スメルハラスメント
スメルハラスメント（和製英語: smell harassment）は、臭いにより周囲を不快にさせる嫌がらせのことである。スメハラと略されることも多い。
概要
スメルハラスメントとは、臭いを原因として、周囲に不快な思いをさせる行為を指す[1][2]。「ハラスメント」の一種ではあるものの、意図的な場合だけでなく、当人が気づかぬまま意図せず周囲に迷惑をかけている場合も多い[3]。職場を退職する理由としてスメルハラスメントが挙がるようになるなど[2]、日本においても社会問題となりつつある[4]。なお「スメルハラスメント」は「スメハラ」[1][5][6]と略される場合もある。
問題
スメルハラスメントの問題は、香水や口臭や体臭などをはじめとする臭いで周囲へ不快にさせることである[1]。女性の月経時の臭いや加齢臭やミドル脂臭といった体臭が特に職場で問題になる。頭痛やめまいといった身体的な被害が及ぶことも多い[7]。また、あまりにひどい臭いに耐えかね、それを苦にして退職に追い込まれる者もいるなど[2]、深刻な問題が生じることもある。教育の場においても問題になることがある。たとえば、教員の悪臭に耐えかねた学生から多くの批判の声が上がり[8][9]、それに対して教員が反論する[8]、
このように、スメルハラスメントは社会の軋轢の原因となりかねないが、一方で当事者が気づいていないことも多く、対策をとることが難しい面がある。職場でスメルハラスメントが発生したとしても、原因である特定個人を企業側が呼び出して叱責した場合、それ自体がパワー・ハラスメントやセクシャル・ハラスメントに該当しかねず別の問題を引き起こす可能性があるためである[10]。このような事態を避けるため、特定個人を注意するのではなく全従業員を対象とする啓発活動を行うなど[1][10]、職場全体で改善に取り組む動きもみられる。また、人事評価の一環として、臭いを従業員の評価項目として取り入れる動きもみられる[11]。
原因
スメルハラスメントの原因としては、香水や口臭や体臭などが挙げられる[1]。また、個人の食生活や病状、衛生状態などに起因する悪臭なども原因のひとつとなる[12]。
個人差
嗅覚には個人差があるため、ある者にとってはいい香りに感じられても、周囲にとっては迷惑な臭いだと感じられる場合もある。香水や柔軟剤などのように、一般的にはよい香りをともなうとされるものであっても、万人がそう感じるわけではないため、スメルハラスメントの原因になることもある[13][14]。たとえば、日本では香りの附加された柔軟剤が一時期ブームとなったため、この臭いに対するスメルハラスメントも多く報告された[13][14]。
脚注
- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 “東京新聞:「スメルハラスメント」 困ってます その臭い 企業 社員教育で「体臭対策」:暮らし(TOKYO Web)” (日本語). 中日新聞社 (2015年9月15日). . 2015閲覧.
- ↑ 2.0 2.1 2.2 丸田みわ子 (2015年6月30日). “加齢臭の100倍拡散！｢ミドル脂臭｣撃退法 | コンビニ飯ハイパー活用術 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準” (日本語). 東洋経済新報社. . 2015閲覧.
- ↑ 加藤カジカ・田山奈津子・古澤誠一郎・桜田容子 (2014年5月23日). “「口臭」がコミュニケーションを阻害する【スメル・ハラスメント被害報告】 | 日刊SPA!” (日本語). 扶桑社. . 2014閲覧.
- ↑ 太田彩子 (2013年7月31日). “クサイ上司続出！恐怖"スメルハラスメント" | こちら営業部女子課 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準” (日本語). 東洋経済新報社. . 2013閲覧.
- ↑ “酒が口臭を強める？ 自分では気付かない「スメハラ」 ：日本経済新聞” (日本語). 日本経済新聞社 (2016年1月4日). . 2016閲覧.
- ↑ “酒が口臭を強める？ 自分では気付かない「スメハラ」 ｜ヘルス｜NIKKEI STYLE” (日本語). 日本経済新聞社・日経BP (2016年1月4日). . 2016閲覧.
- ↑ 加藤カジカ・田山奈津子・古澤誠一郎・桜田容子 (2014年5月29日). “同僚の「体臭」で頭痛やめまいも…職場がニオイ対策で大混乱 | 日刊SPA!” (日本語). 扶桑社. . 2014閲覧.
- ↑ 8.0 8.1 山田晴通. “Harumichi YAMADA: 2005年度「授業アンケート」から” (日本語). 2005年度「授業アンケート」から―明治大学 編―. 東京経済大学. . 2013閲覧.
- ↑ 山田晴通. “Harumichi YAMADA: 2009年度「授業アンケート」から” (日本語). 2009年度前期「授業アンケート」から―東京経済大学 編―. 東京経済大学. . 2013閲覧.
- ↑ 10.0 10.1 宮崎智之 (2014年7月16日). “職場の「ニオイの悩み」を野放しにするべからず！スメルマネジメント講座や対策に励む企業たち｜あなたの知らないスメルの世界～It's a smell world.｜ダイヤモンド・オンライン” (日本語). ダイヤモンド社. . 2014閲覧.
- ↑ 宮崎智之 (2014年7月16日). “職場の「ニオイの悩み」を野放しにするべからず！スメルマネジメント講座や対策に励む企業たち｜あなたの知らないスメルの世界～It's a smell world.｜ダイヤモンド・オンライン” (日本語). ダイヤモンド社. . 2014閲覧.
- ↑ “The Scent of a Co-Worker”. ニューヨーク・タイムズ. (2006年1月11日) . 2016-2-5閲覧.
- ↑ 13.0 13.1 “香りつき柔軟剤ブーム 「仕事に集中できない」と苦情も 〈週刊朝日〉｜dot.ドット 朝日新聞出版” (日本語). 朝日新聞出版 (2013年3月9日). . 2013閲覧.
- ↑ 14.0 14.1 “柔軟剤の「スメハラ」に職場で悲鳴 汗と混じって異臭に 〈AERA〉｜dot.ドット 朝日新聞出版” (日本語). 朝日新聞出版 (2013年7月24日). . 2013閲覧.