ユナイテッド航空

提供: miniwiki
移動先:案内検索

ユナイテッド航空(ユナイテッドこうくう、英語: United Airlines)とはアメリカ合衆国イリノイ州シカゴに本部が在る航空会社

概要

2002年12月に経営破綻連邦倒産法第11章を申請したが、再建後の2010年10月にコンチネンタル航空合併し旅客キロベースで世界最大の航空会社となった。航空連合スターアライアンスの中心的存在で、約700機を保有し世界373都市に就航している。

歴史

ファイル:UnitedAirlinesBuildingChicagoIL.jpg
77 West Wacker - シカゴにあるユナイテッド航空の本部

設立

もともとはボーイング社の創始者であるウィリアム・ボーイングによって設立された「ボーイング・エアー・トランスポート」である。ボーイングは、航空関連企業数社の連合体として航空機の製造から運航までを手がける会社ユナイテッド・エアクラフト・アンド・トランスポートEnglish版を設立し、ボーイング・エアーはその運航部門となった。しかし、1934年独占禁止法反トラスト法)によって分割され、航空機の製造部門はボーイング、エンジンなどの製造部門は現在のユナイテッド・テクノロジーズ、運航部門はユナイテッド航空として改めて独立した。同時にユナイテッド航空は、ボーイング運航部門と共に「パシフィック・エア・トランスポート」、「ナショナル・エア・トランスポート」、そして、初めて有償旅客を乗せて米国横断便を運行した「ヴァーニー・エアラインズ」の経営を受託する形で発足している[1]

世界最大規模

第二次世界大戦前よりアメリカ国内線においてアメリカン航空と1、2を争う大きなシェアを持っており、ソビエト連邦国有のアエロフロート・ロシア航空を除くと「世界最大の航空会社」と言われていた(アメリカン航空、ユナイテッド航空、デルタ航空イースタン航空が「ビッグ4」と呼ばれていた)。一方、国際線は1970年代ジミー・カーター政権による航空自由化後もカナダメキシコなどの近距離国際線しか運航していなかった。

日本/アジア路線

日米航空交渉の結果、1983年4月3日成田 - シアトル線を就航し、日本乗り入れが始まった(成田に乗り入れる米系航空会社としては、パンアメリカン航空ノースウエスト航空に次ぐ3社目)[2]。1985年に当時経営難にあえいでいたパンアメリカン航空の太平洋路線を譲り受け(実際の運航が切り替わったのは1986年2月13日)、日本発アジア各地への無制限以遠権を獲得したため、日米路線の増発や日本経由アジア各地への拡大を実施した。これにより日本を中心としたアジア路線は大きな収益源になった。また同時に太平洋路線を大幅増便し、競争力を増強した。

アメリカ同時多発テロ事件

2001年に発生したアメリカ同時多発テロ事件では、アメリカ国内線の175便93便ハイジャックされてテロリズムに使われた。そのため、利用客が激減して経営が悪化し、連邦倒産法第11章の適用を受けたが、運航は継続した。その後、経営再建に成功し、連邦倒産法第11章の適用から外れた。

コンチネンタル航空との合併

ファイル:Continental 737-824 landing at KSAN.jpg
コンチネンタル航空の塗装を踏襲した経営統合後のユナイテッド航空塗装(写真はコンチネンタル航空所有のもの)

2008年6月にスカイチーム加盟のコンチネンタル航空との提携を発表。その後2010年5月2日にコンチネンタル航空と合併することを取締役会で決定した[3]。アメリカ航空業界の寡占化が進むことから合併阻止の訴訟が起きたが[4]アメリカ合衆国司法省は8月27日に合併を承認した[5]。10月1日、両社は持株会社ユナイテッド・コンチネンタル・ホールディングスEnglish版 (United Continental Holdings, Inc. NYSE: UAL)[6] を設立して経営統合し、新会社のCEOにはコンチネンタル航空のスマイゼックCEOが就任。米・デルタ航空に代わる世界最大の航空会社グループが誕生した。両社はあくまでも「対等合併(MERGER OF EQUALS)」であり、新会社名はユナイテッド航空となり本社がシカゴに置かれる一方、機体デザインやロゴマークにはコンチネンタル航空のものが採用された。これにより1974年より永らく親しまれたUAのシンボル「フライングU(同社職員は「チューリップ」と呼んでいた)」マークは姿を消すこととなった。経営統合より1年半の間、両社はそれぞれ独自の運航を継続していたが、2012年3月3日以降すべてユナイテッド航空の便名となった[7]

現在

アメリカ合衆国国内線のみならずアジア、ヨーロッパ、南北アメリカなど世界各国へ路線網を広げている。近年は機材の航続距離が伸びたこともあり、アメリカ各都市から近年経済成長が著しいアジア各都市へのノンストップ便を増加したが、成田国際空港アジアにおける準ハブ空港と位置づけ、ロサンゼルスやサンフランシスコ、ワシントンD.C.やホノルルにデイリー(毎日)もしくはダブルデイリー(1日2便)で運航している他、成田国際空港からソウル路線をデイリーで運航している。首都圏以外では三大都市圏に該当する関西国際空港からアメリカ本土直行便を担当し、通常期はB777B787型機を投入して運航している。さらに地方発着の太平洋諸国線ではB737などを用いてグアム線などを定期運航している。なお、かつてパン・アメリカン航空の太平洋線を買収した際、機材や従業員とともに日本に対する無制限の以遠権も手に入れた。このため、ノースウエスト航空の以遠権を引き継いだデルタ航空とともに、発着枠があれば日本から多くの第三国都市への路線開設が可能である。さらに合併したコンチネンタル航空のハブであったヒューストン国際空港において、アジアと中南米及びカリブ海諸国など多種多様な乗り換え需要に応える事が可能となった。B787シリーズを主力機材に位置付けた上で、アジアや南米路線も充実させつつあり、2016年5月からは中華人民共和国内陸部の都市西安に、西海岸サンフランシスコから無着陸で直行する便、更にはサンフランシスコ国際空港およびロサンゼルス国際空港からシンガポール国際空港へ無着陸で運航する超長距離国際便を開始した。いずれも同社保有のB787を使用して運航する。

世界初

他にも、機内食工場の設立、フライトシミュレータでの訓練、eチケットの開発・技術提供等が挙げられる。

就航都市

広大な路線網

ファイル:Concourse C from 1991.jpg
オヘア国際空港のユナイテッド航空専用ターミナル

アメリカ国内線や隣国のメキシコ、カナダをはじめ、日本韓国中国シンガポールブラジルイギリスオーストラリアなどに多数の国際線を運航しており、現在69ヶ国 108空港へ乗入れている。また、スターアライアンス加盟航空会社を中心とした他社とのコードシェア便も多数運航している。

機内サービス

ファイル:United Airlines instant noodles snack.JPG
実際に提供された「きつねらあーめん」

スターバックスのコーヒーがユナイテッド航空の全路線・全クラスで提供されていたが、現在は「Freshbrew Journeys Coffee」に変更された。 また、太平洋線のうちシカゴ以東と日本を結ぶ路線では「きつねらーめん」[3](2007年頃までは「きつねらあーめん」[4])というカップラーメン東洋水産製)が軽食として提供されていたが、こちらも提供が終了している。

2008年8月1日から、国際線の太平洋線及びアジア内路線のエコノミークラスに於けるアルコール飲料が有料になった。1杯6米ドルで、日本円、香港ドル人民元オーストラリアドルでの支払いも可能。一部クレジットカードでの支払いも可能。国内線のエコノミークラスの機内食はすでに有料であり、2009年3月23日からはクレジットカードまたはアメリカで通用するデビットカードのみの支払いとなる。

2009年8月1日から、国際線の太平洋線及びアジア内路線のエコノミークラスに於けるアルコール飲料が再び無料となった。

2012年10月1日から、国際線の太平洋路線およびアジア・ミクロネシア域内のエコノミークラスではビールとワイン以外のアルコール飲料が再度有料化された。2016年より、イリーのコーヒーが無償で提供されることになっている。また、日本発着の太平洋路線に限り日本酒は無料提供が継続されている。

座席構成は大まかに分けて、次のように分類される。

  • B747-400、B757-200とB767-300ERとB777-200ERの一部 - ユナイテッドグローバルファースト(ファーストクラス)、ユナイテッドビジネスファースト(ビジネスクラス)、ユナイテッドエコノミープラス(プレミアムエコノミークラス)、ユナイテッド・エコノミー(エコノミークラス)の4クラス
  • B757、B767(-300ERの一部と-400ER全機)、B777-200の一部、B787 - ユナイテッドビジネスファースト、ユナイテッドエコノミープラス、ユナイテッド・エコノミーの3クラス
  • A319A320、B737の一部 - United First、ユナイテッドエコノミープラス、ユナイテッド・エコノミーの3クラス
  • B737の一部とユナイテッドエキスプレス使用機の一部 - United First、ユナイテッド・エコノミーの2クラス
  • Q300を含むユナイテッドエキスプレス使用機の一部 - ユナイテッド・エコノミー

なお、2016年12月よりビジネスクラスの新シート「ユナイテッド・ポラリス」が導入された[11]。主な特徴は、サックス・フィフス・アベニューと提携して開発した高級寝具、死去した有名シェフのチャーリー・トロッターに賛同する人々からなるトロッタープロジェクトのシェフと提携したビジネスクラスミールの提供などである[12]

機内誌

機内誌は複数ある。

  • Hemispheres[13]
  • Rhapsody[14]
  • 1st & Business Class magazine

Hemisphares』(ヘミズフェア)は、アメリカ合衆国の大手航空会社ユナイテッド航空機内誌である。毎月、ユナイテッド航空の全路線、全便に搭載される。ユナイテッド航空が2012年買収を完了したコンチネンタル航空の機内誌「Continental」も「Hemisphares」に統合された。

これとは別に日本発着便には日本語版機内誌「リーダーズレビュー」(LEADER'S REVIEW)があり、ユナイテッド航空の日本路線全便に搭載される。

座席の特徴

ユナイテッド・ポラリス

2016年12月1日に導入された、従来のユナイテッドグローバルファーストやビジネスファーストに変わるビジネスクラス。国際線用機材ボーイング777-300ERで提供され、今後ボーイング787-10エアバスA350-1000などの機材に順次導入されていく予定。1-2-1配列となり、どの座席からも直接通路へ出られるようになっている。また中央2席に電動式のプライバシーディバイダーが設けられた。ユナイテッドグローバルファーストやビジネスファーストと同じフルフラットで、フルフラット状態で198cmの長さになる。

ユナイテッドグローバルファースト

ファイル:United Airlines B747-400 first class.jpg
ボーイング747のグローバルファーストの席

グローバルファーストはユナイテッド航空のファーストクラスで、国際線用機材ボーイング747-400、ビジネスクラスを除いた3クラス制のボーイング777-200、ボーイング767-400ERで提供されている。フルフラット仕様になり、席は6.5フィート(2.0m)の長さになる。座席にはビデオオンデマンド機能を備えた液晶個人モニターが備えられてある。そのほかヘッドレストや大きなテーブル、iPod用コンセント、120ボルトの電源プラグやアメニティが備えられている。

ビジネスファースト

ファイル:United Airlines B767-300ER business class.jpg
前後に向き合った席の仕様(ボーイング767-300の例)

ビジネスクラスである。広々としたレッグルームと大きな革製のシートが特徴で180度水平になるフラットベッドシートがすべての座席に備わっており、読書灯はいつでも明かりを調節することができる。グローバルファーストと同じように優先搭乗、優先保安検査、ユナイテッド航空のラウンジ(もしくはスターアライアンスのラウンジ)を利用することができる。

ユナイテッド・エコノミープラス

ユナイテッド・エクスプレスが運航する機材では機内前方にある。ユナイテッド・エコノミーよりも3~5インチほど席幅が大きくなっている。

ユナイテッド・エコノミー

席幅は31cm。2~5インチ席を倒すこともできる。ボーイング777とボーイング787には個人用パーソナルモニターがある。国際線用機材では機内でWi-Fiも完備されている。中南米やカリブ海発着便は2016年からスナックが無料で提供されることになっている。

系列および提携会社

ユナイテッド・エクスプレス

ファイル:Shuttle America E170 N640RW.jpg
ユナイテッドエキスプレスのエンブラエル170型機
参照: ユナイテッド・エクスプレス

ユナイテッド航空のアメリカ国内における多くの地域(コミューター)路線の運航は、「ユナイテッド・エクスプレス」ブランドで行っている。

ユナイテッド・エキスプレスは、ユナイテッド航空のハブ空港とアメリカ及びカナダの小さな都市との間で、比較的小規模なコミューター航空会社がユナイテッド航空との契約の元自社機にユナイテッド航空の塗装を施し、ユナイテッド航空の便名を使って運航しているものである。なお、機材だけでなく操縦士や客室乗務員などもコミューター会社が提供している。

ユナイテッド航空本体と同じくスターアライアンスの各種サービスを受ける事ができる。

Ted

ファイル:TedA320DCA20051230.jpg
TedのエアバスA320型機
参照: Ted

かつて、ラスベガスメキシコカンクンなど、レジャー路線向けの格安航空会社ブランドとしてTed(テッド)があったが、2009年運航終了。名前の由来は、「United」の最後の3文字から取ったものである。

マイレージプラス

ユナイテッド航空が行っているFFPマイレージ・プラス」にはユナイテッド航空、Ted、ユナイテッド・エキスプレスの他に、スターアライアンス加盟航空会社でのマイル加算ができるマイレージプログラムである。

日本国内ではJCBUCカードクレディセゾンがそれぞれ提携クレジットカードを発行している。学生カードも各社で発行(在学中年会費無料)されている。

ユナイテッド航空のサイト内にある「マイレージプラスモール」から、提携先のショッピングサイトに飛ぶとその時点で買い物した金額によってマイルが加算される(参考)。(同様のシステムはノースウエスト航空でも行われている)。他にもホテルレンタカーなどの提携先も他航空会社と比較して多い。

このプログラムで加算されたマイルは、他のアメリカ系航空会社と同様に「36ヶ月に1回のマイル増減で、さらに36ヶ月有効期限が延長される」という特徴を持っていたが、2007年1月19日に「18ヶ月に1回のマイル増減で、さらに18ヶ月有効期限が延長される」というルールに変更される事が発表された。しかし、それでも、加算してから2年後の年末で順次有効期限が切れてしまう他の多くのプログラムよりは有利であり、会員自身のペースで気長にマイルを加算することが出来る。

提携航空会社

スターアライアンスの中心的航空会社の1社であるため、主に同アライアンスに所属する航空会社と提携している。スターアライアンス加盟航空会社のほか、下記の航空会社と個別に提携している。

以前はアロハ航空とも提携していたが、同社が2008年3月31日をもって旅客運航を停止したことに伴い提携解除となり、同4月1日からユナイテッド航空が運航する成田-ホノルル路線で行う予定だったコードシェアも取り消しとなった。アロハ航空のハワイ-アメリカ本土路線休止の余波を受けた顧客の輸送支援については提携関係にあったユナイテッド航空が主に担当した[15]

スターアライアンス加盟会社とのコードシェア便

ユナイテッド航空はスターアライアンスの創立会員の1社で、現在18のスターアライアンス加盟航空会社とのコードシェア便を運航している。ただし、シンガポール航空とはコードシェア便を運航していない。

運航機材

現在の運航機材

機材 保有数 発注数 座席数 備考
F C PY Y
エアバスA319-100 56 27 8 40
42
72
78
120
128
エアバスA320-200 97 - 12 36
42
42
90
90
96
138
144
150
エアバスA350-1000 0 35 No Data 2016年以降順次導入予定
ボーイング737-700 40 65 12 40
0
66
112
118
124
ボーイング737-800 131 6 16 48 90 154
20
14
16
132
141
144
152
155
160
ボーイング737-900
ボーイング737-900ER
130 6 20 51
0
96
157
167
173
発注機材は全て -900ER
ボーイング737 MAX 9 0 100 No Data 順次導入予定
ボーイング747-400 14 - 12 52 88 222 374 最終運航は2017年10月29日[16]
ボーイング757-200 56 - 12 26 72 110
28
16
24
48
45
50
66
108
108
142
169
182
ボーイング757-300 21 - 24 57 132 213
ボーイング767-300ER 35 - 6
0
26
30
71
49
80
135
183
214
順次退役予定
ボーイング767-400ER 16 - 39 70 133 242
ボーイング777-200
ボーイング777-200ER
74 - 12
8
8
49
40
40
92
110
113
105
108
108
258
266
269
50
32
36
72
98
98
145
214
214
267
344
348
ボーイング777-300ER 14 4 60 102 204 360 2016年以降順次導入予定
ボーイング787-8 12 - 36 70 113 219
ボーイング787-9 20 3 48 88 116 252
ボーイング787-10 0 14 No Data 2016年以降順次導入予定
717 274
  • 2016年現在
エアバスA319-100  
エアバスA320-200  
ボーイング737-700  
ボーイング737-700(スターアライアンス塗装)  
ボーイング737-800  
ボーイング737-800(スターアライアンス塗装)  
ボーイング737-900ER  
ボーイング747-400  
ボーイング757-200  
ボーイング757-200(スターアライアンス塗装)  
757-300  
ボーイング767-300ER  
ボーイング767-300ER(スターアライアンス塗装)  
ボーイング767-400ER  
ボーイング777-200ER  
ボーイング777-200ER(スターアライアンス塗装)  
ボーイング787-8  
ボーイング787-9  

ユナイテッド航空が発注したボーイング社製航空機の顧客番号(カスタマーコード)は22で、航空機の形式名は747-122, 747-422, 777-222ERなどとなる。但し、コンチネンタル航空から引き継いだ機材は、コンチネンタル時代のカスタマーコード24が与えられているため、航空機の形式名は737-824, 777-224ERなどとなる。

備考

ユナイテッド航空は、前述のように元々はボーイング社(エンジンはプラット・アンド・ホイットニー)の空運部門であり、関係も深いが、分割・独立後はボーイング以外の機種も採用している。ボーイング787やボーイング737などはプラット・アンド・ホイットニー製のエンジンが選択出来ない為、例外としてB787においてはGEnx、B737においてはCFM56であるように他社のエンジンを使用していて[17]、最初のジェット旅客機として選んだのもボーイング707ではなく、ライバルであるダグラス社[18]DC-8であった。同時期にはフランス製のシュド・カラベルを導入していた実績もあり、その流れからか現在でも小型機ではエアバスA320シリーズを大量に運航し(ただしエンジンはプラット・アンド・ホイットニーとロールスロイスの合弁会社であるIAE製である)、さらにエアバス社にA350 XWBを発注するなど[19]、現在はそれほどのこだわりもないようである。

また、コンチネンタル航空と合併したときに同社が保有していたボーイング777や767[20]、757[21]はユナイテッド航空が元来保有していた同型機とエンジンメーカーが違うことになり、ユナイテッド航空自体が規模を拡大したことにより機材の重複や余剰が発生して非効率になっている機材もあり、機材のリストラやリプレースを進めている。

ボーイング787は、2012年9月25日に6社目のカスタマーとして、初号機(機体番号:N20904)を受領[22]。各種訓練を実施した後、11月4日よりヒューストンシカゴ線より就航開始となり、その後サンフランシスコロサンゼルスニューアークワシントンクリーブランドデンバーのアメリカ国内7路線に就航。順次、展開路線を増やしている。

B787初号機の受領にあたり、最新鋭機材を強くアピールするため、胴体にウェーブ状なゴールドラインの帯をまとう塗装となり、[23]座席配置はビジネスファースト36席、エコノミープラス63席、エコノミークラス120席の3クラス219席仕様となる。この機材を使用して、2013年3月31日を目途に成田 - デンバー線の直行便にも就航予定[24]であったが、使用予定機材のB787がバッテリートラブルのため世界的に運航停止になったため、同路線の就航は2013年6月10日に延期された。それに先立ち2013年1月3日から成田 - ロサンゼルス線の就航したが、前述の運航停止によって同社のB787は同路線運航中に運航停止が決定したため、同機が1機2013年1月16日到着便から新バッテリーユニットに改修されて回航される2013年5月まで、暫く成田空港に留め置かれていた。

2014年9月4日には、ニュージーランド航空ANAに続いて3社目となるB787-9の初号機(機体番号:N38950)が引き渡された[25]。この導入分から機内Wi-Fiを搭載を搭載しており、それ以降の導入はB787-8・B787-9・B787-10を問わず全て機内Wi-Fiが搭載される。まず、先行してヒューストン - ロサンゼルス線で就航した後、2014年10月26日の冬スケジュールからはロサンゼルス - メルボルン線の長距離国際線へ就航。その後も導入が進み、一時は運用の間に合いで成田 - ロサンゼルス線にもB777-200ERに代わって運航していたが、2015年冬ダイヤからは787-9で固定されている。

2017年6月14日の成田発サンフランシスコ行きUA838便をもってB747-400の日本路線投入は終了し、翌15日からは新仕様のビジネスクラス「ユナイテッド・ポラリス」を装着したB777-300ERを成田 - サンフランシスコ線に投入開始。その他の日本路線については、777-200ERや787などを路線需要に応じた機材にて運航する。また同年11月7日のサンフランシスコ発ホノルル行きUA747便をもって747は全機退役。この特別便の使用機材には「UNITED」ロゴを「United 747 friend ship」ロゴに変更したN118UAが起用され、有終の美を飾った。

過去の運航機材

ボーイング80  
ボーイング40A  
ボーイング247  
ボーイング377  
ビッカース バイカウント  
ダグラスDC-3  
ダグラスDC-4  
ダグラスDC-6  
ダグラスDC-6 (貨物機)  
ダグラスDC-7  
ダグラスDC-7 (貨物機)  
ダグラスDC-8  
ダグラスDC-8 (貨物機)  
ダグラスDC-10-10  
ダグラスDC-10-30  
ダグラスDC-10-30 (貨物機)  
シュド・カラベル  
コンベア340  
ボーイング720  
ボーイング747-100  
ボーイング747-200  
ボーイング747-SP  
ボーイング727-100  
ボーイング727-200  
ボーイング737-200  
ボーイング737-300  
737-500  
ボーイング767-200  
ボーイング767-200ER  
ロッキード L-1011 トライスター  

航空事故

ユナイテッド航空は、他の主要な航空会社と同じく、複数の航空事故を起こしている。

不祥事

乗客の手荷物破壊と賠償の拒否

2008年、カナダ人ミュージシャンのデーブ・キャロルは『United Breaks Guitars(ユナイテッド航空はギターを壊す)』と題して、ユナイテッド航空へ抗議する歌を作曲し、YouTubeに公開した[26]。これはシカゴ・オヘア国際空港で、ユナイテッド航空の空港手荷物係にアコースティック・ギターを壊されたが、要求した損害賠償が支払われなかったことによるものであった[27]

ドレスコード事件

2017年3月25日、ユナイテッド航空は、2人の10代の少女に対して、彼女たちがレギンスを着用していたことを理由として、デンバーからミネアポリスへ向かう航空便への搭乗手続きを拒否した。このユナイテッド航空の行為に対して、SNS上で議論が巻き起こった。騒動を受けたユナイテッド航空は、彼女たちの搭乗券は「ユナイテッド・パス」と呼ばれる、従業員やその家族へと支給されたもので、これを使用する場合には服装規定があると説明し、一般搭乗者のレギンス着用は歓迎するとした[28][29]

乗客に対する傷害と旅客機引きずり降ろし事件

2017年4月9日シカゴ・オヘア国際空港において、ルイビル行き国内線であるユナイテッド・エクスプレス3411便から、既に旅客機に着席している1人のベトナム出身の男性乗客が、シカゴ市の空港警察によって強制排除された。この男性は排除される際に前歯2本と鼻をへし折られ、流血し、病院で手当てを受けることとなった。この強制排除の様子は、居合わせた他の複数の旅客によって動画が撮影され、インターネット上で公開された[30]

ユナイテッド航空は「翌日のフライトの為に、4人のユナイテッド航空職員の座席が必要であったため、800ドルのクーポン補償金付きで4人のボランティアを募集し旅客調整を行おうとしたが、ボランティアが現れなかった為に、コンピュータで無作為に4人を選択した。1,000ドルの補償金でも男性は自発的に降りるのを拒否した為、法執行機関に依頼をした」と表明した[31]。この男性はベトナム系アメリカ人の医師で、翌日の勤務を理由に降機を拒否していた[32]

4月10日には、ユナイテッド航空のCEOオスカー・ムニョスは、従業員宛に送信した電子メールで「我々の従業員は、このような状況に対処するための慣例(established procedures 確立された手順)に従った」「私はみなさんを(=従業員側を)強く支持(する)」と述べ、被害者の男性を「破壊的な (disruptive) 」「けんか腰の (belligerent) 」と形容していたことが発覚した[33]。また、Twitterでは「(ユナイテッド航空にとって)気が動転するような出来事 (upsetting event) 」であり「乗客を振り替え (re-accommodate) なければならなかったことに謝罪する」との声明を発表した[34]。被害者に対する謝罪がなかったことから、あまりに感覚がズレている、人権というものが根本的に分かっていないのではないか?との批判が起き、Twitterでは事件について「#flight3411」というハッシュタグが付けられた[35][34]

4月11日、この問題についてムニョスCEOは改めて謝罪し「我々は全ての責任を取り、問題を正すように努める」とした[36]

4月27日、ユナイテッド航空は最終報告書を発表した。それによると、今回の出来事や初動対応は「お詫びしても、お詫びしきれるものではなく、本件の全責任は、ユナイテッド航空にある。」と表明して謝罪し、「オーバーブッキングの削減」「安全または保安上の問題がある場合を除き、警察などの法執行機関による協力を依頼せず(4月12日に実施済み)、既に搭乗した乗客に対し降機を強制しない」「補償額の上限を10,000米ドルに増額する」などの改善策が明記され、一部は4月28日より、その他も年度内に順次実施するとも明記された[37]

2017年10月18日、4月に発生した乗客強制排除事件に関し、シカゴ市監察官室は、同市航空局の3人の警備員と巡査部長を「誤解を招く説明および意図的な排除行為があった」と認定し、2名を解雇、2名を5日間の停職処分にしていたことを公表した[38]。4名の氏名は明らかにされていない[39]

脚注

  1. 月刊エアライン 2002年9月号p102、「月刊メガライン ユナイテッド航空」より
  2. 原口和久 (2000). 成田空港365日. 崙書房. 
  3. 米航空2社が合併承認 世界最大手が誕生へ
  4. 「競争減らす合併」撤回を 旅客が米航空大手提訴 - 産経新聞
  5. 米航空2社の合併承認=世界最大手誕生へ前進-司法省 時事通信
  6. United Continental Holdings Inc.
  7. 3月3日にご旅行されるお客様へ(ユナイテッド航空公式サイト)
  8. 8.0 8.1 ユナイテッド航空、2018年夏スケジュールでヨーロッパ路線を拡大
  9. ユナイテッド、サンフランシスコ発着テルアビブ、オークランド線を開設へ
  10. ユナイテッド航空、2018年10月にサンフランシスコ/パペーテ線を開設へ
  11. [1]
  12. [2]
  13. Hemispheres Inflight Magazine”. . 2009閲覧.
  14. Rhapsody Inflight Magazine”. . 2015閲覧.
  15. http://www.travelvision.jp/modules/news1/article.php?storyid=34977
  16. http://www.routesonline.com/news/38/airlineroute/272727/united-w17-long-haul-service-changes-as-of-05may17/?highlight=united%20747%20last
  17. B737については旧コンチネンタル航空の機材もしくはコンチネンタル航空が発注した分であるためで、同様に旧コンチネンタル航空のB757-200やB757-300もエンジンはロールスロイス製、B767やB777もGE製である。
  18. 現在はボーイング社に吸収されて消滅。
  19. カーボンオフセットプログラムに関するよくあるご質問
  20. 旧コンチネンタル航空の機材のエンジンはGE製、ユナイテッド航空の元々所有していた機材のエンジンはプラット・アンド・ホイットニー製
  21. 旧コンチネンタル航空の機材のエンジンはロールスロイス製、ユナイテッド航空の元々所有していた機材のエンジンはプラット・アンド・ホイットニー製
  22. United Airlines Takes Ownership Of Its First 787 Dreamliner
  23. United Airlines Announces Dreamliner Induction Plan CHICAGO, July 9, 2012
  24. UNITED AIRLINES AND DENVER SAY "KONNICHIWA" TO TOKYO BOEING 787 DREAMLINER FLIGHTS WILL START MARCH 2013
  25. United Airlines Takes Delivery of First 787-9 Aircraft in North America
  26. United Breaks Guitars - YouTube
  27. “空港でギター壊され「恨み節」の歌、ユーチューブで大ヒット 写真1枚 国際ニュース”. AFP通信. (2009年7月10日). http://www.afpbb.com/articles/-/2619910 . 2017閲覧. 
  28. “米ユナイテッド航空、レギンスの少女たちを搭乗拒否 SNSに非難の声”. BBCワールドニュース (BBC). (2017年3月27日). http://www.bbc.com/japanese/39402284 . 2017閲覧. 
  29. “ユナイテッド航空、レギンスはいた少女を搭乗拒否 特典航空券のドレスコードに波紋”. ハフィントン・ポスト. (2017年3月27日). http://www.huffingtonpost.jp/2017/03/27/leggings_n_15632464.html . 2017閲覧. 
  30. ジョール・グンター (2017年4月11日). “なぜこんなことに? 米ユナイテッド航空はなぜ乗客を引きずりおろした”. BBCワールドニュース (英国放送協会). http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-39562378 . 2017閲覧. 
  31. Susan Carey, Doug Cameron (2017年4月11日). “ユナイテッド航空、乗客引きずり下ろしで非難殺到 - WSJ”. ウォール・ストリート・ジャーナル. http://jp.wsj.com/articles/SB12580682065743184470104583077691537916374 . 2017閲覧. 
  32. “米ユナイテッド航空、乗客を引きずりおろし”. BBCワールドニュース (BBC). (2017年4月11日). http://www.bbc.com/japanese/39562233 . 2017閲覧. 
  33. “United Airlines: Shares drop after passenger dragging video” (英語). BBCニュース (BBC). (2017年4月11日). http://www.bbc.com/news/world-us-canada-39563570 . 2017閲覧. 
  34. 34.0 34.1 “It might be time to ‘re-accomodate’ United’s CEO” (英語). ワシントン・ポスト. (2017年4月11日). https://www.washingtonpost.com/opinions/it-might-be-time-to-re-accomodate-uniteds-ceo/2017/04/11/ec05263c-1eea-11e7-ad74-3a742a6e93a7_story.html . 2017閲覧. 
  35. Alana Horowitz (2017年4月12日). “ユナイテッド航空CEO、従業員への説明で客に責任転嫁 乗客を引きずり下ろした問題で(全文)”. ハフィントンポスト. http://www.huffingtonpost.jp/2017/04/11/united-airlines_n_15950132.html . 2017閲覧. 
  36. 鵜飼啓 (2017年4月11日). “「全ての乗客に深く謝罪」ユナイテッド航空CEOが声明”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). http://www.asahi.com/articles/ASK4D26HTK4DUHBI008.html . 2017閲覧. 
  37. “ユナイテッド・エクスプレス3411便に関する調査結果および改善策” (日本語) (PDF) (プレスリリース), ユナイテッド航空, (2017年4月27日), https://www.united.com/web/ja-JP/content/reportJA.PDF 
  38. Third Quarter 2017 Report The City of Chicago Office of Inspector General 2017年10月17日
  39. Officers fired over removal of United passenger CNN 2017年10月18日

関連項目

外部リンク