リッサウイルス属

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リッサウイルス属(りっさういるすぞく、Lyssavirus)はRNAウイルス(第5群)であるモノネガウイルス目ラブドウイルス科の一属。

14種が属し、著名な狂犬病ウイルスをはじめ、いずれも致命的な感染症病原体となることから「リッサウイルス」とも総称される。 語源はギリシャ神話の女神リッサ(Lyssa、狂気・憤怒・狂乱を司る)。 ヒト哺乳類脊椎動物宿主とし、人獣共通感染症を引き起こすため、日本では感染症法の監視対象となっている。

概要

ウイルス粒子は直径75~80nm、長さ180~200nmと大型で、5つ以上のウイルスタンパクから構成されるエンベロープを持つ。神経親和性が強く、感染・伝播はGタンパク質に対する中和抗体で抑制される[1]

構造は、トゲ付きのエンベロープ、基質タンパク質による中間領域、遺伝子領域(ゲノム)を包むカプシドによるヌクレオカプシドから構成され、カプシドは植物感染性ウイルスの典型であるラセン対称性を持ち、一般的に立方対称性を持つヒト感染ウイルスとは異なっている。

ゲノムは分節しておらず、細胞への感染後にタンパク質コードに必要なRNA(+)を作成するためのRNAポリメラーゼ L、基質タンパク質 M、核タンパク質 N、糖タンパク質 G、から構成されている[2]。 標的細胞へは、クラスリン媒介エンドサイトーシス型の受容体に対する糖タンパク質結合により感染する。細胞質で増殖し、先導細管に沿って出芽して宿主細胞を破壊する。

リッサウイルス属は14種を含むが、これは7つの遺伝子型に分類[3]に分類され、1~7の番号が振られている。

関連項目

参照

  1. リッサウイルス感染症とは 国立感染症研究所
  2. 第15章 ウイルスと病気 日本ウイルス学会
  3. Neighbor‐Joining 法によるリッサウイルスの系統樹 国立感染症研究所 感染症情報センター