21年)9月1日より利用可能となっている。

中岳には避難小屋がある。以前は前岳にも山小屋があったが、焼失した。またいくつかの登山道の中腹には女人堂があり、太平山もかつては多くの山と同じように女人禁制であったことをうかがわせる。

秋田市内から気軽に行ける山で、路線バスでかなり近くまで近付け、ハイキングコースとしても人気のある山である。

山名の由来は太平の後背に位置する事からである。太平は「オイダラ」に字を当てたもので、由来は「大江平」「狼平」など多数語られているが、一説によるとアイヌ語で「山の麓の動揺する地」の意ともいう[3]


登山ルート

どのルートも一日あれば登頂できるトレッキングルートで、分岐も少なく迷いにくい山であるが、年間を通して熊が出没し、また所々に急斜面があり、山菜採りなどで滑落もしくは遭難する可能性が皆無ではないので注意が必要である。

旭又ルート(御手洗ルート)
仁別の旭又キャンプ場から御滝(おたき)神社・御手洗(みたらし)神社を経て奥岳に至る。近年になって整備されたルートで、水平距離が短く手軽だが、高低差が880mあり急登が多い。御滝神社までの区間の大半は仁別森林鉄道の廃線跡で、大規模なインクライン跡が見られる。途中に水場である御手洗があり、新鮮な水がこんこんとわき出ていて、登山者の喉を潤している。
縦走ルート
前岳から中岳・鶴ガ岳・剣岳・宝蔵岳を経て奥岳に至る。前岳までの経路としては太平八田の金山滝ルート、仁別の軽井沢ルートなどがある。旭又ルートが整備されるまでは金山滝ルートが最も一般的な登山道だった(かつては奥岳まで秋田県道232号太平山八田線に指定されていた)。宝蔵岳と奥岳の途中には弟子還(でしがえり)と呼ばれる岩場があり、「修験者が不慣れな弟子をここまでで帰らせた」と語られ一番の難所とされている。

周辺

太平山の山頂周囲は太平山県立自然公園に指定されており、秋田市最高点の白子森(1179.1m)も園内にある。以前は登山者減少のため登山道が荒廃し、登頂が困難な山になっていたが、近年整備され、現在は登頂可能となっている。山小屋・避難小屋等はない。

秋田市方の山麓域に太平山リゾート公園があり、様々な施設が存在する。主なものとしては、ドーム型室内プールと日帰り温泉施設の「クアドーム ザ・ブーン」や太平山スキー場オーパス、温浴・宿泊施設として「森林学習館 木こりの宿」等がある。他にも秋田市植物園やトレーラーハウス、オートキャンプ場があり、いずれも市街地から近くバスで行くことができる。

参考資料

  • 「あきたさきがけブックNo.31 羽州久保田の原風景 佐竹氏入部のころ」土居輝雄、秋田魁新報社、1999年 ISBN 4-87020-198-4

脚注

  1. “標高値を改定する山岳一覧 資料2”. 国土地理院. http://www.gsi.go.jp/common/000091073.pdf . 2014閲覧. 
  2. GNSS測量等の点検・補正調査による2014年4月1日の国土地理院『日本の山岳標高一覧-1003山-』における改定値。なお、旧版での標高は1,171m。
  3. 「羽州久保田の原風景」12頁。

関連項目

外部リンク