actions

ジャパンディスプレイ

株式会社ジャパンディスプレイ(英称:Japan Display Inc. 略称はJDI)は、ソニー株式会社・株式会社東芝・株式会社日立製作所の中小型液晶ディスプレイ事業を統合した会社[1]

概説

産業革新機構の主導で、ソニー・東芝・日立のディスプレイ部門が統合されて誕生し、2012年4月1日に事業活動を開始した[2]。2009年に東芝に統合されたパナソニックの液晶部門(東芝松下ディスプレイテクノロジー株式会社)、同じく2011年にソニーに統合されたセイコーエプソンと三洋電機の液晶部門(三洋エプソンイメージングデバイス株式会社)など、それ以前に各社に統合されていたメーカーを含めると、ホンハイ傘下となったシャープや、京セラ傘下の京セラディスプレイ、三菱電機傘下のMDTIなどを除く日本の大半のディスプレイメーカー(ソニー・東芝・日立・トヨタ・三洋・エプソン・パナソニック・キヤノン)が統合され、さらに政府系ファンドが経営に関与する、文字通りの「日の丸液晶」である。

スマホ向けの小型液晶で高いシェアを持つ。中小型向け液晶パネルの出荷額でのシェアは2015年(平成27年)度で世界1位であり、他の年度でもシャープやLGなどとトップを争う(ただし、中小型パネルに有機ELを含めた場合は、シェア1位のサムスン電子に水をあけられている)。車載向けの小型液晶でも世界1位(2015年度)であり、2016年度には2017年3月発売予定のゲーム機Nintendo Switchにディスプレイを供給したため、ゲーム機向け液晶でもシャープに次ぐ世界2位のシェアがあった(なおローンチ版Nintendo Switchの液晶を生産したJDI茂原工場の4.5世代ラインは2016年に閉鎖されたため、2016年度のみ。任天堂の携帯機は1980年以来シャープが独占的に供給しており、2017年以降はSwitchの方もシャープと群創光電のフォックスコングループがほとんどを供給している)。一方で、大型パネルに関しては全くシェアが無い。また、データの上では「中小型向け液晶でトップ」となっているが、実際はパソコンやタブレットを中心とする中型パネルのシェアも全くない。例えば2016年(平成28年)度において、スマホを中心とするモバイル向けが8割、とりわけiPhoneへの依存率は5割を超えるなど、スマホ向け小型液晶事業に、さらに言うとiPhoneと言う1つのスマホに極度に依存している[3]。なお、アップルの次に依存率が大きいのがファーウェイで、アップルとファーウェイの2社だけでジャパンディスプレイの売り上げの7割を占めている(2017年(平成29年)3月期)。

2016年(平成28年)に、主にパソコン向けの中型ディスプレイに参入した。

2017年(平成29年)には有機ELパネルと同様に曲げることができる液晶パネル「フレキシブル液晶パネル『フレックス』」や、有機ELパネルを超える透過率80パーセントの液晶パネルを開発するなど、液晶の技術に関しては世界最先端のメーカーの一つである。2010年代後半には、韓国メーカーのみならず中国メーカーも有機ELパネルの量産に成功し、マイクロLEDや量子ドットなど有機ELの次世代ディスプレイへの投資も始まりつつある中、ジャパンディスプレイは次世代液晶パネルの開発を盛んに進めており、ジャパンディスプレイは、これらの次世代液晶パネルで有機ELパネルに対抗できると主張している。

2017年(平成29年)現在、液晶事業の見直しと、将来の有機ELパネルの量産に向けて投資する計画があり、JDIと同じく産業革新機構が投資する関連会社であるJOLEDを子会社化してJOLEDの印刷方式で有機ELパネルの2017年(平成29年)度中の量産を目指す計画や、JOLEDを子会社化せずにJDI自身の蒸着方式で有機ELパネルの2018年度中の量産を目指す計画などがある。ただしJDIは業績不振であるため、投資の資金が無く、計画は難航している。産業革新機構からは、2014年(平成26年)の設立時に2000億円、2016年(平成28年)から2017年(平成29年)にかけても750億円の投資が追加でなされており、赤字の民間企業に数千億円もの国の金を投入し続けることに対して、「国がやるべきことなのか」との批判もある[4]

2017年(平成29年)夏に、2019年度以降の黒字化を目指して(この時点で2018年(平成30年)度の赤字が確定している)、抜本的改革が行われる方針が表明された。アップルの支援で旧東芝モバイルディスプレイ時代の2012年(平成24年)に建設されたばかりの能美工場の閉鎖、石川工場を車載向けパネル生産に転換、4000人規模のリストラ、銀行からの1100億円の融資(産業革新機構が融資の返済を保証)、などを検討している[5]

沿革

  • 2011年(平成23年)
  • 2012年(平成24年)
    • 3月 - 株式会社ジャパンディスプレイに商号変更。産業革新機構(INCJ)が2000億円出資。ソニーモバイルディスプレイ株式会社、東芝モバイルディスプレイ株式会社、株式会社日立ディスプレイズの3社の株式が株式会社ジャパンディスプレイに譲渡され、完全子会社化。
    • 4月1日 - 事業開始。
  • 2013年(平成25年)
    • 4月1日 - 株式会社ジャパンディスプレイイースト(旧 株式会社日立ディスプレイズ)を存続会社として、株式会社ジャパンディスプレイウエスト(旧 ソニーモバイルディスプレイ株式会社)、株式会社ジャパンディスプレイセントラル(旧 東芝モバイルディスプレイ株式会社)、(旧)株式会社ジャパンディスプレイ(統合親会社)を合併。3社の事業会社と統合準備会社を統合し、(新)株式会社ジャパンディスプレイに商号変更。
  • 2014年(平成26年)
    • 3月19日 - 東京証券取引所市場第一部に上場[1]。同時に行われた募集株式発行と保有株式売却により、産業革新機構の議決権所有割合が約87%から約36%へ低下した[1]
    • 8月31日 - 有機EL事業について、産業革新機構主導でソニーとパナソニックの事業と統合しJOLEDを設立することで合意した。同社の15%の株式を保有する。

国内拠点

  • 本社 - 東京都港区西新橋3-7-1
  • 西日本オフィス - 大阪府大阪市淀川区西中島5-14-5
  • 海老名オフィス - 神奈川県海老名市中央2-9-50
  • 鳥取工場 - 鳥取県鳥取市南吉方3-117-2(鳥取三洋電機工場を発祥とする旧ソニーモバイルディスプレイ工場)[6]
  • 東浦工場 - 愛知県知多郡東浦町大字緒川字上舟木50(エスティ・エルシーディ工場を発祥とする旧ソニーモバイルディスプレイ工場)
  • 石川工場 - 石川県能美郡川北町字山田先出26-2(松下電器工場を発祥とする旧東芝モバイルディスプレイ工場)
  • 能美工場 - 石川県能美市岩内町1番地47(東芝工場を発祥とする旧東芝モバイルディスプレイ工場)
  • 深谷工場 - 埼玉県深谷市幡羅町1-9-2(東芝工場を発祥とする旧東芝モバイルディスプレイ工場。2016年4月閉鎖)
  • 茂原工場 - 千葉県茂原市早野3300(日立製作所工場を発祥とする旧日立ディスプレイズ工場)
  • 白山工場 - 石川県白山市竹松町2480(キリンビール北陸工場の跡地に立地。JDI発足後初となる工場。2016年12月稼働開始[7]

前身企業

脚注

関連項目

外部リンク