ヤチウグイ

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ヤチウグイRhynchocypris percnurus sachalinensis)は、コイ目コイ科ウグイ亜科アブラハヤ属の魚類である。アイヌ語名は「トチェッポ」(沼・小魚)。

分布

日本(北海道)、サハリン、朝鮮半島などの平野部の池沼湿地帯の細流にすむ。

形態

全長15cm[1]。本属の中では体高が高い。体側には小黒点が散在する。体色は淡い黄褐色から褐色で、腹部にいくほど淡くなり、やや黄褐色を帯びた銀色になる。また体側中央からやや上部に明るく光る縦条があり、水中では特に目立つ[2] 。近縁種のアブラハヤタカハヤとよく似ているが、吻端が突出することはなく、喉部が角ばって見える点で区別できる[3]。また、褐色がやや薄い[2]

生態

池や沼、流れの緩い河川など、水流の弱い場所に生息する。ヨシが密生したところや、水草や藻があるところを好む。泥炭地の水や、酸性の水でも住むことができ、酸素が少ない環境にも強い。[2] 雑食性で、虫やコケなどを食べる[1]。6-7月に水草に産卵する[1]。生殖期になると、頭部と体の背面に小さい白色の追い星が出る。オスは、体の金色の光沢が増して、胸びれ、腹びれ、尻びれとその付近が鮮紅色になる。またメスは同じひれが淡赤色になる。[2]

利用

漁・釣り

一本釣りまたは、サビキ釣りで釣られる。餌は、サシ赤虫がよく使われる。食用魚として認識されていないので、専門に釣る人はほとんどいないが、泳がせ釣り用の活き餌として釣られることもある。

料理

成長した親魚では骨が太くて硬いが、小ぶりなものは骨も細くて柔らかく、丸ごと食べられる。内臓を取り除き天ぷらフライから揚げマリネ南蛮漬けなど、いろいろな料理にされる。

保全状況評価

参考文献

  1. 1.0 1.1 1.2 木村義志 『フィールドベスト図鑑 日本の淡水魚』 学習研究社、2000-08-04、73。ISBN 4-05-401120-9。
  2. 2.0 2.1 2.2 2.3 宮地傳三郎・川那部浩哉・水野信彦 『原色日本淡水魚類図鑑』 保育社、1976年、全改訂新版、128。ISBN 978-4-586-30032-7。
  3. 多紀保彦・河野博・坂本一男・細谷和海 『新訂 原色魚類大圖鑑 圖鑑編』 北隆館、2005-12-15、132。ISBN 4-8326-0820-7。