メイカーズムーブメント

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メイカームーブメント(Maker Movement)とは、ウェブ世代が現実世界と交わるところがあり、世界中のガレージがオンライン化し、「仕事」と「デジタルツールの利用」を同時にすると起こるムーブメントで、デジタルファイルやCADや3Dプリンターなどを使う、デジタル製造の潮流を指すトレンドのことであり、「第三の産業革命」とも言われる。[1] MAKERSの著者、クリス・アンダーソンにより定義された。[2]

日本語では「メイカーズムーブメント」と呼称される事があるが、原語である英語では「Maker Movement」であり、単数形で「メイカームーブメント」の方が正しいだろう。メイカームーブメントに参加する個人を「メイカー」と呼び、日本語で家電製造業者を指す「メーカー」とは区別される。ただし、「メーカー」「メーカームーブメント」と記述しても間違いではない。上記書名はこういったメイカーたちをとりあげたという意味で、複数形で「メイカーズ」である。メイカームーブメントの活動は、従来の製造業をくつがえすという側面から「メイカー革命」と呼ばれる事もある。

概要 

3Dプリンターにより従来、金型を使わなければできないものが個人で製作可能となった。[3]

また、Arduinoなどの手軽なオープンソースハードウェアの登場などにより、個人や小規模チームでも製品開発を行えるようになった。[4]このような制作行為をパーソナルファブリケーション(個人製造)といい、ソーシャルウェブ(ブログやSNS)の普及によって、個人製造の結果が、社会を変える発明に繋ることを「発明の民主化」と呼ぶこともある。[5]

このように、ソーシャルにものづくりが可能になったことから、メイカームーブメントはオープンイノベーションの一種であるともされる。[6] また、物理的なものを介すことからリアルスペースやイベントとの関係も深く、ハッカースペース、メイカースペース等のものづくりスペースやMaker FaireというDIYイベントが世界各地で開かれている。

個人でゼロから何かを作る行為は教育にも影響を及ぼし、また「自分の作りたいもの」を作る動きは、副次的に製品開発にも影響を及ぼしている。[7]


メイカームーブメントで実現可能になったこと 

WIRED CONFERENCE 2012で、クリス・アンダーソンはメイカームーブメントで以下の3つのことが実現可能になったと指摘した。[8]

  • 3Dプリンタやレーザーカッターのようなデジタル工作機械がデスクトップに置かれるようになり、専門知識を持たない人たちでもモノをデザインできるようになった。
  • デザインされたアイデアをオンラインのコミュニティで公開しながら、オープンイノベーションによって世界中の仲間と共創できるようになった。
  • 世界中にある製造ソーシング会社をネット経由で利用すれば、そこで生まれたアイデアをクリック一つで低価格・小ロット生産することができるようになった。

これにより、誰もが製造業の起業家になれる時代になり、製造業が民主化された。 そのため、古い大量生産モデルではつくれない、世界が望む製品をつくれるようになったとしている。 [9]

日本におけるメイカームーブメント

日本においては、Maker Faire Tokyoという名称で毎年、メイカーのイベントが開催されている。[10]

2011年まではMake Tokyo Meetingという名称であったが、開催方式が本国Makeとやや異なるものであった。2012年からは本国と方式をあわせる方式で名称が変更となった。 [11]

メイカームーブメントの中でのビジネス

自らハードウェアを製造・販売する

個人、または個人ベースでハードウェアを開発・販売するビジネス。ハードウェアスタートアップと呼ばれる。ハードウェアは販売前に投資して開発・製造する必要があり、メイカームーブメント以前はスタートアップの事業として行うには難しかったが、近年オープンソースハードウェアの普及により開発速度が向上し、クラウドファンディングによって資金調達の可能性が上がり、創業時の資本金とビジネスネットワークなどを支援してくれるHAX,Abbalabなどのアクセラレータなどが登場したことにより、メイカームーブメントに注目が集まる一因になっている。 [12] アクションカメラのGoPro,スマートウォッチのPebbleなどが代表的なハードウェアスタートアップと呼ばれる。日本でもamadana、BALMUDA、Bsize、Cerevo、Logbar、Moff、MUJIN、テレパシージャパン、鳥人間、ユカイ工学、WHILLなどが自社でハードウェアを開発することを目的に操業している。

メイカーに向けてサービスを提供する

メイカーやハードウェアスタートアップに向けて、部材の販売やシェアオフィスの提供、投資やスクールなどを提供する。DMM.make AKIBA、FabCafe Tokyoや創造空間 ナノラボ、Cafe Laboなどは工作機械やネットワークなど、メイカー向けの環境を提供している。また、ハードウェアスタートアップは84%が量産化に失敗するとのデータもあり[13]、メイカー向けの、量産化支援サービスも存在する。[14] デジタルファブリケーション機器を備えた工房全般で、一定の基準を満たすとファブラボの名称を用いることができる。[15]

参考書籍

  • MAKERS―21世紀の産業革命が始まる ISBN 4140815760
  • 週刊 東洋経済 2013年 1/12号 ASIN B00AQKDR6I
  • ものづくり革命 パーソナル・ファブリケーションの夜明け ISBN 4797333146
  • メイカーズのエコシステム ISBN 480209065X

関連項目

脚注

外部リンク

  • MAKE:JAPAN(オライリー・ジャパンによる日本語版)