パキスタンの核実験 (1998年)
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パキスタンの核実験とは、1998年5月28日と5月30日にパキスタンのバローチスターン州チャガイ地区Ras Koh丘陵において行われた地下核実験である。
コードネームは実験が行われた場所に因み「チャガイ-I」(Chagai-I)。
概要
1976年からパキスタン原子力委員会(PAEC)が実験候補地としてバローチスターン州チャガイ地区の山を視察するなどし、責任者の一人だったアブドゥル・カディール・カーンによれば、ズルフィカール・アリー・ブットーと毛沢東の合意から中華人民共和国との核開発協力は始まり、ムハンマド・ジア=ウル=ハクもこれを引き継ぎ、核兵器の設計図(後にリビアへの査察でも確認されてる[1])と遠心分離機やウランは中国から提供されたという[2]
インドのシャクティ実験(5月11日と5月13日に計5回実施)に対抗し、核実験は1998年5月28日に5回実施された。ナワーズ・シャリーフ首相(当時)は国営テレビPTVを通じて実験の成功を発表。実験の映像も公表された。総出力は40キロトン。
5月30日にも核実験が行われた。
北朝鮮の代理核実験の疑惑
5月30日に行われた核実験で使われた核爆弾はプルトニウム型であった。パキスタンは保有する核爆弾の全てが高濃縮ウラン型であると公言していた。一方、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核開発はプルトニウム型である。
また、パキスタンは北朝鮮から弾道ミサイル「ノドン」を購入しており、「ガウリ」という名前の弾道ミサイルになっている。日本の軍事評論家である江畑謙介などが、こうした事実により、5月30日の核実験は北朝鮮が保有する核爆弾の代理実験であったのではないかと主張している。
- 2004年2月27日、ニューヨーク・タイムズ誌は「パキスタンの核実験の際、アメリカの偵察機が大気中のサンプルを採取し、当時のパキスタンの核開発にはまだ存在しないと考えられたプルトニウムを検出。これは北朝鮮由来のプルトニウム型原子爆弾を、パキスタン国内で爆破実験をした疑いがある」と報じた[3]。
- 2012年5月17日、NHKはイギリス王立防衛安全保障研究所研究員の秋元千明(元NHK解説委員)を招き、「北朝鮮 核実験強行の可能性とその戦略」という特集を組み、その中で米英の情報機関らは北朝鮮が1998年にパキスタンに代理核実験を依頼し、実行した可能性が高い、と認識していると報じている[4]。