セリ

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セリ、学名:Oenanthe javanica)とはセリ科多年草である。

解説

別名、シロネグサ(白根草)。湿地やあぜ道、休耕田など土壌水分の多い場所や水辺の浅瀬に生育することもある湿地性植物である。高さは30cm程度。泥の中や表面を横に這うように地下茎を伸ばす。葉は二回羽状複葉、小葉は菱形様。全体的に柔らかく黄緑色であるが、冬には赤っぽく色づくこともある。花期は7 - 8月。やや高く茎を伸ばし、その先端に花序をつける。個々の花は小さく、花弁も見えないほどである。北半球一帯とオーストラリア大陸に広く分布する。

利用

東洋では2000年ほど前から食用に利用されてきているが、西洋では食べる習慣はない[1]。独特の香りを持ち、日本では春先の若い茎や根をおひたしや七草粥とする。宮城県仙台市周辺では鍋の具材に葉から根まで使われる。また、秋田県の代表的郷土料理の一つであるきりたんぽ鍋の具材としても欠かせない。

野菜としての旬は3月から4月まで[1]であるが、春の七草のひとつであるため1月ごろであればスーパーマーケット等で束にして売られる。自生品が出回ることもあるが、最近では養液栽培も盛んである。

セリの香り成分には、人間の体温を上げて発汗作用を促す効果があり、風邪による冷えなどに有効とされる[1]。また、栄養成分にβ-カロテンビタミンB2Cカルシウム鉄分などの栄養素を主に含み、胃や肝機能を整えたり、血液中の老廃物やコレステロールを排出して浄化する効果が高い食材といわれる[1]

野草としての性質が強く種子発芽率が低いため、計画的な生産には発芽率の改善が不可欠である。産地にもよるが、栽培ものと野生のものに、比較的差が少ない種である。観賞用の斑入りの品種もある。

毒草との間違い

野外で採取する場合、小川のそばや水田周辺の水路沿いなどで見られるが有毒なドクゼリとの区別に配慮が必要である[2]。ドクゼリは地下茎は太くタケノコ状のふしがあり、横に這わず、セリ独特の芳香もないので区別できる。また、キツネノボタンも同じような場所に生育する毒草である。個々の小葉だけを取ると似ているので間違えるおそれがある。

名称

和名は、まるで競い合う(競り)ように群生していることに由来する[3]

文化

セリは春の七草の一つであるように、日本では古くから食用にされており、平安時代には宮中行事にも用いられていた。

伝統料理

成句

高貴な女性がセリを食べるのを見た身分の低い男が、セリを摘むことで思いを遂げようとしたが徒労に終わったという故事から、恋い慕っても無駄なことや思い通りにいかないことを「芹を摘む」という[4]

関連項目

脚注

  1. 1.0 1.1 1.2 1.3 小池すみこ 『体に効く野菜』 法研、1998-04-03、82-83。ISBN 4-87954-228-8。
  2. ドクゼリ:4人が食中毒 セリに酷似、1人重体 新潟市保健所、発表 /新潟 毎日新聞 2013年4月2日(火)13時16分配信
  3. 岩槻秀明 『街でよく見かける雑草や野草がよーくわかる本』 秀和システム、2006-11-05。ISBN 4-7980-1485-0。
  4. 新村出広辞苑 第七版』岩波書店、2018年1月12日、1650頁。ISBN 4-00-080131-7

外部リンク