地球のトロヤ群

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地球のトロヤ群 (Earth trojan) は、太陽に対する公転軌道を地球と共有し、地球-太陽のラグランジュ点L4(前方60°)とL5(後方60°)の近傍に存在する小惑星のグループである。木星のラグランジュ点に存在する木星のトロヤ群にちなんで名付けられた。

地球の表面から観測すると、空における位置は、太陽から平均で60°東または西に当たる。

アサバスカ大学(カナダ)のマーティン・コナーズらは、広域赤外線探査衛星 (WISE) を用いて、直径300mの小惑星2010 TK7が地球のL4ラグランジュ点に存在することを確認した。これは、最初に確定した、また2011年7月時点では唯一の地球のトロヤ群の小惑星である[1][2]

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L4

L5

  • 2011年7月時点で未発見

重要性と探査

地球のトロヤ群に所属する天体には、地球から見てより何十倍も遠いにも関わらず、地球からはより容易にかつ安価に到達できる計算となる。このため、地球のトロヤ群に属する小惑星は、将来的に地球表面にはほとんど存在しない元素の供給源として有用になる可能性がある。

地球においては、イリジウムのような親鉄性元素は、惑星の形成直後にそのほとんどが核に沈み込んでしまったため、地表においては見つけるのが難しい。これに対して小さな小惑星では、全体の組成が地球と似ていても熱を早期に失い固化していると考えられるため、これらの元素の有用な供給源になり得る。また、小惑星の重力が弱いことも重い元素と軽い元素の分化を防ぐこととなる。テンプレート:Mp程度の大きさの天体の質量では、その重力は地球の0.005%程度である。

トロヤ群天体の地球からの光学観測は、太陽の光が強過ぎて困難が伴う。このためアメリカ航空宇宙局(NASA)は、小惑星ベンヌに向けて飛行中の宇宙探査機オシリス・レックス」の追加ミッションとして、L4を観測する計画である[3]

地球のその他の伴星

地球の伴星としてはその他、馬蹄形軌道と呼ばれる共鳴軌道上に、直径5km程度の小惑星クルースンがある。この天体は、恐らく一時的にこの位置にあるだけである[4]。同様の軌道にいくつかの小さな天体も発見されている。これらの天体は1:1の共鳴軌道上にあるが、L4とL5のラグランジュ点付近で秤動していないため、地球のトロヤ群ではない。

関連項目

出典

  1. http://www.newscientist.com/article/mg21128234.200-earth-stalker-found-in-eternal-twilight.html
  2. First Asteroid Companion of Earth Discovered at Last”. Space.com (2011年7月27日). . 2011閲覧.
  3. NASA's OSIRIS-REx Begins Earth-Trojan Asteroid Search”. NASAホームページ. . 2017閲覧.
  4. Murray, C., “The Earth’s secret companion”, Nature 387, 651-652 (1997)