ヘルパンギーナ

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ヘルパンギーナ: Herpangina)は、コクサッキーウイルスの一種が原因となって起こるウイルス性疾患である。手足口病と同様、夏季を中心に乳児幼児に流行する、いわゆる夏かぜの代表的疾患。

原因ウイルスは、ピコルナウイルス科内のエンテロウイルス属に属するコクサッキーウイルスA群(2,3,4,5,6,10型)が主で、他にB群やエコーウイルスで発症する場合もある[1]

Herpanginaは、angina(ラテン語で扁桃炎)に、herp(ギリシャ語で「這う」[2])を冠したもの。

疫学

熱帯では一年中、温帯では夏と秋に流行する。日本では5〜9月頃にみられ、7月がピークとなる。例年、西から東へと推移する。感染者の年齢は5歳以下が9割以上で、1歳代がもっとも多い。感染経路は、感染者の鼻や咽頭からの分泌物便などによる糞口感染、接触感染飛沫感染である。ウイルス排泄が盛んな急性期の感染力が最も強く、回復後も2〜4週間にわたり便から検出される[1]

症状

潜伏期は2〜4日程度で、初期症状として突然の高熱と咽頭痛がある。その後、咽頭粘膜が赤くなり、口腔に1〜5mmの小水疱が数個出現する。小水疱が破れて潰瘍になると痛む。熱は1〜3日間程度続き、粘膜疹はそれよりも長引く。 口の中が痛むことから不機嫌、拒食、哺乳障害が起きやすいが、ほとんどは予後良好である。発熱時に熱性けいれんを伴うことがあり、まれに無菌性髄膜炎急性心筋炎などを合併することがある[1]

症例がより多い手足口病とは、発熱が39〜40℃の高熱となり、発疹が口腔に限られる点が異なる。

治療

特効薬など特異的な治療法はなく、対症療法によって症状を緩和する。また、拒食や哺乳障害による脱水症状を警戒する。 無菌性髄膜炎や心筋炎の合併例では入院治療が必要となる。

予防

ワクチンなど特異的な予防法はなく、感染者との密接な接触を避け、流行時はうがいや手洗い、手指の消毒を励行する。

出典

  1. 1.0 1.1 1.2 ヘルパンギーナとは 国立感染症研究所
  2. 英語版の「語源」より

外部リンク