ニヴフ語

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ニヴフ語ニブフ語(ニヴフご)は、樺太および大陸部アムール川下流域に住むニヴフ民族固有の言語。系統不明で便宜上古アジア諸語に含まれる。

言語名別称

  • ギリヤーク語
ニヴフはかつてギリヤークと呼ばれたことがあるためニヴフ語もまたギリヤーク語と表現された。
  • ニヴヒ語

分類

他の言語との系統関係が明らかでない孤立した言語である。近年ではen:Michael Fortescueチュクチ・カムチャツカ語族との関係性を指摘し、ニヴフ語を含めた「チュクチ・カムチャツカ・アムール語族」仮説を出している[1]。より最近では、セルゲイ・ニコライフが、ニブフ語と北米のアルギック語族ワカシャン語族との関係を指摘する論文を出している[2][3]

方言

方言は樺太東部、北部、大陸に大きく分けられ、樺太と大陸の方言は別言語といってよいほど異なる。

文法

語順SOV型膠着語で、文法には日本語と似た点もある。記録された方言や時代によって異なる点も多いが、およそ次のような特徴がある:

  • 閉音節語で、子音の頻度が比較的高い(例えば民族自称N'ivhgn)。
  • 名詞の表示には助詞のような接尾辞を用い(主格・対格・所有格は無語尾)、動詞も主に語尾変化により活用する。規定する語と規定される語が接続する(例えば名詞+接尾辞、所有者+被所有物、直接目的語+動詞)ときに、後続の規定される語の語頭の子音が変化することがある(これを抱合語的性質ととらえる説もある)。また自動詞と他動詞の対応にも同じような語頭子音交替が使われる。
  • はないが、数詞に多数の種類がある(日本語の助数詞に相当)。人称による動詞の語尾変化は一部(2・3人称単数の連用形など)にのみある。

表記

ソ連領内では1930年代にローマ字表記法が制定されたが、まもなく政策によりキリル文字に変更された。近年は母語話者が急激に減少し(1989年時点で23.3%とされる)危機に瀕している。

ニヴフの一部は、太平洋戦争後、樺太から日本内地に日本人として移住してきた者が若干存在するが、現在の日本国内で、ニヴフ語の話者コミュニティーは存在しないものと思われる。


現行のニヴフ語の正書法で使用される文字一覧

А а Б б В в Г г Ӷ ӷ Ғ ғ Ӻ ӻ Д д
Е е Ё ё Ж ж З з И и Й й К к К’ к’
Ӄ ӄ Ӄ’ ӄ’ Л л М м Н н Ӈ ӈ О о П п
П’ п’ Р р Р̌ р̌ С с Т т Т’ т’ У у Ў ў
Ф ф Х х Ӽ ӽ Ӿ ӿ Ц ц Ч ч Ч’ ч’ Ш ш
Щ щ ъ Ы ы ь Э э Ю ю Я я

これらのうちӶ ӷ、Ў ў、Ч’ ч’はアムール方言のニヴフ語では使用しない文字。

ニヴフ語から日本語に入ったとされる単語

関連項目

外部リンク

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脚注

  1. Fortescue, Michael (2011). "The relationship of Nivkh to Chukotko-Kamchatkan revisited". Lingua 121 (8): 1359–1376. doi:10.1016/j.lingua.2011.03.001.
  2. Nikolaev, S. (2015)
  3. Nikolaev, S. (2016)