シェラック

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ファイル:Schellak.jpg
黄色のシェラック

シェラック英語:shellac)は、ラックカイガラムシLaccifer lacca)、およびその近縁の数種のカイガラムシの分泌する虫体被覆物を精製して得られる樹脂状の物質である。セラックともいい、漢語では「紫膠」という。

性状

  • 常温では、黄色から褐色の透明性のある固体である。精製すると白色、透明になる。無味無臭である。人体には無害。
  • 通常、熱可塑性であるが、一定の温度では熱硬化性をしめす。
  • アルコール系溶剤のみに溶け、他の有機溶剤には耐性をしめす。
  • シェラックのアルコール溶液、水溶液を蒸発させると、透明皮膜を形成する。

成分

原料の塊は、主にシェロリン酸(shellolic acid)、アロイリチン酸(aleuritic acid)などの樹脂成分約75%、タカルジアセロール(tachardiacerol)、ラクセロール(laccerol)などのワックス成分約5%、ラクセリン酸(lacceric acid)、タカルジアセリニン酸(tachardiacerinic acid)などの色素成分約7%、その他水分や異物からなる[1]

生産

インドタイなどの東南アジア南アジアでラックカイガラムシを養殖している。中国雲南省四川省などでも生産されている。ラックカイガラムシは、体長1cmに満たないカイガラムシの一種であり、様々な比較的広い範囲の種類の樹木に集団で寄生する。カイガラムシは一般に体表から分泌する蝋質、あるいは樹脂質の虫体被覆物で体を保護しているが、ラックカイガラムシの場合は、この集団内で体表から分泌する虫体被覆物が互いに融合し、宿主樹木の小枝を取り囲む棒状になる。この棒状の塊を夏に採取して粉砕し、熱、あるいは溶媒を用いて虫体被覆物を構成する樹脂状物質を抽出したものがシェラックである。

用途

脚注

  1. 1.0 1.1 江蘇新医学院編、「紫草茸」『中薬大辞典』、pp2365-2366、1986年、上海科学技術出版社、ISBN 7-5323-0842-1
  2. 澤田和弘『図解でわかるプラスチック』サイエンス・アイ新書、2008年、48頁。