ウイルスバスター

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ウイルスバスター (Trend Micro TITANIUM) とは、トレンドマイクロが開発するインターネットセキュリティスイートである。

また、ハンガリーのVirusBuster社に同名の製品があるが無関係である。

本項目では、特に断りの無い限り、個人向け製品である「ウイルスバスター20xxシリーズ」(1991年 - 2011年)→「ウイルスバスター クラウド」(2012年 - )について解説する。

概要

日本国内では、2009年平成21年)に売り上げランキングの「BCN AWARD2009 セキュリティソフト部門」において、最優秀賞を獲得した。 これにより、株式会社BCNによる2008年(平成20年)1月から12月までの期間を対象としたPOS実売統計調査結果においては、販売台数がトップだったことになる。なお、調査対象は計25社(店舗数では2360店舗)の主要パソコン販売店および家電量販店である[1][2]。 また、日本国外では「Trend Micro TITANIUM」(旧名「Trend Micro Internet Security」「PC-Cillin」)の名称で約25カ国で販売されている。

販売形態はパッケージおよびダウンロード販売である。「2007」以降の家庭向け製品では1つのシリアル番号で同一家庭内の3台のパソコンまで使用できることも大きな特色である。これに伴い、2007以降は1年契約の場合の年会費が3150円から4725円に引き上げられることになった。また年会費が支払われていれば年度ごとの最新版は無料でダウンロードおよび使用が可能である。なお、「2008」からは同一法人に対しても1シリアル3台まで使用可能になった。

2005年(平成17年)4月23日には「CPU使用率が100%になる問題(後述)」によって、企業や個人のユーザーが深刻な被害を受けた。

また、姉妹品ソフトの安価版としてSoftBank SELECTIONから「Trend アンチウイルス+スパイウェア」も発売されている。

歴史

1991年(平成3年)に最初のバージョンがリリースされ、その後は約1年に一度程度のペースでメジャーバージョンアップが行われている。1995年(平成7年)にリリースされた「ウイルスバスター95」から製品名に年表記が入るようになった。当初はウイルス対策のためだけのソフトであったがバージョンアップを重ねるごとに様々な機能を取り込み、「ウイルスバスター2004インターネットセキュリティー」以降はインターネットセキュリティスイートとなった。

現在、ウイルスのみならず個人情報を盗むスパイウェアフィッシング詐欺個人情報漏洩などを防ぐことが出来るインターネットセキュリティスイートに成長している。

「ウイルスバスター2010」からはライセンス購入者向けに、Mac OS X版「ウイルスバスター for Mac」のダウンロードも開始され、「ウイルスバスター2011 クラウド」からは、クラウドコンピューティングを利用してウイルスパターンファイルの大半を同社サーバーに置き、パソコンへの負荷を低減する「スマートスキャン」機能を採用した。それに伴い、プログラムがゼロから書き直され、パーソナルファイアウォールなどの一部の機能が改良されている。

また、2011年には、Android版の「ウイルスバスター モバイル for Android(米国では「Trend Micro Mobile Security for Android」)」の提供が始まっている。

機能

ウイルスバスター 2011以降

2011以降はプログラムが書き直され、2010以前とは異なる製品になっている。

総合ウイルス対策&修復
これには以下の機能がある。
リアルタイム&手動検索
従来からの機能であるが、定義ファイルを毎回ダウンロードするのではなく、ハッシュデータをトレンドマイクロのクラウドサーバーへ送って検査するようになっている。システムに常駐し、ウイルス・スパイウェア等への感染を防止する。
メール検索
送受信メールに対してのウイルス検索機能。Webメールやメッセンジャーの送受信メールに対するウイルス検索も可能。
ファイアウォールチューナー
Windows ファイアウォールのアドオンとして登録され、IDS(不正侵入防止機能)、ネットワークウイルスからの防御機能を追加する。これらにより外部との不正な通信を遮断する。2012年版からはボットネット特有の、不審な通信を検出する機能も搭載された。
クラウドベースの「Webレピュテーション(サイト評価)」
ネットサーフィン時、ウイルスなどが埋め込まれたサイト、またフィッシング詐欺サイトなどの危険・悪質なサイトの閲覧を防ぐ。
個人情報漏洩防止
ネット詐欺や架空請求詐欺につながる個人情報の漏洩(ろうえい)を防止するための専用の項目があり、そこに流出させたくない物の名前や番号を入力することでその危険からクレジットカード番号や電話番号パスワードなどを守る。
自動シャットダウン
2011は無し。2012で復活した。ウイルス検索終了後に、異常が無ければ自動的にコンピュータの電源を落とす。
無線LANパトロール
公衆無線LANの安全性を確認し、偽の公衆無線LANに接続した際に警告を表示する。
URLフィルタリング
有害サイトを遮断する機能。あらかじめ指定されたカテゴリ(フィッシング詐欺、スパイウェア、アダルト・成人向け、違法行為等25種類)の中から禁止したいカテゴリを選んでそれらのサイトを遮断したり、特定のURLを許可設定(ホワイトリスト)または禁止設定(ブラックリスト)することが可能。なお、ホワイトリスト登録されたURLに対しては禁止カテゴリに該当しても遮断されない。先ほどの、クラウドベースの「Webレピュテーション(サイト評価)」を使用している。
アクセス時間制限機能
特定の曜日・時間を指定して、インターネットへのアクセスを制限(禁止)する機能。子供がいる家庭などで、親と子供などユーザー毎に制限設定をすることが可能。
コンピュータの使用時間制限機能
2012から搭載。ユーザーアカウント単位で使用時間を制限する。
迷惑メール対策
一方的な広告等、迷惑メールやフィッシング詐欺の疑いのあるメールを受信した場合は該当メールを自動的に迷惑メールフォルダへ移動する。また、言語別に迷惑メール設定することも可能(例えば、英語メールを全て迷惑メール扱いするなど)。
システムチューナー
一時ファイルなどの削除、レジストリのクリーンアップなど、システムを最適化する機能。

ウイルスバスター 2010以前

総合ウイルス対策&修復
これには以下の機能がある。
リアルタイム&手動検索
従来からの機能である。システムに常駐し、ウイルス・スパイウェア等への感染を防止する。
個人情報漏洩防止
#機能 (ウイルスバスター 2011以降)参照
メール検索
#機能 (ウイルスバスター 2011以降)参照
ネットワークウイルス感染予防
#機能 (ウイルスバスター 2011以降)参照
ウイルス感染自動修復
#機能 (ウイルスバスター 2011以降)参照
ウイルス緊急警告
感染力の強いウイルス感染や破壊力の高いウイルスが出現した際、当該のウイルスに関する警告情報をデスクトップ上に表示してくれる。多くの場合は同時に最新版への自動アップデートが実施される。
緊急ロックシステム
ネットワークウイルスに対しては、上記の機能で対抗する。まずトレンドマイクロからのウイルス警告が、パターンファイルの受信とともに表示される。そしてファイアウォールとジェネリックストリーム検索機能が連携し、感染を防止する。「検出と同時に接続を遮断する」のチェックを入れている場合には、検出と同時にネットワーク接続を遮断する。万一感染した場合は、ウイルス感染自動修復のパターンファイルが配信されるので、それで自動的に修復される。なお、ファイアウォール機能が有効になっていない場合にはこの機能は動作しない。
スピード検索
過去に検索したファイルを検索せず、変更があったファイルのみ検索する。
自動シャットダウン
#機能 (ウイルスバスター 2011以降)参照
無線LANパトロール
無線LANに介入されてのネットワークの不正使用を防止するために、ネットワークに接続されているコンピュータやネットワーク機器などの情報を調べる機能。
マスメールストッパー
マスメールストッパーは感染後に大量のウイルスメールを外部に送信するウイルスに感染したときに、メールが配信されてしまうのを防ぐ機能である。
URLフィルタリング
有害サイトを遮断する機能。あらかじめ指定されたカテゴリ(フィッシング詐欺、スパイウェア、アダルト・成人向け、違法行為等25種類)の中から禁止したいカテゴリを選んでそれらのサイトを遮断したり、特定のURLを許可設定(ホワイトリスト)または禁止設定(ブラックリスト)することが可能。なお、ホワイトリスト登録されたURLに対しては禁止カテゴリに該当しても遮断されない。
アクセス時間制限機能
#機能 (ウイルスバスター 2011以降)参照
迷惑メール対策
一方的な広告等、迷惑メールやフィッシング詐欺の疑いのあるメールを受信した場合は該当メールを自動的に迷惑メールフォルダへ移動する。また、言語別に迷惑メール設定することも可能(例えば、英語メールを全て迷惑メール扱いするなど)。なお、メールソフトに表示される「迷惑メール対策ツールバー」が何の操作もしていないのに勝手にオフになり消えてなくなるという問題がネット上で数多く報告されており早急な修正が望まれる。
ライトモードインストール
パーソナルファイアウォール無線LAN関係のセキュリティ機能などをインストールせずウイルス対策やURLフィルタなどのリアルタイム検索機能のみを有効にするモード。ルータなど、当該コンピュータ以外の機器でパーソナルファイアウォールに代わるセキュリティ対策を施している場合に選択する。
自動復旧機能
ウイルスパターンファイルのアップデート後に一定回数連続してプログラムの障害・PCのフリーズ・不正終了・強制終了等が発生した場合、ウイルスパターンファイルを前回のアップデート前の状況に自動的に復旧する。
(この機能は後述の「CPU使用率が100%になる問題」で発生した事象の対策として、ウイルスバスター2006以降の製品に搭載された)

不具合

CPU使用率が100%になる問題

2005年(平成17年)4月23日 7時30分頃 ('05.4.22 22:30(UTC))、

  • 個人向けのウイルスバスター2004/2005
  • 企業向けのウイルスバスターコーポレートエディション5.02/5.06/5.5/5.58/6.5
  • 中小企業向けのTrend Micro Client/Server Security

用として全世界に配布されたウイルスパターンファイル2.594.00(日本時間:AM7:30頃公開)を特定のWindows環境で適用・更新するとCPU使用率が100%となりコンピュータの処理が停止してしまう不具合を生じさせた。これによって日本国内では個人利用者のみならず、利用している企業も業務遂行に多大な支障をきたすことになった。

同社では同日11時ごろ修正版を公開。同日夕にトレンドマイクロの社長が謝罪会見を開き、原因として配布前の充分な検証テストが行われていなかったことを明らかにした。CPU使用率が100%となる原因はそのファイルが圧縮されているかどうかの判別がうまくいかず、ウイルス検索が無限回繰り返されることであることも明らかとなった。

24日午前には問題のパターンファイルを検索し自動削除する問題修復ツールの配布も開始された。

しかしこのトラブルでは問題のウイルスパターンファイルを保持するウイルスバスターが起動することによって問題が発生することからWindowsの起動時にコンピュータが停止状態に陥ってしまうケースが多く、また情報の提供や問題修復ツールの配布はインターネットを中心に行われていたことから

  1. 何が原因で問題が発生しているのか
  2. どのようにすれば修復ができるのか

といった情報を必要とする利用者に十分提供できなかったという側面ももつ。

なお、月曜日25日には週末にトラブルが確認されていなかった企業において同様の問題が発生。同社は26日、652社の企業に影響が及んだことと6社で復旧が完了していないこと、同時点で補償を行わないことなどを発表した。

その後トレンドマイクロは今回のシステム問題を解決するために24時間体制の緊急コールセンターを開設(5月8日0時で終了)。またオンサイトでのシステム復旧サービスを無償で実施した。それ以外の方法でシステム復旧のために顧客が負担した費用を、トレンドマイクロで設定した規定に沿って補填をした(6月15日受付終了)。障害報告のあった製品を使用中の全契約客について問題発生の有無を問わず、迷惑をかけたことに対するお詫びとして契約期間の無償1ヶ月延長を行った(6月15日受付終了)。被害を受けて自分で復旧したユーザーは書類を郵送してもらい返送すると+3ヶ月、計4ヶ月延びた。この措置は個人ユーザーのみと思われる。復旧窓口の利用者数は5月9日 - 6月15日の総計で28,300件、350万ユーザー。

また今後の技術的対策としてトレンドマイクロは「ウイルスパターンファイル」品質改善策として今回の問題発生直後に、「ウイルスパターンファイル」作成と同検証の体制の再構築を行った。さらに日本においても新たな「ウイルスパターンファイル」の検証を行う体制を構築、実施を開始。また、「トレンドマイクロ テストセンター」を日本IBM株式会社大和事業所内に開設し運用している。

誤検知問題

ウイルスバスターガール

  • 仲間リサ(初代) - ウイルスバスター2008 〜 2010
  • 山本美月(2代目) - ウイルスバスター2011クラウド 〜

脚注

関連項目

外部リンク

テンプレート:セキュリティソフト

fa:شرکت ترند ماکرو - پی سی سیلین