ケピ帽

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ケピ帽(ケピぼう、: Képi: Käppi)は、帽子の呼称の一つ。円筒形の胴に天井が水平に張られ、庇が水平につくという外観が特徴で、おもにフランス陸軍警察で制帽として使用されてきた。

概要

ファイル:Légion Étrangère 1852.png
1852年当時のアフリカ駐留フランス外人部隊兵(Casquette d'Afrique)

発祥は1830年代、仏領アルジェリアに遡る。当時のフランス軍は重厚な革製のシャコー帽を使用していたが、現地の気候に適応すべく、シャコー帽を簡略化させた「Casquette d'Afrique」(en)という籐で編んだより軽く機能的な帽子を考案した。

その後、フランス陸軍が近代陸軍の模範とされてきた影響で、19世紀から20世紀初頭までは世界各国の軍隊の制帽として広く取り入れられていた。しかし、第一次世界大戦前後から各国でドイツが発祥の官帽や独自のデザインの軍帽が次第に採用されるようになり、軍隊等の制帽としてはフランスや、旧植民地以外の国ではあまり見かけなくなった。だが、その簡潔にして洗練されたデザインのため、現在でもさまざまな業種や団体で制帽として採用されている。

日本ではシャルル・ド・ゴールの印象が強烈であったせいか、ながらくドゴール帽という通称で呼ばれていた。しかし、形状が似るワークキャップパトロールキャップ、フィールドキャップとも呼ばれる)をケピ帽やドゴール帽と表すのは、本来は誤りである。

沿革・使用例

軍隊・警察等

フランス

発祥の地であるフランスでは、陸軍および警察国家憲兵隊が導入。当初は頭頂部を前方にクラッシュさせた形状であったが、のちに円錐形へと変更された。

ドイツ

ドイツでは、国家社会主義ドイツ労働者党が制服として採用した。のちに党本部の制服は官帽に取って代わられたが、以降も突撃隊をはじめ多くの下部機関に受け継がれていった。

オーストリア・ハンガリー

ハプスブルク朝時代後期の19世紀に、フランスの影響を受けて陸海軍人や警察官の制帽として採用された(軍服 (オーストリア)も参照)。第一次世界大戦の敗戦による帝国の解体後、共和国として再出発したオーストリアでは、軍服も旧帝国時代の影響を排除して大幅に改変が加えられ、官帽に置き換えられた。

ハンガリーでは、陸軍の礼装などに旧帝国時代の影響が強く残り、旧帝国時代の制帽に近い形態の帽子が正帽として採用されている(軍服 (中・東欧)#ハンガリーも参照)。

日本

幕末期にフランス式軍制を導入した幕府陸軍や各藩が使用していた。明治期の帝国陸軍海軍にも引き継がれ、海軍では明治初期の数年間、陸軍は将校正衣の正帽としては昭和の軍解体の最期まで引き続き制定されていた。 また、警察では明治初期に採用されたが、のちに官帽に取って代わられた。昭和期に婦人警官用として復活していたが、現在では廃止されている。 戦後の自衛隊制服では、陸上自衛隊が用いるオリーブドラブ迷彩色の作業衣と共に着用する作業帽として、米軍で「リッジウェイキャップ」と呼ばれていたパトロールキャップ型の帽子が現存しており、これがケピ帽型として分類される場合もある。

中国

中国では清朝末期、新軍の制帽として採用されたことに始まる(間もなく官帽に変更)。辛亥革命後の1912年、北洋陸軍が礼装の正帽として採用。国民政府軍でも、1936年1月20日公布の陸軍服制条例にて礼装を導入した折に正帽として採用されたが、1946年に廃止。以降、現段階では採用していない。

その他の国々

民間団体・企業


関連項目

外部リンク