こんごう型護衛艦
こんごう型護衛艦 | ||
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300px DDG-175 みょうこう | ||
艦級概観 | ||
艦種 | ミサイル護衛艦(DDG) | |
建造期間 | 1990年 - 1998年 | |
就役期間 | 1993年 - 就役中 | |
前級 | はたかぜ型 | |
次級 | あたご型 | |
性能諸元 | ||
排水量 | 基準:7,250トン | |
満載:9,485トン | ||
全長 | 161 m | |
全幅 | 21 m | |
吃水 | 6.2 m | |
深さ | 12 m | |
機関 | COGAG方式 | |
LM2500ガスタービンエンジン (25,000馬力) | 4基 | |
可変ピッチ・プロペラ | 2軸 | |
電源 | アリソン501-K34ガスタービン主発電機 (2,500 kW) | 3基 |
速力 | 最大30ノット | |
燃料 | 1,785トン | |
航続距離 | 6,000海里 (20kt巡航時) | |
乗員 | 300人 | |
兵装 | 54口径127mm単装速射砲 | 1基 |
高性能20mm機関砲(CIWS) | 2基 | |
Mk.41 mod.6 VLS (29+61セル)
• SM-2 SAM |
2基 | |
ハープーンSSM 4連装発射筒 | 2基 | |
68式3連装短魚雷発射管 | 2基 | |
艦載機 | ヘリコプター甲板のみ | |
FCS | Mk.99 SAM用 | 3基 |
FCS-2-21G 主砲用[1] | 1基 | |
C4I | AN/WSC-3衛星通信装置 (AN/USC-42に後日換装) | |
NORA-1衛星通信装置 | ||
NORQ-1衛星通信装置 | ||
海軍戦術情報システム (リンク11/14、リンク 16にも後日対応) | ||
イージス武器システム | ||
OYQ-102対潜情報処理装置 | ||
レーダー | AN/SPY-1D 多機能型 (4面) | 1基 |
OPS-28D 対水上捜索用 | 1基 | |
OPS-20 航海用 | 1基 | |
ソナー | OQS-102 艦首装備式 | 1基 |
OQR-2 曳航式[2] | 1基 | |
電子戦・ 対抗手段 |
NOLQ-2電波探知妨害装置 | |
Mk.137 6連装デコイ発射機 | 4基 | |
曳航具4型 対魚雷デコイ[3] | 1組 |
こんごう型護衛艦(こんごうがたごえいかん、英語: Kongo-class destroyer)は、海上自衛隊が運用する護衛艦の艦級。海自初のイージスシステム(AWS)搭載ミサイル護衛艦(DDG)にして、アメリカ海軍以外が初めて保有したイージス艦でもある。61・03中期防に基づき、昭和63年度から平成5年度にかけて4隻が建造された[4]。ネームシップの建造単価は約1,223億円であった[5][注 1]。
Contents
来歴
海上自衛隊は、第1次防衛力整備計画期間中の「あまつかぜ」(35DDG)によってミサイル護衛艦(DDG)の整備に着手した。その後、第3次防衛力整備計画より建造を開始したたちかぜ型(46/48/53DDG)でシステムのデジタル化と海軍戦術情報システム(NTDS)に準じた戦術情報処理装置の導入、そして五三中業より建造を開始したはたかぜ型(56/58DDG)ではCIC能力の強化とともにプラットフォームのガスタービン化も達成するなど、順次に性能強化を図っており、とくにはたかぜ型については在来型ミサイル護衛艦の頂点に立つものと評されていた[7]。
しかし一方で、当時のソビエト連邦軍においては、射程400km、超音速を発揮できるKh-22 (AS-4「キッチン」) 空対艦ミサイルと、その発射母機として、やはり超音速を発揮できるTu-22M爆撃機、そしてこれらを援護して電子攻撃を行うTu-16電子戦機の開発・配備が進められており、経空脅威は急激に増大していた。このことから、これらの在来型ミサイル護衛艦が装備していたターター・システムでは、性能上対処困難という問題が生じ、電子戦下でも多目標同時対処可能な防空システムであるAWSの取得が志向されるようになった[4]。
海上自衛隊がAWSの導入に向けて動き始めたのは1981年ごろとされている。数度の折衝を経て、1984年には、アメリカ側より「日本に対するAWSのリリース可能」との回答がなされた。これを受けて、同年8月には「イージス・プロジェクト・チーム」が発足、1985年8月には「洋上防空態勢プロジェクト」が編成された[4]。また昭和60年度計画で予定されていたはたかぜ型3番艦の建造が中止され、イージスミサイル護衛艦の建造余席が確保された[7]。
1986年5月、防衛庁(当時)内に設置されていた業務・運営自主監査委員会を発展拡大させて防衛改革委員会が設置され、その傘下の4つの委員会および小委員会の一つとして洋上防空体制研究会(洋防研)が発足した。洋防研においては、OTHレーダーや早期警戒機、要撃戦闘機、そして艦対空ミサイル・システムを組み合わせることによる洋上防空体制の強化・効率化が模索されており、研究の結果、護衛艦の艦対空ミサイル・システムの性能向上についてはAWSが最適であるとの結論に至った。これらの検討結果は1987年(昭和62年)12月の安全保障会議において了承された[8]。これによって建造されたのが本型である[4]。
設計
本型はアメリカ海軍のアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦をモデルとしており、特にAWSの各種レーダー類の配置の必要上、上部構造物の設計は類似したものとなっている。また主機も同構成となった。一方で、船体部分の設計は従来の護衛艦と同じ手法によって行われているほか、群旗艦としての能力が要求されたこともあって、上部構造物は大型化し、排水量も同級と比して大きく増大している[9]。基本計画番号はF116[10]。
船体
船型は、アーレイ・バーク級では艦尾甲板が1段下がっている長船首楼型であったのに対し、本型では従来の護衛艦と同様、上甲板の整一化を図り、艦尾まで平坦に続く遮浪甲板型を採用した。なお艦尾甲板はヘリコプター甲板とされているが、ヘリコプターの発着が係留装置と干渉することがないよう、艦尾甲板の舷側部はなだらかに傾斜している。これを初代むらさめ型(31/32DDA)を始めとする初期の海上自衛隊護衛艦の設計上の特徴であったオランダ坂に喩えて、ミニ・オランダ坂とも称するが、この造作はむらさめ型(03DD)をはじめとする第2世代汎用護衛艦(DD)でも踏襲された[11]。
またアーレイ・バーク級から導入された重要な要素が傾斜船型の採用である。これは、AN/SPY-1Dレーダーを設置するためには上甲板の幅を広げる必要があった一方で、艦の推進性能確保のためには吃水部分の幅を絞る必要があったことから、これらを両立させるために採用されたものであったが、レーダー反射断面積(RCS)低減にも効果があった。赤外線シグネチャー低減のため、煙突への低減装置装備や海水管の散水装置も設置されている。また水中放射雑音低減のため、プレーリー・マスカーを装備するほか、各種の防振・防音対策も講じられている[9]。
抗堪性についても、相応に配慮されている。アーレイ・バーク級では船体は鋼製としたものの、煙突やマストはアルミ合金のままであったのに対して、本型では全鋼製とし、枢要区画においては更に二重隔壁およびニッケルクロムモリブデン鋼による弾片防御が導入され、またノンハロゲン難燃性ケーブルの導入などもなされている[12]。被害局限化のため、艦内は4つのゾーンに区分されている。また主要配管については、左右舷や甲板の上下などに分散しており、単に艦の中央部前後で左右に分けるだけだった従来のリングメイン方式よりも更に徹底した方式となっている。またNBC防御のため、艦内に与圧をかけて外圧と遮断している[9]。
搭載艇は7.9メートル内火艇2隻のほか、6.3メートル複合型作業艇1隻が搭載された[9]。
機関
船体設計は独自色が強かったのに対して、機関構成はおおむねアーレイ・バーク級に準じたものとなっている。主機関には、同級と同じゼネラル・エレクトリック LM2500ガスタービンエンジン(石川島播磨重工業によるライセンス生産機)を海自としては初装備し、COGAG方式で主機関4基により推進器(5翼のスキュー付き可変ピッチ・プロペラ)2軸を駆動する方式とされた。機関区画は抗堪性に配慮してシフト配置とされており、前方の第1機械室が左舷軸、補機室(第2発電機室)を挟んで後方の第2機械室が右舷軸を駆動する方式とされた[9]。またこれら機械室の前後にそれぞれ第1・3発電機室が配されており、この5つの区画で機関区画を構成している[13]。
電源としては、アリソン社の501-K34ガスタービンエンジン(石川島播磨重工業によるライセンス生産機)を原動機とする発電機(出力2,500 kW)3セットが搭載された[14]。これは2基を常用、1基を非常用として主発電機の運転区分により対応するものであった。従来の護衛艦の装備要領とは異なっており、機種を含めてアーレイ・バーク級から導入された手法であったが、以後のDD・DDGで標準となった[9]。
装備
イージス武器システム (AWS)
上記の経緯より、本型の中核的な装備となるのがイージス武器システム(AWS)である。搭載している全ての戦闘システムは、AWSの戦術情報処理装置である指揮決定システム(C&D)および武器管制システム(WCS)に連接されている。バージョンは、就役時には1番艦から3番艦がベースライン4で、4番艦のみがベースライン5としてリンク 16に対応していたが、2014年現在では全艦がベースライン5.2となっている[9]。
その中核となる多機能レーダーはAN/SPY-1Dで、固定式4面のパッシブ・フェーズドアレイ(PESA)アンテナは、03・04甲板レベルの艦橋構造物周囲四方に固定配置されている。これはアーレイ・バーク級と同様の装備要領である。またミサイル発射機としてはMk.41 mod.6 VLSを搭載するが[15]、その搭載要領もやはりアーレイ・バーク級と同様で、艦首甲板に29セル、艦尾甲板に61セルを備えている。なお発射機それぞれについて、3セル分を使って再装填用クレーンが配置されている[16]。
搭載する艦対空ミサイルは、当初はSM-2MRブロックIII(米海軍呼称RIM-66M-1)を用いていたが、後にブロックIIIA(米海軍呼称RIM-66M-2)、更には赤外線センサを付加したブロックIIIB(米海軍呼称RIM-66M-5)と順次に更新された[15]。これらの終末航程においてセミアクティブ・レーダー・ホーミング誘導を行うためのイルミネーターとしては、AN/SPG-62を艦橋構造物上部に1基、後部に2基の、計3基を搭載する[9][15]。
ミサイル防衛能力
1993年5月29日の北朝鮮によるミサイル発射実験を受けて、同年12月、日米による戦域弾道ミサイル防衛(TMD)検討の作業部会が設置され、日本でもミサイル防衛能力について本格的な検討が開始された[17]。また平成7年度からは、正式に「我が国の防空システムの在り方に関する総合的調査研究」に着手した[18]。そして1998年8月31日のテポドン1号の発射実験を受けて、対処手段の具体的検討に入り、1999年より海上配備型システムについて日米共同技術研究が開始され、2003年12月には、「弾道ミサイル防衛態勢の整備」を閣議決定した。そして2004年4月、航空自衛隊のパトリオットミサイル・システムの能力向上やBADGEシステムの改修とともに、こんごう型へのBMD能力付与が決定された[19]。
まず平成16年度予算で、「こんごう」にイージスBMD 3.6システムが搭載されて、AN/SPY-1DレーダーおよびMk.41 VLSに所定の改修が施され、SM-3ブロックIA弾道弾迎撃ミサイルの運用に対応した。改修工事は2007年8月に完了し、同年12月17日には、カウアイ島沖の太平洋ミサイル試射場での迎撃実験(JFTM-1「ステラー・キジ」)において模擬弾道弾の直撃・破壊に成功した[17][19]。
続く平成17年度予算では「ちょうかい」が改修され、2008年11月に迎撃実験(JFTM-2「ステラー・ハヤブサ」)を行った。ミサイルの動作不良のため標的の破壊には失敗したものの、艦のシステムは正常に動作した。平成18年度予算では「みょうこう」が改修され、2009年10月に迎撃実験(JFTM-3「ステラー・ライチョウ」)を行い、目標破壊に成功した。また平成19年度予算では「きりしま」が改修され、2010年10月に迎撃実験(JFTM-4「ステラー・タカ」)を行い、こちらも目標破壊に成功した[17]。
これらの艦に搭載するSM-3ブロック1Aミサイルは、有償援助調達(FMS)によって36発が購入された。上記のとおり、各艦が1回ずつの迎撃実験を行っており、毎回1発ずつを発射していることから、残弾は32発である。これらのミサイルの調達や各艦のBMD改修、迎撃実験などに要したコストは、合計で約1,500億円であった[17]。
弾道ミサイル探知の実績
1998年8月31日の北朝鮮によるミサイル発射実験の際には、「みょうこう」がテポドン1号の探知・追尾に成功した。この時点で同艦はBMD改修を受けておらず、自動追尾ソフトウェアもなかったが、レーダー操作員が手動でレーダービームを指向し、テポドンを捉え続けたとされている[17]。
2006年の発射実験では、日本海に展開していた「こんごう」と「みょうこう」がテポドン2号とみられる噴射熱の探知・追尾を行った。これはミサイル防衛計画艦が「実戦」で弾道ミサイルの探知・追尾に成功した初めての例となった。
2009年の発射実験では、一部の艦がSM-3による弾道弾迎撃能力を付与されていたことから、初めて防衛大臣により破壊措置命令が発出され、弾道弾迎撃能力獲得のための改修をうけた「こんごう」と「ちょうかい」が日本海側に、未改修の「きりしま」が太平洋に展開され、銀河2号の探知・追尾に成功した。ただしミサイルが日本の陸域に落下しなかったので迎撃は行われなかった。
ソフトウェアの一時供給停止
上記の「こんごう」の改修に際し、アメリカ側はイージス艦の情報漏洩問題を受けて、2007年7月に改修に必要なソフトウェアや文書等の供給を停止した。日本側が新たな情報保全体制の取り組みを説明したのを受け、8月3日に供給は再開している。この供給停止による改修計画への遅れはないとしている[20]。
対潜戦
本型では、対潜戦能力についても、従来護衛艦と比して大きく刷新されている。最大の変更点がOYQ-102対潜情報処理装置(ASWCS)を中核としたシステム化である。海自では、既にあさぎり型(58DD)などにOYQ-101 ASWDSを搭載していたが、これは戦術曳航ソナーやソノブイなどの情報を統合し、パッシブ運用のシステム化を図るものであった。これに対し、本型搭載のOYQ-102は、アーレイ・バーク級でも搭載されていたAN/SQQ-89に範をとって、AWSと同様のシステム統合を図っている[21]。
ソナーとしては、技術研究本部が試作していたOQS-Xの成果を踏まえて、完全デジタル信号処理化およびソナードームのラバー・ウィンドウ化を図って開発されたOQS-102を搭載した[22]。また艦尾左舷からは曳航式のOQR-2も繰り出される[2][9]。
対潜兵器としては、艦首側のMk.41 VLSから発射される垂直発射式アスロック(VLA)とともに、後部上構付近の両舷に68式3連装短魚雷発射管HOS-302を装備している[2][9]。なお本型より、艦内操作による魚雷発射が可能になった[3]。
対水上戦
対水上捜索用のレーダーとしては、前任のはたかぜ型と同系列のOPS-28Dを搭載する。これは遠距離での精密捜索能力に優れており、水上の目標のみならず、低空を飛行する巡航ミサイル(シースキマー)などの探知にも使用される[23]。
艦対艦ミサイルもはたかぜ型と同様で、ハープーンを搭載する[9]。2013年12月の時点ではブロック1C(RGM-84D-4)が搭載されていた。定数としては4連装発射筒2基だが、1基あたり2~3発で運用している艦も多い[3]。
砲熕兵器
主砲としては、アーレイ・バーク級で搭載されていた54口径5インチ単装砲(米海軍Mk.45)や、はたかぜ型で搭載されていた54口径5インチ単装速射砲(米海軍Mk.42)ではなく、オート・メラーラ製の54口径127mm単装速射砲(127mmコンパット砲)を搭載した。これはその名の通り、汎用護衛艦(DD)などで搭載されていた76mmコンパット砲のスケールアップ・モデルとして開発されたものであり、海上自衛隊としては初の採用例であった。またこれと組み合わせる砲射撃指揮装置(GFCS)としては、はたかぜ型などで搭載されたFCS-2-21に所定の改正を加えて、艦橋上部に装備した[4][9]。
CIWSは、従来の護衛艦同様高性能20mm機関砲(米海軍Mk.15)を2基搭載しているが、従来の両舷配置から中心線上の前後配置に、CIWS基部も露出した状態からアーレイ・バーク級と同様に改められている。尚、こんごう型は全4隻がBlock1Bへの換装を完了している。
電子戦
電子戦装置として、原型艦であるアーレイ・バーク級は、電子戦支援機能しかもたないAN/SLQ-32(V)2電波探知装置を搭載していた。これに対して本型では、電子攻撃機能を備えるとともに、より精巧な国産機であるNOLQ-2電波探知妨害装置を装備している[2]。これは、技術研究本部において昭和50年度より「水上艦用電波探知妨害装置」として開発されていたもので、まず電波探知(ESM)機能のみが汎用護衛艦(DD)向けのNOLR-8として昭和60年度より装備化されたのち、電波妨害機能も備えたNOLQ-2が本型で装備化された[24]。対艦ミサイル防御(ASMD)を重視して、ミサイル・シーカー波の瞬時探知・全方位同時捜索などの機能を備えている[25]。
また、チャフ・IRデコイ(フレア)を展開するため、他の護衛艦と同様にチャフロケットシステム(Mk 36 SRBOC)を装備しており、そのMk.137 6連装デコイ発射機は4基が搭載される。装備位置は前部01甲板上である[9]。
航空機
アーレイ・バーク級フライトIと同様、ハンガーこそもたないが、ヘリコプター甲板と給油機能を有している。
また、SH-60Jに搭載されるヘリコプター戦術情報処理装置(HCDS)との連接のため、ORQ-1ヘリコプター・データリンクも搭載されるなど、航空運用能力ははたかぜ型と比して大きく向上している[9]。
配備
艦番号 | 艦名 | 建造 | 起工 | 進水 | 竣工 | 所属 |
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DDG-173 | こんごう | 三菱重工業 長崎造船所 |
1990年 (平成2年) 5月8日 |
1991年 (平成3年) 8月26日 |
1993年 (平成5年) 3月25日 |
第1護衛隊群第5護衛隊 (司令部:横須賀基地) (定係港:佐世保基地) |
DDG-174 | きりしま | 1992年 (平成4年) 4月7日 |
1993年 (平成5年) 8月19日 |
1995年 (平成7年) 3月16日 |
第2護衛隊群第6護衛隊 横須賀基地 | |
DDG-175 | みょうこう | 1993年 (平成5年) 4月8日 |
1994年 (平成6年) 10月5日 |
1996年 (平成8年) 3月14日 |
第3護衛隊群第3護衛隊 (舞鶴基地) | |
DDG-176 | ちょうかい | 石川島播磨重工業 東京第1工場 |
1995年 (平成7年) 5月29日 |
1996年 (平成8年) 8月27日 |
1998年 (平成10年) 3月20日 |
第4護衛隊群第8護衛隊 (司令部:呉基地) (定係港:佐世保基地) |
インド洋派遣
テロ対策特別措置法による後方支援の一環として、インド洋への海上自衛隊の派遣が決定された際、当初からリンク機能の装備状況を考慮してイージス艦を派遣艦に含めることが検討されていたが、
などの反対意見が国会などであった。そのためインド洋へのイージス艦の派遣は2002年末まで行われなかった。
最終的に本型艦の派遣が決定された理由として、司令部機能を持つ護衛艦のローテーションの組みやすさ、高い情報処理能力による安全性の確保、乗員の負担が軽減できる居住性の良さなどがある。ただし、こんごう型にはヘリコプター格納庫がないため運用できる哨戒ヘリ数は減少することになった。
登場作品
映画
- 『ガメラ3 邪神覚醒』
- 「みょうこう」が登場。作中で流れるニュースの資料VTRの中で、ガメラを追跡する様子が映されている。
- 『シン・ゴジラ』
- 「きりしま」が登場。相模湾などの太平洋上でゴジラの捜索を行う。
- 『バトルシップ』
- 「みょうこう」と「きりしま」が登場。
- 「みょうこう」は、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦「ジョン・ポール・ジョーンズ」「サンプソン」とともに、宇宙からハワイ沖に落下してきたエイリアンの侵略兵器と、ECMによってレーダーやGPSが使えない状況下で激しい戦闘を繰り広げる。
- 「きりしま」は、各国海軍対抗のサッカー大会が行われている会場の近くに停泊しており、その甲板上で乗員たちが、自衛艦旗を振るなどして日本チームを応援している。
- 「きりしま」は、偶然にもBMD機能付加に伴う装備認定試験のためパールハーバーに寄港していた実物で、出演しているのも実際の乗員であるが、作中で「みょうこう」として登場している艦艇ないしCGモデルは、「みょうこう」と同じ艦番号「175」を持っているが、あたご型護衛艦のものである。
- 『亡国のイージス』
- 架空のイージス護衛艦「いそかぜ」役で「みょうこう」が登場[注 2]。副艦長などの幹部たちが某国工作員と手を組んで反乱を起こし、東京の一般市民たちを人質にして日本政府に要求を飲ませるため、某国工作員が持ち込んだ化学兵器を積んで東京湾に向かい、その際、これを阻止しようとする架空の護衛艦「うらかぜ」[注 3]と戦闘を行う。
- 撮影には実物のほか、沿岸部に建造された実物大セットが使用されている。
アニメ・漫画
- 『イノセント・ヴィーナス』
- 国防軍所属艦として登場。
- 『エヴァンゲリオンシリーズ』
-
- 『新世紀エヴァンゲリオン』
- 第8話に国連軍太平洋艦隊所属艦として「こんごう」などが多数登場。日本に運ばれるエヴァ弐号機を護衛しており、作戦図上では、「DDG-173 KONGO」と表記されている「こんごう」をはじめとする6隻以上の存在が確認できる。ガギエル迎撃戦で複数艦が弐号機の足場にされてしまい、檣楼(艦橋構造物)や信号檣(檣頭)などが潰れてしまう。
- 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』
- 第2方面軍所属艦として艦番号「210」とする同型艦が登場。むらさめ型護衛艦などとともに、第7の使徒を迎撃する。
- 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』
- ヴィレ所属艦として「こんごう」などが登場。Mark.04 コード4Cの襲撃を受ける。
- 『エルフェンリート』
- 単行本6巻に艦番号不明の同型艦が登場。マリコに対し訓練用の無弾頭ハープーンによる攻撃を行う。なお、これはVLSから発射され、ミサイルからの画像を元にヘリコプターのジョイスティックで操作する指令誘導方式の架空型である。単行本11巻では、第一護衛艦隊に所属する艦番号「176」の艦が登場。国立生態科学研究所攻撃に向かうベクタークラフトの母艦となる。単行本12巻では、ルーシーに対してSM-3で攻撃を行う。なお、現実のSM-3は短距離弾道ミサイルから中距離弾道ミサイルの迎撃を目的とする弾道弾迎撃ミサイルであり、対地攻撃は不可能である。
- 『学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD』
- 第4巻(アニメ版第12話)に「こんごう」と「きりしま」が登場。中国から発射された東風-21号を、第7艦隊所属のタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦「シャイロー」、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦「カーティス・ウィルバー」とともに迎撃する。
- 『艦隊これくしょん -艦これ-いつか静かな海で』
- 第3話に「こんごう」が登場。こんごう型か故に、艦娘の「金剛」「霧島」「妙高」「鳥海」も登場している。
- 『空母いぶき』
- 「ちょうかい」が登場。航空機搭載型護衛艦「いぶき」を旗艦とする第5護衛隊群に配属される。
- 第17話では、中国海軍の架空空母「広東」から発進し、単機で第二波攻撃を仕掛けてきた殲20をSM-2艦対空ミサイルで撃墜する。これが、自衛隊史における初めての敵兵士殺害となった。第34話と第35話では、多良間島沖にて052A型駆逐艦「哈爾浜」と053H3型フリゲート「洛陽」と交戦し、54口径127mm単装速射砲による精密砲撃を行い、両艦の兵装の破壊に成功する。
- なお、第34話に「ちょうかい」がESSMを使用して艦対艦ミサイルを迎撃する場面があるが、実際の「ちょうかい」はESSMを搭載していない。
- 『スカイガールズ』
- TVアニメ版第9話に架空艦「DDG-173 おうぶ」をはじめ、艦番号「174・175」とする同型艦が登場。京浜コンビナートをワームから防衛するため出撃する。
- 『戦闘妖精・雪風』
- OVA版第4話に登場。国連軍に所属しており、架空の原子力空母「アドミラル56」やタイコンデロガ級巡洋艦とともに南極に展開し、超空間通路から飛び出してきたジャム機と交戦する。
- 『続・戦国自衛隊』
- 「こんごう」が登場。朝鮮半島へ派遣される陸上自衛隊を乗せたおおすみ型輸送艦「おおすみ」を、はたかぜ型護衛艦「はたかぜ」とともに護衛しており、北朝鮮がテポドンを発射したことを受け、第7艦隊とともにSM-3で迎撃する。
- 『大怪獣激闘 ガメラ対バルゴン COMIC VERSION』
- 第1護衛隊所属艦として「きりしま」が登場。三浦半島に出現したバルゴンに対して、同じく第1護衛隊に所属する他艦とともに艦砲射撃を行う。
- 『超時空戦艦まほろば』
- 国連軍PKO艦隊所属艦として架空艦「やまあらし」「すなあらし」が登場。戦艦「まほろば」を追跡する。
- 『ビビッドレッド・オペレーション』
- ブルーアイランド防衛軍所属艦として「こんごう」「きりしま」「みょうこう」が登場。ブルーアイランド沖に現れたアローンを迎撃するために展開する。
- 『まりかセヴン』
- 複数のエピソードに登場。第6話では、怪獣「グランケ」の攻撃に向かう護衛艦隊の所属艦として、「きりしま」や架空艦「こじはる」など数隻が登場しており、うち「こじはる」は、泳げないまりかセヴンがグランケに接近するための踏み台にされてしまう。
- 第16話と第32話では架空艦「おおしま」が登場。第16話では怪獣「ギガザ」を、第32話では暗殺機人「タマミネーター」を攻撃する。
- 『ムダヅモ無き改革』
- 架空艦「DDG-179 たかお」が登場。「獅子の血族編」の主人公である真田又次郎二佐が艦長を務めている。
- 『名探偵コナン 絶海の探偵』
- 「きりしま」が登場。エンドロールにて、夕焼けに照らされた海上を航行する様子が、実写で映されている。
- 『勇者王ガオガイガー』
- アニメ版第39話に「きりしま」が登場。横須賀沖を航行していた最中、瞳原種に取り込まれてしまう。
小説
- 『MM9』
- 第1話に架空艦「はくば」が登場。架空のはるな型護衛艦「すずか」などとともに、海底を移動する怪獣3号「シークラウド」を追跡して攻撃する。
- 『川の深さは』
- 「こんごう」が登場。「鮫」のコードネームを持ち、北朝鮮の瀬取り船を撃沈に向かうが、それを阻止しようとする主人公たちが乗ったAH-64 アパッチと交戦する。しかし、コンピュータウイルスによって戦闘システムがダウンしたため、手動操作の54口径127mm単装速射砲と完全自律の高性能20mm機関砲以外は使用不能となる。
- 『群青神殿』
- 「ちょうかい」が登場。海中生物ニュークの脅威に対応するために編成された第四十八護衛船団を護衛し、ニュークと交戦する。
- 『宣戦布告』
- 「みょうこう」と「こんごう」が登場。日本の領海に接近する北朝鮮海軍[注 4]のフリゲート艦隊の警戒にあたる。
- 映画版では、自衛隊の協力が得られなかったため、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦が「みょうこう」の代役を務めている。
- 『日本北朝鮮戦争 竹島沖大空海戦』
- 「みょうこう」と「こんごう」が登場。
- 「みょうこう」は、北朝鮮から発射されたノドンIIをシースパローで迎撃する。
- 「こんごう」は、物語終盤で調査船「うずしお」の護衛艦隊旗艦を務めており、航空自衛隊のF-15Jが撃ち漏らした北朝鮮空軍のMiG-21 フィッシュベッドを、シースパローを使用して撃墜する。
- 『日本国召喚』
- 全艦登場。主な海戦に主力として活躍。
ゲーム
- 『Wargame Red Dragon』
- NATO陣営で使用可能な駆逐艦として「こんごう」が登場する。
- エースコンバット5
- イージス駆逐艦カニェークのモデルとなっている。
その他
- 『SAVIOR OF SONG』プロモーション・ビデオ(ミュージック・ビデオ)
- ナノの「SAVIOR OF SONG」のPVに「きりしま」が登場。イージス艦上でPV撮影が行われたのは、日本音楽史上初となる[26]。
脚注
注釈
出典
- ↑ 多田 1997.
- ↑ 2.0 2.1 2.2 2.3 Wertheim 2013, pp. 363-364.
- ↑ 3.0 3.1 3.2 海人社 2014a, pp. 37-66.
- ↑ 4.0 4.1 4.2 4.3 4.4 山崎 2014.
- ↑ 防衛省経理装備局 艦船武器課 (2011年3月). “艦船の生産・技術基盤の現状について (PDF)”. . 2015/06/28閲覧.
- ↑ 加藤健二郎 『いまこそ知りたい自衛隊のしくみ』 日本実業出版社、2004年。ISBN 4534036957。
- ↑ 7.0 7.1 香田 2015, pp. 210-213.
- ↑ 防衛庁 「第3部 わが国防衛の現状と課題」『防衛白書』1988年。アクセス日 2012年9月29日。
- ↑ 9.00 9.01 9.02 9.03 9.04 9.05 9.06 9.07 9.08 9.09 9.10 9.11 9.12 9.13 海人社 2014b.
- ↑ 技術研究本部 2002, p. 111.
- ↑ 海人社 2004, pp. 182-185.
- ↑ 技術研究本部 2002, pp. 91-92.
- ↑ 海人社 2007, pp. 76-85.
- ↑ 寺田 1995.
- ↑ 15.0 15.1 15.2 岡部 2014.
- ↑ 海人社 2007, pp. 86-93.
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- ↑ 防衛庁 (1999年). “弾道ミサイル防衛に関する日米共同技術研究”. . 2017/12/21閲覧.
- ↑ 19.0 19.1 山崎 2010.
- ↑ 8月11日 産経新聞
- ↑ 山崎 2011.
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- ↑ 香田 2015, pp. 188-207.
- ↑ “日本初のイージス艦上撮影実現!ナノ新曲PV制作に密着”. 最新音楽ニュース ナタリー. (2013年9月10日)
参考文献
- Wertheim, Eric (2013). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 16th Edition. Naval Institute Press. ISBN 978-1591149545.
- 岡部, いさく「海自DDG搭載ミサイル発達史 (特集 ミサイル護衛艦50年史)」、『世界の艦船』第802号、海人社、2014年8月、 98-103頁、 NAID 40020136039。
- 岡部, いさく「こんごう型 (海自イージス艦のBMD能力)」、『世界の艦船』第874号、海人社、2018年2月、 78-85頁、 NAID 40021428961。
- 香田, 洋二「国産護衛艦建造の歩み」、『世界の艦船』第827号、海人社、2015年12月、 NAID 40020655404。
- 多田, 智彦「世界的レベルのFCS開発秘話海上自衛隊FCS発達史-2-」、『軍事研究』第32巻第11号、ジャパンミリタリー・レビュー、1997年11月、 204-222頁、 NAID 40000812861。
- 寺田, 政信「1994年における舶用機関技術の進歩」、『日本舶用機関学会誌』第30巻第7号、1995年7月、 489-527頁、 NAID 130001338063。
- 山崎, 眞「海上自衛隊のイージスBMD計画 (特集 イージス艦のすべて)」、『世界の艦船』第730号、海人社、2010年10月、 98-105頁、 NAID 40017240285。
- 山崎, 眞「わが国現有護衛艦のコンバット・システム」、『世界の艦船』第748号、海人社、2011年10月、 98-107頁、 NAID 40018965310。
- 山崎, 眞「ミサイル護衛艦建造の歩み (特集 ミサイル護衛艦50年史)」、『世界の艦船』第802号、海人社、2014年8月、 69-75頁、 NAID 40020135975。
- 海人社, 編纂.「海上自衛隊全艦艇史」、『世界の艦船』第630号、海人社、2004年8月、 NAID 40006330308。
- 海人社, 編纂.「最新鋭イージス護衛艦「あたご」のすべて」、『世界の艦船』第678号、海人社、2007年8月、 75-93頁、 NAID 40015530275。
- 海人社, 編纂.「自衛艦ディテール写真集 : 護衛艦「ひゅうが」型/「こんごう」型/「むらさめ」型」、『世界の艦船』第798号、海人社、2014年5月 (2014a)、 NAID 40020052762。
- 海人社, 編纂.「こんごう型 (特集 ミサイル護衛艦50年史) -- (ミサイル護衛艦全タイプ)」、『世界の艦船』第802号、海人社、2014年8月 (2014b)、 90-93頁、 NAID 40020136021。
- 「技術開発官(船舶担当)」『技術研究本部50年史』 技術研究本部、2002年、72-115。
関連項目
- 護衛艦 / ミサイル護衛艦
- イージスシステム / イージス艦
- ミサイル防衛(MD)
- 能登半島沖不審船事件
- 金剛型戦艦 - 金剛 (戦艦)
- 金剛型コルベット - 金剛 (コルベット)