チェコ語

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チェコ語Čeština [ˈt͡ʃɛʃcɪna]Český jazyk)は、スロヴァキア語ポーランド語カシューブ語(ポメラニア語)、ソルブ語(ソラビア語、ヴェンド語とも)などと共に、西スラヴ語の一つである。チェコ共和国の人口(約1030万人、2007年3月現在)の9割以上を占めるチェコ人と、周辺国やアメリカ合衆国、カナダ等にコミュニティを作るチェコ系住民に話されている言語である(共和国の国内外合わせて約1200万人の話者が存在する)。

概要

スロヴァキア語とは非常に近い(方言ほどの違いしかない――ただし、チェコスロヴァキア共和国時代から別の言語として扱われていた)関係にあり、大抵の場合互いに会話が可能である。しかしスロヴァキア人が子供の頃からチェコのテレビ番組や書籍を通してチェコ語に慣れ親しむのに対し、チェコの子供たちがスロヴァキア語に触れる機会はそう多くない。そのためスロヴァキア人のチェコ語の理解度とチェコ人のスロヴァキア語の理解度にはある程度の差が存在する。

周囲の言語の話者との意思疎通について、言語学者の千野栄一は次のように述べている。

もし仮にチェコ人がいてチェコ語で話したとすると、ごく大雑把にいって、スロバキア人とは九十五%、ポーランド人となら七〇%、クロアチア人となら六〇%、セルビア人となら五〇%、ブルガリア人とは四〇%ぐらい理解し合える関係にある。ルーマニア人アルバニア人とは全く理解し合えず、同じインドヨーロッパ語族に属する言語であるということは、学者の指摘によって分かるだけである。もちろん語族の違うハンガリー人とは全く理解し合えない。

千野栄一、『言語学の開かれた扉』p.203、三省堂、1994年

その複雑さから、チェコ語は習得の困難な言語と言われることが多い。その複雑さは形態論の豊富さ(200以上の語形を持ちうる語もある)や非常に自由な語順(内の全ての組み合わせが許されることもある)のためである。これらの特徴はロシア語を始めとするスラヴ語に共通して見られる特徴である。

チェコ語の音韻論も多くの外国語話者にとって非常に難しいものであろう。例えば、zmrzl, ztvrdl, scvrnkl, čtvrthrstのように母音を持たないように見える語もある。しかし、子音である lr が自鳴音として機能し、母音の役割を担っているのである。似たような現象はサンスクリットにも見られる。英語でもl, m, nが特に語末で、音節の核を成す。これらを「成音節子音」という。Strč prst skrz krkのように、母音をひとつも持たない文も存在し得る。チェコ語に独特であると言われ、外国人が発音するのが極めて困難な音素である子音 ř も特徴の一つである(この音はスロヴァキア語など他のスラヴ語にはない。また、この ř の音は、チェコにおいても子供達がなかなか習得出来ない音でもあり、現地の小学校では、この音を発音出来ない子供達にそれを習得させるためだけの特別の授業が行われている)。

形態論

品詞

名詞、形容詞、代名詞、数詞は曲用を持ち、動詞は活用を持つ。他の品詞は語形変化がない(副詞は例外的に比較級の形成がある)。

語形変化

チェコ語の主格(1格)属格(生格・2格)与格(3格)対格(4格)呼格(5格)前置格(6格)造格(具格・7格)の7つである。数は単数、複数があり、身体を表す語など一部に双数(両数)が残っている。は男性活動体と同不活動体、女性と中性がある。呼格は呼びかけに使用されるが、堅い言い回しでなければ、呼格の代わりに主格で呼びかけることもある。

動詞の過去時制は、být(be動詞に当たる:3人称では省略)の現在変化にl(エル)分詞(語尾が -l で終わり、ロシア語の動詞過去形に当たる)をつけて表す。

語順はbýt動詞が原則的に「二番目」に置かれる点を除いて自由であるが、強調する語を文頭または文末に置く。


基本表現

  • Dobré ráno!  おはようございます。
  • Dobrý den!   こんにちは。
  • Dobrý večer!  こんばんは。
  • Ahoj!      やあ!
  • Dobrou noc!   おやすみなさい。
  • Děkuju(Děkuji). ありがとう。
  • Není zač.    どういたしまして。
  • Na shledanou. さようなら。
  • Jsem Japonec/Japonka. 私は日本人(男/女)です。
  • Jsem z Japonska. 日本から来ました。

表記体系

参照: チェコ語アルファベット

テンプレート:チェコ語アルファベット

関連項目

外部リンク